ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

見えない演歌

2011-09-23 04:24:28 | その他の日本の音楽

 ”↑このアルバムじゃなかったみたいだな”

 ええと、演歌に寄せる悲しみの・・・何だっけなあ。悲しみのポーズ?違うなあ。なんか、そんな曲名だったんだが。などと、もう長いこと首をひねってきました。でも、思い出せないその曲名。
 そもそも話は大昔に及ぶのだが、べテラン・ジャズギタリストの増尾好秋がまだバリバリの若手だった頃。まだ大学生なのに渡辺貞夫のグループに迎えられたり、輝いていたね。
 その当時彼がリリースした・・・多分、最初のソロアルバムだと思うんだけど、そのアルバムの最後に奇妙な題名の曲があって、それがさっきから私が思い出そうとして思い出せない、その曲だ。時は1960年代末。そんな時代だからジャズマンが演歌嫌悪の曲など奏でても、あんまり不思議じゃない。

 ともかく、それは私好みの変な曲に違いない、聴いてみたいなあ、と切に願ったのだが、当時の私はまだ小遣いを貯めてやっとの思いでシングル盤を買っていたロックファンに過ぎず、単なる変なもの好き魂からジャンル違いのジャズのアルバムなど買えるはずもない。もちろん、当時は貸しレコード屋なんかなかった。しょうがないから心惹かれつつもその曲を聴く機会もなく、いつしかその曲の存在そのものを忘れてしまったのだが。
 時は流れ・・・ふとその奇妙なタイトルの曲の存在を思い出した私は、気がつけばオトナになっていて、ジャズのアルバムの一枚くらい、気まぐれで買うことも可能になっていたのだった!

 私は慌てて、ジャズアルバムのカタログを繰った。が。どうしたわけだ、ギタリスト増尾好秋の1st、”バルセロナの風”には、そんなとぼけたタイトルの曲は収められていないのだった。
 あれえ?おかしいな、どこかで記憶が入れ違ったのだろうか。ほかのジャズギタリストのアルバムと取り違えているのだろうか。でも当時、私は日本のジャズギタリストといえば増尾好秋くらいしか知らなかったし、ほかの人と間違いようもないのだ。
 なんだろうね、これ?いや、確かに見たんだよ、「演歌に寄せる悲しみの・・・」って曲名を。不思議だなあ。と、深い霧の彼方に揺れる、不確かな記憶の海を想う。

 You-tubeで”演歌ジャズ”と入れたら、↓こんなん出てきました。