[1月3日23時24分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅]
〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車と地下鉄半蔵門線は、お乗り換えです。錦糸町から先は、各駅に止まります〕
電車の中では何も起きなかった。
リサは車内販売で購入したジュースやスナックを口にしたことで、ようやく安心したようである。
愛原「よし、ここで降りるぞ」
高橋「はい」
車内はさすがに成田空港を出発した時よりは、客が増えたが、それでも混雑というには程遠い。
2階席も、半分も埋まっていなかった。
〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、馬喰町に、停車します〕
錦糸町駅のホームは、意外と乗客が多かった。
まあ、都内でも屈指の繁華街の駅であるから、例え三が日であっても人はそれなりにいるのだろう。
リサ「ちょっとトイレ行ってくる」
愛原「ああ。行ってこい」
ホームから多くの人が賑わうコンコースに下りると、リサはトイレに行ってきた。
因みにジュースやスナックの空き缶や空き箱は、デッキのゴミ箱に捨てている。
高橋「ここから、タクシーっスか?」
愛原「ああ、そうだな」
[同日23時45分 天候:晴 同区菊川1丁目 愛原学探偵事務所]
錦糸町駅からタクシーに乗り、事務所まで戻る。
愛原「何か、久しぶりの事務所だなぁ……」
リサ「そして、今日最後の事務所だね」
愛原「明日、引っ越しだからな。まあ、実質的にそうか」
高橋「領収書、もらってきました」
愛原「ありがとう」
料金の支払いの為、最後に降りた高橋を待って、事務所の中に入った。
一応、飲み物などはビルの入口にある自販機で購入しておく。
事務所に入ると、一応、ある程度の物は梱包してある。
明日は午前中はマンションの引っ越し。
午後は事務所の引っ越しに充てるつもりである。
愛原「そっちの応接間、俺とリサで使うわ。高橋とパールは、折り畳みベッド使ってくれ」
高橋「分かりました」
寒くないよう、事務所内は暖房を入れておいた。
愛原「シャワー室は使えるから。あと、窓のブラインドは全部閉めとけ」
高橋「うっス」
私は応接室に入ると、カウチソファの背もたれを倒して、その上に布団を引いた。
愛原「明日は9時に荷物が新居に来るから、それまで向こうに行くようにしよう」
高橋「はい」
愛原「こっちは引っ越しで忙しいってのに、鬼の兄妹の対応がなぁ……」
高橋「アネゴ達に任せるしかないっスね」
愛原「全くだ」
高橋達は折り畳みベッドを引っ張り出すと、事務所内にそれを展開した。
愛原「リサ、先にシャワー浴びて来ていいぞ」
リサ「分かった」
リサは事務所内に置いていた荷物の中から着替えやら、タオルやらを取り出した。
そして、シャワー室へと向かって行った。
愛原「やれやれ……。とんでもないことになったな」
私は自分の寝床を用意しながら呟いた。
高橋「また、襲って来ますかね?」
愛原「どうだろう?だが、鬼は執念深いというからな」
高橋「京都の山奥から来たんですか?」
愛原「リサの話では、鬼の女はそう言ったらしいな。えーと……名前が殺鬼か」
5年前に天長会の『鬼になる儀式』だったかな?
それで鬼化した女である。
そういった意味では、兄妹で鬼になった時期が違うようだ。
リサの話によれば、殺鬼は兄の鬼之助には逆らえないようだったという。
高橋「鬼の男は、リサとヤりたいだけっスか」
愛原「彼女にしたいんだろうが、鬼の感覚では、彼女もセフレも同じなのかもな」
高橋「それじゃ、リサに1発ヤらさせれば解決っス!」
愛原「アホ。本人は嫌がってるんだぞ」
パール「それに、リサ様は先生一筋ですから、先生以外の男性とシたくないようですよ」
愛原「そういうわけだ。それなら尚更、鬼の男にリサを渡すわけにはいかんな」
高橋「はあ……」
パール「明日の朝食は、どうされますか?」
愛原「近くの店に、食べに行けばいいさ。明日は普通の平日だから、個人営業の店も開くだろうしな」
パール「かしこまりました」
しばらくして、リサがシャワー室から戻って来た。
夜間、共用部は空調が入らない。
また、昼間であっても、土日祝日においては、管理会社に申請しないと空調を入れてもらえないシステムになっている。
なので、共用部である廊下は寒かった。
それでもリサは、昨夜着ていた体操服に紺色のブルマという恰好であった。
鬼型のBOWは、特にそこまで寒いとは思わないらしい。
愛原「次はパールが入ってきていいよ」
パール「いいえ。次は、愛原先生がどうぞ」
高橋「そうっスよ。で、その次に俺が入るっス!」
愛原「いいのかい?」
すると、2人の元ヤンは同時に頷いた。
愛原「まあ、キミ達がそう言うのなら……」
私も着替えと洗面道具を手に、寒い廊下へと出た。
専有部である事務所内は、先ほど手動で暖房を入れたから温かいのだが……。
こりゃ、ヒートショック注意だな。
何しろ、シャワー室手前の脱衣所にも暖房器具は無いのだから。
それともあれかな?
熱い湯舟に浸かるからヒートショックが起きるんであって、シャワーくらいなら大丈夫かな?
今度、あれだな。
小型の暖房器具、購入して設置するか。
[1月4日00時30分 天候:晴 同事務所]
事務所内でお湯が出る水回りは4つ。
1つはシャワー室のシャワー。
もう1つは、脱衣所内にある洗面台。
更に1つはトイレ内の洗面台。
最後の1つは、給湯室のシンクである。
私はトイレの洗面所で、歯を磨いていた。
すると、鏡の向こう側から水の流れる音がする。
間取り図によれば、この向こう側は女子トイレの洗面台があるようなので、リサが歯磨きをしているのだろう。
トイレを出ると、案の定、リサも女子トイレから出て来た。
リサ「先生、もう寝るの?」
愛原「ああ。さすがに疲れたからな」
リサ「わたしも。色々あって疲れた。本当は、先生にマッサージしてあげたいのに……」
愛原「今夜は仕方が無い。明日……ああっと!もう日付が変わったか。今日は引っ越しだし、もう寝るとしよう」
リサ「えへへ……。先生と一緒の部屋ぁ~!」
愛原「いや、安全の為、応接室のドアは開けておくよ」
リサ「えー!」
それを聞いたリサは、少々ガッカリした様子であった。
〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車と地下鉄半蔵門線は、お乗り換えです。錦糸町から先は、各駅に止まります〕
電車の中では何も起きなかった。
リサは車内販売で購入したジュースやスナックを口にしたことで、ようやく安心したようである。
愛原「よし、ここで降りるぞ」
高橋「はい」
車内はさすがに成田空港を出発した時よりは、客が増えたが、それでも混雑というには程遠い。
2階席も、半分も埋まっていなかった。
〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、馬喰町に、停車します〕
錦糸町駅のホームは、意外と乗客が多かった。
まあ、都内でも屈指の繁華街の駅であるから、例え三が日であっても人はそれなりにいるのだろう。
リサ「ちょっとトイレ行ってくる」
愛原「ああ。行ってこい」
ホームから多くの人が賑わうコンコースに下りると、リサはトイレに行ってきた。
因みにジュースやスナックの空き缶や空き箱は、デッキのゴミ箱に捨てている。
高橋「ここから、タクシーっスか?」
愛原「ああ、そうだな」
[同日23時45分 天候:晴 同区菊川1丁目 愛原学探偵事務所]
錦糸町駅からタクシーに乗り、事務所まで戻る。
愛原「何か、久しぶりの事務所だなぁ……」
リサ「そして、今日最後の事務所だね」
愛原「明日、引っ越しだからな。まあ、実質的にそうか」
高橋「領収書、もらってきました」
愛原「ありがとう」
料金の支払いの為、最後に降りた高橋を待って、事務所の中に入った。
一応、飲み物などはビルの入口にある自販機で購入しておく。
事務所に入ると、一応、ある程度の物は梱包してある。
明日は午前中はマンションの引っ越し。
午後は事務所の引っ越しに充てるつもりである。
愛原「そっちの応接間、俺とリサで使うわ。高橋とパールは、折り畳みベッド使ってくれ」
高橋「分かりました」
寒くないよう、事務所内は暖房を入れておいた。
愛原「シャワー室は使えるから。あと、窓のブラインドは全部閉めとけ」
高橋「うっス」
私は応接室に入ると、カウチソファの背もたれを倒して、その上に布団を引いた。
愛原「明日は9時に荷物が新居に来るから、それまで向こうに行くようにしよう」
高橋「はい」
愛原「こっちは引っ越しで忙しいってのに、鬼の兄妹の対応がなぁ……」
高橋「アネゴ達に任せるしかないっスね」
愛原「全くだ」
高橋達は折り畳みベッドを引っ張り出すと、事務所内にそれを展開した。
愛原「リサ、先にシャワー浴びて来ていいぞ」
リサ「分かった」
リサは事務所内に置いていた荷物の中から着替えやら、タオルやらを取り出した。
そして、シャワー室へと向かって行った。
愛原「やれやれ……。とんでもないことになったな」
私は自分の寝床を用意しながら呟いた。
高橋「また、襲って来ますかね?」
愛原「どうだろう?だが、鬼は執念深いというからな」
高橋「京都の山奥から来たんですか?」
愛原「リサの話では、鬼の女はそう言ったらしいな。えーと……名前が殺鬼か」
5年前に天長会の『鬼になる儀式』だったかな?
