報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園入学式」

2022-05-09 19:53:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月7日10:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・体育館]

 司会:「(えー、文字制限の都合で、幾分前略しまして)次は雲羽三部作を手掛けた作者、雲羽百三先生より御挨拶を賜ります。雲羽先生、お願い致します」

 何故、作者?!
 しかも本業の警備隊からそのまま抜けて来たのか、警備会社の制服のままだし!

 雲羽:「あー、コホン。……皆ぁっ!ニューヨークへ行きたいかぁぁぁぁぁっ!?」

 パーン!ビシッ!(雲羽の頭に、狙撃弾が命中する音)

 雲羽:「ぐほっ?!」

 作者、被っていた制帽を落としながら、その場にバタッと倒れる。

 司会:「えー、作中の流れを妨げる行為は、甚だ重罪です。その場合、BSAA極東支部日本地区本部の狙撃兵が狙撃致しますので、十分ご注意ください」

 作者、保健委員によって担架に乗せられ、あえなく退場。

 司会:「次はPTA会長による挨拶です。ですがPTA会長は諸般の事情により、退任しました。後任はまだ決まっておりませんので、引き続き愛原学会長代行が代理を務めております。よって、PTA会長挨拶を愛原学会長代行より賜りたいと思います」

 やっぱりやるのか……。
 いや、学園側からはオファーされてはいたのだが……。
 しょうがない。
 こんなこともあろうかと、原稿は用意してきたのだ。
 あまりフザけると狙撃されるので、程々にしないと……。

 愛原:「えー、只今ご紹介に預かりましたPTA会長代行の愛原です。まだ後任が決まらないということで、引き続き会長代行を務めさせて頂くことになりました。新入生の皆さん、よろしくお願い致します。さて、今日はとても素晴らしい1日です。……」

 多少のユーモアを混ぜてみたが、どうやらちゃんとしたユーモアだと理解されたのか、狙撃されることはなかった。

 愛原:「……以上を持ちまして、私の御挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました」

 何とか噛まずに挨拶することができた。
 これでもまあ、警備員時代、防災センターで館内放送とかやっていたからなぁ……。

 司会:「ありがとうございました。それでは続きまして、生徒会長より挨拶がございます」

 私は来賓席に戻った。
 因みに高橋は、ここに連れて来てはいない。
 今回は事務所でリサ共々、留守番だ。
 新入生席には上野凛がいたし、保護者席には母親の上野利恵がいた。
 但し、両側を善場主任とその男性部下がガッチリ挟んでいる。
 これで制服と制帽を被れば、被告席にいる刑事被告人と刑務官2人である。

[同日11:00.天候:晴 同学園1年5組教室→校門]

 愛原:「リサと同じクラスだ。何か縁でもあるのかな?」
 善場:「そうかもしれませんね」

 教室では新入生がそれぞれ自分の席に着き、教室の後ろではその保護者達が立ち並ぶ。

 担任:「担任の吉田です。担当教科は日本史です」
 副担任:「副担任の鷺沼です。担当教科は体育です」

 どちらも男性教員だ。
 年齢は私よりも年下の30代だな。

 吉田:「明日から頑張ってください」
 鷺沼:「初日から遅刻しないように!」

 教室でのオリエンテーションが終わると、新入生はこれで終わり。
 この後で保護者達は、PTA役員選びがあるのだが、まあ誰もやりたがらない。
 また、収監中の上野利恵は対象外となる。

 愛原:「はい、撮りまーす!」

 最後は校門前で母娘の記念撮影。
 これは昨日、中等部でも行われたという。
 その場合、善場主任が撮影したとか。

 凛:「写真、できたら送るね」
 利恵:「うん、ありがとう」
 善場:「それでは、藤野に戻りましょう」
 愛原:「早っ!」
 善場:「当たり前です。今回の目的は、あくまで特別に娘2人の入学式に臨席させるだけです。それが終われば、即時撤収します」

