報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「栗原蓮華の最期」

2024-05-07 20:28:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月26日19時30分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター地下研究施設]

 リサ「何かヤだなぁ……。アンブレラの研究所の緊急サイレンみたいで……」

 処置室内にもサイレンのスピーカーや赤色の回転灯があり、それが点灯している。
 と、そこへBSAAの軍服を着た兵士達が2人入って来た。

 BSAA隊員A「リサ・トレヴァー『J2』だな!?」

 『J2』とは、『日本版リサ・トレヴァー「2番」』のことである。

 リサ「そうだけど……」
 BSAA隊員B「ちょっと失礼!ジェネシスを!」

 BSAA隊員の1人が、リサに測定器のような物を向ける。
 これは2005年頃にBSAA本部の技術職員が発明したもので、主に地中海でのバイオテロ掃討作戦に使用された携帯型の測定器である。
 当時はマシンガン並みの大きさだったが、あれから20年近く経った今ではスマホサイズに小型化されている。

 隊員B「照合率99.89%。本人で間違いない。変化率も規定値以下だ」
 隊員A「よし、問題は無さそうだな。リサ・トレヴァー、ここは危険だ。我々と一緒に来てもらう」
 リサ「一体、何があったの?」

 リサの事を大元のオリジナルの名前で呼ぶことから、この2人はBSAA北米支部の隊員なのだろう。
 しかし、レイチェルはいないようだ。

 隊員A「SクラスBOWの侵入だ。お前を狙っている。別の場所に避難しててもらう必要がある」
 リサ「それって……栗原蓮華?」
 隊員B「その通りだ。奴め、栃木での上野グループの襲撃に失敗したので、ターゲットをこちらに変更したらしい」
 リサ「リエに負けたのか、あいつ……w」

 リサは嘲笑するようにニヤッと笑った。
 なるべく人間に戻れるような治療をしたはずなのに、口元にはまた牙が覗いている。
 尚、それでも今は人間形態のようで、角は生えていないし、耳も尖っていない。

 隊員A「ブルーアンブレラの攻撃を受けたというのが真相らしいがな」
 リサ「ブルー……“青いアンブレラ”か……」

 その時、隊員達の通信機に着信があったらしい。

 隊員B「……了解。おい、エレベーターの起動に成功したらしい」
 隊員A「Cool(いいね)!よし、早速行くぞ!」
 リサ「わ、分かった!」

 リサはベッドから出ると、サンダルを履いた。
 隊員達の先導で廊下に出る。
 既に職員達は避難したのか、廊下には誰もいなかった。
 廊下の角を右に曲がったり、左に曲がったりしているうちに、件のエレベーターに到着する。
 何かの搬出入用のエレベーターらしく、4枚扉になっていた。
 イオンモールのエレベーターとかに見られるタイプと言えば分かりやすいかな?
 隊員Aが△のボタンを押して、エレベーターを呼ぶ。

 リサ「それにしても、蓮華はどうやってここに侵入したの?」
 隊員A「姑息な作戦だ」

 蓮華の得意技の1つに『催眠術』がある。
 それでトラックの運転手を操り、ここまで運転させたらしい。
 蓮華は手前辺りで降り、トラックはそのまま正門に特攻。
 そこで警備しているBSAAらが対応している間、手薄になった裏門から侵入。
 職員らを襲撃しながら、こちらに向かっているという。

 リサ「それで、蓮華はどこに?」
 隊員B「今、捜索中だ。恐らく、どこかに隠れてるんだろう」
 隊員A「今、応援部隊を要請中だ。その間に、キミにはここから避難してもらう」

 ようやくエレベーターが到着する。
 真ん中から2枚ずつ扉が左右に開く、センターオープン式のドアだった。
 すぐに乗り込んでボタンを操作する。
 どうやらIDカードを読取機に当て、更に併設されているテンキーで暗証番号を入力してようやく起動させられるタイプらしい。
 エレベーター自体は客貨両用で、定員は40名とあるから大型である。
 ドアが閉まって、エレベーターが動き出す。
 大型の搬入用エレベーターということもあり、動きは遅い。
 行先は地下1階になっていた。

 隊員A「地下駐車場にBSAAのトラックを止めている。キミにはそれに乗ってもらう」
 隊員B「コンテナは頑丈だ。例えBOWの力でも、簡単に開けることはできない」

 とのこと。
 リサ達がいた地下6階から、エレベーターが地下2階の表示をした時だった。

 隊員A「うおっ!?」
 隊員B「な、何事だ!?」

 エレベーターに大きな衝撃が走り、停止してしまった。

 リサ「上だ!上に何かいる!?」
 隊員A「なにっ!?」

 その通り、エレベーターの天井が内側に向かって凹んでいる。
 そして、点検口の蓋がこじ開けられ、そこから現れたのは……。

 栗原蓮華「見ィ~つけたァ~♪」
 隊員A「クイーン・ゼノビアのレイチェル・ウーズか、キサマは!?」

 隊員Aは手持ちのマシンガンを蓮華に向けて発砲した。

 リサ「随分、化け物になったな!?」

 その通り、今の蓮華の姿はかつての姿の面影は残っていたものの、満身創痍という言葉が温いほどであった。
 顔は焼け爛れており、手足も皮が無くなって筋肉が剥き出しになっている。

