報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「半鬼姉妹の都内観光」 5

2022-05-04 20:41:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月30日09:32.天候:晴 東京都墨田区菊川 菊川駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 私はリサと上野理子が見た夢と、夢遊病の症状について善場主任に報告した。
 そのせいで、乗車するバスを一本送らせる結果となったのだが、却って朝ラッシュが回避できて良かっただろうか。
 善場主任からは、取りあえず現在の体調に異常が無ければ都内観光を続けても良いと言われた。

 愛原:「あのバスだ」

 新大橋通りの向こうから、1台の都営バスがやってきた。
 乗り込む時に……。

 愛原:「すいません、都営バス1日乗車券大人4枚と子供1枚ください」

 車内で1日乗車券を購入した。
 大人は500円で、子供は250円である。
 磁気券とICカードに登録するタイプの物があるが、それはSuicaとPasmoにしか使えない。
 つまり、上野姉妹が持っている地元のバス会社発行のICカードでは発売されない。
 面倒なので、纏めて磁気券を購入することにした次第。
 磁気券は紙のタイプではなく、いわゆるプリペイドカードタイプと言えば良いか。
 尚、子供とは上野理子の事である。
 彼女は小学校の卒業式は終えたが、正式には今年度まではまだ小学生なので。
 小学校卒業予定のお子さんをお持ちの親御さん、そんなお子さんを連れて鉄道やバスを利用するのなら、3月中がオススメです。
 つまり、入学式自体は先かもしれないが、4月1日を以って中学生となる為、そこからは大人運賃に変更になるのである。

 愛原:「で、もらったらここにカードを通して」

 それにしても、磁気券をバスの運賃箱に通すのは久しぶりだ。
 昔は、路線バスにもバス共通カードというのがあって、それで都内の路線バス全部乗れたものだ。
 いちいちカードリーダーに通す必要があったが、今では読取機にタッチするだけで良いICカードになったのだから、便利になったものだ。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスが走り出す。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは、森下駅前、浜町中の橋経由、築地駅前行きでございます。次は菊川一丁目、菊川一丁目。警備会社の全日警、東京中央支社前でございます。次は、菊川一丁目でございます〕

 リサ:「先生、今日のテーマは何?」
 愛原:「今日は栃木の山奥から出て来た2人に、海産物を御馳走してあげよう」
 高橋:「なるほど。それで築地っスか。でも、市場は豊洲に移転しましたが?」
 愛原:「市場そのものはそうかもしれんが、場外に関しては今でも鋭意営業中だよ。そこを狙う予定だ」
 高橋:「なるほど」
 凛:「確かに海産物、天長園ではあんまり扱っていないですね」
 愛原:「山の幸は豊富なんだが、海の幸に関しては【お察しください】だろ?」

 食事に魚も出て来たは来たが、鮭や鮎、ニジマスなどの淡水魚ばかりであった。
 まあ、川魚も山の幸には入るのだろう。

 愛原:「今日は、そういうのを食べて帰ってもらおうと思ってね」
 凛:「私達の為に、ありがとうございます」
 高橋:「しかし先生、昨日は寿司食べましたけど?」
 愛原:「海産物ってのは、何も寿司だけとは限らんだろ?」
 高橋:「それもそうっスね」

[同日09:56.天候:晴 東京都中央区築地 都営バス築地駅前バス停→築地場外市場]

〔「ご乗車ありがとうございました。築地駅前、築地駅前、終点です」〕

 バスは終点に到着した。
 そこから歩いて、場外市場に向かう。

 愛原:「朝食は食べちゃった?」
 凛:「ええ。でも、あんまり量は多くなかったので、少しお腹空いてます」
 リサ:「わたしも半分以上、お腹空いてる!」
 高橋:「オメーはいつでも腹減ってんだろ。……で、先生、寿司以外の物となると、何になるんですか?」
 愛原:「海鮮丼行くか?」 
 高橋:「おっ、いいっスねぇ!」
 リサ:「海鮮丼……!」

 私達は、まずは案内所に行くことにした。

 美人係員:「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
 愛原:「キミのアワビを試食したいのだが!?」
 係員:「は!?」

 ドゴォッ!(リサの触手が愛原の背中に突き刺さる音)

 愛原:「はぐはっ!?」
 高橋:「先生、何言ってんスか!?早くこっちへ!」
 リサ:「海鮮丼の美味しいお店を探しています」
 係員:「そ、それなら、こちらのパンレットをどうぞ!」

[同日10:30.天候:晴 築地場外市場 魚河岸千両]

 リサ:「浮気の罰!ここは先生の奢り!」
 愛原:「元々、俺の奢りだったはずだが……いてててて……」
 凛:「先輩、怖い……」

 リサがフードを被ったままなのは、第一形態に戻ってしまったからだろう。

 理子:「先輩に触手突き刺されたのに、『痛い』だけで済むなんて……」
 高橋:「先生は特別だ!『背中にでっけぇバンソウコウを張る』だけで済む御方だぜ!」
 愛原:「元祖『背中にでっけぇバンソウコウを張られた』人は、その後ゾンビ化したはずだが……」
 リサ:「先生はTウィルスに完全に抗体があるから大丈夫!」
 店員:「ご注文はお決まりでしょうか?」
 リサ:「上海鮮丼(3800円)」
 愛原:「ま、マジか……!」

 いきなりこの店で一番高いのを注文しやがった。

 高橋:「先生は何にしますか?」
 愛原:「サーモン丼で……」
 高橋:「サーモン丼……」
 愛原:「高橋も好きな物頼んでいいよ」
 高橋:「いや、まあ、俺も名探偵見習いとして、先生と同じ物を食べないとですね」
 愛原:「いや、そんなことは無いよ」
 リサ:「先生の奢りだから、好きなの頼んでいいよ。本鮪丼にする?何なら、わたしと同じ物でもいいよ」

 リサのコメカミには、まだ怒筋が浮かんでいた。
 自分だけを見て欲しいという独占欲の現れであるが、しかし自分が唾を付けた者であれば良いらしく、斉藤絵恋さんにもワザとパンチラさせて私を喜ばせようとしたくらいだ。
 つまり、自分が唾を付けていない女性を見ると、リサはキレる。
 この姉妹は、どうなのだろう?
 元々半分はBOWだから、リサが唾を付けてどうのという話ではないはずだが……。
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“私立探偵 愛原学” 「リサ・トレヴァーの夢」

2022-05-04 15:45:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月30日02:04.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私はふと夜中に目が覚めた。
 外からは雨音が聞こえる。
 どうやら今、雨が強く降っているようだ。
 その雨音で目が覚めたようだ。
 気分転換に、私はトイレと水分補給に起きることにした。
 部屋のドアの鍵は、3つ付いている。
 リサに寝惚けて襲われない為だ。
 しかしそれでも、生理前でムラムラしたリサは鍵を3つ壊して侵入してきたのだから、油断はならない。
 鍵のうち1つは、後付けの電子ロック。
 カードは私と高橋しか持っていないが、残りの鍵の2つのうち、1つの鍵は私しか持っていない。
 これでもリサは、ラスボスクラスBOWとしての腕力を遺憾なく発揮して壊して来たからなぁ……。
 しかもどういうわけだが、後付けの電子ロックはカードキー式なのだが、リサが持っているゴールドカードで開錠できたという不思議。
 映画のリサ・トレヴァーは普通の鍵を4~5本持っていたが、こっちのリサは何でも開けられるカードキー1枚で事足りるようだ。
 もしもクレア・レッドフィールド氏みたいな猛者が乗り込んで来たなら、リサは敵対せずに協力者になって欲しい。
 そんなことを考えながら内鍵を開錠していると、隣の部屋からドアの開く音が聞こえた。
 隣の部屋には、リサがいる。
 いざとなったら、隣の壁を壊してでも侵入してきそうな勢いだが、さすがにまだそこまではしてきていないし、賃貸マンションでそれはやめてほしい(鍵については後付けなので、それはどうでも良いのだが)。
 そのリサが部屋から出たようだ。
 まさか、こっちに来るのではあるまいな?
 旺盛な食欲に負けず劣らずの性欲については、自分で処理できるよう、電マなどの『大人のおもちゃ』を買い与えている。
 いや、そうしないと、本当に襲われるのだ。
 リサは普通の人間ではないことを、皆さんは理解して頂きたい。
 だが、足音がこっちに近づいてくることはなかった。
 リサの場合、足音を隠すようなことはしない。
 映画やゲームに出てくるオリジナルのリサ・トレヴァーのように、接近してくる時にはそれなりの効果音を発生させてくる(専用の恐怖BGMが無いのは、タイラントやネメシスのように、明確に主人公達を襲ってくるわけではないからだろう。それでも接近すると襲って来るのは、主人公達が彼女の進路に立つことで、進路妨害されたとリサ・トレヴァーが怒るからだと思う)。
 ……リサもトイレかな?
 私は意を決して全ての鍵を開錠し、ドアを開けると……目の前には目を赤く光らせたリサが……!
 ……いなかった。

 愛原:「ん!?」

 その直後、玄関のドアが閉まる音がした。
 まさかあいつ、外に出たのか!?
 私も玄関まで行くと、リサのサンダルが無かった。
 どこへ行くつもりだ!?
 勝手にマンションの外に出たら、GPSで感知したBSAAが出動してくるぞ?
 玄関の外に出ると、リサは電球色の照明が明るい共用廊下をエレベーターの方に向かって歩いていた。
 ゲリラ豪雨みたいな雨が降っている。
 特に、雷の音はしないが。

 愛原:「あいつ、本当に脱走する気か!?」

 リサの恰好は、白いTシャツに黒い短パンという服装だったが、恐らくあの姿で寝ていたものと思われる。
 リサがエレベーターに乗ったところで、私も乗り込んだ。

 愛原:「リサ、何やってる!?」
 リサ:「…………」

 リサは虚ろな目をして、エレベーターのボタンを探していた。
 1階のボタンを押そうとはしない。
 もっと、別のボタンを探しているようだ。

 愛原:「リサ!」

 私はリサの肩を掴んで、振り向かせた。
 そして、ペシッと軽く頬を引っ叩く。

 リサ:「……はっ!」

 そこでリサは我に返ったようだ。
 びっくりしたのか、第一形態の鬼姿に戻ってしまう。

 愛原:「何をやってるんだ?」
 リサ:「……お、オリジナルの先輩が現れて、こっちだって……」
 愛原:「オリジナルの先輩?それって、リサ・トレヴァーのことか?」
 リサ:「う、うん」

 こっちのリサが保有しているGウィルスは、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーから受け継いだものだ。
 なので、こっちのリサ・トレヴァー達は、そのオリジナルを先輩と呼称しているのである。

 愛原:「リサ・トレヴァーなんかいなかったぞ?夢でも見たんじゃないか?」
 リサ:「う、うん。そうかも……」
 愛原:「とにかく、戻るぞ」
 リサ:「う、うん」

 私はリサの手を引っ張って、部屋に戻った。

 愛原:「さっきのは何を探していたんだ?」
 リサ:「先輩が……『地下3階だ』って……」
 愛原:「地下3階?」

 そんなものはない。
 このマンションは、地下1階までしかない。
 地下1階はマンション住人用の月極駐車場だったり、倉庫があるだけだ。

 愛原:「映画にハマっていたからな。それで夢に出て来たんだろう」
 リサ:「う、うん。そうかもね……」

 映画のリサ・トレヴァーも、クレア・レッドフィールドやレオン・S・ケネディに秘密のエレベーターを教えて、地下通路に行かせていた。
 そのシーンがリサの頭の中で再現されて、夢として現れたのだろう。
 しかし、夢遊病のような症状を引き起こすとは……。

[同日09:00.天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅前]

 朝になると、一転して好天に恵まれた。
 差し込む日差しが、春の陽気そのものである。

 愛原:「おっ、来たなー」

 上野姉妹は時間通りに待ち合わせ場所にやってきた。

 愛原:「おー、おはよう」
 上野凛:「おはようございます」
 上野理子:「おはようございます」

 今日でホテルをチェックアウトしたせいか、2人の姉妹は大きなバッグを持っていた。

 愛原:「? 少し機嫌が悪いか?何かあったのか?」
 凛:「いえ、何でもありません」
 リサ:「ウソつくな。先生にウソを付くんじゃない」

 リサは少し爪を長く伸ばして、凛に警告した。
 それに対し、高橋も後ろで大きく頷いている。

 凛:「はあ……実は理子が、昨夜、夢遊病を起こしまして」
 愛原:「夢遊病?元からそんな病気だったのか?」
 凛:「いえ、昨夜だけです。変な夢を見たせいらしいんですが、あやうくホテルの外に出そうになって大変でした」
 愛原:「そうだったのか。……理子さん、その夢ってもしかして、映画に出て来たリサ・トレヴァーに誘われる夢じゃなかった?」
 理子:「どうして知ってるんですか?!」

 理子さんはびっくりしたせいで、一瞬正体が露見してしまった。
 額に短い2本角が生えて、瞳が金色に光る。

 凛:「理子!」

 凛が慌てて妹に帽子を被せた。

 愛原:「いや、実はうちのリサもなんだよ……」
 リサ:「奇遇だな……」
 愛原:「凛さんはそういう夢は見なかったの?」
 凛:「まあ、何かゾンビらしいのをボコす夢は見ましたけど、それだけです」
 高橋:「奇遇だな!?俺もゾンビをマグナムで、ヘッドショットしてやったぞ!」

 簡単に言えば、銃で頭を撃ち抜くこと。
 ゾンビの弱点は頭であるため。

 愛原:「これは一体、どういうことなんだ?」

 で、私だけ映画関連の夢は見ていない、と……。
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