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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

大野八生が描く絵本『草木とみた夢』@牧野記念庭園記念館

2020-01-22 10:21:25 | 好きなもの・美術館や展覧会

2020年の成人の日、友だちと二人で、初めて練馬区立牧野記念庭園記念館という
ところを訪れました。大泉学園駅には何度も降りたことがあるのに、駅近くの
教習所の裏にこんなステキな場所があるなんて思いもせずびっくりしました。



植物学者の牧野富太郎氏の御自宅跡を、庭園および記念館として練馬区が管理しているそうです。



入ってすぐの大きな松の木の圧倒され‥。


その根元のこんなしつらえに、ダイオウマツのマツボックリの大きさに驚き‥。


そして、この日の目的はこちらの絵本の原画展を観るため、でした。
 

お庭を通った奥に「記念館企画展示室」があり、そこに八生さんの原画と
幼い牧野氏が飽かず眺め勉強に役立てたという『植物図』のレプリカと、
牧野氏愛用のメガネや帽子や採集かばんなどが展示され、その間あいだに、
植物の標本(押し花)も飾られていました。

造園家であり画家である、八生さんが、この絵本の作者であるということは、
とても自然というか、八生さん以外にどなたが??と思ってしまいますが笑、
もしも博士ご自身も、この絵本を読む機会があったら、きっと嬉しく思ったはず、
と強く思いました。

展示室の中にいらっしゃった係りの方が、私たちが展示品の中の「採集箱
(ガラスケース)」を見ていたら、こんな話をしてくださいました。

‥地方の山や野に出かけて行った先生は、採集した植物をどんどんまとめて自宅に
送ってくるそうで。家に居るお弟子さんたちや、ご家族は、それらが萎れないうちに、
あるいは枯れないうちに、細部をスケッチしたり押し花にしたりする作業はさぞかし
大変だったことでしょう。あんなにきれいに標本になって残っているのも、何度も何度も
ご家族が新聞紙を取り換えた賜物だと思います‥。

お話を伺ってから、もう一度戻って標本を観てみると‥ほんとうにうっすらと花の黄色まで
残っていて、ご家族の(奥様の)ご苦労が忍ばれるのでした。


展示室から外へ出て、ゆっくりとお庭を周りました。
大きな木にはもちろん、どこにその植物が植えられているのだろうと、探してしまうような
ものにまで、ひとつひとつ名前の札がついていて‥。馴染み深い名や、初めて目にするもの
などを追っていくうちに、大事なことに気が付きました。

それは、どんなものにも名前があるということ。
それを知っていく、覚えていく、ということが、すなわち人が生きていくということ
なのではないだろうか、と思ったのです。

好きなものや人の名前は特に知りたいと思うし、名前があることによって、それは
個々の記憶に残っていく‥そういう循環の中に(人は)居るのだと思います。



スエコザサ   昭和2年に博士が仙台で発見し、翌年亡くなった奥様の名前を命名

ウバユリ

オオカンザクラ

ヘラノキ

センダイヤ   元は高知県高知市内の仙台屋という店の前にあった桜の木、博士が命名

アブラチャン

サイカチ

センダン


覚えることより、忘れていくことの方を得意をしていますが笑、
せめて、博士ゆかりの植物としてパンフレットに載っていたのものだけでも、
季節季節に訪れて、忘れないようにしたいものだと思います。
(太字部分はパンフレット内の見所より転記しました)

そしてもうひとつ。
「季節の中で冬がいちばん好き」という八生さんの言葉を抱いて、日々の散歩を
楽しみたいと思いました。



手しごとを結ぶ庭の中の、本日の記事とリンクしていました、嬉しい。
 そうそう、ムベの木もあり、初めて実物を見ました。たしかむー嬢のお名前は
 ムベから、ですよね~違ったかな。


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