報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「日曜日の探偵達」 2

2024-05-18 21:02:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月2日13時00分 天候:晴 東京都墨田区錦糸 テルミナ2・ラーメン青葉]

 お昼時なので、ラーメン店は賑わっていた。

 愛原「まさか2日連続でラーメンを食うことになるとはな……」
 高橋「さ、サーセン」
 愛原「いや、いいんだよ。俺もラーメンは好きだし」

 ここは食券制なので、ここで食券を購入する。

 愛原「俺はいいけど、この店はお前が好きな辛いラーメンは売ってないようだが?」
 高橋「いや、いいんス。ゆず唐辛子入れますんで」
 愛原「そんなのあるのか」
 高橋「先生も入れますか?」
 愛原「唐辛子だろ?いや、いいよ」
 高橋「はは、そうですか」

 しばらく並んだ後……。

 店員「2名様ぁ、こちらへどうぞー!」
 愛原「おっ、ここか」

 カウンター席しか無い為、2人で並んで座る。

 愛原「食べたら、家に帰ろう」
 高橋「俺が来た意味って、結局何だったんスか?」
 愛原「俺の護衛に決まってんだろ。錦糸町もなかなかヤバい街だぞ。『西の歌舞伎町、東の錦糸町』ってな」
 高橋「あ、ハイ。そうですね」

 それでも高橋は腑に落ちないといった顔だった。

 愛原「お前はケンカが強いから、半グレに絡まれても何とかしてくれると思ってさ」
 高橋「それは任せてください。いざとなったら、知り合い呼びますんで」
 愛原「そういう所だぞ」
 高橋「はあ……」
 店員「お待たせしましたー!特製中華そばでーす!」
 愛原「おっ、やっと来た」
 高橋「サーセン、ゆず唐辛子を」
 店員「ゆず唐辛子でございますね!お待ちください!」
 愛原「リサなら、これの更に大盛りを頼むだろうな」
 高橋「それでいて、そこまで体がデカくならないってどういうことっスかね?」
 愛原「摂取したカロリーは、Gウィルスや特異菌、そして寄生虫に取られるからだよ」

 ただ、今のリサの体内には、Gウィルスとそれをエサにした偽の特異菌しか無い。
 寄生虫は殆ど体内から排出してしまったから、その分の栄養がリサの成長に回されるのではないかと思われる。
 まだ、何とも言えないが。
 食欲は落ちていないので。

 愛原「美味い美味い。こういうのでいいんだよ、こういうので」
 高橋「俺も、ゆず唐辛子掛けちゃいます」
 愛原「あー、まあ確かにゆずの匂いはするな」
 高橋「でしょう?」

 尚、店名の青葉は創業者の出身地が仙台だからだそうだ。
 仙台市には青葉区という区があるくらい。
 但し、創業の地が仙台というわけではなく、また、仙台には店舗が無い。

 愛原「シンプルな東京ラーメンって感じだ。もう1度言うが、こういうのでいいんだよ、こういうので」
 高橋「時々、カップ麺で出てたりするんスよね」
 愛原「あー、何か見たことかあるな」
 高橋「また出たら、買っときましょう」
 愛原「そうしたいね」

[同日13時44分 天候:晴 同区江東橋 錦糸町駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 ラーメンを食べ終わった後は、再びバス停に向かう。

 愛原「次のバスは13時44分発か。これに乗れば、14時くらいには着けそうだな」
 高橋「案外、本数少ないんスね」
 愛原「まあ、そうだな。指定席券売機で買えるんだったら、秋葉原駅で買っても良かったな。まあ、岩本町駅から歩くのも面倒だが」
 高橋「地味に歩きますもんね」
 愛原「まあな」

 そう話しているうちに、バスがやってきた。
 既に先客が何人か乗っているところを見ると、亀戸駅から来たバスらしい。
 そんなに本数が多くない路線の、それも亀戸駅発着は更に本数が少ない為、乗客も少ない。
 今度は前扉が両側に開くグライドスライドドアのバスだった。
 そこから乗り込んで、後ろの席に座る。
 ヨドバシカメラのラッピングがしてあるのは、錦糸町駅にはヨドバシカメラがあるからだろう。

