報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「日曜日の終わり」

2024-05-19 21:19:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月2日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階・ダイニング]

 夕食はしゃぶしゃぶだった。
 どうやら、しゃぶしゃぶ用の肉が今日は特売だったらしい。
 但し、牛肉よりは豚肉がメインといった感じだった。

 リサ「わたし、生でも行ける」
 愛原「ちゃんとお湯の中を潜らせてから食べなさい。人食い鬼になるぞ」
 リサ「はーい……」
 パール「ところで先生、錦糸町駅にはどんな御用件で?」
 愛原「ああ。来週、ちょっと温泉旅行プラスアルファに行こうと思って。まあ、日帰りだけどな」
 パール「そうなんですか」
 愛原「リサの退所祝いを兼ねているから、お前達にも来てもらうぞ」
 パール「ありがとうございます。マサは免停寸前ですから、少し不便ですね」
 愛原「別にいいさ。交通手段については、ほぼ100パー俺の趣味だからw」
 リサ「さすがは先生。でも、わたしは先生とお出掛けできるのなら、鬼ヶ島まで行っちゃうよ」
 高橋「甘いな。俺は地獄の果てまでお供します!」
 愛原「そんな所行く気ねーよ。なに勝手に俺を地獄に落とそうとしてるんだよ」
 リサ「どこまで行くの?」
 愛原「南関東だな。行きは特急に乗るぞ。その為に、錦糸町駅の指定席券売機まで行ったんだ」
 リサ「指定席券売機?ああ、新幹線のキップとか買える券売機か」
 愛原「まあ、そんなところ」
 リサ「秋葉原駅じゃないんだ?」
 愛原「もしその特急券が指定席券売機で買えないヤツだったら、“みどりの窓口”に行こうと思ってたんだ。で、今、秋葉原駅の昭和通り口の“みどりの窓口”は廃止されたからさ。だったら、錦糸町駅の方が便利なんじゃないかって思ったんだ」
 リサ「なるほど……。バスの本数は少ないのに」
 愛原「それな。まあ、昼飯食ったりして、時間調整したから良かったけど」
 リサ「なに食べたの?」
 愛原「ラーメンだよ」
 リサ「また!?先生もお兄ちゃんも、ラーメン好きだねぇ……」
 愛原「まあな。でも、さすがに3日連続では食わないよ。明日はもっと別の物食べたい」
 高橋「任せてください。明日の昼飯当番は俺なんで、ラーメン以外の物を作りますよ」
 愛原「それは楽しみだ。取りあえず、今日のところはしゃぶしゃぶだな」
 高橋「リサ、先生の分まで食うんじゃねーぞ?」
 リサ「分かってるよ。あー、そうそう。先生、明日はわたしも学校に行く」
 愛原「登校日か何かか?」
 リサ「入学式の打ち合わせ。一応、わたしも生徒会の手伝いをしてるから」
 愛原「そういうことか。えーと……始業式は6日で、入学式が7日か」
 高橋「1日だけ学校行って、また休みなんスね」
 愛原「まあ、そういうものだよ。でも、生徒会の手伝いだと、リサは7日も出ることになりそうだな」
 リサ「うん。最後の片付け要員」
 愛原「……そういうことか!」

 鬼型BOWとしての腕力の強さを買われてしまい、力仕事に駆り出されると。
 まあ、男手に頼れない女子校では当たり前らしいが。

 パール「先生も、PTA会長として出られるのでは?」
 愛原「まあな。今のところ、まだ会長代行だぞ?」
 リサ「でも、次回は間違いなく正式な会長になれる」
 愛原「そうなんだけどね!」
 リサ「わたし的には、会長になって欲しいな」
 愛原「そうは言ってもね……」

 平日も行事などで動きやすいよう、不規則勤務の仕事に就いている保護者が会長に抜擢されることが多いという。
 尚、会長職は別に役員の経験の有無は問われない。

 リサ「修学旅行に一緒に来れる。中等部みたいに」
 愛原「そっちか!」

 尚、保護者がPTAの役員になるのが原則だが、東京中央学園では例外もあって、何も親でなくても良いことになっている。
 中等部の代替修学旅行に、高橋も私の助手として同行したのは、その制度によるもの。
 表向きには高橋は、リサの義兄ということになっており、会長(代行)の権限で1人、同行役を推薦できるのである。
 ここまでするのは、偏にPTA役員の成り手不足というのがある。
 公立だとなかなか柔軟な対応がしにくいが、そこは私立。
 比較的、柔軟な対応をしている。

 リサ「今度は沖縄」
 愛原「沖縄な」

 東京中央学園高等部の行き先は、今年は大きく3つに分かれる。
 1つは海外組。
 今年は台湾らしい。
 韓国だったら私がPTA会長として断固阻止していたのだが、校長先生や理事長がその辺はしっかりした人で良かった。
 東南アジアのマレーシアやシンガポールだったり、ハワイだったりすることもあるようだ。
 もう1つは沖縄。
 北海道方面と年替わりで、今年は沖縄。
 最後の1つは関西方面。
 これは本来無かったのだが、リサ達の年代はコロナ禍で中等部の修学旅行が中止になっている。
 リサ達の代は高等部1年生の冬にコロナが落ち着いて来たこともあり、スキー教室も兼ねて会津方面への代替修学旅行を行ったが、やはり関西方面へ行きたかったという声もあり、それに答えたもの。
 あと、飛行機に乗れない生徒に対する配慮もある。
 北海道方面の年の場合、必ずしも行き先が札幌とは限らないこともある。
 函館とか旭川とか。
 函館の場合は、新幹線で行くことも検討しているらしい。
 リサの場合は、八丈島からの帰り、試験的に一般の航空便に乗せてみた結果、何も問題が無いことが分かった為、それの利用は解禁されている。

 リサ「エレンが今か今かと待っているらしい」
 愛原「大丈夫なのか?修学旅行は平日に行くことが多いのに、絵恋さんは……」
 リサ「学校休むんじゃない?」
 愛原&高橋「いや、ダメだろw」

 絵恋さんにあっては、今のうちに釘を刺しておく必要があるようだ。

 愛原「日帰りの温泉旅行は日曜日に行くからな、期待してろよ」
 高橋「うっス!」
 リサ「はーい!」
 パール「かしこまりました」

 リサ、薄切り肉の束を鍋から取った。
 豚肉の方だが、やや赤みが残っている。

 リサ「美味しい美味しい」
 愛原「海辺の温泉に行くから昼は海鮮関係になるだろうが、夜は錦糸町辺りで焼肉にでもしよう」
 リサ「おー!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする