報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

小説の途中ですが、ここで本日の雑感をお送りします 0106

2015-01-06 19:52:56 | 日記
「巫」の字、人名で使用可能に…法務省(読売新聞) - goo ニュース

 ようやく明日、今年初の公休が回って来る。
 この業界、年末年始に休もうなんざ甘い考えなのだ。
 だから、いわゆる正月ボケや正月太りとは無縁の世界でもある。
 社員旅行だって、平日のド真ん中に堂々と行けるくらいだ。
 おかげでツアー料金も安い。まあ、こんなものは業界の役得であって、功徳ではないが。
 1月に初登山などできないので、私の場合は来月の添書が初登山になる。
 平日の月、火どちらかになるだろう……と、思いきや、他の人の仮シフトを見ると土曜日行けそうだぞ。
 まあ、いいや。そもそもまだ末寺参詣すらしていないのだから、明日行ってこよう。
 ド平日の真っ昼間の本堂に行って御覧なさいよ、と。
 宗内でも屈指の大規模寺院だが、まーず誰もいない。
 私服で行ったりすると、ニート疑惑が持ち上がる変な宗教だ。
 因みにそれならとスーツ姿で行ってみると、近くで働いているサラリーマン信徒が昼休みに参詣に来る、何とも素晴らしい信心と褒められるのだから、やっぱり変な宗教だ。
 やはり、人は見た目が9割らしい。

 じゃ、明日はホームレスのコスプレして行ってみるかwww
 マダオなんかいいかな?

 冒頭の記事に出て来る漢字だが、巫女のだね。
 宗門関係者……どころか、顕正会関係者でも使おうとするとフクロに遭いそうな名前だが、それほどまでに魅力のある漢字なのだろう。
 最近、キラキラネームというDQNネームが流行っているようだが、よもやそれに使うのではあるまいな。
 神道関係者が使いたいから、というのなら分かるが……。

 ところで今、私が手掛けている小説の中にも、そろそろ巫女が登場しようとしている。その予定だ。
 実は名前だけなら既出なのだが、さすがに東方の博麗霊夢みたいなキャラではない。
 本当は栗原江蓮も元学会一家に生まれた宗門信徒ではなく、由緒ある神社の娘として登場させるつもりだった。
 2代目ブログを運営していた頃にはその原型があったのだが、御多聞に漏れず、私がここでちょっと冗談や毒を吐いたくらいで、
「バカたれが!!」
 と、怒鳴り込まれる有り様だったので、とても紹介できる状態ではなかった。
 今はウソみたいに静か。あのバカ騒ぎは一体何だったのだろうと首を傾げる。
 それほどでに、あっつぁブログは強大な力を持っていたということか。
 それが化石化したのだから、その点においては顕正会の勝利であり、法華講の負けとも言える。
 ただ、その法華講というのが……【禁則事項です】。
 このブログでは紹介していないが、蓬莱山鬼之助と栗原江蓮(川井ひとみ)の馴れ初めを描いた別作者の作品を見てみると、キノは江蓮を強い霊力を持った巫女がやってきたと誤認したところから始まっているようだ。
 妖怪達にとっては仏教もそうだが、むしろ神道に脅威を持っているということだ。

 日蓮正宗に尼僧がいないのは何故でしょうな?
 実質的に、御陰尊・日顕上人の御母堂様が宗門最後の尼僧ということになっている。
 これ、恐らくタブーなんだろうな。
 “大日蓮”に掲載の得度者募集の広告にも、しっかりと対象者に男子と書かれている。
 これが企業の社員募集の広告なら、えらい騒ぎになることだろう。
 やれ男女差別だの、やれ男女雇用機会均等法違反だのと。
 今現在、宗内ではそれでいいという空気が蔓延しているので、誰1人口に出して文句を言う者はいないが、今後、信徒が増えて行くと、絶対に文句言うヤツが出てくると思うぞ。
 特に、学会や顕正会から来た罪障・害毒まみれの女辺り。
 パラパラ茜さん、もしかしてアンタか?
 彼女を紹介した人は、ちゃんと最後まで責任取るんだよ。

 因みに分かっている人は分かっているが、巫女は神職ではないので念の為。
 いかにもな恰好はしているものの、日蓮正宗でいうところの任務者程度でしかない。
 嘘だと思うなら、大石寺よりもっと市街地寄りにある浅間大社に行ってみるといい。
 彼女らが儀式を先導していることは無いから。

 以上、神道を語らせたら仏教より深い私でした。

 まあまあ。今は不良信心とはいえ、正式な宗門信徒なのだから、せいぜい巫女さんは横目で見ながら、登山はしっかり行かないとね。
 高速バスなら、往復ともに浅間大社の横通るからw
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“ユタと愉快な仲間たち” 「魔界編突入」

2015-01-06 15:13:57 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[2015年1月1日22:00.長野県北部 マリアの屋敷 イリーナ・レヴィア・ブリジッド、マリアンナ・スカーレット、威吹邪甲、威波莞爾]

「ものの見事に荒らされてるわねぇ……」
 洋館は魔王軍襲撃に遭い、略奪された後だった。
 やはり直接指名手配は受けなくても、秘匿先としての弟子の住まいはターゲットになったらしい。
「だけど、連中は魔法には疎いから、魔法具は持ってかれてないね」
 倉庫に行くと、魔法具は手つかずのままだった。
「蘇生魔法に使う道具は……これとこれ……それに、あれ……」
「早くしろよ。もしかしたら、新手が来るかもしれんぞ?」
 威吹が言った。
「多分来るよ」
「なに!?」
「だから、威吹君達も連れて来たの」
「いたぞ!指名手配の魔道師達だ!!」
「マジかよ……」
「先生、行きましょう」
「いいように使われてるなぁ……」
 2人の妖狐は抜刀すると、新たな魔王軍の追っ手に斬り込んで行った。

[同年月日同時刻 地獄界・叫喚地獄 蓬莱山家 蓬莱山鬼之助&稲生ユウタ]

「どーれ……。ちょっくら行ってくるかぁ……」
 キノはバキボキと手の指を鳴らした。
「栗原さんの所?」
「それもあるし、魔界に抗議に行ってくる。どうせイブキ達も行くだろうからな」
「獄卒の仕事は?」
「これが仕事だ。魔界からの脅威を何とかしねーと、仕事になんねぇ」
 座敷牢にいるのは夜中の間だけで、それ以外の時間帯は無理に入っている必要は無いらしい。
 美味しそうな人間というだけで、ユタは長姉の美鬼(みき)に気に入られ、更なる厚遇を受けることになった。
「じゃあな。この家じゃ、姉貴が法律だ。そこんとこ忘れるなよ?」
「分かった。ありがとう」
 キノが外に出ると、奥から美鬼がやってきた。
「んー?鬼之助はもう行ったん?」
「ええ。今しがた……」
「あのコも言い出したら聞かんき、好きにさせとくがな」
「はあ……」
「ところでこのゴタつき片付いたらな、獄卒採用試験を大幅に行うっちゅう話あるんやけど、受ける?何なら、ウチの顔で一次試験免除くらいにはしはったるよ?日本の国家公務員以上の厚遇やで?
「いえ、結構です」
 魔道師の誘いだの、引く手数多のユタだった。

[1月2日00:02.長野県北部 マリアの屋敷 イリーナ、マリア、威吹、カンジ]

「……気配が無くなったな」
「ええ」
 2人の妖狐達は魔王軍の新手数十名を2人で倒してしまった。
「お見事。せっかく攻撃魔法の用意してたんだけど、アタシの出番は無かったね」
 イリーナは驚いたような、感心したような顔をした。
「少し休んでから魔界に行きましょう」
「ユタを生き返らせないのか?」
「あともう1つ道具がいるんだけど、それが何と魔王城にあるの」
「魔王城だ!?」
「しかも今、魔界は内戦の場。正念場になるわ。ここは結界を張るから、一晩くらいゆっくりできるわよ」
「そんなヒマは無い。ユタを一刻も早く生き返らせるのが最優先だ」
「それに、バァルも何とかしませんと。安全を確保しないことには、また元の木阿弥です」
「食事とお風呂くらい入ったら?随分着物も汚れてるよ?」
 イリーナは溜め息をついて言った。

[同日01:00.埼玉県さいたま市大宮区 大宮公園駅 キノ&栗原江蓮]

 もうとっくに終電の出たホーム。
 何故かそこにキノと江蓮がいた。
「誰かを守りながらの戦いはキツいって前に言わなかったか?」
 不機嫌そうな顔で言うキノ。
「聞いてない。てか、私だけのうのうとしてるわけにはいかないっての」
 まだ被害の無い大宮区。
 そこへ終電も行ったというのに、踏切の鳴る音が聞こえて来た。
「ったくよォ……。帰ったら、またヤらせろよ?」
「帰りは夜中にならない時間でね。てか、この恰好じゃ補導されるっての」
 江蓮はコートの下に着ている制服を見ながら答えた。
 キノが望んだ恰好である。
 そこへ電車が入線してきた。
 見た目は普段運行している8000系の旧型車に見えるが、チラッと見える車体番号の1000の位は5になっていた。
 車体の塗装はくすみ掛かり、行き先表示も『臨時』としか表示されていない。
「ちょうどこの日、魔界行きの電車が走ってるなんて都合良過ぎない?」
「偶然だよ」
 ゴタついている魔界に行く者は誰1人おらず、6両編成の中間車に乗り込んだ2人以外に乗客の姿は無かった。
 東武鉄道から除籍されて廃車になり、冥界鉄道公社に引き取られた元5000系は2人を乗せると柏方面に向かって走り出した。
 付近住民からは時折、野田線を幽霊電車が走行するという噂が絶えず流れているらしい。
 真偽のほどは、【お察しください】。

[現地時間2015年1月2日07:00.魔界アルカディア王国・魔王城 塔屋部分 ルーシー・ブラッドプール1世]

 城の塔部分と言えば、高貴な罪人が収監される牢屋があるという。
 魔王城も例外ではなく、ここにもそういった施設があった。
 そこに収監されているのは、かつて代行統治委任とはいえ、少なくとも国民や議会からは女王陛下と万歳され、そして自身もそれに手を振って応えていたルーシー・ブラッドプールその者であった。
 ウェーブの掛かった金髪に透き通るようなブルーの瞳、肌も雪のように白いが、変に青白くない所が高貴の出であるとされている。
 大魔王バァルから代行者にあるまじき越権行為の数々を断罪され、収監されてここに至る。
「お食事の時間ですよ」
 そんなルーシーの看守を務めるのは、人型の妖怪。
 見た目は人間とよく似ているが、種族までは分からないものの、妖怪の臭いがする。
「ルーシー様はO型の血液がお好きでしたね」
 西洋の鎧兜に身を包んだ看守が持ってきたのは、血液パック。
 ルーシーはヴァンパイアが出自である。
「私は……処刑されるのだろうか……」
「私は一介の看守ですので何とも……。ただ、皇帝陛下は相当お怒りの御様子です。そのお怒りが鎮まられるのを願うしかないでしょう」
「ハルアキはどうしてる?」
「元総理なら、地下牢の方に収監されてます。ルーシー様におかれましては、この通りただの拘置ですが、元総理に対する尋問は相当なものだと伺っております」
 例えバァルに対する目に余る越権行為の数々とはいえ、そこはあまり強くはできないのだろう。
 バァル本人の任命責任にも関わってくるし、ルーシーはヴァンパイアの貴族の娘である。
 無碍な扱いをしようものなら、そこから魔界に流れて来る資本(ルーシーの一族は人間界でも屈指の大富豪)がストップする恐れがある。
 それだけなく、反旗を翻して、また国に内乱が起こるとなるともっと面倒臭い。
 そういうことだろう。
「そうか……」
「元総理は皇帝陛下を唆した魔道師達とも繋がりがありましたので、尚更ですね」
(この国を救ってくれる勇者は、もういないのだろうか……)
 太陽の無い世界、魔界。
 王都も霧に包まれている日が多い“霧の都”だが、牢の窓から差し込む明かりは自然の光である。
 ルーシーは看守が持って来た、あまり新鮮とは言えない血液パックから吸血しながら窓を眺めた。
(実家にこの現状が分かってくれれば……でも……)
 一時期、皇太后として辣腕を振るったルーシーの母。
 普段はニューヨークで大企業の役員をしている。
 ワガママで出来の悪い娘に対しては厳しかった。この現状も自業自得だとされてしまうだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“ユタと愉快な仲間たち” 「地獄界の狭間で」