〔「菊川駅前、水天宮前経由、築地駅前行き、まもなく発車致します」〕
〔発車致します。お掴まり下さい〕

 バスは前扉を閉めて発車した。
 リサにはLINEで、バスに乗ったことを知らせている。
 どうやらゲームに夢中になっているのか、すぐには既読が付かなかった。
 リサも何だかんだ言って、まだまだ友達と遊びたい盛りなのだろう。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは森下駅前、浜町中の橋経由、築地駅前行きでございます。次は錦糸堀、錦糸堀でございます。警備会社の全日警、東京中央支社へおいでの方は、菊川一丁目でお降りになると便利です。次は、錦糸堀でごさいます〕

 バスに乗っていると、ゲームが一段落したか、リサからようやく返信が来た。
 どうやら、『魔王軍』はもう帰るらしい。
 ゲームが終了したから、私のLINEに気づいて返信してきたのだろう。
 中目黒のマンションに住んでいる桜谷さんは、私達が乗っているバスに乗るとのこと。
 確かに、このバスの終点、築地駅は地下鉄日比谷線の駅である。
 都営新宿線の方が早いような気もするが、結局は岩本町駅で降りて、秋葉原駅まで歩いて行かないといけないという手間がある。
 それなら、バスでアクセスした方が楽だということか。
 残りの2人は城北地区に住んでいる為、都営新宿線に乗り、途中で北の方に向かう路線に乗り換えた方がいいのだろう。
 北千住に住んでいるコは、小川町駅で降りて、そこから地下鉄千代田線に乗り換えると良い。
 小川町駅と新御茶ノ水駅は、駅名こそ違うが、繋がっている。
 王子に住んでいるコは、市ヶ谷駅まで乗って行き、そこで南北線に乗り換えると良い。

[同日13時51分 天候:晴 同区菊川2丁目 菊川駅前バス停→愛原家]

〔「菊川駅前です。都営新宿線と都営バス、とうきょうスカイツリー駅前、新橋方面はお乗り換えです」〕

 ここでバスを降りる。
 乗車客もいるので、前扉と中扉が開いた。

 リサ「あっ、先生!」
 愛原「よお、リサ。帰ってきたぞ」
 リサ「お帰りなさい。わたしは桜谷を送りに来た」
 愛原「そ、そうなのか……」」

 何故だか知らないが……私はガッカリした感じになった。

 高橋「そこは『先生を迎えに来た』って言ってやれよ」

 何かを察したのかそうでないか、高橋はリサに苦言を呈した。

 リサ「う、うん。もちろん、ついでに先生も迎えに……」

 プシューというエアー音がして、バスは両側の扉を閉めて発車していった。
 リサは車内に乗り込んだであろう、桜谷さんに手を振った。

 リサ「じゃあ、帰ろうか」
 愛原「他のコ達は?」
 リサ「地下鉄に乗って帰った」

 リサは地下鉄の入口を指さした

 愛原「そうか」

 リサは私の手を握ってきた。

 リサ「ねぇねぇ!錦糸町まで何しに行ったの?」
 愛原「電車のキップを買いに行ったんだ。来週末、温泉に行こうと思って」
 リサ「おー、温泉!」
 愛原「風呂好きの鬼が、シャワーしか使えなかっただろ?藤野でも色々と我慢しただろうし、その御褒美を兼ねてだ」
 リサ「そういうこと!」

 家に戻る途中で……。

 高橋「先生、俺は夕飯の買い出しをしに行きますので……」
 愛原「そうか?リサは連れて行かなくていいか?」
 高橋「そうですね。今日は鍋にしますので、材料の買い出しを手伝ってもらいます」
 リサ「はーい」
 愛原「じゃ、俺は先に帰るから」

 私は1人になると家に向かい、高橋とリサは近所のスーパーへと向かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする