ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

”ガンダーラ”の不愉快

2006-03-03 05:05:51 | その他の日本の音楽

 まずは先日(3月2日)書いた”インシャラー”に付記。かの歌についてその後もネットで検索していたんですが、シャンソンかなんかの歌詞紹介サイトでこの歌について、

>アッラーと出てくるから中東戦争のパレスチナ側の立場に
>立った歌だということは解ります。

 と、堂々と書いてあったんで驚いてしまったのでありました。”解ります”って、逆の意味に解ってしまったらヤバいんではないかいな。その逆、イスラエルの立場に立ってしまったから、アダモはアラブ圏で苦戦を免れ得なかったのであってね。
 「アッラーと出てくるから」って、あなた。そんなアバウトな解釈で、あんなに重い歌の歌詞を理解してしまったらまずいんではないか。
 歌詞内容紹介のためのサイトがこれですからね、あきれたもので。まあ、あんまり人のことは言えなかったりしますがね、私も。

 閑話休題。
 さっき、つけっぱなしにしておいたテレビから、ゴダイゴとかいうバンドがありましたね、彼らの昔のヒット曲、”ガンダーラ”が流れてきたんだけど、聴いていたらなんだか無性に腹が立ってきましてねえ、これはなんなのかな、と。

 「俺らはセンスの良いミュージシャンで、もうフィーリングなんか外人(白人)同然なんだよな。遅れてる”並の”日本人なんかと同じに思ってくれちゃったら困るぜ」みたいな価値観と自負心に立って、”風変わりな異郷であるアジア”を歌っている、そんなバンドのメンバーの意識が脈々と伝わってくるような歌ではありませんか、これは。
 アジア人としてアジアを歌っているんじゃないんですね。いったん、欧米人の側に身を寄せておいて、そちらの、いわば借り物の視点でアジアを捉えている。しかも、そんな自分たちを誇りに思っている。誇りに思い、白人に「良い子、良い子」と頭をなでられるのを待っている。これもなんだか不愉快な光景だなあ。

 しかし、この歌が流行っていた当時、私はそんなことは考えもしなかったのは事実でもあるわけで。いや、といって、好きな歌でもなんでもなかったんだけど。あのバンド、妙に健全ぶったキャラ設定で押して来るのが不愉快で、どちらにしろ嫌悪はしていたんだけれど。
 当時、私はどんな音楽を聴いていたのかなあ。あの頃から私も私なりの音楽ファンの道を歩いてきたんだけど、その後の道程で得た音楽体験により、ゴダイゴなるバンドの胡散臭さを嗅ぎ分ける能力が付いたのか?いや、当時もわかっていたんだけど、”健全ぶりっ子”への嫌悪の方が強くて、そちらに思いが及ばなかったと考えたいのだが。

 そういえばこの”ガンダーラ”、彼らゴダイゴが来日したビーチボーイズと同じ番組に出演した際、ビーチボーイズの面々が見守る中で演奏された曲だったんでした。その時点でゴダイゴは、もう次のヒット曲押しの状態であったんで、私は「何でここでちょっと前のヒット曲を引っ張り出したのかな?」と不思議だったんだけれど、あれはどういう意味?
 ビーチボーイズの面々に「私らは見かけは惨めな東洋人ですが、中身は立派な白人なんですよ。それが証拠にこの通り、”異郷としてのアジア”をロンドン仕込のお洒落なロックとして歌っておりますでしょう」なんてメッセージを出していたのか?この辺になるとややこし過ぎて私の頭脳では付いて行けませんが。






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