報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「作戦決行当日」 2

2023-07-23 20:34:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日10時45分 天候:晴 東京都墨田区森下 愛原のマンション→都営地下鉄菊川駅→都営新宿線1005T電車5号車内]

 作戦決行の時間が近づいてきた。
 新大橋通りは避難区域は全面通行止めになり、一般車はもちろん、都営バスですら見かけることはない。
 その規制線をパトカーと黒塗りのハイエースが入って来た。
 もちろん、ハイエースにリサ達が乗っている。

 愛原「何だか物々しいな……」
 リサ「ねぇ、こんな状態で、のこのこ鬼の男がやってくるかなぁ?」

 リサは首を傾げた。
 普通なら、罠が仕掛けられると思うだろう。

 善場「人間のテロリストなら、絶対に警戒してこんな罠に引っ掛からないでしょうね。しかし、相手はBOWです。リサでも、暴走状態なら引っ掛かるでしょう」
 リサ「何それ……」
 善場「愛原所長が結婚指輪を掲げて、『結婚しよう!』と叫んでいたとします。しかし、背後にはBSAAが控えています。それでもリサはどうしますか?」
 リサ「あー……飛び込んでいく……かも」
 愛原「何だそりゃw」

 車がマンション裏手の駐車場に到着する。

 善場「それでは、屋上に向かいましょう。リサは私と来てください」
 リサ「うん」

 リサと善場は、無人となったマンションの中に入った。
 そして、エレベーターに乗り込み、屋上を目指す。
 5階建てのマンションであるが、屋上には避雷針が付いている。

 善場「思いっきりここで放電して、何ならそこの避雷針に電撃しても結構です」
 リサ「分かった」

 リサは思いっきり放電した。
 もちろん、善場は離れた所にいる。
 そして、右手を避雷針の前に突き出し、そこに強い電撃を与える。
 その為、まるで雷光のように屋上が光に包まれた。

 善場「こんなところでしょう。今すぐに離脱してください!」
 リサ「分かった」

 2人は再びエレベーターに乗り込んだ。

 リサ「久しぶりに電撃を放ったらスッキリした」
 善場「そうですか。とにかく、他人に電撃してはいけませんよ?」
 リサ「はーい」

 エレベーターが1階に到着し、急いでマンションを出る。
 そして、また車に乗り込んだ。
 菊川駅はすぐ近くだが、少しでも鬼の男の目からリサを隠したいということだ。

 善場「急いで駅の中へ!どうか、気を付けて!」
 愛原「ありがとうございました!」

 リサ達は菊川駅の階段を駆け下りた。
 駅構内に人は疎らだった。
 一応、ここも避難場所になっているはずだが、こんな地下鉄駅の中に留まるよりは、地上の他の避難場所や、電車は走っているのだから、それで避難区域外に行くという選択肢を取る人が多かったのだろう。
 リサ達は手持ちのICカードで、改札口を通過した。
 コンコースに入ると、もうすぐ電車が来るのか、強い風が拭き上がって来ている。

 愛原「急げ!」

〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。きくかわ~、菊川~〕

 リサ達は急いで、電車に乗り込んだ。
 尚、リサがいる場合は基本的に先頭車か最後尾に乗らないといけない決まりになっているのだが、次の森下駅で乗り換えるので、特例が認められている。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアと、ホームドアが閉まる。
 避難命令が出ている地区では、殆ど乗り降りは無かったようで、すんなりドアが閉まった。

 高橋「ギリ間に合いましたね」
 愛原「だが、まだ油断はできない。次の森下も避難区域内だから。そこから大江戸線に乗り換えるにしても、わざと大回りする必要がある」
 高橋「だから、こんなにタイミングが早いんスね」
 愛原「そういうことだ」

 鬼の男がどのタイミングで現れるか分からない。
 リサはいつも愛原にお仕置きをする程度の弱い電撃ではなく、それこそ並の人間なら感電死してしまうようなほどの高圧電流を放ったつもりである。
 愛原へのお仕置き程度の弱い電流で鬼の男が気づくくらいだから、リサにとっての最大電圧で気づかないとは思わなかった。

[同日10時56分 天候:晴 東京都江東区森下 都営地下鉄森下駅]

〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。もりした~、森下~〕

 森下駅にはすぐに到着する。
 ここで3人は電車を降り、都営大江戸線ホームへ。
 この駅も避難区域内にある為か、駅構内は人は疎らだった。
 リサ達みたいに、乗り換え客がいるくらいである。

