スーパーマーケットの自転車置き場で、くすんくすんと甘えた声を出して
お母さんに抱っこをせがんでいる小さな子の、その声だけを背中で聞いて、
とっても懐かしい気持ちになりました。
そうそう、あんなふうな声、いっつも出してたな、rさん。
明日からはもう3月で、その3月が終わったら、ひとり娘のrも6年生。
秋頃から体もずいぶん成長し、こども時代もそろそろ終わりかなあと
思っていますが、眠る前の「絵本」はまだ続いていて…。
大きくなっていくことに対する漠とした不安が、子どもの心の奥にもあって、
それと折り合いつけるために、時間がかかる子もいるのでしょうか。
子どもがすごーく小さくて、いっつも泣いてた頃に、
こんな絵本を読んであげたかったな。
あざらしの こが ねています。
あざらしは はまべで ねむります。
なみは まわりで おどります。
けれども だれも あざらしの こに
こもりうた うたっては やりません。
あざらしの次は、かもめで、その次はくま、うさぎ、りす、
ビーバー、うま、はりねずみ、らいおん、と続きます。
どの動物のページも、最後の文はみな同じ
こもりうた うたっては やりません。
最後の最後に出てくるのは、人間の赤ちゃん。
すやすやベッドで眠る赤ちゃんをおとうさん、おかあさんが見守ります。
中谷千代子さんのが描く動物の子供たちの姿は、どれもみな愛らしいです。
この本に、出会いたかったな。もっともっと前に。
『みんなのこもりうた』
トルード・アルベルチ 文 なかたにちよこ 絵
いしいももこ 訳