[5月3日08:00.天候:晴 埼玉県川口市 稲生家]
勇太:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」
少し遅めの朝勤行を終えた勇太。
数珠と経本をしまう。
どうでも良い事だが、御本尊下付の条件が、『毎朝晩必ず御給仕のできる事』とあるが、独り暮らしで24時間勤務のある作者はそれだけで下付対象外となるが?
勇太:「さーてと、朝御飯食べるかぁ……」
勇太は自分の部屋を出た。
試しにマリアが寝泊まりしている部屋を覗いてみたが、開け放たれたドアの向こうにマリアはいなかった。
〔下に参ります〕
〔ドアが閉まります〕
勇太はそれを確認すると、1階で止まっているエレベーターを呼び寄せ、それに乗って1階に向かった。
〔ドアが開きます〕
ピンポーン♪
〔1階です〕
エレベーターを降りて、ダイニングに向かった。
佳子:「どうぞ、おかまいなく。私も料理は好きですから」
ダイニングに行くと、人間形態に変化したミク人形とハク人形が食事の用意をしようとしていた。
マリア:「申し訳ありません。出過ぎたマネでした」
マリアはメイド人形達に、人形形態に戻るよう命じた。
見る見るうちに、元のフランス人形に戻って行く人形達。
佳子:「マリアちゃんはお客さんなんだから、ゆっくりしてて」
マリア:「ありがとうございます」
宗一郎:「しかし、凄い魔法だねぇ。これなら、空も飛べそうだけどね」
マリア:「ホウキには乗れませんが、瞬間移動魔法(テレポーテーション。魔法名:ル・ゥラ)なら少し使えます」
宗一郎:「それは凄い。どこでもドア要らずだね」
勇太:「確かに……」
佳子:「それより旅行、今日出発だけど、ちゃんと準備できた?10時半くらいの電車に乗るから、忘れないでね」
勇太:「ああ、分かった」
[同日10:32.天候:晴 埼玉県蕨市 JR蕨駅→京浜東北線820B電車10号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の電車は、10時32分発、各駅停車、大宮行きです〕
〔まもなく2番線に、各駅停車、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください〕
自宅を出て蕨駅に移動する。
ゴールデンウィーク期間中ということもあってか、客層は勇太達のような家族連れが多かった。
宗一郎:「通勤電車に乗るのは久しぶりだ」
勇太:「最近は会社の車ばっかりだもんね」
宗一郎:「まあな」
電車がやってくる。
混み具合は、南浦和止まりよりは多いといった感じだ。
〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕
軽快でアップテンポな発車メロディが流れる。
4人は空いている座席に、適当に座った。
〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
車両のドアとホームドアが閉まる。
蕨駅のホームドアはドアというよりは、横開きの柵といった感じ。
酔っ払いや視覚障碍者が誤って転落するのは防止できるだろうが、自殺志願者が飛び込む際は簡単によじ登れそうだ。
電車は駆け込み乗車が無かったのか、再開閉することなく、スムーズに発車した。
駆け込み乗車はどちらかというと、東京方面で多い。
〔次は、南浦和です〕
〔The next station is Minami-Urawa.JK42.〕
ここから南浦和駅まではさいたま車両センター(旧称、浦和電車区)がある関係で、駅間距離が長い。
京浜東北線も、最高速度の時速90キロで駆け抜ける区間だ。
隣を走る宇都宮線や高崎線が時速100キロで走行する所だと思うと、けして速い速度ではない。
尚、京浜東北線のラインカラーはスカイブルーということもあり、シンボルカラーが緑のベルフェゴールと紫のアスモデウスは見かけなかった。
勇太:「! 先生からメールだ」
勇太のスマホに、イリーナからメール着信があった。
それは写真付きで、『今はモスクワ市内を散策中だから心配しないように。勇太君とマリアも、日本からは出ないように』という文言であった。
因みに写真は、モスクワ市内を走る通勤電車の車内で撮られたものだった。
エレクトリーチカと呼ばれる、日本ではJRのE電や関西地区のゲタ電に相当する電車である。
車体の塗装は色々あるようだが、奇しくも写真の電車は、勇太達の乗っている京浜東北線と同じ、青を基調としたものだった。
勇太:「どうやら、本当に今、モスクワ市内にいらっしゃるらしい」
マリア:「一体、何をしてるんだ、この師匠は?」
あくまでも散策と書かれているだけで、具体的に何をしているか、何をするのかまでは書かれていなかった。
ただ、確信的な内容とすれば、勇太達が日本国外に出ない事のようである。
勇太:「“魔の者”が?」
マリア:「かもしれないな……」
[同日10:48.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]