それで鬼化した女である。
そういった意味では、兄妹で鬼になった時期が違うようだ。
リサの話によれば、殺鬼は兄の鬼之助には逆らえないようだったという。
高橋「鬼の男は、リサとヤりたいだけっスか」
愛原「彼女にしたいんだろうが、鬼の感覚では、彼女もセフレも同じなのかもな」
高橋「それじゃ、リサに1発ヤらさせれば解決っス!」
愛原「アホ。本人は嫌がってるんだぞ」
パール「それに、リサ様は先生一筋ですから、先生以外の男性とシたくないようですよ」
愛原「そういうわけだ。それなら尚更、鬼の男にリサを渡すわけにはいかんな」
高橋「はあ……」
パール「明日の朝食は、どうされますか?」
愛原「近くの店に、食べに行けばいいさ。明日は普通の平日だから、個人営業の店も開くだろうしな」
パール「かしこまりました」
しばらくして、リサがシャワー室から戻って来た。
夜間、共用部は空調が入らない。
また、昼間であっても、土日祝日においては、管理会社に申請しないと空調を入れてもらえないシステムになっている。
なので、共用部である廊下は寒かった。
それでもリサは、昨夜着ていた体操服に紺色のブルマという恰好であった。
鬼型のBOWは、特にそこまで寒いとは思わないらしい。
愛原「次はパールが入ってきていいよ」
パール「いいえ。次は、愛原先生がどうぞ」
高橋「そうっスよ。で、その次に俺が入るっス!」
愛原「いいのかい?」
すると、2人の元ヤンは同時に頷いた。
愛原「まあ、キミ達がそう言うのなら……」
私も着替えと洗面道具を手に、寒い廊下へと出た。
専有部である事務所内は、先ほど手動で暖房を入れたから温かいのだが……。
こりゃ、ヒートショック注意だな。
何しろ、シャワー室手前の脱衣所にも暖房器具は無いのだから。
それともあれかな?
熱い湯舟に浸かるからヒートショックが起きるんであって、シャワーくらいなら大丈夫かな?
今度、あれだな。
小型の暖房器具、購入して設置するか。
[1月4日00時30分 天候:晴 同事務所]
事務所内でお湯が出る水回りは4つ。
1つはシャワー室のシャワー。
もう1つは、脱衣所内にある洗面台。
更に1つはトイレ内の洗面台。
最後の1つは、給湯室のシンクである。
私はトイレの洗面所で、歯を磨いていた。
すると、鏡の向こう側から水の流れる音がする。
間取り図によれば、この向こう側は女子トイレの洗面台があるようなので、リサが歯磨きをしているのだろう。
トイレを出ると、案の定、リサも女子トイレから出て来た。
リサ「先生、もう寝るの?」
愛原「ああ。さすがに疲れたからな」
リサ「わたしも。色々あって疲れた。本当は、先生にマッサージしてあげたいのに……」
愛原「今夜は仕方が無い。明日……ああっと!もう日付が変わったか。今日は引っ越しだし、もう寝るとしよう」
リサ「えへへ……。先生と一緒の部屋ぁ~!」
愛原「いや、安全の為、応接室のドアは開けておくよ」
リサ「えー!」
それを聞いたリサは、少々ガッカリした様子であった。