 愛原「まだ、安心はできない。少なくとも、大江戸線に乗り換えて、避難区域外に出る必要がある」
 リサ「あいつ、今頃向かってるかな?」
 愛原「多分な」

 大江戸線なら1度たりとも地上に出ることはない為、地上からは発見されることはないはずである。
 改札階コンコースにて、取りあえず休憩。
 自販機コーナーがある。

 愛原「電車が行ったばかりなんよ」
 高橋「あー、そういうことですか。俺は一服したいくらいっス」
 愛原「タバコはムリだな」
 高橋「……サーセン」
 愛原「取りあえず、ジュース飲んだらホームへ行こう」
 高橋「はい」

 地下駅だから、地上の様子はよく分からない。
 予定通りであれば、鬼の男がマンションにやってきて、待ち伏せているBSAAが総攻撃を仕掛けるはずである。

 高橋「静かなもんすね」
 愛原「まあ、戦争でドンパチするわけじゃないからな。いくらBSAAがとんでもない兵器を持ち出すとはいえ、核兵器とか持ってるわけじゃないから。せいぜい対戦車砲とか、攻撃ヘリとか、そんなもんだろう」
 高橋「タイラントも倒せる対戦車砲なら、鬼の男もイチコロっスね」
 愛原「……だといいんだがな」
 リサ「うーん……」

 実はリサも懐疑的であった。
 今までバイオハザードの渦中にいた上級BOWも、結局はBSAAやその他特殊組織のエージェントなどに倒されているところを見ると、今回も大丈夫だとは思うのだが……。

 リサ「少し体が温まった。ごちそうさま」

 リサはホットレモンを飲み干した。

 愛原「それは良かった。それじゃ、行こうか」

 私達は大江戸線のホームに向かった。
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“愛原リサの日常” 「作戦決行当日」

2023-07-23 15:26:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日07時00分 天候:不明 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所・地下2階仮眠室]

 スマホのアラームで目が覚めた私。
 今はカプセルホテルのようなベッドの中にいる。
 枕元の明かりを点けると、私は上半身を起こした。
 天井が低いので、いきなり大きく飛び起きると頭をぶつける恐れがある。
 警備員時代、こういう設備を持った仮眠室で寝ていた時も似たような……。

 愛原「ん?」

 すると、隣のベッドで何か鈍い音がした。
 私がベッドのブラインドを開けると、隣のカプセルベッドから……。

 リサ「いだっ!」

 という声が聞こえた。
 どうやら、リサが頭をぶつけたらしい。

 愛原「おい、大丈夫か?」

 私がブラインドを開けると、体操服にブルマ姿のリサが頭を押さえていた。
 ただの2段ベッドではなく、こういうカプセルベッドにも消防法は適用されるもので、カプセル内にも煙感知器やスプリンクラーヘッドがある。
 それが余計に天井を低くさせているのだ。
 で、それらに強くぶつかると、感知器が誤作動を起こしたり、スプリンクラーが誤作動を起こしたりする。
 リサがどちらに頭をぶつけたのか分からないが、幸い何も起きなかったようだ。

 リサ「ツノが痛ーい!」
 愛原「何で鬼の姿で寝てるんだよ?」
 リサ「目が覚めたら、こんな感じだったの!」

 どうやらリサ、頭を直接ぶつけたわけではなく、頭から生えている2本の角のうち、1つをぶつけたようだ。
 鬼の石頭でも、角は弁慶の泣き所らしく、当たるととても痛いらしい。

 愛原「と、とにかく、人間の姿になるんだ。少しでも鬼の気配を隠さないと……」
 リサ「分かってるよ」

 もちろん、鬼の男は人間の姿のリサでも気づく恐れはある。
 あくまでも角が生えたり、耳が尖ったり、目つきが変わるだけで、顔自体が変わるわけではないからだ。

 高橋「……何かあったんスか?」
 愛原「いいから、さっさと起きるぞ」

 もしかしたら夜中に緊急招集が掛かるかもと善場主任は言っていたが、そんなことは無かったようだ。
 私達は洗面道具を持って、トイレに向かった。
 顔を洗ったりは、トイレの洗面所を使う。
 リサは体操服のまま、トイレに向かった。

 高橋「何も無かったみたいっスね」
 愛原「俺達の出番が無かったというだけで、けして平和というわけではないだろうな」

 顔を洗ったり、着替えたりしていると、仮眠室内の内線電話が鳴った。

 愛原「もしもし?」
 善場「おはようございます、愛原所長」
 愛原「おはようございます」
 善場「朝食の用意ができたので、上に来れますか?」
 愛原「あ、はい。今行きます」

