報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「序章」 6

2015-01-24 10:14:56 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月24日14:00.イリノイ州シカゴ・市街地内のとある複合ビル レイチェル&コードネーム“ショーン”]

「“監視者”さんに怒られちゃったね……」
 ばつの悪そうな顔をするショーン。
 既に“監視者”なる黒スーツ、黒サングラスの男はビルから退去している。
「全く。プレミアム・エコノミーぐらいでグダグダ抜かしやがって。細かすぎる男はモテないわよ」
「まあ、『プレミアム・エコノミーはファーストクラス同様、座席数が少ないから目立つ』ってのは分かるけどね」
「だったらビジネスクラスに乗せろっての。座席数で言うなら、そっちの方が多いんだから」
「いや、だから、エコノミーでいいって……。しっかし、あの人も変わった人だよね」
「そりゃそうでしょ。あいつ、じゃないもの」
「え?」
「オレンジスター・シティでアタシが率いていた人型ロボットの、もっと人間そっくりに造ったヤツよ」
「ええーっ!?」
「言われるまで分かんなかったでしょ?」
「う、うん」
「なーんかね、昔、日本で執事ロボットをやってたみたいなんだけど、用途変更で、今じゃアタシ達の監視者よ。偉くなったものね」
「そ、そうかな……」
 その時、2人のいるラウンジ内のテレビが臨時ニュースを伝える。

〔「番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお送りします。ブラジルのサンパウロ市で、武装ゲリラの集団がオフィスビルの1つに立て籠もり、中にいた日系企業の社員多数を人質にしています。……」〕

「ええっ?またイスラム過激派かなぁ?」
 ショーンが首を傾げていると、
「いやー、違うと思うよ。南米の場合は、むしろ極左ゲリラの方が多いから。昔、ペルーでも日本大使公邸に武装ゲリラが立て籠もった事件があったでしょう?」
「……あったっけ?」
「あったのよ。そいつらはイスラムじゃなくて、極左のゲリラだったから。イスラム過激派は男しかいないでしょう?」
「みたいだね」
「極左ゲリラの構成員には女性もいたりするのよ。ペルーの事件にも女性ゲリラがいたってよ」
「あまり日本じゃ聞いたことないね」
 因みに南米でも北部の方は極左の活動が多いが、南部の方はそんなでもないということ。

 と、その時だった。

 ビルのエントランスの方から、爆発音が聞こえた。
 それも、1発や2発ではない。
「な、何だ!?」
「!? こっちよ、ショーン!」
 レイチェルは急いでショーンの手を引いた。

[同日15:00.シカゴ市内の複合ビル前 テレビリポーター]

「……はい、こちら現場の前です。先ほど、午後2時くらいのことですが、武装集団によるテロが起き、ビル内にいた多数の人を人質に取るという事件が発生しています。彼らはイスラム過激派組織“イスラム特高警察”と見られ、『邪教を取り締まる』『神は偉大なり!』と、叫びながら手榴弾やマシンガンを発砲して侵入したとのことです。尚、現在、現場の前の通りは警察によって封鎖され、物々しい雰囲気になっています。……以上、現場の前からお伝えしました」

[同日16:00.複合ビル4Fのオフィス レイチェル&“ショーン”]