2015-01-06 02:21:19 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[2015年1月1日11:00.地獄界・叫喚地獄 蓬莱山鬼之助&稲生ユウタ]

 キノの大きな背中の後ろをついていくユタ。
 黒い羽織りの背中には、巴の紋のような刺繍が入っている。
 1時間は歩いているのだが、疲れが無い所を見ると、やっぱり自分が死んでしまったのだと薄々感じて来る。
 キノが真新しい羽織りを着ている理由が、途中で分かった。
 それはキノの同僚と思しき、同じ羽織りを着た鬼と会った時のこと。
 同じ階級のせいなのか気さくに話し掛けてきたが、その中に、
「今日から復帰か?おめでとさん」
 とか、
「復帰後の初仕事がこんなんじゃ、先が思いやられるなー」
 とか言っていた。
 それで、その羽織りが幹部クラスのユニホームのようなものだと分かったのである。

「獄卒に復帰したんだね?」
「ああ。今日からな。初仕事が、お前の相手だ。まあ、亡者いじめは一張羅のやることだが……」
 大きな家屋敷は再建中だ。
「魔族どもに、ここをやられてよ。ま、半壊半焼で済んだだけありがたく思わないとな」
「なるほど……」
 無事だった正門には、仁王像の如く鬼門の左右の2人が立っていた。
 人間界に来る時でも大柄な体付きだが、ここでは3メートルくらいの高さがある。
 キノの身長も180センチを超えているが、それが小柄に見えるくらいだ。
「鬼門の2人も無事だったんだね」
 もっと小さいユタは、まるで大仏を見上げるかのように鬼門達を見た。
「おう、稲生か」
「そういうオマエは死んでしまったか」
 左右は笑みを浮かべて答えた。
「まあ、とにかく入れや。再建中で、ちょっとゴタついてるけどな」
「お邪魔します」

