今、テレビから盛んに「マリと子犬の物語」とかいう映画のコマーシャルが流れてきますな。
映画のストーリーは、あの新潟地震に取材した実話が元になっているそうで、”地震で全村避難した村に取り残された母犬と、地震当日に生まれた3匹の子犬を巡る物語”とか。「泣かせておけば金が入る」という世情、どういう魂胆で作られた映画か、もう丸分かりです。
私なんかの世代には、「おいおい、どこかで聞いた話だぞ?あの無人の、極寒の基地に一年間も取り残されながらも生きていた南極観測隊の飼い犬、タロとジロの物語の二番煎じじゃないか」としか思えないんだが、製作者、恥ずかしくないのか。
いや、それどころじゃない、すっごい良心的な映画を作ったつもりでいる気配があるな。
そして我が日本国国民の皆様、コロッと丸め込まれちゃって見に行くんでしょうな、この映画。雁首そろえて。
とにかくねえ、この映画のコマーシャルの冒頭、主演のガキが割れ切った喉で「グギャーッ!」とか絶叫するのが聴こえるたびに、ついに我々はこんな貧困な文化しか持てなかったのか。と、もう絶望の淵に落っこちるのである、当方の気分としては。
泣けば感動、怒鳴れば熱演、ですか。シンプルなお仕事で、芸能人の皆さんも気楽でよろしいですねえ、いや、ほんと。