木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

情報とは

2024-05-30 00:29:20 | 随想
色々と見ていますと諜報員と
言われる方々には
・音楽奏者
・歌手
・料理人
・通訳
・翻訳
の方々が多いように見えます。

諜報と言いましても大上段に構える
必要はなく、要は対象の人、重要人物、
対象の国家の本当の事を入手すること
が諜報と言われます。
スパイや工作員というのとはまた違うと思います。

また矛盾しているように見えますが、
諜報員は誠実でなければ、人物が信用されなければ、
諜報員にはなれませんね。
何故でしょうか?
いい加減な人間に重要な内容や秘密を話したり
託したりできないからですね。
映画の見過ぎの人は諜報員と聞けば様々な工作を
したり謀略を重ねて画策したり裏切りの連続の
印象を持つのでしょうが、諜報員と工作員、スパイ
とは全く違うと私は見ています。

つまり人物が信用されない限り、セレブや
重要人物、また支配階級というのは諜報に値する
ような内容はその人物に知らせないでしょう。
口が軽いとか、約束を守らないとか、軽薄だとか、
センスが無いとか、人望がないという人物には
大切な内容は知らせたり託せないので必然的に
人物が信用される確かな人が諜報員になっていきます。

例えば見ていると、音楽演奏者ですね。
王宮とか古城とか支配階級が晩餐会を催す時に
音楽演奏をします。
その際にバイオリン奏者やフルート奏者が
招かれます。
演奏の評価や評判が良いと他の晩餐会や催しに
も招かれるようになります。
そうしているうちにセレブや王族、支配階級から
そのバイオリン奏者やフルート奏者、ピアニスト
などの演奏者が気に入られたり人物が信用されたり
すると、次第に支配階級が個人的な話をしたり
大切な内容を知らせたり、頼み事をしたり何かを
託すようになっていきますね。
そうなると音楽演奏者は必然的に政治家や経営者
でも知らないような内容や話を知るようになります。
自ずと諜報員になっていきます。
それは信用されるからこそなのですね。

料理人も全く同じですね。
支配階級が晩餐会を催すには提供する料理を
担うシェフ、料理人を招きます。
音楽演奏者と同じようにセレブや支配階級に
気に入られたり信用されるようになると自ずと
重要な場面に立ち会ったり大切な話を聞かされたり
託されたりするようになります。
必然的に諜報員になっていきます。

通訳や翻訳も全く同じだと言えます。
言葉が違う重要人物が会談をする際には通訳や
翻訳が必要ですから必然的に機密事項や大切な
会話を直接聞く事になりますね。
そうしているうちに人物が信用されると大切な
内容を知らされたり託されたりして必然的に諜報員
になっていきます。

要するに人物が信用されない限り諜報員には
なり得ないという事です。

スパイや工作員は露見すれば排除や抹殺の対象
になりますが諜報員というのは少し意味合いが
違ってきます。
諜報というのは情報を取ることで、逆に相手に
情報を与えないようにする事は防諜と言います。
盗聴とかハッキングはスパイ、工作員になります。

例えの話ですが情報漏洩に最新の注意を注いで
いる担当者がふとラウンジやエレベーター、
トイレなどで気が緩んで大切な内容を話す事が
あります。
それを聞いた相手は必然的に諜報員と同じです。
絶対に知り得ない内容を知るわけですから。
エレベーター内で一撃必殺の会話をする場面も
ありますね。
重要な取引先の決定権を持っている人物と
エレベーターに乗り合わせた時。
目的のフロアに着くまでの沈黙が流れる数十秒で
「あの件はどうなのですかね?」
と差し向けると口が固い決定権者もつい
「あ、あれはダメだよ。ニーズが違うね。」
と一言漏らす。
会議や折衝の場面で言っている事と違う。
これもある意味、諜報になりますね。
すると何回も折衝を重ねていてもこの決定権者は
取引や契約を結ぶ意思は無いと分かるわけです。

またエレベーター内の数十秒の箱の中で
つい大切な内容を会話して、その同じエレベーター
にたまたま偶然に乗り合わせていた関係者や
競合他社の方に話が漏れ伝わるという事例も
あります。
情報管理は万全な筈なのに何故漏れたのかと
なりますが、意外にもヒューマン的な要素から
漏れていく事例もよくあります。
このようなヒューマン的なアプローチから次第に
内情を把握する手法はよくチャイナのスパイが
使いますよね。
いつしか重要人物の好み、人間関係、交遊録、
嗜好などを細部まで把握して交渉の際に使って
きます。

元号案や企業の人事案もまた同じですね。
固まっていた案も正式発表する前に漏れたら
廃案になります。
すると時に対立している派閥が嗅ぎつけて誰か
の抜擢や昇進を潰す事もあります。
「山田課長が役員に抜擢されるそうだ。」
と誰かが口伝えに囁く。
往々にして何故、人事案が漏れたのだと経営陣は
睨むようになります。
これにより山田課長の役員抜擢は無くなります。
こうして山田課長は潰されるわけです。
企業社会も人事を巡り凄まじい足の引っ張り合い
ですから、よくある事例です。

元号も事前に漏れたら廃案になります。
これにより元号案が潰され昭和となり、また
違う案が潰されて今の令和になっています。

情報というのは大切ですね。

一説によると当初、アメリカ軍は原子爆弾を
京都と奈良に炸裂させて日本を潰す予定だった
ようですが、アメリカ軍幹部の1人が京都の祇園
の料亭に出入りしていて仲良くなっていた祇園の
女将さんが泣きついて
「京都を焼いたらあきませんわよ。」
とアメリカ軍幹部に囁いたとか。
これが功を奏して京都への原子爆弾炸裂は回避
されたという説もあります。
真偽の程は分かりませんが説としては傾聴に
値する説ですね。
この説が事実だったなら京都祇園のこの女将さん
は見事な諜報員だと言えますね。
本人にその自覚は無くても結果的に諜報員としての
働きをした事になります。

何事も人間としての信用が基になっていく
という事ですね。
ふと情報や諜報、防諜という事について思いを
巡らせてみました。


コメント
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