 純和風の屋敷の再建に亡者を駆り出しているのかと思いきや、そうではなかった。
 普通に下級の鬼達だけが作業に当たっていた。
 確かに賑やかなものだが、母屋のとある和室に通されると、意外に静かなものだった。
「まあ、座れや」
「うん……」
 ユタが正座すると、キノも腰から刀を外して、こちらはあぐらをかいた。
「もう1度言うが、オマエはもう死んで魂だけの状態だ。本来ならここじゃなく、一張羅どもに相手される立場だ。オレは江蓮に頼まれて、オマエをここに連れて来ただけに過ぎねぇ。だから、チョーシ乗んなよ」
「分かった」
「で、まあ、オマエも寺に出入りしていたくらいだから、叫喚地獄とやらがどういう所かは知ってんだろ」
「まあ、何となくは……」
「オマエがこの地獄を出る方法は3つある。まず1つは、ここにいる期間も未来永劫というワケじゃねぇ。フツーにしてても、いずれここを出れる時は来る。まあ、その期間とやら、どれくらいかは言う必要は無ェな。それが1つ。もう1つは生きてる人間に卒塔婆を立ててもらうことだが、オマエの家族の信仰状況じゃムリポだな。そもそも、今の人間界の状況からして、すぐに卒塔婆を立てれる状況じゃねぇ」
「そんなに凄いの?」
「日本だけじゃなく、世界中の大都市が魔族どもの奇襲で大変なことになってるぜ。おかげで冥鉄も地獄界もウハウハだけどな」
「えー……」
 そしてキノは眉間にシワを寄せた。
「オマエ、どうしてそもそも魔界から指名手配食らってる魔女なんかに会おうとしたんだ?あ?大都市でもねぇ静岡のあの町がやられたのも、それが原因みてーなもんだよ。直弟子なんか、最重要参考人だからなー」
「ぼ、ボクはただ……藤谷班長に誘われて……富士宮に着いたら、マリアさんがいて……」
「ま、とにかく、オマエも原因の一端になったってことで、地獄行きになったんだろう」
「そんな……」
「それほどまでに、大魔王の怒りや執念深さは凄いってことだよ。……ああ、まだ3つ目を言ってなかったな。3つ目は、その魔女達に生き返らせてもらうことだよ」
「は!?そんなことができるの!?」
「ああ。オマエもゲームやってりゃ分かるだろ?そういう魔法があるってことをよ。だからこっちじゃ、あいつらは嫌われ者だぜ」
「うーん……」
「多分やるな。その魔女達はよ」
「やって……くれるのか」
「やるさ。高い確率で。それまでは、ここでおとなしくしてろ。……ああ、ただ一応罪人だからな、座敷牢には入ってもらう」
「どうしてキノはここまでしてくれるの?」
「言っただろ。江蓮に頼まれたんだって」
 するとキノは長く尖った耳を少し下げ、ニンマリと笑った。
「実を言うと、オレはオマエに感謝しなくちゃなんだ。何しろ、オマエが死んでくれたおかげで、ようやっとオレは江蓮の処女もらうことができたんだからな」
「……そうなの!?」
「ああ。オマエを特別扱いさせる代わりの条件として提示してみたら、意外とあっさり股開いてくれた。オレに取っては、かなりラッキーな話だった」
「そうなんだぁ……」
 まあ、キノは江蓮にベタ惚れで、そもそもキノが無期限停職食らったのも、獄卒には大厳禁の亡者との情交がバレた上に、勝手に転生させたからである。
 本来ならもっと厳罰に処されるところで、そこは家の力によるものだろう。
 そこまでするくらいの一途な性格だ。
 普段は飄々としていても、そこはちゃんとしてるから、ヤり捨てることはないだろう。
「人間界では今、何が起きてるの?」
「今は……」

[同年同日同時刻 静岡県富士宮市・市街地付近 威吹邪甲、威波莞爾、マリアンナ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

「これで、モンスター共も一掃かしら?」
 粗方魔族達を倒した威吹達の前に現れたのは、バァルから憤怒の矛先を向けられているイリーナだった。
「イリーナ!」
「マリア、何を泣いてるの。まだ泣くには早いわよ。早いとこ、蘇生魔法の準備をしなさい。いくら真冬とはいえ、魂の抜けた死体をそのままにしては悪くなる一方だからね」
「は、はい……」
 マリアはヨロヨロと立ち上がると、ユタの遺体の所へ歩いて言った。
「こちとら世界の垣根を越えて指名手配中なんだから、新手が来る前にズラかるよ」
 イリーナがそう言ってマリアの後ろから魔法を唱えると、ユタの遺体が5分の1サイズの木偶人形に姿を変えた。
「お、おい!」
 威吹が驚いて、イリーナに駆け寄る。
「大丈夫。あくまで、肉体の保存の為だから。あとは……」

 ザシャアアアアアッ!

「いたぞー!大魔王バァル様を唆した罪で指名手配の元宮廷魔道師、イリーナ!」
 馬頭が特徴の魔族が、新たな軍勢を引き連れてやってきた。
「あら?もう新手がやってきちゃった。じゃあ、逃げましょうか。……ル・ウラ!」
 イリーナほどのベテランになると、そこそこ高度な魔法でも呪文の詠唱無しで、いきなり魔法が使えるらしい。
「って、オレ達もかよ!?」
 一緒に空間を飛ぶ威吹とカンジだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする