[1月3日16:00.静岡県富士宮市上条 日蓮正宗・大石寺 藤谷春人&秋彦]
「親父、一体いつになったら、市街地の災害が収まるんだよ?」
藤谷は苛立った様子で、父親の秋彦に聞いた。
「大聖人様のみぞ知る!お前も唱題を続けるんだ」
そう言って秋彦は、宿坊の本堂で唱題を続けた。
(ったく、おめでたい親父だ。大聖人様のお膝元で仕事をすれば大功徳っつうから営業所を作ったのに、僅かな期間で全焼・全壊じゃねーか……。まあ、重機とかの一部は何とか運び出せたけどな)
春人は宿坊の外に出て、境内の駐車場に向かう。
そこには避難用の大型バスの他、春人がやっとこさ営業所から運び出してきた大型ダンプカーが止まっていた。
「ちょっくら乗り回してみるか」
境内の外は魍魎が跋扈している恐れがあるが……。
「あー、ムカつくぜ!ここは人間の世界だぜ!何で化け物が我が物でいるよ!おー!?」
国道に出ると、何だか目の前がボヤける。
「な、何だ!?」
すると目の前に現れたのは2人の人物。
1人は見覚えのある男。
もう1人は……いや、1人ではないな。魔族が一匹……って!
「でぇーっ!?」
ダンプカーの目の前に現れたもんだから春人、ブレーキをベタ踏み。
だが、魔族は轢いてしまう。
「マジかよ!?罰じゃんなー!?」
慌てて降りる春人。
魔族の方は大きなタイヤに頭を踏み潰されて即死状態。
もう1人の人間の方は、何とかダンプカーの餌食から逃れた。
「あ、あなたは……!」
藤谷はその人間の男に見覚えがあった。
「うう……」
あっちこっちケガをしている。
「……あ!安倍春彦代表!」
「……春明です。しかも一瞬、名前忘れただろ」
「一体、どうされたんですか?」
「こ、ここはどこだ?」
「大石寺の近くですよ」
「タイセキジ?」
「やだなぁ、日蓮正宗の総本山ですよ」
「日蓮総宗、新たな宗派か?」
「いえ、正宗です。そりゃ、発音しにくいけどさ」
「とにかく、人間界か?」
「そうですよ。代表こそ、どうされたんです?」
「そ、それより、安全な場所に避難させてくれ。話はその後だ」
「はあ……。じゃ、ま、取りあえずダンプカーで良ければ……」
「ああ、すまない」
「何か、体中痣だらけというか、傷だらけ……ですね」
「ああ。私が人間代表として、復活した大魔王の厳しい尋問を受けたのだ」
「うちの信徒にはお医者さんやナースさんもいまして、救護所の運営に当たっているので、そこへ」
「すまない」
[同日同時刻 魔王城・屋上 ルーシー・ブラッドプール1世&グリーン横田]
魔王城上空には大型の飛空艇が浮かんでいる。
城の屋上にはその母艦に向かうための小型船が止まっていた。
「2人とも急いでください!すぐ離脱します!」
艦長のオーゼルグが大声で叫ぶ。
魔族の将軍ではあるが、ルーシー達の政治理念に共感し、新政府軍の軍人である。
「OK!」
ルーシー達が小型艇に乗り込んだ時だった。
「!!!」
上空で待機中の母艦が大爆発を起こした。
「くっ……!」
母艦の破片が落ちてくる。
オーゼルグは急いで小型艇を離陸させ、母艦の破片の直撃から逃れた。
「こ、これは一体……!?」
すると、それまで母艦が浮かんでいた場所にホログラムのような感じで、バァルが姿を現した。
