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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ゆきむすめ 歯いしゃのチュー先生

2020-01-24 14:51:32 | ひらきよみ(読み聞かせ)

本日は小学校での図書ボランティア活動日でした。
4年生のクラスで絵本を2冊読んできました。

最初は、今回の「届ける絵本」『ゆきむすめ』


おおきなかぶ』でおなじみの、内田莉莎子(再話)、佐藤忠良(絵)
コンビです。おなじく元はロシアの昔話です。

私、小学校で読むのは3度目だと思っていたら、今日が初めてだと
あとからわかりました。(終わり方が寂しいので、読もうと思って
やめたのかもしれません。)



おじいさんと、おばあさんは、自分たちにこどもがいないことを
たいそうさびしく思って暮らしていました。
ある時、雪の中で遊ぶこどもたちを眺めていたら、外へ行きたくなり‥

「おばあさんや、わしらも そとに でてみよう」
「ええ、おじいさん。ゆきで おんなのこを つくりましょう。
ゆきむすめをね」

二人が作ったゆきむすめのなんとかわいらしいこと。
(まるで忠良さんが作った氷の彫刻のようです笑)

ゆきむすめは、突然にっこり笑うと、雪の中を小屋の方へ歩き出します。

おじいさんと おばあさんは、おどろくやら、よろこぶやら。
あわてて、あとを おいかけました。


ゆきむすめは、おじいさんとおばあさんに可愛がられて、賢く美しく
成長していきますが、春が来て、夏が訪れるにつれ元気がなくなります。
そしてある日、女の子たちが森で遊ぼうとゆきむすめを誘いに来ます。
「あついわ。おひさまが こわいわ」

ゆきむすめはしかたなく出かけて行き、帰ることのない結末をむかえてお話は
終わります。


雪でできているので、夏になったら溶けてしまうよね‥?
だからだんだん元気がなくなってきたんだよね‥?

教室の4年生は、声には出しませんがそう思ってなりゆきを見守っていることが
よく伝わってきました。
唐突に(本の中の)女の子たちが「たきびの とびこえごっこ」をしようなんて
言いだした時には、聴いていた皆はダメダメダメと思ったことでしょう。

最後に(ゆきむすめが)白い湯気になって、細い雲になって、上へ上へとのぼって
いく時の空の色を、忠良さんは子供のときに見た北海道と、抑留先のシベリアでの
夕焼けが混ざり合ってできた場面、と語ったそうです。


※絵が変わると、だいぶ印象が変わりますね。
 こちらのヴァージョンも、今度図書館で探してみようと思います。
  岸田衿子(文)スズキコージ(絵)



2冊目は、ネズミ年だし(笑)、と思い、こちらの絵本を選びました。


題名は知っていましたが、小学校で読むのも、もしかしたら、声に出して
読んだのも、初めてだったかもしれません。

チュー先生はとても腕のいい歯医者さん。奥さんと協力して、自分より
ずっと大きな動物の口の中へも入って治療するので、人気があります。
でも、先生はネズミですから、きけんなどうぶつのちりょうはしません。
かんばんにも、ちゃんと書いてあります。

ネコやその他 きけんな動物の ちりょうは おことわり

ある日外を見ると、立派な服装のキツネがほっぺたを包帯でぐるぐる巻きに
して、立っていました。
「ちりょうはできません!」と一度は断りましたが、泣いて痛みを訴える
キツネがかわいそうになり、中へ入れてあげることにー。

キツネは床に膝まずき、「どうにかしてください。歯がいたくて、死にそうです」


キツネのこの言葉よりも、べそをかきつつもキツネがチュー先生が口の中に
いることに気がつくところとか、麻酔を打たれ、ネズミを生で食べている「寝言」を
思わずもらしてしまうところの方が面白いと思ったのですが、本日の4年生は
「歯がいたくて、死にそうです」に、どっと笑ったのでした。
え?ここで??と、読みながら私はひそかにびっくりしました(笑)。

それにしても、野生のサガなのか、キツネったら治療してもらっている恩も忘れて
ひどいですよね。

あしたちりょうがおわったら、先生を、たべてやろうかな とか、
「ふたりをくっちゃいけないかな。とても、がまんできないぞ」 とか、
「おまえは、だれにもあえなくなるのさ」キツネは 考えました。 
とうとう、ふたりをたべてしまうことにしたのです。あたらしい歯をつかってね。

でも、チュー先生夫妻も黙って食べられるわけにはいきませんから、
何度も二人で話しあい、計画を立てて‥キツネをぎゃくに、ばかしてやって
ハッピーエンドでお話はおわります。

お話もおもしろいですが、スタイグの描くキツネの表情がとてもよいです。
特に、ちょっとした目の動きや、耳の角度なんかで、キツネの邪(よこしま)な
考えがよーく伝わってきます。
教室の4年生も、楽しんでくれたようでした。


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