報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「半鬼姉妹の離京」

2022-05-05 20:16:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月30日14:40.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅八重洲南口→東北新幹線ホーム]

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京駅八重洲口です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕

 私達を乗せた都営バスは、無事に東京駅八重洲南口に到着した。
 そこはJRバスのターミナルの並びである。
 なので、ここからJRバスに乗り換えるのであれば、とても便利だということだ。
 なのに、同じ有明から東京駅に向かうJRバスは遠く離れた日本橋口に到着する為に乗り換えが不便という……。
 東京駅の外観を丸の内側と八重洲側しか知らない上京者が、日本橋口で立ち尽くしているシーンを何度も見た作者である。


 愛原:「こっちだよ」

 バスを降りてそのまま進行方向に向かい、JRバスの乗り場の横を通って、駅構内に入る。
 確かにJRバスの到着地も八重洲南口だと思っていたなら、日本橋口に到着した途端、ここはどこ?状態になるだろう。
 八重洲南口と違い、駅の中に入ったらすぐにキップ売り場や改札口があるわけではないので。

 愛原:「俺達は入場券を買おう」

 私は券売機で入場券を3枚買った。
 東海道新幹線の改札口は独立しているので、入ればすぐ東海道新幹線のコンコースだが、他の新幹線は違う。
 まずは在来線コンコースに入って、そこから新幹線改札口を目指さなくてはならない。

 愛原:「お土産は買う?まだ少し時間あるよ?」
 上野凛:「買っておきます」

 上野姉妹はコンコース内にある土産物店で、土産を探し出した。
 とはいうものの、だいたい決まってるみたいだ。

 凛:「定番のがいいですね」
 愛原:「“ひよこ”、“ひよこサブレ”、“東京バナナ”、“ごまたまご”……確かに!」

 もちろん、自分達だけではなく、自分達が世話になっている天長会の人々にでも送るのだろう。

 愛原:「えーと……キミ達が乗るのは、23番線だな。……おっ、凄い。17両編成だって。こりゃいい」

 この姉妹達はまだデイライトの指示を受けていないので、どこの車両に乗っても良いはずだ。
 しかし……。

 高橋:「先生、一服したいんスけど、いいっスかー?」

 新幹線ホームの喫煙所狙いの高橋が、棒読みのように言った。

 愛原:「あいよ。すまんがキミ達、先頭車に乗ってもらってもいいかな?」
 凛:「いいですよ」
 愛原:「悪いね」

 17両編成ということは、E5系にE6系が連結されているということだ。
 上りはE5系に乗ったのだから、帰りはE6系に乗ると面白いと思ったのだ。
 私が乗るわけではないのだがな。

〔「今度の23番線の電車は、15時12分発、“なすの”261号、郡山行きです。17両編成で参ります。……」〕

 ホームに着くと、高橋はホームの喫煙所に向かった。
 私達は、先頭の17号車が来る辺りに並ぶ。
 並ぶといっても、そこまで端の車両では先客がいないほど空いているのだが。
 “なすの”号は、東海道新幹線で言えば三島や静岡止まりの“こだま”号みたいなものなので、乗客はそんなに多くない。
 23番線は新幹線ホームの中でも西端にあり、その向こう側は上野東京ラインのホームである。
 列車が来ないと、ホームからはそのホームがよく見えるのである。
 今は、普通列車が入線しているようだが……。

〔♪♪♪♪。23番線に、15時12分発、“なすの”261号、郡山行きが17両編成で参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車と11号車、自由席は1号車から5号車と、12号車から17号車です。まもなく23番線に、“なすの”261号、郡山行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 しばらく普通列車を眺めていると、接近放送がホームに響いた。
 東海道新幹線ホームと違い、JR東日本の新幹線ホームにはホームドアが無いので注意だ。
 これは車両形式も編成もバラバラで来るので、規格統一が条件のホームドアが設置できないのだろう。
 もっとも、鉄ヲタとしてはその方が楽しいのだがな。

〔「23番線、お下がりください。15時12分、当駅始発の“なすの”261号が参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください」〕

 比較的速い速度(時速70キロくらい?)で、列車が入線してくる。
 確か運転士が通常、手動でブレーキ操作するのは時速30キロ以下だから、それまではATCによる自動ブレーキで減速するはずである。
 もちろん、ホームにいたのでは、今のブレーキが自動なのか手動なのかは分からないが。
 E5系が初音ミクのような煌びやかなエメラルドグリーンなら、E6系はMEIKOのような鮮やかな赤である。
 車内はE5系の普通車はフル規格なので3人席があるが、E6系は在来線規格なので、2人席しかない。
 また、実はシートピッチもE5系普通車よりも狭くなっている。
 車両基地から整備済みの状態で来たからか、ここまでの乗客は乗っておらず、座席の向きも下り方向にセットされていた。
 なので、車掌が乗り込むとドアが開く。

〔「お待たせ致しました。どうぞ、ご乗車ください」〕

 ドアが開くと、上野姉妹は列車に乗り込んだ。
 大きな荷物は重そうだったが、半分BOWの血が入っている姉妹達には軽い物のようだ。
 ヒョイと荷棚の上に上げてしまう。
 そして、一旦ホームに降りて来た。

 凛:「今日まで、ありがとうございました」
 愛原:「いやいや、いいよ。気を付けて帰るんだよ。この列車で大丈夫?」
 凛:「はい。那須塩原で、最終バスに乗り継ぎできるので」

 この列車で那須塩原駅までは、1時間くらいしか掛からない。
 つまり、夕方前だというのに、もうこの2人の家まで行くバスは最終便の時間なのだ。

 愛原:「そうか。今度は入学式だな」
 凛:「はい。よろしくお願いします」
 愛原:「こちらこそ」

 2人とも、学校の寮に入ることになる。
 寮は特に中等部、高等部で別れているわけではないので、1つ屋根の下で暮らすのは間違いないようだ。
 また、基本的に寮は2人一部屋らしい。

[同日15:12.天候:晴 東京駅・東北新幹線ホーム]

 発車の時間が迫り、ホームに発車ベルが鳴り響く。
 上野姉妹も、車内に戻っていった。

〔23番線から、“なすの”261号、郡山行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
〔「23番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕

 ベルが鳴り終わると、甲高い客扱い終了ブザーが鳴り響く。
 これを合図に、車掌がドアを閉めるのである。

 高橋:「おっ、もう発車ですか?」

 このタイミングで、高橋が喫煙所から戻って来た。

 愛原:「オマエ、ギリギリだよ」

 私がツッコミを入れた時点でドアが閉まり、列車がゆっくりと走り出していた。
 最後に手を振って見送る。
 そして、1号車の尾灯まで見送ったところで、私達は歩き出した。

 愛原:「これで、ミッション終了だな」
 リサ:「帰るまでがミッションじゃないの?」
 愛原:「まあ、そうか」

 リサの言う通り、事務所に戻って報告書を作成し、それを提出するまでがミッションか。

 愛原:「それじゃ、戻るか。タダで」

 私は手持ちの都営バス1日乗車券を取り出して言った。
 東20系統が廃止されるまで、あと1日である。
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“私立探偵 愛原学” 「半鬼姉妹の都内観光」 7

2022-05-05 15:14:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月30日13:00.天候:晴 東京都江東区有明 有明パークビル2F レストラン“メヒコ”]

 有明駅で電車を降りると、すぐ近くにワシントンホテルがある。
 そこに隣接したビルの中に、今日のお目当てがあった。

 愛原:「ここです」
 善場:「これはまた、いい所を見つけましたね」
 愛原:「本当に宜しいんですか?」
 善場:「構いませんよ。私から彼女達へのはなむけです」

 レストランの中に入ると、熱帯魚の入った水槽が出迎えてくれる。

 リサ:「これを調理してくれるの?」
 愛原:「料亭の活け造りか!違う違う。これはただの観賞用だよ」
 リサ:「なーんだ」
 高橋:「熱帯魚が食えるわけねーだろ」
 リサ:「でも、美味しそうだよ」
 高橋:「だから、食うなっつの!」
 善場:「6名です」
 店員:「かしこまりました。こちらへどうぞ」

 店内には他にも、大きな水槽がある。
 リサには、活け造り用の魚が泳いでいるようにしか見えないようだ。

 愛原:「他の見方ができないのか?」
 リサ:「んー……実験用?」
 愛原:「アンブレラの研究所か!……そういえば霧生市の研究所に、空の水槽があったな……」

 席に座ると……。

 善場:「愛原所長のオススメは何ですか?」
 愛原:「もちろん、ここに来たら蟹ピラフだと思います」
 善場:「でしょうね」
 リサ:「ステーキ……」
 高橋:「蟹ピラフだっつってんだろ。先生の御心を知れよ」
 凛:「蟹ピラフ、美味しそうですね」
 リサ:「ドリンクとデザートも頼んでいい?」
 善場:「それはいいですよ」

 というわけで、料理は全員蟹ピラフを注文した。

 店員:「お待たせしました!」

 しばらくして、蟹ピラフが出来上がる。

 

 愛原:「殻付きって、こんなのなんだ……」

 もちろん、殻無しのバージョンもある。
 ただ、殻付きの場合、身を剥きながら食べないといけない。

 愛原:「では早速、頂きます」

 バリボリバリボリ!

 愛原:「ファッ!?」

 何か、大きな咀嚼音が聞こえて来たと思ったら、鬼3人娘は殻ごと食べているのだった。
 リサならともかく、上野姉妹まで!

 愛原:「キ、キミ達……」
 リサ:「ズワイガニ、美味しいね」
 凛:「ハイ!久しぶりに食べます!」
 理子:「殻の歯ごたえが素晴らしいと思いますが!」

 リサは学食では、主に肉関係を注文するので、あまり目立たないらしいのだが、たまに魚関係を注文する場合、骨ごと食べてしまうので目立つらしい。
 家でも秋刀魚や鯵の開きなんか出て来たりすると、丸ごと食べてしまうほどだ。

 愛原:「こいつら、築地で海鮮丼やたこ焼き食べて、ここでもピラフ食べてますからね?」
 善場:「リサの場合、これくらい食べないと、体内のウィルスや寄生虫の維持ができないのでしょう。寄生虫は餓死するだけですが、ウィルスの暴走だけは避けなければなりません」
 愛原:「空腹状態の方が暴走しやすいと?」
 善場:「そういうことです。今はTウィルスとGウィルスがバランス良く同居しているので、リサの与り知らぬ所で変異を続けるというようなことはありませんが、空腹状態が続くと、そのバランスが崩れる恐れがあります」

 リサがこうやって理性を保ち、人間の姿でいられ続けることは、奇跡に近いのだ。

 愛原:「なるほど、そういうものですか……」
 理子:「お姉ちゃん、お魚キレイだよ」
 凛:「魚群だね」
 愛原:「魚群!?」

 私はバッと水槽を見た。
 普通に、魚が5~6匹群れて泳いでいるだけだった。

 愛原:「カニとかエビとかタコとか……」
 高橋:「これでマリンちゃんが泳いでたら、もうサイコーって感じっスか、先生?」
 愛原:「そ、そうだな」
 リサ:「わたしで良かったら、ウリンのコスプレして泳ごうか?」
 高橋:「オマエが泳いだ後、水槽には何も残らなくなるだろうが」
 善場:「それか、Gウィルスに冒された魚がクリーチャー化する恐れがあるので、やめてください」
 高橋:「そこはTウィルスじゃねぇんだ?」
 善場:「Tウィルスは水の中では感染しません。そこで水の中でも使えるようにと開発されたのが、Tアビスなのです」
 高橋:「ゾンビどころか、別の化け物に変化させるヤツね」
 愛原:「結局、ヴェルトロはどうなったのでしょう?」
 善場:「日本での用は済んだとばかりに、もう国内にはいないかもしれませんね。それより私達が今追っているのは、“青いアンブレラ”ですので」
 愛原:「そんな犯罪組織でしたっけ?」
 善場:「暴力団や半グレ組織の如く、反社会勢力として認定するよう、政府に働きかけています」

 因みに斉藤元社長の意識は、まだ戻っていない。

[同日13:58.天候:晴 同地区内 東京ビックサイトバス停→都営バス東16系統車内]

