[1月1日16時00分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]
デイライトの入居しているビルの前に、1台の車が停車する。
それは高橋の乗った車だった。
私の事務所が業務用にリースしている車である。
トールワゴン型のライトバン。
たまにタクシーでも使われているタイプである。
こういうライトバンは、どこにでもいる、つまりどこにいても違和感が無い為、隠密調査の時には重宝するのである。
高橋「お迎えに参りましたー」
愛原「ありがとう。それでは善場主任、私達はこれで失礼します」
善場「お手数お掛けしました。私も出ますので」
愛原「本当に正月休み返上ですか。大変ですね」
善場「仕方がありません。それに……もっと大変なことになりそうですので」
愛原「もっと大変なこと?」
善場「失礼します」
善場主任は事務所を閉めると、新橋駅の方に歩いて行った。
愛原「とにかく、車に乗ってくれ」
リサ「はーい」
リサと絵恋は、リアシートに乗ってもらった。
この車のリアシートから後ろの窓は、スモークになっている。
私はというと、助手席に座った。
愛原「それじゃ、事務所まで」」
高橋「はいっ!」
高橋は車を走らせた。
愛原「パールは留守番か?」
高橋「そうです。今、夕飯の支度をしてますよ」
愛原「そうか」
そして、私は後ろを振り向いた。
愛原「リサ。明後日の絵恋さんの見送りまで、外出は控えるようにとのことだ」
リサ「そう……」
愛原「まあ、引っ越しの準備でもすればいいさ」
絵恋「そうよ、リサさん。私も手伝うから」
リサ「うん、分かった」
高橋「それと先生、善場の姉ちゃんがブチギレる情報が入りましたよ」
愛原「何だ?」
高橋「“青いアンブレラ”です。アネゴが動き出しました。例の鬼の男退治に、BSAAが動かないもんだから、“青いアンブレラ”が動くから、日本政府に許可出せってゴネたらしいっスw」
愛原「正月早々、岸田総理を動かす気か。海外は動きが早いな」
高橋「そういうことです」
さっき、善場主任が慌てて出て行ったのは、そういうことだったのか。
車から流れて来るラジオも、正月特番である。
高橋はどちらかというと、車の中ではラジオを聴く方である。
愛原「鬼の男は警察を全滅させた後、また行方を眩ませたそうだ。だが、リサが上りの新幹線に乗っていたことがバレたのであれば、こっちに来る可能性が高い。リサ、見つかるなよ」
リサ「分かった。あんな男、わたしは嫌い」
絵恋「そうよ!リサさんには私がいるんだから!」
リサ「いや、私の男は先生だけだから」
愛原「そりゃどうも」
それにしても白井のヤツ、永遠の命に興味を持っていたようだが、その答えが『鬼』というのはしっくりこないな。
まあ、マッドサイエンティストの考えることだから、こちらは理解できないのだろうが……。
高橋「先生。リサって、普通の人間をゾンビに変える力はまだ残ってるんですか?」
愛原「リサ、どうなんだ?」
Tウィルスが体内に残っていた時は、その力があった。
しかし、今はそれはもう無い。
あるのは、特異菌だ。
Gウィルスは名前こそウィルスであるものの、感染力は物凄く弱く、Gウィルス自身が排出した胚に寄生されて、初めて感染する。
つまり、保有者のリサに噛み付かれても、Gウィルスに感染することはまず無い。
しかし、特異菌は……。
リサ「多分、無いと思う。特異菌はカビの一種だけど、それをGウィルスが食べてる感じ」
しかし、繁殖力の強いカビだから、Gウィルスが食べても食べ尽くされることはなく、また繁殖してしまう。
そしてそれをまたGウィルスが食べて、また繁殖し……の無限ループである。
リサの場合はそうであるが、上野利恵と鬼の男はもっと別の物がブレンドされているという。
特異菌が使用されているのは間違いないが、利恵達の特徴を見ると、それ以外にもあるようだ。
Tウィルスもそうだが、それ以外にもあるとのこと。