 私は電話を切った。

 愛原「朝飯の準備ができたそうだ。リサが戻ってきたら行くぞ」
 高橋「うぃーっす!」

 リサは急いで戻ってきた。

 リサ「朝ごはんだね!」
 愛原「聞いてたのか」
 高橋「地獄耳だな……」

 リサはグレーのフード付きパーカーと、デニムのショートパンツに着替えていた。
 特にその下にレギンスを穿くことはなく、生足である(もちろん、靴下は履いている)。

 リサ「早く行こう!」
 愛原「慌てなくていいから」

 リサはそれまで着ていた体操服とブルマを、自分の荷物の中に突っ込んだ。
 ショートパンツを穿く時は、下にオーバーパンツを穿くことはない。
 鬼(BOW)の体温は高いので、特に寒さを感じることはないらしい。
 仮眠室を出ると、廊下の奥にあるエレベーターに乗り込んだ。
 この地下2階もデイライトが借りているフロアのようで、デイライトのカードキーが無いとこのフロアに行けないようになっている。
 私達はそのエレベーターに乗って、1階に向かった。

 善場「おはようございます、愛原所長」
 愛原「おはようございます。すいませんね、私達だけグースカ寝て……」 
 善場「いえいえ、どうぞお気になさらず。それより、向こうの部屋にお弁当を置いてありますから。飲み物は適当に自販機で購入してください」
 愛原「ありがとうございます」

 案内された会議室に行くと、コンビニ弁当が置かれていた。
 善場主任あるいは別の職員が、近くのコンビニで購入したものだろう。

 リサ「コンビニ弁当……」
 愛原「唐揚げが何個も入ってる、唐揚げ弁当なんだからいいだろう」

 で、私のは幕の内弁当。

 高橋「すげーっ!朝からカツ丼っスよ!」

 リサは室内に置かれていた電気スタンドを高橋の前に置き、そして、高橋の方に向けて点灯した。

 リサ「美味いか?食ったら、仲間の居場所について吐こうな?」
 高橋「くぉらーっ!!」
 愛原「刑事ドラマごっこすなっ!」
 高橋「俺は意地でも黙秘するぜ!弁護士を呼んでくれーっ!」
 愛原「いや、お前ね……」
 善場「あなたの場合、国選弁護人しか弁護を引き受ける人はいないと思いますが」
 愛原「あっ、善場主任」
 善場「食べながらでいいので、聞いてください。まずは現況について説明します」
 愛原「お願いします」
 善場「菊川地区とその周辺地区の住民の避難は、現在進行形です」
 高橋「まだ、避難終わってねーのかよ……」
 愛原「菊川の他に森下とか住吉とかも入ってるんだろ?そりゃ時間掛かるよ。お年寄りもいることだし」
 善場「そうですね」
 愛原「ですが、結構大がかりな避難になっているようです。地下鉄は動いているんですか?」
 善場「はい。東京都交通局には、運転を続けるように伝えてあります。駅も避難場所の1つですから」
 高橋「防空壕代わりってか」
 善場「そんなところです」
 愛原「それで、鬼の男はどこに?」
 善場「今のところ、消息を眩ませています。ただ、都内にいるのは間違いないようです。少なくとも菊川地区やその周辺地区では無さそうですね」

 恐らくマスコミやSNSが大きく騒ぐだろう。
 鬼の男がそれを知ったら、どう動くのだろうか?

 善場「これは私の予想なのですが……」
 愛原「はい?」
 善場「女性しかいない家庭……例えば、シングルマザーで娘しかいない家庭とかですね。そこに入り浸って、血と肉を貪っているのではないかと……」
 愛原「ええーっ!」
 リサ「うう……有り得そう……」

 ホテル天長園の上野利恵も言っていた。
 もしも利恵が鬼ではなかったら、鬼の男は利恵を襲い、更に娘達の上野姉妹をも食的・性的に『食って』いただろうと。
 さすがの鬼の男も共食いはしないようで、利恵が同じ鬼だと分かると、憤慨して立ち去って行った(どうやら鬼の男は熟女はタイプではないもよう)。
 リサを狙っているのは、食料として食う為ではなく、性的に襲う為である。
 男の下半身はこういう時強いので、世の女性達は侮ってはならない。

 高橋「鬼舞辻無惨でさえ、年平均ペースでは1人から2人しか食わなかったっつーのに、贅沢な野郎だ」
 善場「それだけ若いのでしょうね。若いうちは、どんどん食べますから」
 リサ「……多分、年齢的には、わたしと同じくらいだと思う」
 高橋「それは人間の?それとも、鬼のか?」
 リサ「鬼の、だと思う」
 愛原「調査でも多分、人間換算年齢と実年齢はそんなに変わらないと思うぞ。それこそ、リサと同じく高校生くらいかもしれんよ」
 高橋「じゃあ、ガッツリ食いますね」
 リサ「うん、ガッツリ食う」
 善場「だから、このままガッツリ人間を食べさせるわけにはいかないのです」
 愛原「その通りですね。それで、作戦決行はいつになりますか?」
 善場「避難は予定通りに進んでいるので、それも予定通りに行えるかと」
 愛原「分かりました」

 鬼の男が善場主任の予想通りの行動をしているのなら、一刻も早く助けたいが……。
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