 隊員B「キミ!ここは我々に任せて、外に出るんだ!」

 エレベーターは地下2階に着いており、僅かにドアが開いていた。
 隊員Bはそのドアをこじ開け、どうにか人1人通れるスペースを確保する。

 隊員B「地下1階から他の隊員達が来る!彼らと合流するんだ!」
 リサ「わ、分かった!」

 リサはエレベーターの外に出た。

 蓮華「逃がさなぁぁぁぁぁい!!」
 隊員A「キサマの相手は俺達だ!」

 背後から銃声や怒号が聞こえる。
 リサは廊下を突き進んだ。
 地下2階は照明が消えており、灯りと言えば屋内消火栓の赤ランプや白や緑の非常口誘導灯、それに僅かな数だけ灯されている非常灯だけであった。

 リサ「あれ!?道間違えたかな!?」

 廊下の突き当りまで行くと、そこは職員食堂だった。
 鍵は掛かっておらず、中に入ると、そこも消灯されていた。

 リサ「あっ、そうか!」

 食堂の反対側にもドアがある。
 要はここを突っ切って、反対側の廊下に出ろということなのだ。

 蓮華「待てや、コラァァァァッ!!」
 リサ「!?」

 蓮華が追い掛けて来る。
 そして、バァンと入口のドアを突き破った。

 リサ「フツーにドアノブ回して入れよ……」
 蓮華「ブッ殺してヤルゥゥゥゥゥゥッ!!」

 蓮華は隊員Aの生首をリサにブン投げた。

 リサ「また殺したのか……」

 そして、蓮華は右手の長く鋭い爪をリサに向けて飛び掛かった。

 リサ「しょうがない」

 リサは食堂のテーブルのあったタバスコを手に取り、何とそれを一気飲みした。

 リサ「ボォォォォォっ!!」

 何とリサ!
 口から火炎を噴き出した。

 蓮華「ギャアアアアアアッ!あ、熱い!!あ゛づい゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!」

 蓮華、火に包まれ、火だるまになって床を転げ回る。
 防火感知器が作動したか、B2階に別のサイレンが鳴り響いた。

〔火災発生!火災発生!地下2階、食堂内にて、火災が発生しました。自衛消防隊員は、直ちに消火活動にあたれ。その他の職員、来訪者の皆様におかれましては……〕

 BSAA隊員C「何だ何だ!?」
 BSAA隊員D「今度は火事か!?」

 そこへ、反対側のドアから別のBSAA隊員達が駆け込んで来た。
 直後、食堂内のスプリンクラーが作動する。

 リサ「あー、もう!ずぶ濡れ!蓮華はわたしが丸焼きにしたから、あとは宜しく!」
 BSAA隊員C「なにぃっ!?」
 BSAA隊員D「おい、ちょっと待て!」
 リサ「向こうに行けば避難できるんでしょ!?」

 リサはそう言って、反対側のドアから廊下に出たのであった。
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“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅路」 2

2024-05-07 15:33:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月26日17時59分 天候:晴 栃木県那須塩原市大原間 JR那須塩原駅・新幹線ホーム→東北新幹線280B列車7号車内]

 

〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 5番線に、18時3分発、“なすの”280号、東京行きが17両編成で参ります。この電車は、各駅に停車します。グランクラスは、10号車。グリーン車は9号車、11号車。自由席は1号車から6号車と、12号車から17号車です。尚、全車両禁煙です。まもなく5番線に、“なすの”280号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕

 私がリサとLINEのやり取りをしていると、接近放送が鳴り響いた。
 リサはこれから夕食のようだが、とても腹が減って仕方が無いのだという。
 そりゃそうだろう。
 意識が無い間は食べることができないのだから。
 研究施設ではどういった食事が提供されるのかは知らないが、それでリサが空腹で暴走したりしないようにしてもらいたいものだ。

〔「5番線、ご注意ください。18時3分発、“なすの”280号、東京行きの到着です。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。終点、東京までの各駅に止まります」〕

 “はやぶさ”用のE5系車両を先頭に、“こまち”用のE6系を連結した17両編成がやってきた。
 編成が長いせいか、自由席は空いていた。
 これなら、自由席に乗っても良かったかもしれない。

〔「ご乗車ありがとうございました。那須塩原、那須塩原です。お忘れ物の無いよう、お降りください。5番線に到着の電車は、18時3分発、“なすの”280号、東京行きです。……」〕

 私は指定席の7号車に乗り込み、3人席の窓側に座った。

 高橋「戻りました!」
 パール「戻りました」
 愛原「そうかい。あと、3分ある」
 高橋「追い越しですか?」
 愛原「そういうことだ」

 その時、通過線である上り本線を同じ編成の列車が猛スピードで追い抜いて行った。
 後続列車を2~3本待つこともある東海道新幹線と違い、東北新幹線は基本的に1本の列車にだけ追い抜かれる。
 私は鞄を網棚に上げ、テーブルを出して弁当や飲み物をそこに置いた。

