報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「作戦について」

2023-07-19 20:28:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日10時00分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 善場主任の緊急の呼び出しにつき、事務所に向かった私達。
 鬼の男の目から逃れる為、車で向かった。
 デイライトの事務所には駐車場が無い為、一旦事務所のビルの前で運転手の高橋以外全員が降り、高橋は車をコインパーキングに止めに向かった。
 車を降りると、すぐにビルの中に入る。
 リサはパーカーを羽織っており、そのフードを深く被り、マスクも着用している。

 善場「皆さん、御足労ありがとうございます」

 事務所の中に入ると、すぐに善場主任が出迎えてくれた。

 愛原「高橋は車を止めてから、改めて来ますので……」
 善場「分かりました。取りあえず皆さんは、こちらへ」

 善場主任は奥の会議室へ案内してくれた。
 会議室には窓があるが、全ての窓にブラインドが下ろされている。

 善場「ここまで来たら、もうフードは取っていいですよ」
 リサ「はい」
 善場「適当にお座りください」

 私達は言われた通り、手近な椅子に座った。
 善場主任が温かいペットボトルのお茶を配る。

 善場「本日は突然のことで、申し訳ございません。愛原所長方の調査により、ようやくBSAAが動く運びとなりました。彼らは作戦の立案が早いもので、既にその原案を提示して参りました。是非ともその内容を精査し、御承認頂ければと存じます」
 愛原「ちょっと待ってください。そんな重大な作戦をどうして私達が承認しないといけないのですか?」

 すると善場主任は、プロジェクターを動かした。
 そこから白い壁に、作戦内容が映し出される。

 愛原「あっ、うちのマンションだ!……えっ?ということは……?」
 善場「はい。今回の作戦は、愛原所長のマンションで行われます」
 リサ「ええーっ!?」
 絵恋「無茶苦茶な作戦ね……」
 善場「それがBSAAのやり方でして、結構、海外でもそれは行われているんですよ」

 途中で高橋がやってきた。
 高橋も作戦の場所がうちのマンションということでびっくりしていた。

 愛原「マンションはもちろん、周辺住民をも巻き込むことになるのでは?」
 善場「もちろん、事前に避難命令を出します」
 リサ「引っ越しは?」
 善場「先に荷物を運び出してからで結構です。確か愛原所長、既に業者に手配は済んでいるそうですね?」
 愛原「もちろんです」
 善場「何とか今日の夜にでも、荷物は運びだせないでしょうか?住民の避難は、本日夜間に行いたいと思いますので」
 愛原「はあ……。しかし、そうなりますと、今夜はどこで寝れば?」

 うちの事務所にも仮眠設備はあるが、私と高橋が寝る想定なので、ベッドは2つしか無い。

 善場「こちらで寝泊まり可能です」
 愛原「えっ?」
 善場「前にお話ししませんでしたっけ?この事務所には、いつでもバイオテロに対応できるように、仮眠室があるという話……」
 愛原「ええと……」

 どうだったかな……。

 善場「ご覧になりますか?」
 愛原「あ、はい。お願いします」
 善場「こちらです」

 それはこのビルの地下にあった。
 地下室に仮眠室があった。
 私はついパイプベッドとか、2段ベッドが置かれているものだと思っていた。
 そういう部屋もあるのだが、和室もあった。
 寝る場所があるということは、シャワー室もある。

 善場「この通り、地下なので、外からリサの存在が見つかる恐れはありません」
 リサ「何かそれ……研究所にいる時みたい」
 善場「今夜だけ我慢してください。もちろん、リサ1人で寝泊まりしてもらうわけではありませんので」
 愛原「監視者の私もだろうなぁ……」
 絵恋「わたしもわたしも!」
 善場「残念ですが、愛原所長の事務所関係者の方以外は御遠慮ください」
 絵恋「ええーっ!?」
 愛原「となると、パールと絵恋さんってことになるな」
 絵恋「私達はどうしたら……」
 善場「この近くにビジネスホテルを取ってございます。そちらで、お休みください」
 絵恋「なんだ……」
 愛原「ビジネスホテルなら、そんなに料金も高くないだろう」
 善場「そうですね。それでは、作戦の打ち合わせに戻りましょう」

 私達は再び上階の会議室に戻った。

 愛原「主任、質問があります」
 善場「何でしょうか?」
 愛原「住民の避難命令を今夜に出すということですね?」
 善場「そうです」
 愛原「引っ越しの荷物は、それまでに運び出せということですね?」
 善場「そういうことです」
 愛原「その後で、私達はここの事務所に泊まるということで宜しいですか?」
 善場「はい、結構です。作戦決行の際は、車で送迎しますので」
 愛原「分かりました」

 BSAAの作戦、大まかな流れはこうである。
 今夜は住民の避難を行う。
 表向きの理由は、鬼の男が犯行予告を行った為ということにするそうだ。
 ありがちな爆弾テロの予告とかだと、バレた時の言い訳が大変なのでしないそうだ。
 つまり、真実とウソを織り交ぜるということだな。
 住民の避難が終わったら、リサを使って鬼の男を誘き寄せる。
 具体的にはマンションの屋上にて、リサには放電してもらう。
 要は電撃の技だな。
 マンションの屋上には避雷針があるので、そこに強い電撃を与えるくらいが良いという。
 鬼の男が東北新幹線の線路内に向かったのと、リサが新幹線車内で私に電撃を行ったタイミングが一致したことが分かり、鬼の男は、これでリサの気配を察知するのだと予想された。
 電撃をした後は急いで退避する。
 地下鉄の駅に避難し、そこから電車で上野駅を目指し、そこから予定の京成スカイライナーに乗るというものだ。
 幸い京成上野駅も地下にある。
 あとは、BSAAが鬼の男に対して、容赦ない集中砲火をして倒すという作戦だ。
 だったら何も無い場所、例えば特撮のロケなどに使われる採石場とか広い空き地などでいいのでは?と思うかもしれないが、逆に隠れる場所が無い。
 交通の便が車しか無いと、逃げ切れない恐れがある。
 また、リサとは無関係の場所に誘き寄せても引っ掛からないかもしれないという懸念があった。

 善場「埼玉では数人の女子中高生が鬼の男に襲われました。強姦され、食い殺されたコもいたそうです」
 愛原「うわ……」
 リサ「男の肉よりは、女の肉の方が食べやすいのは分かるけどさ……」
 愛原「いや、そこじゃない!」
 善場「その中には東京中央学園のOGもいたようで、リサは色々な意味で、学園では有名人だそうですね?」
 絵恋「もちろん!」
 善場「リサが東京中央学園の在校生であるかもしれないと、被害者が話してしまったそうです」
 リサ「うわ……」
 愛原「そうなると、上京してくる可能性はあるな」
 リサ「だからこそ、引っ越してしまうマンションで行おうということになったのでしょうね。さすがに学校では、あからさま過ぎますから」
 愛原「そういうことか……」

 だったら、もう少し今のマンションから離れた場所に引っ越した方が良かったかな?
コメント (2)
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“愛原リサの日常” 「鬼の男の影」

2023-07-19 15:26:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明(真夜中) 天候:不明 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 リサはふと夜中に目が覚めた。
 それは、下半身を何者かに弄られていたからである。
 真冬ながら半袖の体操服にブルマを穿いて寝ていたリサだったが、そのブルマがショーツと一緒に脱がされ、下半身が裸になっていた。
 そして、その露わになった性器を弄る手。
 最初は絵恋が夜這いでもしているのかと思った。
 絵恋と、そういうエロ小説を読んだことがあるからである。
 隣で寝ていて、わざわざこっそり夜這いというのも変な話だが、すぐにリサは気づいた。

 リサ「いぃっ!?」

 弄り方が絵恋のものではない。
 いきなりクリトリスを摘ままれ、リサは悶絶した。
 そして、布団の中から臭って来る男の匂い。
 残念ながらそれは愛原の匂いではなかった。
 かといって、高橋のものとも違う。
 暗闇の中に怪しく光る赤い瞳が2つ。

 リサ「お前……!!」

 それは、あの鬼の男だった。

[1月2日02時12分 天候:曇 愛原のマンション]

 リサ「……は!」

 そこでリサは目が覚めた。

 絵恋「リサさん、大丈夫?」

 隣で寝ていた絵恋が、心配そうに声を掛けてくる。

 リサ「あ……ああ……」

 リサは自分の下半身を触ってみた。
 ちゃんとブルマを穿いていた。

 絵恋「悪い夢でも見たの?汗びっしょりよ?」
 リサ「そ、そうだ。そうだよ……」
 絵恋「ね、シャワー浴びましょう。このままだと、リサさん風邪を引くわよ?」
 リサ「……鬼は風邪なんか引かない。……けど、汗でベトベトするから、シャワーは行く」
 絵恋「お供します!」
 リサ「エレンは寝てていいよ。わたしのせいで、起こしたみたいだし」
 絵恋「全然、気にしなくていいのよ。着替え、用意してあげるからね」
 リサ「自分で用意するって」
 絵恋「いいからいいから」