 別の部下が車で待機していたのか、すぐに黒いハイエースがやってくる。

 利恵:「それじゃ、頑張るのよ?」
 凛:「うん。また、時間ができたら面会に行くよ」
 利恵:「理子にもよろしくね」
 凛:「うん……」

 利恵は善場主任に促され、真ん中の席に座った。
 両側を主任と部下が挟むようにして座る。
 また、運転席だけではなく、助手席にも黒服が座っていた。

 善場:「それでは愛原所長、お疲れさまでした。失礼します」
 愛原:「あ、はい。お疲れさまです。失礼します」

 スライドドアが閉まると、ハイエースは走り去って行った。

 愛原:「キミはどうするんだい?」
 凛:「私は寮に戻ります」
 愛原:「稲荷町の寮か。これまた随分と便利な所にあるねぇ……」
 凛:「元々は天長会の東京女子研修場だった建物ですから」
 愛原:「え?」
 凛:「移転に伴い、土地や建物を学園に寄付したんですよ。で、学園が女子寮に改築したそうですよ」
 愛原:「そうだったのか……」
 凛:「愛原先生、私からも……今日からよろしくお願いします」
 愛原:「ああ、よろしく」

 私は凛を見送ってから、再び学校の中へと戻った。
 一応、帰る前に先生達に挨拶しておこうと思ったのだ。

[同日12:30.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 お昼の最中に事務所に帰って来た。

 高橋:「あ、先生。お帰りなさい」
 リサ:「お帰りなさー」
 愛原:「ただいま。今、お昼食べてるところか」
 高橋:「今日は、ほっともっとにしたんスよ」
 愛原:「そうか」
 高橋:「先生は……」
 愛原:「いや、途中の吉野家で牛丼買って来た」
 高橋:「おっ、いいっスね」
 リサ:「リン達どうだった?」
 愛原:「まあ、凛さんのお母さんは、入学式に出られただけでも良しってところじゃない?一応、校門の前で娘と一緒に写真撮れたし」
 リサ:「なるほど」
 愛原:「今頃、中央道でも走ってるんだろ。それよりリサ、明日から本格的に2年生としての生活が始まるんだ。頑張れよ」
 リサ:「分かってるよ」

 2年生になったのだから、そろそろ進路を決めておいた方がいいかもしれない。
 リサはどうしたいのだろう?
 いや、NPO法人デイライトはどうするつもりなのだろう?
 善場主任が大卒なのだから、リサもどこかの大学に通わせるのだろうか?
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“私立探偵 愛原学” 「新年度の愛原学探偵事務所」

2022-05-09 16:41:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月6日12:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を営んでいる。

 高橋:「ただいまっス、先生!」

 高橋が昼食の買い出しから戻って来た。

 リサ:「ただいまっス!先生」

 で、高橋の後ろからリサがヒョコッと顔を出した。

 愛原:「ありゃ?リサも一緒だったのか?」
 高橋:「駅前でバッタリ会ったんスよ。リサの分のマックも買っちゃいましたけど、良かったっスか?」
 愛原:「ああ。全然OKだよ。昼飯にしよう」

 私は高橋に買って来てもらったダブルチーズバーガーのセットを受け取った。
 因みにいつもマックを食べているわけではなく、今日はたまたまである。
 新聞のチラシにクーポン券が挟まっていたので。

 愛原:「リサ、始業式はどうだった?」
 リサ:「基本的に顔ぶれは変わんない。担任の先生達も坂上先生と倉田先生だし」
 愛原:「そうなのか」
 リサ:「あと、留学生が来た。韓国から」
 愛原:「韓国か!」
 リサ:「BSAA極東支部韓国地区本部の養成学校から来たんだって」
 愛原:「確か、善場主任からそんな話があったな。だけどまさか、韓国とは……」
 高橋:「そこは北米支部とかじゃないんスね」
 愛原:「なあ!」

 もっとも、最近のBSAAは一枚岩ではないらしい。
 本部は本部で何かトラブルを抱えているようだし、支部相互の連携もここ最近は取れていないらしい。
 その為、他支部から留学生を呼ぶというのは無理があったのだろう。
 そこで、極東支部ということになるわけだが、中国とか台湾とかではなく、あえての韓国か。
 当たり前の話だが、北朝鮮は該当しない。

 愛原:「中国や北朝鮮がBOWを隠し持っているという噂がある。特に北朝鮮は核開発に集中しているので、あまりBOWを前面的に使おうとは思っていないようだが……。それでも、北緯38度線の揺さぶりには使えるかもしれないしな。あと、中国だ。新型コロナウィルス自体が、もう【お察しください】。武漢で発生したとなった時、極東支部や韓国地区本部が真っ先に動いたのは有名な話だ。しかし韓国にはBOWはいない。そこで、隣国の日本に見学に来たってところか」
 高橋:「ここに1人と、錦糸町のホテルに泊まってますもんね」
 愛原:「そうだな」