 昼食を食べた後、善場主任とは東京ビックサイト駅で別れた。
 主任はゆりかもめに乗って、新橋へ戻るようである。
 私達はというと、東京ビックサイトのバスプールに行き、そこから都営バスに乗った。
 ここから東京駅に直通する路線バスは3つあるが、私達が乗ったのは、一番遠回りする方。
 但し、一番景色の良い所を走る路線でもある。
 JRバスならほぼ直行なのだが、本数が少なく、ちょうどいいタイミングで発車する便が無い為。
 また、バス会社が違うので、せっかくの一日乗車券も使えない。
 バスに乗り込むと、後ろの席に座った。
 この時点では、まだ乗客は少ない。

〔発車致します。お掴まりください〕

 上野姉妹にとっては、最後の都バス旅が始まった。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうござます。このバスは、豊洲駅前経由、東京駅八重洲口行きでございます。次は東京ビックサイト駅前、東京ビックサイト駅前でございます〕

 この路線のハイライトは、橋を渡るシーンのいくつか。
 特に、中央大橋を渡る時の景色の良さはオススメである。
 他にも春海橋を渡る時とか、朝潮橋を渡る時なども川向うに東京スカイツリーが見えるほど。
 最後にそういう景色を楽しんで、帰ってもらいたいものだ。
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“私立探偵 愛原学” 「半鬼姉妹の都内観光」 6

2022-05-05 11:46:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月30日11:30.天候:晴 東京都中央区築地 築地銀だこ本店→築地三丁目バス停→業10系統車内]

 築地の場外市場で海鮮丼をたらふく食った鬼3人娘だった。
 その後は市場内を散策したのだが、ふと手持ちの都営バス1日乗車券で、築地銀だこ本店で割引サービスが受けられることに気づいた。
 私はもうお腹いっぱいだし、昼食もあるので控えていたが……。

 店員:「美味しく召し上がれますように!」

 私の言葉に、しっかりたこ焼きを購入する3人だった。

 上野凛:「これが本店の味ですか……」
 理子:「てりたま、美味しい」
 リサ:「安くなるのが、このてりたまなんてね」
 高橋:「銀だこくらい、オマエらの田舎にもあるだろう?」
 凛:「一番近いのが、アウトレットモールですね。東北道の近くにあります」
 愛原:「あれ?何か見たことあるなぁ……」

 私が記憶の糸を手繰り寄せていると、スマホに着信があった。

 愛原:「はい、もしもし?」
 善場:「愛原所長、お疲れ様です」
 愛原:「あ、善場主任。お疲れ様です」
 善場:「今、築地ですね?これから、新橋の事務所まで来られますか?」
 愛原:「いいですよ。今から行きましょう」
 善場:「申し訳ありません」
 愛原:「では、今から向かいます」

 私は電話を切った。

 愛原:「皆、たこ焼き食べたら、今度は新橋に行くぞ」
 リサ:「次は立ち飲み!?」
 愛原:「夜のサラリーマンか!……違う違う。善場主任が、話があるんだってよ」
 高橋:「おっ?さっき勝手に変化したの、姉ちゃんにバレて説教じゃねぇか?」
 リサ:「あ、あれは、先生が浮気したから……!」
 愛原:「いや、大丈夫だよ。善場主任もたまにズレる時があるから、『そういう時は触手じゃなく、銃弾を撃ち込みなさい』くらいで済むと思うから」
 リサ:「銃弾……持ってない」
 高橋:「就職先で使うことになるだろ」
 愛原:「とにかく、急いで食べて。で、すぐそこから新橋行きのバスが出てるから、それで行こう」
 高橋:「元が取れますね!」

 都営バス1日乗車券は、大人500円、子供250円である。
 3回乗れば、元が取れる計算だ。
 食べた後、すぐに私達は近くの築地三丁目バス停に向かった。

 愛原:「さすがは都営バス屈指のドル箱路線!すぐに来た!」

 私達は新橋行きのバスに乗り、それでデイライトの事務所に向かった。

[同日12:00.天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 デイライトの事務所に行くと、他の職員達は昼休みに入っていた。

