ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

Night They Drove Old Dixie Down

2007-03-30 05:18:42 | いわゆる日記


 昨日に続いて、”他人の文化に踏み込んで音楽を奏でてしまうこと”の話なのだが。
 ここでアメリカのルーツ系ロックの最高峰、ザ・バンドの2枚目のアルバムに入っていた、”Night They Drove Old Dixie Down ”という歌をもちだす。

 これはアメリカ合衆国の歴史上の影の部分を題材にした歌、南北戦争に題材を取った、”敗北した南部人による北部人への恨み節”みたいな歌なのである。この歌が昔から気になっていたのだ、私は。
 ”北軍は我々の鉄道を焼き払い、兄の命を奪い、何もかもを持って行った。先祖からの血にかけて俺は復讐を誓う”なんて歌なのだ、ともかく。

 そのような微妙な(アメリカ合衆国における南北問題!)事情を、5人のメンバー中4人が異邦人であるカナダ人、なんてバンドがおおっぴらにアメリカ国民の目の前で歌ってしまって良かったのか?などと、疑問なのである。
 あの歌をコテコテのアメリカ南部の人間が聴いたとして、どのような感想を持つのだろう?「良く我々の気持ちを代弁してくれた」と感謝する、なんて単純な構造にはなっていないだろう、人間の心は。

 それはもっと頑ななものであって、たとえば、「お前ら外国人に分かったような事を歌われる覚えはない!」とか、そんな怒りを覚えたりするのが普通ではないのか。彼ら南部人にとっては、”栄光の歴史”なんかではないのだ、その出来事は。反発を買ったりはしなかったのか、発表当時?

 あの歌を歌っているのがメンバー唯一のアメリカ人メンバーであり、しかも彼はひどく濃厚な南部訛りの持ち主であるがゆえに、そのリアリティで乗り切った、なんて話も聞いたが、そんなものだろうか?こいつはいまだにわからないままである。


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