 ハーフで良ければ、上野姉妹もそうだ。

 愛原:「で、その韓国人BSAA隊員ってのは誰だ?……おっと、正確には訓練生とか研修生といったところか」

 BSAAの隊員になるには、まず自国の軍隊に入隊してから志願するというのが一般的だ。
 日本なら自衛隊だ。
 BSAAの立ち上げメンバーだったクリス・レッドフィールド氏やジル・ヴァレンタイン氏が元警察官であったことから、警察組織からの志願でもOKということになっていたが、最近はめっきり少なくなっているという。
 尚、韓国には徴兵制度があるが、BSAAとの関係はどうなのだろう?
 確か韓国の徴兵制度は、男性のみで、女性は対象外だったはずだ。
 北朝鮮が女性も徴兵しているのとは対照的である。
 BSAAは、男性も女性も分け隔てなく入隊させている。
 これもBSAAの創設時のメンバーが、男女混合だったからだという。

 愛原:「名前は?」
 リサ:「パク・ヨンヒ。写真がこれ」

 写真を見ると、国連軍の養成学校に通っているだけあって、髪は短く切っている。

 愛原:「AV女優の向井○の若い頃に似てるな」
 高橋:「あれも日本人と韓国人のハーフですからね」
 愛原:「で、稲荷町の寮に住んでるのか?」
 リサ:「ううん。新宿区だって。えーと……新大久保?」
 高橋:「ガチのコリアタウンですよ、先生?」
 リサ:「韓国のBSAAの紹介だって」
 愛原:「日本の地区本部は関与しないのか?」
 リサ:「いや、監視はしてる。試しにヨンヒがわたしにモデルガン突き付けて、撃とうとしたら、日本のBSAAが撃って来た」
 愛原:「マジか……。厳戒態勢だな」

 それほどまでに、生物兵器ウィルスは危険だということだ。
 リサは歩く保有者どころか、生産者なのだから。
 電車で取り決め以外の車両に乗り込むだけで、出動してくるのが分かるというものだ。

 愛原:「で、新大久保か。山手線1本だな。ま、中央線の大久保駅も至近距離にはあるが……」

 新大久保界隈は、ロッテの創業地ということもあり、北朝鮮人ではない韓国人が多く住んでいるという。
 韓国BSAAもその辺りにツテを持っていて、養成員たる彼女を留学中は滞在させることにしたのだろう。

 高橋:「先生、ややもすればリサを殺処分するとかじゃないっスよね?」
 リサ:「一応、ヨンヒもわたしが韓国に行ったら殺処分するけど、日本ではできないと言ってた」
 愛原:「そりゃ、外国人が日本で勝手なことされても困るしな!」

 そもそもリサには、パスポートなど発行されないだろう。
 政府が許さないと思う。

 リサ:「で、ヨンヒが私にモデルガンを撃とうとしただけで、日本のBSAAが狙撃してくるくらいだから」
 愛原:「実弾じゃないだろうな?」
 リサ:「プラスチック弾?だった」
 愛原:「何か、面白いことになりそうだ。色んな意味で」
 高橋:「そうっスね」

 それから13時になって昼休みが終わり、午後の業務に取り掛かった。
 と、そこへ電話が掛かってくる。

 愛原:「はい、お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所です」
 善場:「愛原所長、善場です。お疲れ様です」
 愛原:「あ、どうも、お疲れ様です」
 善場:「おかげさまで東京中央学園中等部の入学式は、無事に終了しました」
 愛原:「それは良かったです」
 善場:「明日は高等部の入学式です。明日は所長もPTA役員として、臨席されるとか。よろしくお願いします」
 愛原:「本当は代替修学旅行におけるPTA会長の代理として引き受けただけのはずなんですが、当の本人がまもなく塀の中のせいで、そのまま成り行きで会長代行を続けることになっちゃいまして……」

 斉藤秀樹元社長のことだ。
 ようやっと病院で意識を取り戻し、まもなく逮捕される見込みとのことだ。

 善場:「愛原さんに、ちょっとだけ内緒話をしておこうと思いますが……」
 愛原:「何ですか?」
 善場:「斉藤容疑者が帰国した経緯について、“青いアンブレラ”が北朝鮮関係者にコネを持っていて、そこ経由で帰国したのではと思われていましたが……」
 愛原:「日本人拉致の逆ルート的なやり方ですよね?」
 善場:「はい。それを韓国のBSAAも疑っていて、それを調査する為に養成員を留学生として送って寄越したことを認めました」
 愛原:「日本のBOWの観察だけじゃないんですね」
 善場:「“青いアンブレラ”のことは、BSAAとしても手をこまねているようですので」