「完全に誤算だったわ……。まさか、ここで別のテロ組織に襲われるなんて……」
 レイチェルは頭を抱えた。
 2人は避難して無人となった、とある企業の事務室の中に隠れている。
「レイチェルの組織に救助とか頼めないの?」
「向こうでも対策を練ってるとは思うけど、下は警察が押さえちゃってるからね。一応、組織にはアタシ達がどこに避難しているかは伝えてあるから、後はテロリスト共に見つからないようにして……」
「プレミアム・エコノミー予約しちゃったから、怒って見捨てられたりして……」
「例のブツはアタシが持ってるんだから、最低限それは無いって」
 レイチェルは髪留めの中にメモリーを隠している。
「一体、それは何なの?」
「まあ……秘密の大事なモノでね。さすがにそれはショーンにも教えられないの。大丈夫。ショーンには迷惑掛けないって言ったでしょ?……ちょっと今回は約束キビしいけど……」
「ううっ……」
「何とかショーンだけでも、ここから脱出させられないかな……。!」
 その時、廊下から足音が聞こえた。
「隠れてるヤツはいないか!?偉大なるアラーの御前では、隠れても無駄だぞ!」
 テロリストが銃火器を手に、捜索にやってきた。
「アラー最大の敵、十字軍は皆殺しだ!」
「た、助けてください!」
 ショーン達の近くに隠れていたと思われるアジア系の男が出て来た。
「わ、私は仏教徒です!クリスチャンじゃありません!だから助けてください!」
「おう、そうか。お前はクリスチャンじゃなく、仏教徒か。そうかそうか」
「はい!」
 だが次の瞬間、そのアジア系の男はマグナムで頭を撃ち抜かれて即死した。
「ムスリム以外は全て邪教徒なり」
 その様子を見ていたショーンはガタガタ震えて、
「こ、こりゃダメだ。交渉の余地無しだよォ……」
「シーッ!」
「む?他に誰かいるのか!?」
 テロリストはマグナムではなく、今度はマシンガンを構えて近づいて来た。
「あっ、日本人特有の無宗教って言ったら許してくれるかな?」
「『アラーを信じない罪』とか何とかいって、やっぱり撃たれるだけだからやめなさい。世の中には、自分達の神仏を信じないだけで罪と断じる宗教もあるのよ」
 尚、日蓮正宗も含む(不信謗法)。
 と、そこへ、
「おい、ムスリムが他にもいるみたいだぞ!」
 別のテロリストがやってきた。
「マジか?どこに?」
「あっちだ」
 その会話に、
(なるほど。普通のイスラム教徒も、このビルにはいたわけか。その人達は無条件で解放されるかな)
 と、ショーンは思ったが、
「ただ、シーア派だそうだが?」
「じゃあ殺せ。スンニ派以外は認めない」
「了解」
(はあ!?)
 まあ、日蓮正宗と創価学会、顕正会が相容れないのと同じことだ。
 死人が出ないだけマシというもの。
 テロリスト達が去った後、通信リンクが繋がった。
{「作戦が決まった。UAVを使用する」}
「UAV!?そんなものがこのビルにあるの?!」
{「ああ。そのビルの屋上に、週末のイベント用として置かれていたそうだ。本来UAVは無人飛行機だが、空中散歩用に2人乗れるように改造されている。それを使って脱出しろ」}
「だけど、それだと目立たない?」
{「あとのサポートはこちらで行う。とにかくキミ達は、そのビルから無事に脱出することを優先しろ」}
「了解。じゃ、屋上に行きましょう」
「簡単に行ける状態じゃないよー」
「大丈夫。ショーンは何も心配しないで。あなたは……私が守るもの」
「う、うん」
 そっと廊下を伺って、様子を伺う。
 廊下には、先ほど頭を撃たれたアジア人の死体しか無かった。
「何か作戦はあるの?」
「ほぼ間違い無く、屋上に行くまでの間、テロリストに遭遇するでしょうね」
「ええっ?」
「だから、武器は入手した方がいいと思う」
「そう簡単に手に入るかな?」
「まあ、作戦はあるけどね。こっちよ」
 2人はエレベーターホールへ向かった。
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“新アンドロイドマスター” 「序章」 5

2015-01-23 16:16:54 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月22日07:00.イリノイ州シカゴ 市街地のシティホテル コードネーム“ショーン”]

 寝て起きる度、昨日のことがまるで夢のような気がしてしまう。

 そもそも、隣に寝てる女って誰なんだ?

 レイチェル?……ああ。日本の大学で会ったな。

 えーと……どうしてボクはアメリカに来たんだっけ?……確か、彼女にアメリカのイリノイ州でいいバイトがあるからって……。

 ボクは確かに英語力には自信があるけれど、それだけで?

 何か彼女、昨夜出て行ったような……。いや、今は隣で寝てるけど……。

 左の二の腕に「7」と書かれた赤い数字がペイントされているのを見た。

「ああ、これ?ラッキー7の7よ。ゲン担ぎなの」
 と、あっけらかんと言われた。

 うーん……。

〔「……何度もお伝えしていますように、昨夜から州内のオレンジスター・シティで大変な騒ぎが起きている模様です。現在、州軍が出動して鎮静化に当たる騒ぎになっています」〕

 テレビでは臨時ニュースを繰り返し放送していた。
 テレビ画面には町に続く唯一の交通手段、ハイウェイを特殊車両で封鎖する軍隊の姿があった。
「レイチェル!これは一体……!?」
「ああ。やっぱり、私の予想が当たったのね」
 レイチェルはタンクトップ姿で欠伸をしながら、ベッドからゴソゴソと出て来た。
「予想って……」
「何だかね、そんな気がしてきたのよ」

〔「……何でも人型のロボットが突然町中に大勢現れて、装備しているマシンガンやらライフルやらを発砲したようなんですよ」〕

「!?」
 コメンテーターが核心的な部分を言ったが、その時点でテレビを消すレイチェル。
「今日はやることがあるから、早いとこ朝ご飯食べてきて」
 レイチェルは笑みを浮かべて言った。
 笑顔ではあるが、それに逆らってはいけないような気がして、ショーンは素直に階下のレストランに行くことにした。