愛原「リサは無いけど、利恵や鬼の男はどうかって感じか……」
白井はTウィルスによるゾンビ化を忌み嫌っていたという。
本来の使い方は、それではないと。
アメリカのアンブレラ本体に在籍していたアッシュフォード博士は、筋ジストロフィーの治療薬に使おうと考えていたようである。
高橋「先生、もしかして……」
愛原「高橋は、『彼岸島』ってマンガは知ってるか?」
高橋「ええ、知ってますよ!」
愛原「俺は鬼の男が、雅の役をやらないか心配なんだ」
高橋「その、鬼の男は吸血鬼なんですか?」
愛原「いや、人食い鬼だろう。もちろん、人食いの一環で人の生き血を啜ることも好きだろうがな」
リサ「うん、大好き!」
愛原&高橋「コォラ!」
リサ「せ、先生の血だけだよぉ~!」
絵恋「私の血も吸っていいからね?」
リサ「ありがとう。……あ、先生。そろそろ先生の血中老廃物を啜りたいなぁ……なんて」
愛原「帰ったらな」
リサ「やった!」
絵恋「リサさん、私には!?ねぇ、私には!?」
リサ「先生の後でやってやる」
絵恋「も、萌えーっ!」
リサは助手席に身を乗り出して言った。
リサ「鬼の男は、人間を食う度に強くなるタイプだと思う」
愛原「『彼岸島』じゃなくて、『鬼滅の刃』かよ」
リサ「わたしは、せいぜい血を少し啜る程度だから、そんなに強くないかもしれない」
愛原「大丈夫だよ。オマエのGウィルスも大概だぞ」
リサ「だと、いいんだけどね」
愛原「とにかく、今日は急いで帰るぞ。で、明日は外出禁止だ。分かったな?」
リサ「はーい」
愛原「成田空港への見送りはOKだ。善場主任は、むしろ成田空港の方が安全なんじゃないかって言ってた」
高橋「確かに。鬼野郎からすれば、成田空港どっから出て来たって感じっスもんね」
愛原「そういうことだな」
高橋「すると危険なのは……」
愛原「東北新幹線の沿線だな」
高橋「上野に行くんスよね?大丈夫っスか?」
愛原「京成上野駅はJR上野駅とは別の場所にあるし、上野御徒町駅から地下道を通って行けば大丈夫だろう」
リサ「なるほど……」
デイライトの入居しているビルの前に、1台の車が停車する。
それは高橋の乗った車だった。
私の事務所が業務用にリースしている車である。
トールワゴン型のライトバン。
たまにタクシーでも使われているタイプである。
こういうライトバンは、どこにでもいる、つまりどこにいても違和感が無い為、隠密調査の時には重宝するのである。
高橋「お迎えに参りましたー」
愛原「ありがとう。それでは善場主任、私達はこれで失礼します」
善場「お手数お掛けしました。私も出ますので」
愛原「本当に正月休み返上ですか。大変ですね」
善場「仕方がありません。それに……もっと大変なことになりそうですので」
愛原「もっと大変なこと?」
善場「失礼します」
善場主任は事務所を閉めると、新橋駅の方に歩いて行った。
愛原「とにかく、車に乗ってくれ」
リサ「はーい」
リサと絵恋は、リアシートに乗ってもらった。
この車のリアシートから後ろの窓は、スモークになっている。
私はというと、助手席に座った。
愛原「それじゃ、事務所まで」」
高橋「はいっ!」
高橋は車を走らせた。
愛原「パールは留守番か?」
高橋「そうです。今、夕飯の支度をしてますよ」
愛原「そうか」
そして、私は後ろを振り向いた。
愛原「リサ。明後日の絵恋さんの見送りまで、外出は控えるようにとのことだ」
リサ「そう……」
愛原「まあ、引っ越しの準備でもすればいいさ」
絵恋「そうよ、リサさん。私も手伝うから」
リサ「うん、分かった」
高橋「それと先生、善場の姉ちゃんがブチギレる情報が入りましたよ」
愛原「何だ?」
高橋「“青いアンブレラ”です。アネゴが動き出しました。例の鬼の男退治に、BSAAが動かないもんだから、“青いアンブレラ”が動くから、日本政府に許可出せってゴネたらしいっスw」
愛原「正月早々、岸田総理を動かす気か。海外は動きが早いな」
高橋「そういうことです」