 善場:「今日、帰るんでしたよね?」
 凛:「あ、はい。15時の新幹線で……」
 善場:「私からも、卒業祝いに御馳走してあげましょう」
 凛:「えっ、いいんですか!?」
 善場:「その代わり、東京中央学園に入ったならば、こちらの指示に従って頂くことになります。よろしいですね?」

 東京中央学園は私立の学校法人であるが、やはりデイライト、引いてはその後ろにある省庁と何か関係があるのだろう。

 善場:「それでは愛原所長」
 愛原:「は、はい!?」
 善場:「所長は所長で、何か昼食プランをお持ちなのでしょう?私が費用を持ちますから、そこへ参りましょう」
 愛原:「あ、あの……主任」
 善場:「何ですか?」
 愛原:「私が考えているプランは、ラーメンとかファミレスとかの安い物ではないのですが……」
 善場:「ええ、結構ですよ。想定内です」
 愛原:「わ、分かりました。それでは、有明に向かいます」
 善場:「有明ですか」
 愛原:「今回の目的は、山育ちの彼女らに海を堪能してもらうことにあります。もっとも、海水浴シーズンではないので、さすがに海そのものに入ることはありませんが……」
 リサ:「めんそーれ沖縄♪ちゅちゅちゅらちゅら沖海♪レッツゴー!」
 愛原:「レッツゴー!」
 高橋:「レッツゴー!」
 凛:「れ、れっつごー?」
 善場:「愛原リサ、そういうギャグはやめましょうね?パチンコをやらない人には、今何が起こったのかサッパリ分かりませんから」

 主任、ポーカーフェイスのまま、リサの頭をグリグリ攻撃。

 リサ:「ご、ごめんなさい!」
 高橋:「スーパーリアル麻雀だったら、負けて脱いでる歳だぜ、こいつ?」
 愛原:「オマエ、本当に20代かよ?!」
 高橋:「いえいえ、先生。昔、パチンコにもあったんスよ?」
 愛原:「そうなの?それでもまだ昔の話だろう?」
 高橋:「震災前っスね」
 愛原:「ほらぁ!」

 リサは16歳。
 で、脱衣麻雀ゲームのスーパーリアル麻雀シリーズの中には、リサと同じくらいのキャラクターが負けて脱ぐシーンとかあった。
 今よりも規制が緩かったとはいえ、今だったらそもそも販売許可出なかっただろうなぁ。
 あの頃は良かった。

 愛原:「パチンコの方も脱いでたのか?」
 高橋:「【お察しください】」
 愛原:「こらぁ!」
 善場:「コホン。そろそろ行きませんか?パチンコ談義は、また後にしてください。時間の無駄です」
 愛原:「す、すいません」
 高橋:「ご、ゴメン、姉ちゃん……」

[同日12:15.天候:晴 同地区内 ゆりかもめ新橋駅→ゆりかもめ1223電車先頭車内]

 私達は新橋駅へ向かった。
 ゆりかもめの新橋駅である。
 この時間帯、ゆりかもめは5分おきに運転している。
 開業当時はボックスシートの車両なんかも走っていたのだが、さすがに廃車になったようだ。
 今はロングシートだけの車両になってしまっている。
 それだけ利用客が増えたということか。
 平日なので観光客は少ないと思われたが、春休みの時期ということもあり、リサ達のような学生達の姿は多く見られた。

〔本日は、ゆりかもめにご乗車頂き、ありがとうございます。この電車は、豊洲行きです〕

 ロングシートに私達は腰かけ、リサ達は運転席になる部分の後ろに立って前面を見ていた。
 で、電車は時刻通りに発車する。
 乗務員など1人もいない完全自動運転の電車は、駆け込み客は許さず、容赦無くドアを閉める。
 因みに立ち番の駅員もいないので、念の為。

〔この先、揺れますので、ご注意ください。お待たせ致しました。この電車は、豊洲行きです。次は、汐留です。大江戸線は、お乗り換えです〕

 電車はポイントを渡って、下り線に入った。
 揺れるとは、この事である。
 新橋側から乗れば、ゆりかもめ名物のレインボーブリッジを渡る体験ができる。
 併用軌道というわけではないのだが、道路と並行し、ループ線も体験できる。
 ゆりかもめ自体、東京観光の1つに入ることもあるので、選択に入れておいたのだ。
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