[同日09:00.シカゴ・オヘア国際空港 “ショーン”&レイチェル]

 シカゴ交通局(交通公社とも)が運行している高架鉄道(地下鉄区間もある)シカゴ・Lは、シカゴに2つある国際空港にも乗り入れる為、観光客の利用も多い。
 2人は、市街地からシカゴ・オヘア国際空港に向かうブルーラインに乗っていた。
 これから飛行機に乗るのではない。
 恐らくは、当日にすぐ空いているわけではないだろうとのことだ。

 ブルーラインの終点駅、オヘア国際空港駅は地下ホーム2面3線である。
 そこは櫛形の行き止まり式(頭端式)であり、正に“ベタな終点駅の法則”ではある。
 シカゴに2つあるとはいえ、どちらかというとオヘアがメインで、ミッドウェーがサブといった感じだとショーンは聞いた。
 実際、ここから日本へ向かう航空機はオヘア空港からで、ミッドウェー空港からは出ていない。
 2人は日本行きのチケットを購入する為、空港へ来ていた。
 電車を降りて、ターミナルへ向かう。
 事前の下調べでは、東京・成田へ向かう路線を担当しているのは全日空とユナイテッド航空とのことだ。
 シカゴから飛行機に乗るのは聞いていたが、日本へ向かうというのは意外だった。
 日本から入国した際は、シカゴからではなかった。
「あれ……?」
「どうしたの?」
「僕、どこの空港に着いたんだっけ?」
「それ、ジャパニーズ・ジョーク?シカゴ・オヘア空港に決まってるじゃないの」
「いや、そうじゃなくて……。アメリカに入国した時に……」
 そういえば、それはパスポートにスタンプが押されているはずだ。
 それを見れば……。
 だが、それを見る前にレイチェルが答えた。
「デトロイトからでしょ?」
「そ、そうだったっけ……」
「そうよ」

 そして、チケットカウンターに到着する。
「東京・成田に行く便で、1番早いのは無いかしら?もちろん、彼と隣り合わせになれる席でね」
 レイチェルはもちろん英語で、チケットカウンターに座る白人女性係員に言った。
「少々お待ちください」
 係員は端末のキーボードを叩く。
「明日の10時45分発、ANA便で、ファーストクラスでしたらお取りできますが?」
「ファーストクラスかぁ……」
 ショーンは苦笑いした。
「エコノミーは無いんですよね?」
 と、ショーンが聞く。
「満席です」
 とのこと。
「じゃあ、そのファーストクラスでいいわ」
 と、レイチェルが口を開いたので、
「いや、ダメだよ!」
 と、ショーンが慌てた。
「大丈夫よ。組織からプラチナカードをもらったから、それで支払いできるわ」
「いや、でも、そんな贅沢する必要は無いよ!エコノミーでいいからさ」
「ショーンはよく働いてくれたわ。ヒーローはエコノミーに乗っちゃダメ……ん?ちょっと待って」
 どうやら、レイチェルの通信機に通信リンクが繋がったらしい。
「何よ?」
{「何よ、じゃない。ファーストクラスはダメだと言っただろう!」}
「どうして?彼はよく働いてくれたわ」
{「報酬は報酬だ。ファーストクラスに乗ったら目立つに決まってる。それに、いくら隣り合わせとはいえ、今のファーストクラスは個室みたいになっている。“ショーン”の監視がしにくくなってしまうぞ?」}
「四六時中監視しなくたって大丈夫な人間をパートナーに選定したのはあなた達でしょう?自分達の選考基準を疑うの?」
{「あのなぁ。隔離された機内では、動きが制限されるものだ。今までは何が起ころうと万全なサポートができるが、機内に関してはノータッチとなる。従って、ビジネスクラスもダメだな。最近のビジネスクラスも、隣席とは隔離された造りになっていることが多い。もっと問題はあるぞ。ファーストクラスやビジネスクラスの機内食をお前は食べられない。最近は機内食も高級化されているが、全く手を付けられないと、機内のクルーにも怪しまれるだろう」}
「……分かったわよ」
 通信相手のクドい言葉にレイチェルは眉を潜めた。
「エコノミーなら何でもいいのね?」
{「ああ。多少……数日掛かってもいい。それまでのサポートはこちらで行う。“ショーン”と隣り合わせの席なら、エコノミークラスのどの席でもいい」}
エコノミーなら、何でもいいのね?」
{「だから、さっきからそう言ってるだろう」}
「今のあなたの言葉、録音したから。『男子たる者、二言無し』よ」
{「はあ?」}
 通信リンクを切るレイチェル。
「レイチェルの組織から?」
「まあね。ファーストクラスとビジネスクラスはダメだって言われちゃった」
「やっぱりね。そりゃそうだろう。レイチェルがどんなエージェントだか知らないけど、僕なんか殆ど何にもしてないもの……」
「例の場所で、アタシのサポートを全力でしてくれたじゃない」
「車で迎えに行くだけだろう?それ以外は何もしてないよ」
日本人男性のパートナーとして、日本に着くまでアタシと一緒にいてくれるだけで立派な仕事になるのよ」
「ええー……。で、どうするの?エコノミークラスがいつ空いてるか聞く?それともキャンセル待ちする?」
「アタシに任せて」
 レイチェルは再びカウンターに行く。そして、
「東京・成田に行く便で、1番早いのは無いかしら?もちろん、彼と隣り合わせになれる席でね」
 と聞くが、更にそれにプラスして、
「ワンランク上のエコノミークラスは、いつ空いてるの?」
 と、聞いた。
「レイチェル?何それ?その、ワンランク上のエコノミークラスって?」
 ショーンは訝し気な顔をした。
「26日の同じく10時45分発、ANA便で、プレミアム・エコノミーがお取りできますよ」
「プレミアム・エコノミー?」
 ショーンは目を丸くした。
「それ、彼と隣り合わせできるよね?」
「はい。窓側の席、2つ空いております」
「じゃあ、そこお願い」
「かしこまりました」
「支払いはこれで」
 と、レイチェルはプラチナカードを出した。
{「レイチェル、お前なぁ!」}
「何よ?エコノミーはエコノミーでしょ?あんた、『エコノミーならどの席でもいい』って言ったよね?」
{「こ……この女狐が!」}
(え、なに?今の英単語聞き取れなかったんだけど、女狐って……?)
 因みに今の通信に関しては、ショーンもインカムを付けて聞いていた。
「では、こちらにサインを……」
「プレミアム・エコノミーって?」
「エコノミークラスよりワンランク上のシートよ」
「それって、ビジネスクラスじゃ?」
「だから、そのビジネスクラスよりは下なのよ」
「ふ、ふーん……。いいの?組織とあまりケンカなんて……」
「大丈夫。ショーンには迷惑掛けないから。アタシはちゃんと組織の言うことに従っただけだから」
 レイチェルはしたり顔で大きく頷いて言った。
(これくらいでないと、正義の組織のエージェントにはなれないのかなぁ……?)