 高橋「リサからはLINEガンガン来てます?」
 愛原「来てる来てる。見舞いに来てくれとか、早く帰りたいとか、そういうヤツな」
 高橋「しばらくそこに閉じ込めといた方が、平和の為っスよ」
 愛原「こらこら」

 私は買っといた缶ビールの蓋を開けた。

〔「お待たせ致しました。18時3分発、“なすの”280号、東京行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから発車ベルの音が僅かに聞こえて来る。

〔5番線から、“なすの”280号、東京行きが発車致します。次は、宇都宮に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕
〔「5番線、ドアが閉まります。ご注意ください。5番線、ドアが閉まります」〕

 甲高い客扱い終了合図のブザーが聞こえて来た。
 その後、車両のドアが閉まる音も。
 そして列車は、スーッと動き出した。

〔「那須塩原からご乗車のお客様、お待たせ致しました。本日も東北新幹線をご利用頂き、ありがとうございます。各駅停車の“なすの”280号、東京行きです。次は、宇都宮に止まります。……」〕

 愛原「昨日、今日と天長園に行ったことはリサには内緒にしとこうな」
 高橋「えっ?何でですか?」
 愛原「利恵達と会ったことがリサにバレたら、色々と誤解される」
 高橋「なるほど。修羅場になる可能性がってことっスね」
 愛原「うん。別に、善場主任の依頼で行ったわけじゃないし」
 高橋「善場のねーちゃんのせいにもできないっスね。……てか、何で先生は那須に?」
 愛原「そりゃあもう、俺と歳の近い美女が誘ってくれたら、男としては行かないわけにはいかないし?その美女が『あれ』や『これ』をしてくれるっていうなら、そりゃもう男としては……」
 高橋「先生?その美女ってのが、あの女将を指すんであれば、BSAAから目ェ付けられるんで、かなりヤバいと思うんスけど?」
 愛原「だから、リサには内緒な?」
 パール「先生の御命令とあらば……。せっかく来たのに、蓮華に邪魔されて散々でしたね」
 愛原「まあな……」
 高橋「でもそいつは、アネゴがロケランでブッ殺したはずじゃ?」
 愛原「何か、怪しいんだよ、それでも……。利恵の言う通り、本当は東京に帰らず、天長園に留まっていた方が安全なのかもしれない」

 尚、上野利恵とは何も無かったわけではなく、昼食後の時間潰しの際に【ぴー】や【ぴー】、最後に【ぴー】があったことは報告しておく。

 (上野利恵「認知とか親権とか慰謝料とか、そういう後々面倒なことは一切無いので、どうか3人目を生ませてください……」)

[同日19時16分 天候:曇 東京都千代田区丸の内 JR東北新幹線280B列車→JR(東日本)東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と東京メトロ丸ノ内線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 事態が動いたのは、大宮駅を出てからしばらくしてから。
 それまでもリサとはLINEで会話をしていたのだが、突然リサが、『所内に警報が鳴った』と書いた。
 私が何の警報かと聞くと、『分からない』という。
 リサはまだ処置室のような所におり、そこで点滴を受けていたとのことだ。
 スマホの使用は認められているもよう。
 むしろそれに集中させて、なるべく暴走させないようにしたいという魂胆かもしれない。
 それが終わって点滴の管を抜き、取りあえず居住区に戻ろうかという話になった際、警報が所内に響き渡ったということだ。
 リサの話が本当なのであれば、警報の原因はリサではない。
 もしリサが暴走したのであれば、呑気にLINEなんかできないはずである。

 愛原「とにかく、オマエは絶対暴走するなよ?」

 という念を押して、善場主任に連絡を取ることを試みた。
 だが、やはり現場では緊急事態が発生しているのか、善場主任が電話に出ることは無かった。

 高橋「先生、どうしますか?このまま中央快速に乗り換えちゃいます?」
 愛原「そうだな……。いや、やめておこう」

 善場主任に呼ばれたわけでもない。
 それに現地には、BSAAなども待機している。
 それなら、私達が行っても邪魔なだけかもしれない。

 愛原「取りあえず、事務所に戻ろう。そこで情報収集だ。幸い、リサが原因では無いようだから、現場からのレポートはリサがしてくれる」
 高橋「分かりました」

 そうこうしているうちに、列車は東京駅のホームに滑り込んだ。

〔とうきょう、東京です。とうきょう、東京です。ご乗車、ありがとうございました〕
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京、終点、東京です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。22番線に到着の列車は、折り返し、19時28分発、“やまびこ”219号、仙台行きとなります。……」〕

 私達は列車を降りた。

 愛原「うん、何か東京の方が暖かい」
 高橋「少し、ジメッとしますね」
 パール「曇ってるからでしょう。北関東は晴ですが、南関東は曇とのことです」
 愛原「そうだな。取りあえず、タクシーに乗って急いで事務所に戻ろう」
 高橋「はい!」
 パール「かしこまりました!」

 私達は改札口に向かった。
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