〔まもなく終点、大宮、大宮。お出口は、左側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間が広く空いている所がありますので、足元にご注下さい。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔The next station is Omiya,terminal.JK47.The doors on the left side will open.Please change here for the Shinkansen,the Takasaki line,the Utsunomiya line,the Saikyo line,the Kawagoe line,the Tobu Urban park line and the New Shuttle.Please watch your step...〕
電車はダイヤ通りに大宮駅に接近した。
ポイント通過の為、電車が大きく揺れる。
ミク人形:「!」
荷棚の上に載っていたミク人形がその揺れで、バランスを崩し、荷棚から転落した。
ハク人形が咄嗟に手を掴もうとしたが、スルリと抜けてしまう。
勇太:「おっと!」
だが、それを真下に座っていた勇太が受け止めた。
マリア:「おー、ナイスキャッチ!」
マリアは大喜びで手を叩いた。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮、大宮です。1番線に到着致します。お出口は、左側です。お降りの際、お忘れ物、落とし物にご注意ください。また、足元にご注意ください。今日も京浜東北線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕
電車がホームに入線する。
既に2番線には、先発の電車が停車していた。
その隣のホームに滑り込む。
大宮駅にはまだホームドアが無い為、電車がホームに停車すると、すぐにドアが開いた。
勇太:「あそこに見える新幹線ホームまで行くのが、少し遠いんだよ」
マリア:「なるほど。魔界でも、塔は見えるのに、そこまで行くのが大変だというステージと同じだな」
勇太:「あー、そういうのあるねぇ……」
まずは多くの乗客でごった返す階段を昇ってコンコースに上がり、そこから中距離電車のホームの上を突っ切って、新幹線ホームまで行かないといけない。
それでもただでさえ旅客が多いのに、そこに中距離電車が到着したりすると、もうカオスである。
必然的に地下ホームにありながら、新幹線ホームの真下にある埼京線・川越線からの乗り換えが1番便利という皮肉だ。
宗一郎:「人が多いから、新幹線のキップは改札口の前で渡すよ」
キップ購入の条件のせいなのか、紙の乗車券は大宮~仙台のみ。
蕨~大宮間にあっては、自分のSuicaなどで乗っている。
マリア:「行き先は?」
勇太:「仙台だよ」
勇太:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」
少し遅めの朝勤行を終えた勇太。
数珠と経本をしまう。
どうでも良い事だが、御本尊下付の条件が、『毎朝晩必ず御給仕のできる事』とあるが、独り暮らしで24時間勤務のある作者はそれだけで下付対象外となるが?
勇太:「さーてと、朝御飯食べるかぁ……」
勇太は自分の部屋を出た。
試しにマリアが寝泊まりしている部屋を覗いてみたが、開け放たれたドアの向こうにマリアはいなかった。
〔下に参ります〕
〔ドアが閉まります〕
勇太はそれを確認すると、1階で止まっているエレベーターを呼び寄せ、それに乗って1階に向かった。
〔ドアが開きます〕
ピンポーン♪
〔1階です〕
エレベーターを降りて、ダイニングに向かった。
佳子:「どうぞ、おかまいなく。私も料理は好きですから」
ダイニングに行くと、人間形態に変化したミク人形とハク人形が食事の用意をしようとしていた。
マリア:「申し訳ありません。出過ぎたマネでした」
マリアはメイド人形達に、人形形態に戻るよう命じた。
見る見るうちに、元のフランス人形に戻って行く人形達。
佳子:「マリアちゃんはお客さんなんだから、ゆっくりしてて」
マリア:「ありがとうございます」
宗一郎:「しかし、凄い魔法だねぇ。これなら、空も飛べそうだけどね」
マリア:「ホウキには乗れませんが、瞬間移動魔法(テレポーテーション。魔法名:ル・ゥラ)なら少し使えます」
宗一郎:「それは凄い。どこでもドア要らずだね」
勇太:「確かに……」
佳子:「それより旅行、今日出発だけど、ちゃんと準備できた?10時半くらいの電車に乗るから、忘れないでね」
勇太:「ああ、分かった」
[同日10:32.天候:晴 埼玉県蕨市 JR蕨駅→京浜東北線820B電車10号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の電車は、10時32分発、各駅停車、大宮行きです〕
〔まもなく2番線に、各駅停車、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください〕
自宅を出て蕨駅に移動する。
ゴールデンウィーク期間中ということもあってか、客層は勇太達のような家族連れが多かった。
宗一郎:「通勤電車に乗るのは久しぶりだ」
勇太:「最近は会社の車ばっかりだもんね」
宗一郎:「まあな」
電車がやってくる。
混み具合は、南浦和止まりよりは多いといった感じだ。
〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕
軽快でアップテンポな発車メロディが流れる。
4人は空いている座席に、適当に座った。
〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
車両のドアとホームドアが閉まる。
蕨駅のホームドアはドアというよりは、横開きの柵といった感じ。
酔っ払いや視覚障碍者が誤って転落するのは防止できるだろうが、自殺志願者が飛び込む際は簡単によじ登れそうだ。
電車は駆け込み乗車が無かったのか、再開閉することなく、スムーズに発車した。
駆け込み乗車はどちらかというと、東京方面で多い。
〔次は、南浦和です〕
〔The next station is Minami-Urawa.JK42.〕
ここから南浦和駅まではさいたま車両センター(旧称、浦和電車区)がある関係で、駅間距離が長い。
京浜東北線も、最高速度の時速90キロで駆け抜ける区間だ。
隣を走る宇都宮線や高崎線が時速100キロで走行する所だと思うと、けして速い速度ではない。
尚、京浜東北線のラインカラーはスカイブルーということもあり、シンボルカラーが緑のベルフェゴールと紫のアスモデウスは見かけなかった。
勇太:「! 先生からメールだ」
勇太のスマホに、イリーナからメール着信があった。
それは写真付きで、『今はモスクワ市内を散策中だから心配しないように。勇太君とマリアも、日本からは出ないように』という文言であった。
因みに写真は、モスクワ市内を走る通勤電車の車内で撮られたものだった。
エレクトリーチカと呼ばれる、日本ではJRのE電や関西地区のゲタ電に相当する電車である。
車体の塗装は色々あるようだが、奇しくも写真の電車は、勇太達の乗っている京浜東北線と同じ、青を基調としたものだった。
勇太:「どうやら、本当に今、モスクワ市内にいらっしゃるらしい」
マリア:「一体、何をしてるんだ、この師匠は?」
あくまでも散策と書かれているだけで、具体的に何をしているか、何をするのかまでは書かれていなかった。
ただ、確信的な内容とすれば、勇太達が日本国外に出ない事のようである。
勇太:「“魔の者”が?」
マリア:「かもしれないな……」
[同日10:48.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]
〔まもなく終点、大宮、大宮。お出口は、左側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間が広く空いている所がありますので、足元にご注下さい。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔The next station is Omiya,terminal.JK47.The doors on the left side will open.Please change here for the Shinkansen,the Takasaki line,the Utsunomiya line,the Saikyo line,the Kawagoe line,the Tobu Urban park line and the New Shuttle.Please watch your step...〕
電車はダイヤ通りに大宮駅に接近した。
ポイント通過の為、電車が大きく揺れる。
ミク人形:「!」
荷棚の上に載っていたミク人形がその揺れで、バランスを崩し、荷棚から転落した。
ハク人形が咄嗟に手を掴もうとしたが、スルリと抜けてしまう。
勇太:「おっと!」
だが、それを真下に座っていた勇太が受け止めた。
マリア:「おー、ナイスキャッチ!」
マリアは大喜びで手を叩いた。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮、大宮です。1番線に到着致します。お出口は、左側です。お降りの際、お忘れ物、落とし物にご注意ください。また、足元にご注意ください。今日も京浜東北線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕
電車がホームに入線する。
既に2番線には、先発の電車が停車していた。
その隣のホームに滑り込む。
大宮駅にはまだホームドアが無い為、電車がホームに停車すると、すぐにドアが開いた。
勇太:「あそこに見える新幹線ホームまで行くのが、少し遠いんだよ」
マリア:「なるほど。魔界でも、塔は見えるのに、そこまで行くのが大変だというステージと同じだな」
勇太:「あー、そういうのあるねぇ……」
まずは多くの乗客でごった返す階段を昇ってコンコースに上がり、そこから中距離電車のホームの上を突っ切って、新幹線ホームまで行かないといけない。
それでもただでさえ旅客が多いのに、そこに中距離電車が到着したりすると、もうカオスである。
必然的に地下ホームにありながら、新幹線ホームの真下にある埼京線・川越線からの乗り換えが1番便利という皮肉だ。
宗一郎:「人が多いから、新幹線のキップは改札口の前で渡すよ」
キップ購入の条件のせいなのか、紙の乗車券は大宮~仙台のみ。
蕨~大宮間にあっては、自分のSuicaなどで乗っている。
マリア:「行き先は?」
勇太:「仙台だよ」