報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「小旅行前夜」

2024-05-22 20:43:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月8日18時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 夕食を囲む私達。
 今日は寄せ鍋だった。
 明日は1日中外出するので、ここでは料理しない。
 なるべく食材ロスを減らす為、寄せ鍋にして余った食材を消費しようということだ。

 愛原「明日は朝7時くらいの電車で新宿駅に移動するからな、寝坊しないように。寝坊したら、“ホームアローン”みたいなことになるからな?」
 パール「それはそれで面白いですが、そうなったで、侵入者達が可哀そうですね」
 愛原「ま、まあな」

 もしも取り残されたのがリサなら、侵入者はリサに追い回され、サバイバルホラーの恐怖を味わうだろうし、高橋ならストリートファイター的な恐怖を味わうだろうし、パールならサイコホラーを味わうことになるだろう。
 ……もしかして私、とんでもない連中と同居しているのでは?

 高橋「どうしました、先生?」
 パール「お震えになって……。寒いですか?」
 リサ「えー?わたしは暑いよ?」
 高橋「オメーが暑がりなんだよ!オメーに合わせてたら、先生が凍死しちまう!」
 リサ「それ、大ゲサ!」
 愛原「あ、いや、違うんだ。久しぶりの皆の旅行、今から楽しみになってね……はは……」
 高橋「そういう事でしたか!俺も先生との旅行、楽しみです!」
 リサ「わたしも!」
 パール「これはますます寝坊していられませんね。特に、マサ」
 高橋「何で俺なんだよ!?俺はちゃんと起きるてるぞ!?」
 パール「何言ってるの!いつも私に起こされてるんじゃない!そのうち、刺すよ?」
 高橋「永眠させる気か!寝坊がどうたら言うんなら、リサに言え!」
 リサ「わたしはちゃんと起きるよ!」
 高橋「本当か!?」

 リサは体操服のポケットから、自分のスマホを取り出した。

 リサ「もうアラーム3つも仕掛けてるから!」
 高橋「それでも寝坊すんのがオメーだろうが!」
 愛原「まあまあ。リサの場合は、夜更かしするのが大きな理由だ。今夜は早く寝ろよ?」
 リサ「はーい……。あ」
 愛原「何だ?」
 リサ「先生の部屋なら、安心してすぐに寝れるかも
 愛原&高橋「アホかーい!」

 私はと高橋は同時に突っ込んだ。

 愛原「1つ屋根の下の、しかも同じフロアなんだから、それで我慢してくれ」
 リサ「それ、前のマンションの時からだったけど?」
 愛原「それはまあ……」

 1階の茶の間は、高橋とパールの部屋にしている。
 その為、本来は行き来可能なリビングと茶の間の間の扉は閉め切りにしている。
 4階には部屋が3つあったが、そのうちの1つはトイレ、洗面所、シャワールームに改築されているので2つになっている。
 2階の事務所には倉庫が2つあるのだが、そのうちの1つしか本来の使い方をしていない。
 もう1つの部屋を何かに転用できないか、考えているところだ。
 仕事柄、機密事項も多いので、応接室にしようかと思っているが……。
 だが、そうなると今使用している応接コーナーが空きスペースになってしまうんだよなぁ……。

 リサ「先生?」
 愛原「俺も早く寝るから、お前も早く寝ろ」
 リサ「はーい……」
 パール「先生。明日は朝食は要らないんでしたね?」
 愛原「ああ。明日は朝から晩まで、外で食べることになる」
 パール「かしこまりました」

[同日21時30分 天候:晴 同事務所3階・浴室→リビング]

 21時に風呂が沸いて、私が先に入らせてもらう。
 それから風呂を出ると……。

 愛原「次はリサ、入っていいぞ。……あれ?リサは?」
 高橋「4階のシャワーを使うと言ってました」
 愛原「そうなのか。まあ、せっかく設置したから、使わないと勿体無いもんな」

 風呂好きのリサが珍しいなと思った。

 愛原「じゃ、俺は適当に寝るから、オマエ達も寝坊注意な?」
 高橋「了解しました!」
 パール「おやすみなさいませ」

 私は風呂上がりの缶ビールを片手に、階段を昇った。

 愛原「ん?」

 

 階段を昇り切った先に、リサのブルマ尻が現れた。

 愛原「何してるんだ?」
 リサ「あ、先生。私もシャワーから出たところ」

 

 愛原「珍しいな。オマエのことだから、湯船に浸かりたいと思ってたのに」
 リサ「明日は温泉の広いお風呂に入るんでしょう?だったら今日はシャワーだけにしといて、明日は大きなお風呂で寛ぐ」
 愛原「なるほど、そういうことか。じゃ、俺も寝るから、お前も早く寝ろよ」
 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「何だ?」
 リサ「眠れるって言って、今から眠れる?」
 愛原「まあ、取りあえずビールでも飲んで、これを寝酒にするよ?」
 リサ「それなら、わたしのマッサージでよく眠れるようにしてあげようか?」