 JRが並行私鉄に客を取られているようなものか。

 善場:「“青いアンブレラ”のことも調査したいらしいです」
 愛原:「まあ、私にはどうすることもできませんね」
 善場:「あくまでも、情報の共有です。それより、高野から連絡はありますか?」
 愛原:「いえ、無いです」
 善場:「こちらの組織では、北朝鮮の工作員説まで浮上しておりますから、連絡があったり、接触してきたらすぐにご一報のほどを」
 愛原:「は、はい」

 何だか、話がどんどん大きくなってくるなぁ……。
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“愛原リサの日常” 「始業式と転入生」

2022-05-09 11:48:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月6日07:45.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学上野高校]

 東京中央学園中等部では入学式が行われる日、高等部では在校生の始業式が行われる。

 リサ:「新しいクラスは……」

 校舎に入る前に、昇降口の前に掲示されたクラス分け一覧表を見る。

 リサ:「2年5組……。205系?」

 違う違う。

 淀橋:「愛原さん、おはよう!」
 小島:「おはよう!また一緒のクラスだね!よろしく!」
 リサ:「ヨドバシ、コジマ。よろしく」
 栗原蓮華:「おっ、アンタ達も2年生か。よろしくね」
 リサ:「鬼斬り先輩」

 左足が義足の蓮華は3年生。

 リサ:「先輩はどこのクラス?」
 蓮華:「3年1組みたいだね」
 リサ:「301系?311系?」
 蓮華:「何が?」
 リサ:「いや、何か朝、家出る時、愛原先生が……」
 蓮華:「あの先生、電車好きだからでしょ」
 リサ:「……なるほど」
 蓮華:「それよりも、今年も人食いするんじゃないよ?」
 リサ:「しない」
 蓮華:「ん?それより、アンタをお気に入りのあのコは……?」
 リサ:「サイトーは転校した。沖縄に」
 蓮華:「あー、そうか。ま、父親があんな事件の黒幕でしたってんじゃ、学校にいられないか。沖縄くらいまで高飛びしないと……」
 リサ:「うん」
 蓮華の友人A:「おはよー、レンゲ。何してんの?また後輩絡み?」
 蓮華:「絡んでねーよ」
 蓮華の友人B:「また同じクラスでしょ。一緒に行こう。今度は1階だから、階段の昇り降りも楽でしょ」
 蓮華:「いや、大丈夫だって。この義足、特注品だから」
 リサ:「ええ、特注品も特注品……。ヤバいです」

 蓮華達、新3年生が先に校舎の中に入って行った。

 淀橋:「特注品ったって、パラスポーツ用のヤツでしょ?あれで剣道もできるヤツ」
 リサ:「いや、サイトーとの最後にお別れに、サイトーに噛み付いていたところを現行犯で目撃されて、あの義足でかかと落としされましたが?」
 小島:「超特注品!?」
 淀橋:「てか、噛み付くなっし!」

 因みに担任教師も、引き続き坂上修一と倉田恵美であった。
 どちらもこの学校の卒業生で、現役生時代、旧校舎絡みで一騒動に巻き込まれた経験を持つ。

[同日09:30.天候:晴 同学校2年5組教室内]

 始業式を終えて、再び新しい教室に戻って来たリサ達。

 坂上:「今日はこれより、皆さんと一緒に勉強することになる留学生を紹介します」
 淀橋:「留学生?!」
 小島:「もしかして、前に愛原さんが言ってたヤツじゃない?」
 リサ:「だいぶ前……?」
 淀橋:「忘れたんかーい!」
 坂上:「それじゃ、どうぞ!」

 入ってきたのは……黒髪を短く切り、顔立ちは……完全にアジア系だった。
 しかし、背はスラリと高い。

 坂上:「それでは、自己紹介をどうぞ」
 ヨンヒ:「韓国のソウルから来ました朴容姫(パク・ヨンヒ)です。よろしくお願いします」
 淀橋:「韓国人!?」
 小島:「意外!」
 女子生徒:「でも、日本語上手っ!」
 坂上:「彼女は国連組織BSAAが創設した私学から、長期留学という形で来ました。仲良くしてあげてください」
 リサ:「BSAA……?極東支部……韓国地区本部?」

 リサが教学していると、ヨンヒはリサを見た。

 ヨンヒ:「ああ、ここにいた。アンブレラの負の遺産の数少ない生き残り……」
 坂上:「朴さんは、あそこの空いている席に座ってください」
 ヨンヒ:「分かりました」

 それはリサの左隣の席だった。
 転校さえしなければ、斉藤絵恋が座るはずの席だったと思われる。

 ヨンヒ:「よろしく。BOW-R0509-2」
 リサ:「な、なに?今の韓国語?」
 ヨンヒ:「違う。アンブレラ・ジャパンが、あなたに付けた管理番号。知らないの?」
 リサ:「『2番』しか知らない……」
 ヨンヒ:「あ、そう」

[同日10:30.天候:曇 同高校→JR上野駅]

 始業式だけなので、学校は午前中で終わり。
 明日は入学式なので、在校生はまた休みとなる。
 但し、生徒会などの一部の生徒は運営側としての活動がある。

 リサ:「今、どこに住んでいるの?」
 ヨンヒ:「お?それを聞いてどうするの?襲いに来る?」
 リサ:「制御されたBOWというのは、自分で襲いに行かない。誰かの命令でもない限りは」
 ヨンヒ:「なるほど。まあ、いいや。新宿区だよ。山手線でグルッと回った先」
 淀橋:「もしかして、新大久保?大久保辺りは、コリアタウンだからね」
 ヨンヒ:「ああ、確かに韓国人が多かったね。いや、何かBSAAから住む先を紹介されたら、そこだったんだけど」
 リサ:「BSAAの韓国地区本部って……」
 ヨンヒ:「いや多分、日本地区本部より仕事してると思うよ?コロナウィルスが漏れ出したした時、中国からのウィルス攻撃だということで、真っ先に動いたし。日本地区本部は動いた?」
 リサ:「……聞いてない」
 小島:「ねぇ、どうして朴さんはBSAAに入ったの?」
 ヨンヒ:「2013年に中国の香港で起きたバイオハザードに巻き込まれて、両親が死んだからです。あの時、たまたま香港に家族旅行に行ってて……。それでバイオテロを憎み、BSAAに入ったのです。もちろん、いきなり兵隊にはなれませんから、養成学校に入ることになります。その養成学校にいた時、日本への留学が決まって、今ここにいます」
 小島:「そうだったの。どうして、留学してきたの?」
 ヨンヒ:「世界には、まだ恐ろしいBOWがいくつか存在します。日本にも、います。韓国には、いません。北朝鮮と中国にはいます。だけど、中国に行っても見れませんし、当然北朝鮮になんかは行けません。そこで、日本のBOWを観察することになりました」
 リサ:「動物園の動物!?」
 ヨンヒ:「BSAAでは、少なくともBOWにジンケンは無いと思っています。もしもリサさんが韓国にいたら、あなたは問答無用で殺処分させるでしょう。どういうわけだか、日本政府はあなたを殺すことはしないようですが」
 リサ:「もしかして、わざわざ韓国からわたしを殺しに来た?」
 ヨンヒ:「あなたが韓国にいたら、そうします。そして、個人的にはここでもそうしたいです。だけど、それはできません。何故なら……」

 ヨンヒはいきなり制服の内ポケットから、ハンドガンを取り出し、リサの頭に突き付けて発砲しようとした。
 そして、鳴り響く銃声。
 だが、飛んだのはリサの頭ではなく、ヨンヒの持った銃だった。

 ヨンヒ:「日本のBSAAに監視されているからです。あなたがそうであるように、私も監視の対象なのです」
 淀橋:「今、日韓関係は冷え切ってるからねぇ。よくこのタイミングで来ようと思ったね?」
 ヨンヒ:「上からの命令です」

 学校を出て、ヨンヒとは上野駅構内で別れる。

 淀橋:「何か、濃いーの来たねぇ……」
 小島:「留学生っていうからには、アメリカとかヨーロッパとかから来るんだと思ってた」
 リサ:「ていうかヨンヒのヤツ、さらっとヤバいこと言ってなかった?」

 BOW(歩く生物兵器)は韓国にはいないが、中国と北朝鮮にはいると。

 リサ:「タイラント君とかネメシス辺りなら、まだいいけど……」
 淀橋:「いや、アウトでしょ!」

 リサグループのツッコミ役。
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