 ショーンは首を傾げながら、意気揚々とチケット片手に引き上げるレイチェルの後ろを付いて行った。
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小説の途中ですが、ここで本日の動向をお送りします。 0123

2015-01-23 15:15:43 | 日記
 日記のタイトルの後に付けている番号は、管理番号……もとい、その日の日付である。
 スマホ版で見ると、アーカイブで見た時に日付が出てこないので、いつ書いたものなのかを一覧の時点で分かるように附番しているものだ。
 しかし前の日記が0120って、フリーダイヤルじゃないんだから……w
 で、今日の日記が0123って、どこかの引っ越し会社ですかな???
 ……と、自分でツッコんでみる。

 今日は警備検定合格に伴い、書類集めやら申し込みやらで埼京圏内を歩き回った。
 私が合格したのは交通誘導警備検定2級。
 知っている人は、間の抜けた顔をするだろう。
 各種警備検定の中で最もランクが低く、難易度も低いというイメージが蔓延しているからである。
 しかしそれでも不合格者だって相当いたし、脱落者もいたくらいだ。
 合格したから、すぐに資格保有者となるわけではない。
 資格証を交付してもらう為に警察署に行くのだが(警察署を通して地元の公安委員会に申請する)、そこに持って行く為の書類集めが地味に大変なのだ。
 私の勤務している大手会社であれば、ある程度必要な書類は会社で集めてくれるのだが、恐らく中小だと自分で申請書類を集めなければならないだろうから大変だと思う。
 私の所はある程度集めてはくれるが、その書類に必要事項を記入するのは自分自身。
 既に他の施設警備検定だの雑踏警備検定だのを持っている先輩や上司に教えてもらいながらの作成であった。
 しかしこれとて、教えてくれる人がいるだけ恵まれているようだ。
 産業医の先生がいるクリニックに行って診断書を書いてもらったり(禁制のクスリを使っていたり、アル中だったり、精神疾患があったりしないか)、法務局に行って被後見人、被保佐人の登録を受けていないことの証明書を申請したり……(被後見人、被保佐人になっていると法律で警備員にはなれない)。
 因みに被補助人という枠組みもあるが、警備業法上においては被補助人は警備員をやることはできる。
 法務局の窓口には、どういった人間が被後見人になったりするのかの目安が書いてある。
 被後見人や被保佐人は分かる。
 被補助人の条件は、
「必要でないものをついつい買ってしまう人」
 らしい。
 ……んん?いや、私は違うよ。ただ、趣味に関することでだいぶカネを使うことはある。
 それとて、その趣味に理解の無い人から見れば、「必要でないものをついつい……」の枠組みに入りそうなものだが……。
 それで、被補助人までは警備員になることへの制限が課せられていないのか。

