”Don't Hurry For Heaven”by Devon Sproule
幼い頃、ちっぽけなヒッピーのコミューンかなんかで育てられた女性というんで、浮世離れたキャラを想像したんだが、むしろそのすっとんだユーモアで間抜けな浮世をおちょくり倒す感覚は、大都会のど真ん中で育ったおしゃまな女の子って感じだな。
このジャケは自由の女神のパロディなんだろうか?彼女だったら、十分考えられるが。
なんともユニークな個性の女性シンガー・ソングライターだ。根っこにはカナダ人ながらカントリーがある感じなんだが、ポップ方向によじれまくってばかりいる。その、見事なずっこけを決めてみせたときのドヤ顔が彼女の真骨頂なんだろうな。
途中で、それまで「おう、良いな。誰が弾いてるんだろう?」と感心していた、コリコリした音感のファンキーでひょうきんなフレーズ決まりまくりのエレキギターが、彼女自身が弾いていることに気がつき、のけぞる。ラスト曲なんか、そのエレキギターのみの弾き語りナンバーだ。
シンガー・ソングライターながら生ギターの人ではなく、あくまでエレキギターの人であるのもかっこいいじゃんか、Devonよ。歌詞にも「ライ・クーダーの新しいのがラジオから」なんて一言がさりげなく放り込まれ、そもそもがギター少女なんだろうね。
私は、彼女がギター弾きまくりのオール・インスト・アルバムが出たら買うね、うん。聴いてみたいね。
いや、痛快なねーちゃんが出てきたものです。ここでとぼけた漫談を聞くような趣さえある歌詞の内容にもあれこれ言いたいところなんだが、それをやるほど英語に自信がないのが残念だ。
そうそう、せっかく女の子の歌ってるCDを買ったのに、歌詞カードにはむさいオッサンの写真ばかりがある、というのも彼女独特のサドなユーモアなんだろうか。一見、ロリロリした天使のようなアイドル声の向こうに、人の隙を見ては足払いかけてくるような皮肉な視線がある。かなわんなあ。