「さすがは新政府を僭称する諸君、目を見張るべき手際だ」
「バァル……!」
「茶番はそろそろ終わりだ。この余がキミらをこのまま野放しにすると思うかね?見くびってもらっては困る。見たまえ」
すると、バァルが指差した先には、
「大水晶……!」
魔王城の地下深くに安置されている大水晶が現れた。
そしてそれは、紫色に光っていた。
「何ですか?まるでチエミンのような光ですが?」
横田が眼鏡を押し上げてルーシーに聞く。
「わ、私も初めて見たわ!」
「……スーパーメガンテ」
オーゼルグが呟くように言った。
長身で精悍な顔つきの将軍が狼狽していた。
「私が子供の頃、同じく軍人であった父から聞いた話です。大水晶を自爆する魔法なんですが、ただ単に自爆させるだけでなく、その被害を魔界や人間界にまで及ぼす最大の禁忌魔法であると……」
「はあ!?ちょっと!そんなことしたら、どうなるか分かってるの!?」
「フ……。この余にタメ口をきくとはな。もちろん、分かっている。余は魔道師どもに支配された世界を引き継ぐつもりはない。全てを破壊し、また作り直す。魔族達に呼び掛けて人間界に侵攻させている意味が分かるか?」
「人間界の人間達は滅亡しても、私達、魔族は頑丈です。巻き添えでケガをすることはあっても、死亡者は確かにいないでしょう」
オーゼルグが答えた。
「ルーシーよ。お前が心を入れ替え、余の為に尽くすというのなら、減刑も考えるが、どうか?」
「やなこった!私はこの魔界を地獄にしない!幻想郷を作るのよ!」
「……ならば仕方が無い。では、発動する」
「うそ!?もう!?早過ぎるわよ!せっかちジジィ!人間界の『キレる暴走老人』じゃないのよ!」
「何とでも言うが良い」
バァルが右手を上げると、ホログラムのように映る大水晶が紫色の光を強くした。
「スーパーメガンテ……発動!!」
魔界はもちろん、人間界も滅亡か?
「うう……。せめて死ぬ前にサイラスの妹のリーフにブルマ姿で【ぴー】や【ぴー】、あとスク水着せて【ぴー】したかったーっ!」
横田は頭を抱えて絶望した。
サイラスとは安倍春明の専属SPのエルフ男性で、リーフはその妹であり、ともに美男美少女である。
「アンタは死にそうにないわね」
ルーシーは変な顔をした。
「親父、一体いつになったら、市街地の災害が収まるんだよ?」
藤谷は苛立った様子で、父親の秋彦に聞いた。
「大聖人様のみぞ知る!お前も唱題を続けるんだ」
そう言って秋彦は、宿坊の本堂で唱題を続けた。
(ったく、おめでたい親父だ。大聖人様のお膝元で仕事をすれば大功徳っつうから営業所を作ったのに、僅かな期間で全焼・全壊じゃねーか……。まあ、重機とかの一部は何とか運び出せたけどな)
春人は宿坊の外に出て、境内の駐車場に向かう。
そこには避難用の大型バスの他、春人がやっとこさ営業所から運び出してきた大型ダンプカーが止まっていた。
「ちょっくら乗り回してみるか」
境内の外は魍魎が跋扈している恐れがあるが……。
「あー、ムカつくぜ!ここは人間の世界だぜ!何で化け物が我が物でいるよ!おー!?」
国道に出ると、何だか目の前がボヤける。
「な、何だ!?」
すると目の前に現れたのは2人の人物。
1人は見覚えのある男。
もう1人は……いや、1人ではないな。魔族が一匹……って!
「でぇーっ!?」
ダンプカーの目の前に現れたもんだから春人、ブレーキをベタ踏み。
だが、魔族は轢いてしまう。
「マジかよ!?罰じゃんなー!?」
慌てて降りる春人。
魔族の方は大きなタイヤに頭を踏み潰されて即死状態。
もう1人の人間の方は、何とかダンプカーの餌食から逃れた。
「あ、あなたは……!」
藤谷はその人間の男に見覚えがあった。
「うう……」
あっちこっちケガをしている。
「……あ!安倍春彦代表!」
「……春明です。しかも一瞬、名前忘れただろ」
「一体、どうされたんですか?」
「こ、ここはどこだ?」
「大石寺の近くですよ」
「タイセキジ?」
「やだなぁ、日蓮正宗の総本山ですよ」
「日蓮総宗、新たな宗派か?」
「いえ、正宗です。そりゃ、発音しにくいけどさ」
「とにかく、人間界か?」
「そうですよ。代表こそ、どうされたんです?」
「そ、それより、安全な場所に避難させてくれ。話はその後だ」
「はあ……。じゃ、ま、取りあえずダンプカーで良ければ……」
「ああ、すまない」
「何か、体中痣だらけというか、傷だらけ……ですね」
「ああ。私が人間代表として、復活した大魔王の厳しい尋問を受けたのだ」
「うちの信徒にはお医者さんやナースさんもいまして、救護所の運営に当たっているので、そこへ」
「すまない」
[同日同時刻 魔王城・屋上 ルーシー・ブラッドプール1世&グリーン横田]
魔王城上空には大型の飛空艇が浮かんでいる。
城の屋上にはその母艦に向かうための小型船が止まっていた。
「2人とも急いでください!すぐ離脱します!」
艦長のオーゼルグが大声で叫ぶ。
魔族の将軍ではあるが、ルーシー達の政治理念に共感し、新政府軍の軍人である。
「OK!」
ルーシー達が小型艇に乗り込んだ時だった。
「!!!」
上空で待機中の母艦が大爆発を起こした。
「くっ……!」
母艦の破片が落ちてくる。
オーゼルグは急いで小型艇を離陸させ、母艦の破片の直撃から逃れた。
「こ、これは一体……!?」
すると、それまで母艦が浮かんでいた場所にホログラムのような感じで、バァルが姿を現した。
「さすがは新政府を僭称する諸君、目を見張るべき手際だ」
「バァル……!」
「茶番はそろそろ終わりだ。この余がキミらをこのまま野放しにすると思うかね?見くびってもらっては困る。見たまえ」
すると、バァルが指差した先には、
「大水晶……!」
魔王城の地下深くに安置されている大水晶が現れた。
そしてそれは、紫色に光っていた。
「何ですか?まるでチエミンのような光ですが?」
横田が眼鏡を押し上げてルーシーに聞く。
「わ、私も初めて見たわ!」
「……スーパーメガンテ」
オーゼルグが呟くように言った。
長身で精悍な顔つきの将軍が狼狽していた。
「私が子供の頃、同じく軍人であった父から聞いた話です。大水晶を自爆する魔法なんですが、ただ単に自爆させるだけでなく、その被害を魔界や人間界にまで及ぼす最大の禁忌魔法であると……」
「はあ!?ちょっと!そんなことしたら、どうなるか分かってるの!?」
「フ……。この余にタメ口をきくとはな。もちろん、分かっている。余は魔道師どもに支配された世界を引き継ぐつもりはない。全てを破壊し、また作り直す。魔族達に呼び掛けて人間界に侵攻させている意味が分かるか?」
「人間界の人間達は滅亡しても、私達、魔族は頑丈です。巻き添えでケガをすることはあっても、死亡者は確かにいないでしょう」
オーゼルグが答えた。
「ルーシーよ。お前が心を入れ替え、余の為に尽くすというのなら、減刑も考えるが、どうか?」
「やなこった!私はこの魔界を地獄にしない!幻想郷を作るのよ!」
「……ならば仕方が無い。では、発動する」
「うそ!?もう!?早過ぎるわよ!せっかちジジィ!人間界の『キレる暴走老人』じゃないのよ!」
「何とでも言うが良い」
バァルが右手を上げると、ホログラムのように映る大水晶が紫色の光を強くした。
「スーパーメガンテ……発動!!」
魔界はもちろん、人間界も滅亡か?
「うう……。せめて死ぬ前にサイラスの妹のリーフにブルマ姿で【ぴー】や【ぴー】、あとスク水着せて【ぴー】したかったーっ!」
横田は頭を抱えて絶望した。
サイラスとは安倍春明の専属SPのエルフ男性で、リーフはその妹であり、ともに美男美少女である。
「アンタは死にそうにないわね」
ルーシーは変な顔をした。