 東京法務局は九段下の合同庁舎2号館にある。
 九段下駅6番出口を出たら回れ右して、りそな銀行の角を左に曲がり、あとは道なり、道の左側にある。

 私はさいたま市に住んでいるので、申請先の警察署に行く為にまたさいたま市に戻らなくてはならない。
 だが、東西線で大手町駅に行き、そこから東京駅に向かっている最中、こんな放送が。

〔「京浜東北線ご利用のお客様に、ご案内を申し上げます。京浜東北線は10時47分頃、大森〜蒲田間で発生しました人身事故の影響により、運転を見合わせております」〕

 な、何だってー!?
 しかもあの辺は東海道本線も走行する複々線区間だったはず。
 恐らく自殺志願者は駅のホームではなく、踏切から飛び込んだのであろう。
 確かあそこ、ケト線も駅間距離が長いから時速100キロくらいで走るんじゃなかったか?“電車でGo!”で、それくらいの速度で走った記憶がある。
 で、飛び散った肉片を拾い集める為にトカ線も止めたってか。
 その東海道本線、事故発生中はイキなことをした。
 事故区間を避けるため、事故処理中は横須賀線の線路を走るというのだ。
 何だな。ただの乗り鉄の旅だったら、是非ともそれを体験しに行きたかったのだが、まだ用事があったので、それは叶わなかった。
 なので、トカ線の横浜から先へ行く人はホッと溜め息。
 え?スカ線でスルーされる川崎駅はどうすんのって?んなもん知るかい。まあ、私なら品川で京急線に乗り換えるけどね。
 どうせ振り替え輸送はやってるだろうから。

 私の実害はヤテ線で着席できなかったことと、北浦和駅に行けなかったことだ。
 つーわけでJRさん、遺族に思いっ切り賠償吹っ掛けてくれや。

 とはいえ、そこは乗り鉄兼バス・フリークス。
 1つのルートが閉ざされたくらいで立ち往生するほどヤワではない。
 ちゃんと別ルートを用意してある。
 しっかし、今日は風が強いな。
 特に、さいたま新都心辺りは高層ビルも建っている関係で、ちょっとした強風ポイントになっている。
 ケンショーグリーンみたいなヤツが、女子中高生のスカートが捲れるのを今か今かと待っていやがる。
 放っといて、とっととバスに乗り換え……る前に、ちょうどお昼時だ。けやき広場で昼飯食っていこう。
 こういう時でも、小説のアイディア出しには事欠かない。

 ここから国際興業に往復乗ったが、これのノンステップバスの一部に、前扉の後ろの席が撤去されて荷物置き場になっているバスがあるのだが、これは一体どういう意図でそのようにしているのだろう???
 乗客の荷物置きっつったって、デカいキャリーバッグとかを置くのには無理があるような気がするんだが……。

 今日は都営バスも含めて、ノンステップバスの最前列席に座った1日だった。
 それにしても、鉄道の人身事故には参るものだ。

 さ、今度は小説の続きでも書くことにしよう。
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“新アンドロイドマスター” 「序章」 4

2015-01-22 22:16:27 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月21日12:20.イリノイ州内のハイウェイ レイチェル&コードネーム“ショーン”]

 2人を乗せたグレイハウンドバスの臨時続行便は、ある休憩場所に停車した。

〔「40分休憩しまーす!お腹が空いた人、どうぞ食べてきてください。タバコを吸いたい人、吸ってきてください。お酒飲みたい人……は、ここで降りてくださいw マリファナもダメですよwww」〕