さっき、善場主任が慌てて出て行ったのは、そういうことだったのか。
車から流れて来るラジオも、正月特番である。
高橋はどちらかというと、車の中ではラジオを聴く方である。
愛原「鬼の男は警察を全滅させた後、また行方を眩ませたそうだ。だが、リサが上りの新幹線に乗っていたことがバレたのであれば、こっちに来る可能性が高い。リサ、見つかるなよ」
リサ「分かった。あんな男、わたしは嫌い」
絵恋「そうよ!リサさんには私がいるんだから!」
リサ「いや、私の男は先生だけだから」
愛原「そりゃどうも」
それにしても白井のヤツ、永遠の命に興味を持っていたようだが、その答えが『鬼』というのはしっくりこないな。
まあ、マッドサイエンティストの考えることだから、こちらは理解できないのだろうが……。
高橋「先生。リサって、普通の人間をゾンビに変える力はまだ残ってるんですか?」
愛原「リサ、どうなんだ?」
Tウィルスが体内に残っていた時は、その力があった。
しかし、今はそれはもう無い。
あるのは、特異菌だ。
Gウィルスは名前こそウィルスであるものの、感染力は物凄く弱く、Gウィルス自身が排出した胚に寄生されて、初めて感染する。
つまり、保有者のリサに噛み付かれても、Gウィルスに感染することはまず無い。
しかし、特異菌は……。
リサ「多分、無いと思う。特異菌はカビの一種だけど、それをGウィルスが食べてる感じ」
しかし、繁殖力の強いカビだから、Gウィルスが食べても食べ尽くされることはなく、また繁殖してしまう。
そしてそれをまたGウィルスが食べて、また繁殖し……の無限ループである。
リサの場合はそうであるが、上野利恵と鬼の男はもっと別の物がブレンドされているという。
特異菌が使用されているのは間違いないが、利恵達の特徴を見ると、それ以外にもあるようだ。
Tウィルスもそうだが、それ以外にもあるとのこと。
愛原「リサは無いけど、利恵や鬼の男はどうかって感じか……」
白井はTウィルスによるゾンビ化を忌み嫌っていたという。
本来の使い方は、それではないと。
アメリカのアンブレラ本体に在籍していたアッシュフォード博士は、筋ジストロフィーの治療薬に使おうと考えていたようである。
高橋「先生、もしかして……」
愛原「高橋は、『彼岸島』ってマンガは知ってるか?」
高橋「ええ、知ってますよ!」
愛原「俺は鬼の男が、雅の役をやらないか心配なんだ」
高橋「その、鬼の男は吸血鬼なんですか?」
愛原「いや、人食い鬼だろう。もちろん、人食いの一環で人の生き血を啜ることも好きだろうがな」
リサ「うん、大好き!」
愛原&高橋「コォラ!」
リサ「せ、先生の血だけだよぉ~!」
絵恋「私の血も吸っていいからね?」
リサ「ありがとう。……あ、先生。そろそろ先生の血中老廃物を啜りたいなぁ……なんて」
愛原「帰ったらな」
リサ「やった!」
絵恋「リサさん、私には!?ねぇ、私には!?」
リサ「先生の後でやってやる」
絵恋「も、萌えーっ!」
リサは助手席に身を乗り出して言った。
リサ「鬼の男は、人間を食う度に強くなるタイプだと思う」
愛原「『彼岸島』じゃなくて、『鬼滅の刃』かよ」
リサ「わたしは、せいぜい血を少し啜る程度だから、そんなに強くないかもしれない」
愛原「大丈夫だよ。オマエのGウィルスも大概だぞ」
リサ「だと、いいんだけどね」
愛原「とにかく、今日は急いで帰るぞ。で、明日は外出禁止だ。分かったな?」
リサ「はーい」
愛原「成田空港への見送りはOKだ。善場主任は、むしろ成田空港の方が安全なんじゃないかって言ってた」
高橋「確かに。鬼野郎からすれば、成田空港どっから出て来たって感じっスもんね」
愛原「そういうことだな」
高橋「すると危険なのは……」
愛原「東北新幹線の沿線だな」
高橋「上野に行くんスよね?大丈夫っスか?」
愛原「京成上野駅はJR上野駅とは別の場所にあるし、上野御徒町駅から地下道を通って行けば大丈夫だろう」
リサ「なるほど……」