 部屋の中には、段ボール箱が積まれていた。
 引っ越しが迫っている為、ある程度の準備は進めている。

 絵恋「これでいいかしら?」

 絵恋はオーソドックスな白い体操服と紺色のブルマを取り出した。
 因みに今穿いているのは、エンジ色のブルマである。

 リサ「先生が見て喜ぶヤツね」

 リサはそれにプラス換えの下着も用意すると、バスルームに向かった。

 絵恋「さすがに寒いねぇ……」

 絵恋はジャージを着ていた。
 脱衣所でそれを脱ぐと、さすがに下はリサと同じ体操服とエンジ色のブルマを穿いていた。

 リサ「寝てていいのに」
 絵恋「ダーメ。私がリサさんの体、洗ってあげるんだから」
 リサ「ああ、そう……」

 2人の少女は一糸纏わぬ姿になると、バスルームの中に入っていった。

[1月2日08時00分 天候:晴 愛原のマンション]

 正月2日目の朝食は、高橋とパールが餅を焼き、雑煮を作った。

 愛原「仙台の実家では、餅を雑煮に中に入れないんだよね」
 高橋「えっ?仙台じゃ、餅を入れないんですか?」
 愛原「うちだけかもな。その代わり、ずんだ餅とか作ってたけど」
 高橋「そうでしたか。明日、作りますね」
 愛原「それは楽しみだな」

 と、そこへ愛原のスマホが鳴りだした。

 愛原「ん?あれ?善場主任からだ。もしもし?」

 愛原は電話に出ると、自分の部屋に戻って行った。

 絵恋「愛原先生も、お正月休み返上かしら?」
 高橋「先生は信頼されてるから、お忙しいんだよ」

 高橋は、まるで自分の事のように自慢した。

 リサ「善場さんからってことは、鬼の男に関する話かな?」
 絵恋「そう、かもね……」

 絵恋はリサから、夢の話を聞いた。
 鬼の男から強制猥褻を受けていたという夢の内容に憤慨していたが。

 リサ(夢の中のわたしは、どうして抵抗しなかったんだろう?そりゃあ、いきなりクリ掴まれたけど……)

 しばらくして、愛原が戻って来た。

 高橋「何かありましたか?」
 愛原「今日、緊急の話があるらしい。10時頃、デイライトさんの事務所に着けるようにするぞ」
 高橋「車、用意した方がいいですよね?」
 愛原「ああ。頼む」
 高橋「分かりました」
 リサ「わたしも行くの?今日は外出禁止じゃ?」
 愛原「ちょっと事情が変わった。車でこっそり行くから、用意してくれ」
 リサ「分かった!」

 部屋に閉じこもっているよりは外に出たいリサは、逆に少し嬉しかった。
 だが、深刻な顔をしている愛原を見ると、表立って喜ぶことができなかった。

 絵恋「私は……」
 愛原「ここにいる皆に関わることだから、全員来てほしいとのことだ」
 パール「私もですか?」
 愛原「ああ、そうだ」
 高橋「一体、姉ちゃん達は何をしようってことなんですか?」
 愛原「それをこれから話すから、デイライトの事務所まで来てほしいということだ。どうやら、BSAAが動いてくれることになったらしい」
 高橋「おおっ!それに協力しろってことっスね!?」
 愛原「そういうことだ。だが、鬼の男の被害は深刻だ。最近も昨夜は、埼玉で被害が相次いだらしい」
 高橋「また食い殺されたんスか!?」
 愛原「せっかくの朝飯が不味くなるから詳しくは言えないが、結論はそうだ。警察も翻弄されているし、ようやく鬼の男がBOWの一種だと分かったことで、ついに軍隊が動く運びとなったわけだ」
 高橋「それで、俺達はどう協力しろと?一緒に戦えってことっスか?」
 愛原「いや、違う。ただ、作戦には協力して欲しいということだ。その作戦というのが、かなり大がかりなものになるらしい」
 高橋「無事に引っ越し、できるんスかね?」
 絵恋「作戦協力にかこつけて、もう少し私が滞在できるなんてことは……」
 愛原「あー、それは無い。絵恋さんには予定通り、沖縄行きの飛行機に乗ってもらう」
 絵恋「それは残念……」
 愛原「作戦決行のタイミングは、むしろ絵恋さんのフライトに合わせるようなものだから。期待通りに飛行機に乗ってくれよ?」
 絵恋「ええっ!?」

 果たして、BSAAの作戦とは一体……?
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