 リサは両手をわきわきさせた。

 愛原「うーん……それはありがたいけど、オマエ、もう触手は出ないんじゃないのか?」
 リサ「背中から出なくなっただけで、手からは出る」

 そう言うとリサ、右手の掌から触手を出してみせた。

 愛原「マジか!」

 そして、指先から無数の細い触手も。

 リサ「だからね、先生?老廃物を出せば、すぐに眠れるよ!?」
 愛原「分かった分かった。取りあえず部屋に行こう」
 リサ「やった!先生の部屋ー!」

 私は自分の部屋にリサを招き入れた。

 愛原「ちょっと待ってな。まずはビール飲んでおく」
 リサ「はいはーい!じゃあわたし、フットバスの用意してくるね!」

 リサはそう言うと、一旦部屋を出てシャワールームに向かった。
 あまり要らないとは思うが、こういう時の為に置いているのかもしれない洗面器。

 リサ「じゃあ、ここに足を入れてくださーい!」
 愛原「はいはい」

 私は飲み干した缶ビールの空き缶を机に置くと、ベッドに座り、リサが持って来た洗面器に足を入れた。

 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「何だ?報酬なら明日払ってやるぞ?」
 リサ「うん、ありがとう。でも、それはそれとして……。今夜、こうしてマッサージしてあげるんだから、明日は温泉でのマッサージはナシね?」
 愛原「うっ……」

 リサは私に赤い瞳を向けた。
 若い女性セラピストにマッサージしてもらおうという考え、リサに既にバレていたようだった。

 リサ「体操服にブルマの女子高生がマッサージしてくれる所なんて、なかなか無いよ?」
 愛原「う、うん。JKリフレでも無いだろうね」

 なるべくリサの機嫌を損ねないよう、マッサージはリサに任せるのが1番である。
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“私立探偵 愛原学” 「週末の仕事と旅行前日」

2024-05-22 15:06:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月7日17時00分 天候:雨 千葉県市川市内某所 某事故物件アパート]

 高橋「待てや、コラァッ!!」
 鬼女「オマエも……オマエも邪魔するのかぁぁぁぁぁッ!!」
 愛原「マズいな、高橋!こいつ、BOWだ!!」
 高橋「何ですって!?それじゃ、射殺……!」
 愛原「こんな住宅街で銃使っちゃダメだって!!」

 事故物件に住んでいるバイト君から、『怪しい女が出入りしている』という通報があったので、昼食後、高橋と向かってみた。
 そしたらこのアパートに放火しようとしている女がいたので、現行犯で取り押さえようとしたものの、何と人間ではなかった!

 愛原「どういうことだ!?まだ夕方だぞ!?」

 しかし、空はどんよりと曇っている上、雨が降り出して来た。
 首都圏は夕方から夜に掛けて天気は下り坂で、所によって雨が降るという天気予報があったのを思い出した。
 もしかして、日に当たらなければ良いというだけで、別に昼間でも良いのか!?

 愛原「キミは警察に通報してくれ!このアパートに放火しようとしている女がいたと!」
 バイト「は、はい、社長!」
 愛原「BSAA通報案件だぞ、こりゃ!」
 高橋「おとなしくしやがれ!」

 鬼に成り立てなのか、それともまだ夜ではないからなのか、この鬼女はそんなに強くなかった。
 恐らく、リサ1人でボコせるレベルだろう。
 まさかこんなことになるとは思ってもみなかったので、リサは連れて来ていない。
 そもそも事故物件といったところで、本当に幽霊が出てきたのは1件しか無い。
 ほとんどが隣人のしわざだったり、ストーカーの嫌がらせだったり、犯罪被害物件の場合は加害者が戻って来ていたなんてオチだった。
 高橋は手錠を鬼女にハメると、猿轡をさせた。

 バイト「社長!警察に通報しました!」
 愛原「ありがとう!」

 そしたら、上空からヘリが。

 愛原「BSAA、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
 高橋「サツより早いとは……」

 上空でホバリングしていて、ロープで下降している。
 自衛隊のヘリと同じ機種を使っていることから、日本地区本部隊だろう。
 この近くだと、松戸か習志野の駐屯地にBSAA日本地区本部隊がいて、そこから出動してきたのかもしれない。
 尚、地区本部の事務所はレイチェルの身元を預かっている世田谷にある。

 BSAA隊長「BSAAです!危険なBOWの反応を感知し、出動しました!」
 愛原「お疲れ様です。こいつです、こいつ!」
 鬼女「ウウウ……!」
 愛原「取りあえず、簡易的に拘束しています」
 BSAA隊長「ありがとうございます」

 他の隊員達が、改めて鬼型BOWの女を専用の拘束具で拘束して行く。
 最後には麻酔を打って、鎮静させた。
 そして、ヘリに乗せられて行く。
 藤野の研究施設にでも連れて行かれて、研究の材料にされるかもしれないな。
 治療の余地があるとされれば治療されるが、今のところ、鬼型BOWになった場合は、元に戻れる見込みは無い。
 もしできるのなら、リサもとっくに戻れている。
 善場主任の場合は、また別のBOWだったので。

 BSAA隊長「事情をお伺いしたいのですが、お2人はどうしてここに?」
 愛原「はい……」

 と、そこへパトカーのサイレンも近づいてきた。

 愛原「あ、パトカー。すいません、警察にも通報したもので……」
 BSAA隊長「ああ、そうですか。しかしこれはバイオハザード案件ですので、警察よりは我々BSAAの管轄ですから」

 もちろん、だからといって警察も、『ハイ、そうですか』と言ってスゴスゴ帰るわけではなく、一応何があったのかの事情聴取は受けた。

[4月8日10時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 翌日になると、善場係長が事務所にやってきた。
 今月から『主任』ではなく、公務員の世界ではそれより1つ上の役職、『係長』である。
 しばらく主任さんだったから、間違えてしまいそうだな……。
 尚、係長の動きを見るに、そうなったからといって、特に立ち居振る舞いが変わったというわけではない。
 変わらずも、私の事務所の担当であるらしい。

 善場「市川でのご活躍、お疲れ様でした」
 愛原「恐れり入ります。まさか事故物件の調査で、BOWに遭遇するとは思ってもみませんでした」

 事故物件の調査は、不動産管理会社やオーナーからの依頼を受ける。
 何故だか知らんが、バイオハザード関連以外の探偵の仕事だと、最近は事故物件の調査依頼が多い。

 愛原「それにしても、まだ夕方だったのに、もう鬼が出て来るなんて……」
 善場「状況は伺いました。当時は雨天だったそうで、日光が差していなかったというのが大きいですね。そして、まだBOW化したばかりで、食人をしていなかった為、お2人に取り押さえられるほどの弱さだったのでしょう」
 愛原「リサもまだ人食いはしていませんけど、かなり強いですよ?」
 善場「リサの場合はGウィルスを保有しているからです。その攻撃性、危険性は、むしろ最近の特異菌より強いですから」
 愛原「あの女性は、どこで特異菌に感染したのでしょう?」
 善場「正確には、特異菌だけではありません。他にもTウィルスなども混在しているようですね。大元となった栗原蓮華は、そういう薬剤を投与されたのが鬼化のきっかけですから。そこから更に蓮華が広げたわけですので」
 愛原「そ、そうか……。蓮華のヤツ、リサに対して、『仲間がいる』と言っていたそうですが、まさか……」
 善場「ええ。眷属的な存在ではなく、蓮華と同等の存在。そしてそれは、リサと同等とも言えますが、そういうのがいると示唆していたという見方ができます」
 愛原「デイライトさんやBSAAでは把握していないのですか?」
 善場「あいにく、まだです。更なる調査が待たれます」
 愛原「せっかく日本版リサ・トレヴァーを殲滅できたのに、また新たに現れるとは……」

 どちらかというと狡猾で冷徹な日本版リサ・トレヴァーと違い、『蓮華の仲間』とは直情的な者が多いようだ。

 善場「更なる調査が必要としか申し上げられませんね。昨日の件に関しては、よく生け捕りにして下さいました。高橋助手が射殺してしまう可能性もあったのですが……」
 愛原「あ、はい。そこは現場が住宅街だったので、発砲は却って危険と判断し、高橋には自制させました」
 善場「素晴らしい判断です。現在、BSAAで彼女の正体を調査です。今後も、もしそういった者と遭遇したならば、できれば生け捕りをお願いします」
 愛原「はい。昨日みたいな比較的弱いヤツでしたら何とかなるかもですが、リサ並みに強かったらどうしようも無いですね」
 高橋「頭が無い状態でも大丈夫か、ねーちゃん?」
 善場「いえ。リサ並みに強かったら、最早BSAAに任せて頂き、所長方は直ちに退避してください」
 愛原「それもそうですなw」
 高橋「あー……」
 愛原「普通のゾンビやハンターくらいなら、手持ちのショットガンやマグナムで対処できるが、霧生市じゃタイラントに負けた俺達だぜ?ましてやそれを顎や手振りで使えるリサと同じ強さの鬼に、勝てるわけが無いよな?」
 高橋「た、確かに……」
 善場「理解が早く、助かります。バイオテロに対処できる民間人の中でも、特に優秀な愛原所長にはまだまだ協力して頂きたいと思っておりますので」
 愛原「恐れ入ります。普通のゾンビやハンターと今しがた申し上げましたが、霧生市には“クリムゾンヘッド”なる『赤鬼』がいました。それと関係あるのでしょうか?」
 善場「現在調査中ですので、あいにくと迂闊な事は申し上げられません。が、可能性は0とも断言はできません」

 1度死んだゾンビが細胞の再活性を繰り返し、強化された状態で蘇ったゾンビのこと。
 体温が更に上昇し、血流も凄い為、全身が紅潮している。
 特に頭部の紅潮が目立つので、“クリムゾンヘッド”と呼ばれている。
 ただ、その凶暴性、鋭く伸びた爪で獲物に襲い掛かって来る様から、私は『赤鬼』と呼んでいた。

 善場「明日は日帰り旅行だそうですね?」
 愛原「はい。まあ、リサが山奥の研究所に閉じ込められたので、逆に海を見せてあげようかと思いまして」
 善場「それはいいですね。どうぞ、お気をつけて」
 愛原「ありがとうございます」
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