 陽気な運転手のアナウンスに、ドッと笑いが起きる。
 グレイハウンドバスに乗っていると、しばしばこのような運転手に当たるそうだ。
 酒を飲みたい人は降りろというのは、グレイハウンドバスでは車内はもちろん、バスターミナル内でも禁酒だからである。
 タバコは確かに服に臭いは染みつくかもだが、取りあえず吸った後でどうにかなるものではない。
 しかし酒は飲んだ後、必ず酔うからダメだ。
 乗車時に飲んでいなくても、酒の臭いを放っていると、容赦無く乗車拒否されるとのこと。
 グレイハウンドバスに、日本の高速バスの感覚で乗るとカルチャーショックを受けるとはこのことだ。
 グレイハウンドバスは低所得者層の利用が多いので、そんな奴らに酒を飲ませるとどうなるか……ということだろう。
「ショーンはそこのマックで食べてきたら?」
 と、レイチェル。
「私はここで待ってるから」
「本当に食べないんだなぁ……」
「そういう体質なのよ」
「…………」
 さすがのショーンも訝しがる。
 が、そこは生身の人間、お昼時に腹が空くのは当然だ。
「レイチェルにも何か買ってこようか?僕だって、食事代くらいある」
「だから、大丈夫だって。アタシのことは何も心配無いから。ほら、早くしないと休憩時間無くなっちゃうよ」
 レイチェルはショーンの背中を押した。
「あっ、そうそう。なるべくバスから離れないようにね」
「うん……」
 ショーンはバスから降りて、日本でも見慣れた黄色いMのマークをしたマクドナルドに入っていった。
 グレイハウンドバスでは、しばしばこういった場所で休憩することがある。
 マックならアルコールを販売していることは無いからだろうか。
 日本のマックは利用したことがあっても、アメリカのマックを利用するのは初のショーンはそんなことを考えながら店内に入った。

 それを車内の窓から見届けるレイチェル。
 彼女は荷物の中から白い電源をコードを取ると服を捲り上げ、自分の脇腹に差し、もう一方を車内の電源コンセントに差した。
{「レイチェル。現況はどうだ?」}
(今のところ順調よ。運転手達のさじ加減で増便が決まるグレイハウンドで良かったみたい。少しターミナルが混乱したおかげで、今頃追っ手がターミナルで調査したところで、アタシ達がどの便に乗ったか分からないわよ)
 レイチェルは本を取り出し、あたかも読書しているフリして、外部と通信リンクを繋いでいた。
{「連中はボストン方面やデトロイト方面を捜索しているようだ。お前達が乗っているのはシカゴ行きで間違いないな?」}
(そうよ。それより、そろそろプラチナカードちょうだい?ここまで順調に行ったご褒美よ)
{「無事にシカゴに着いて、ホテルにチェック・インしたら送る。別に予定通りに行ければ、ゴールドカードのままでも大丈夫なはずだが……」}
(ノー、ノー。シカゴから飛行機に乗る時、ファーストクラスに乗れないでしょ?)
{「ファーストクラスって、お前なぁ……。エコノミーにしろよ」}
「いいじゃない。その後は、電車に乗ってやっと到着でしょう?」
{「その電車も普通車にしておけよ。……まあいい。約束だ。無事にシカゴに着いて、ホテルにチェック・インできたら、プラチナカードに変更してやる」}
(サンキュー!)

[同日13:00.グレイハウンドバス車内 レイチェル&“ショーン”]

 昼食を終えてショーンはバスに戻ろうとして、一瞬ミスった。
 シカゴ行きは2台での運転なので、もう1台の方に乗ろうとしてしまったのだ。
 フロントガラスの上に行き先表示はしてあるが、それだけに気を取られていると失敗するという例だ。
 確実にするなら、行き先よりもバス車体にペイントしてある4桁の車両番号を覚えた方が良い。
 車内にトイレはあるものの、あまり使い勝手は良くないようだ。
 たまに鍵が壊れていたり、紙が無かったり、汚れていたりする。
 また、換気が悪いのか、昔の日本の列車のトイレみたいな臭いが付近の座席まで漂ってくるらしい。
 レイチェルが真ん中辺りの席を確保したのは正解と言えよう。
 座席は夜行便であっても4列シートが基本。
 但し、アメリカ人の体型に合わせた座席であるためか、シートピッチや座席幅は日本のバスより広いことが多い(JR特急の普通席並み?)。
 ニューヨーク行きなどの混雑路線では、定員数を上げる為に、シートピッチを詰めて座席数を増やしていることもあるという。
 いずれにせよ、LCCの座席よりはマシだということだ。
 wi-fiのサービスもあるようだが、時々切れることがあるので、完璧とはなかなか言えない。
 車内は低所得者層が多いから、ついステレオタイプで騒ぐヤツとか強面のヤツが脅して来たりとかあるのかと思うが、意外とそうでもない。
 何故なら、運転手が1番怖いから。
 基本的にワンマン運転のグレイハウンドバスは運転手に強い権限が与えられていて、車内の秩序を乱す乗客は最終的に強制降車させることができる。
 夏は冷房がガンガンに効いて寒過ぎるくらい。
 冬は走行場所にもよるが、中西部辺りのように冬寒い所だとやっぱり暖房がガンガン入る。

[同日17:00.イリノイ州シカゴ レイチェル&“ショーン”]

 出発が遅れたからなのか、それともダイヤの作りがそもそもいい加減なのか分からないが、バスは予定より2時間遅れでシカゴのバスターミナルに到着した。
 グレイハウンドバスに定時運行を求める方が変人らしい。
 そもそも出発からして遅れるのが当たり前らしい。
「シカゴかぁ……。初めて来たなぁ……」
 ショーンはバスを降りて、荷物を受け取ってから呟いた。
「どこに泊まるの?」
「任せて。シカゴに連れて来たのは私だからね」
 レイチェルはそう言って、ガラガラと自分のキャリーバッグを引いた。
 バスターミナル近くの最寄り駅から、シカゴ・Lという高架鉄道に乗り込む。
 シカゴの通勤鉄道は地下鉄ではなく、高架鉄道が主となる。
 走っている電車自体は、そのまま地下を走っても良さそうなものだったが。
(何か、東急東横線みたい)
 ショーンは祖国の私鉄電車を思い出した。
 但し、アメリカの鉄道は右側通行の右ハンドルで、日本とは逆である。

 そこから何駅か乗って電車を降りると、すぐ近くにホテルがあった。
 規模は日本のビジネスホテルくらい。
 オレンジスター・シティのセントラルホテルが東横インだとすれば、こちらはワシントンホテルくらいか。
 少しグレードアップしたかな、と。
 旅行好きのショーンは日本国内もよく旅行していて、そこのホテルにもよく泊まっていた。

 2人はこの町で数日間過ごすことになる。
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“新アンドロイドマスター” 「序章」 3

2015-01-22 00:19:04 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月21日07:00.オレンジスター・シティ セントラル・ホテル レイチェル&コードネーム“ショーン”]

 枕元のスマートフォンが鳴る。
「ううん……」
 ショーンは訳の分からない夢を見て目が覚めた。
「おはよう。ショーン」
 スマホのアラームを止めたのはレイチェル。
「いい天気よ。起きて」
 レイチェルが優しく起こした。
 確かにカーテン越しに、朝日が差し込んでいる。
 しかし、アメリカ中西部の冬は寒い。
 相変わらずコートがいるだろう。
「よく眠れた?」
「眠れたような、眠れないような……」
「ま、とにかく朝の身だしなみね。朝ご飯は1Fのカフェで取れるみたいよ」
「そ、そう?」
 ショーンはバスルームに行くと、トイレを済ませ、朝の身だしなみを整えた。

[同日07:30.同ホテル1F カフェ コードネーム“ショーン”]

 例によって、レイチェルは一緒に食事をしようとはしない。
 部屋で待機してるから、1人で行くように言われた。
 日本人の中では平均的な体格のショーンは、見た目とは裏腹に結構な大食らいで、カウンター席に座ると、トーストだけでなく、ソーセージやらスクランブルエッグやら、とにかく洋食と言えばこれといったものを次々と注文した。
 その間、天井から吊るされたテレビが、ニュースを放送している。

〔「昨夜に発生しましたバーレイ山中のロボット研究所のテロ事件は、依然犯人グループの足取りが掴めないままです。警察では犯行グループの主犯格である女を指名手配し……」〕

 犯人グループのリーダーだという女の写真が公開された。
 それはレイチェルとは似ても似つかない。
 別人に変装して及んだ犯行で、地元の警察はすっかり騙されているようだ。

〔「犯人が逃走に使ったと思われる車が、研究所の防犯カメラに映し出されていて……」〕

(しまった!少し近づき過ぎたか!?)

〔「……白のシボレー、ワゴンと思われます」〕

[同日08:30.同ホテル6F 603号室 レイチェル&“ショーン”]

 朝食を終えると、ショーンは慌てて部屋に戻った。
「大変だよ、レイチェル!」
「!?」
 ショーンが戻って来た時、レイチェルはどこかに電話していたようだった。
 彼の姿を見つけて、慌てて電話を切った。
「あ、あれ?どうしたの?」
「何でもないわ。ちょっと、バスの運行状況を確認していただけよ。で、どうしたの?」
「どうやら警察に昨日乗った車がバレそうなんだ!どうしよう?」
「だーいじょうぶよ。レンタカーショップは現場とは反対側の離れた場所だし、シボレーの白いワゴンなんて、アメリカじゃ大衆車よ。確かにいずれバレるとは思うけど、それは今じゃないし……。バレる頃にはこの町、消滅しているから」
 ニタリと笑うレイチェル。
「とにかく、ここで慌てたら、却って目立ってしまうわ。バスでこの町を出たら、こっちのものよ。それまで落ち着いて」
「で、でも……。急に落ち着けって言われたって……」
「しょうがないなぁ……。じゃあ、また薬を飲む?少しは落ち着くよ?」
 レイチェルはそう言って、荷物の中から例の錠剤の入った小瓶を取り出した。
 ラムネぐらいの大きさで、飲んだ後も、まるでラムネのような味がする錠剤だ。
 それを2錠服用すると、急に不安が解消されるような気持ちになる。
「どう?落ち着いた?」
「う、うん……。(他に気になる点があったような気がするが、まあいいさ)」

[同日09:50.市内・中央バスターミナル グレイハウンドバス乗り場 レイチェル&“ショーン”]

 ホテルを引き払った後、バスターミナルへ向かう2人。
 バスターミナルは多くの利用者で賑わっていた。
「今度のシカゴ行きは4番ゲートみたいね」
「えっ!?」
 レイチェルの言葉に意外そうな顔をするショーン。
「どうしたの?」
「いや、だいぶ並んでるなぁ……って」
 確かに4番ゲートの前には長蛇の列ができていた。
「乗車券は持ってるから、席にあぶれることはないか……。ん?座席番号が書いてない……」
「ああ、グレイハウンドは基本的に自由席だから。私達は予めチケットを先に買っただけで、優先乗車とかは無いのよ」
 と、レイチェルが答えた。
 それにしても、長い行列だ。1台では乗り切れないのではないか。
(早いとこ、この町から脱出しないといけないのに……)
 薬の効き目が切れ出したか、焦りが発生するショーン。
 すると、ある白人ドライバーがやってきて、
「今度のシカゴ行きは臨時増便が決まりました。この人から後ろの列の人達は、全員3番ゲートに移ってください」
 と、ショーンの肩を叩いて言った。
 あまりアジア系のいない客層なので、目立ったのだろう。
 で、言われた通り、3番ゲートに移る、ショーンやレイチェルを含む乗客達。
 しかし、そこには既に別のバスを待つ乗客達が並んでいた。
 不思議に思い、ショーンがその乗客の1人に聞いてみると、彼らはデトロイト行きを待っているのだと言い、しかも臨時便を待つ為に移って来た人達だった。
 ちょうどそこへ、さっきのとはまた違う別のドライバーがやってきたので、ショーンは目的地が違う乗客が混じっているという旨を伝えた。
 するとそのドライバーは、また別の他のドライバーと相談を始めたのだった。

「ジル、キミはどうなんだ?」(ドライバー・クリス)
「私はさっきデトロイトに行けって言われたのよ?」(ドライバー・ジル)
「いや、デトロイトに行けと言われたのは俺で、こっちはもう出発準備を始めている」(クリス)
「3番ゲートに並んでいるのは、デトロイトだけじゃなく、シカゴ行きの人達もいるみたいだぜ?」(ドライバー・レオン)
 ここで、バスターミナル係員ブラッドの登場。
「デトロイト行きは2台の増便で合ってるよ」(ブラッド)
「じゃ、シカゴ行きのバスは誰が運転するんだい?」(レオン)
「えっ?まだシカゴ行きの乗客がいるの?どこに?」(ブラッド)
「そこの3番ゲートに並んでいる人達だよ」(レオン)
 ブラッド係員、ショーン達の所へやってくる。
「誰がシカゴ行きのバスが増便するって言ってた?」
 そこでショーンが答えた。
「金髪にサングラスを掛けたドライバーにさっき言われたんだけど?」
「ちょっと待ってて。すぐ確認してくるから」
 ざわつく乗客達。
「レイチェル、大丈夫かな?」
「ど、ドンマイ。町を出る公共交通機関はこれしかないんだから」

 再度、ブラッド係員の登場。
 この時点で、既に10時をとっくに過ぎてしまっている。
「何か分かった?」(クリス)
「いま確認してるんだけど、よく分からないんだよ」(ブラッド)
 更にざわつく乗客達。
 ここで最初に増便が決まったから3番ゲートに移ってくれと言って来たドライバー・ウェスカーの登場。
「さぁ、お待たせ~。シカゴ行きのバスが出発するよ」(ウェスカー)
「あー、ウェスカーがいたのか。じゃーいいや。シカゴ行ってきて」(ブラッド)
「大丈夫かよ~」
 と、日本では考えられない出来事に唖然としたショーンだったが、周囲のアメリカ人乗客達も似た反応をしていたので、そうそうお目に掛かることはないのだろう。

 とにかく大きな荷物は預け、ようやく車上の人となったショーン達であった。
コメント (8)
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