木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

箱根にて一席

2010-11-30 17:26:41 | インポート
 今年最初の忘年会は関東であった。まだ1カ月を残し
ている段階で、まだ今年を忘れようという気持ちにはな
れず、来年を望む「望年会」という感じであった。
 会場は箱根の山頂付近のホテルである。小田原駅から
箱根登山バスにて会場に向かう。途中で箱根駅伝のコー
スを辿りながら箱根の風景を車窓で眺める。

 大阪から東京まで新幹線で遅くとも3時間、のぞみに
乗れば2時間40分であるが、東京よりも地理的には近
い小田原に行くほうが、ひかりが2時間に1本しか停車
せず、接続がかみ合わなければ、こだまで行くしかない
ためにかえって時間がかかるという皮肉に直面した。
 新大阪駅から小田原駅まで3時間20分以上もかかり
更にバスで会場まで50分を要したために到着した頃は
すっかり闇に包まれていた。
 特急列車までの時代なら地理的に遠い場所に行くほう
が時間がかかるという当然のことが当然のように生じて
いたが、大阪と東京等の主要駅を結ぶラインの新幹線が
更に時間短縮をするような技術向上が行われた結果、狭
間にある小田原のような駅に行くほうが大阪からの距離
は近いが所用時間がかかるという珍現象を生じることに
なった。

 会場では、人生の大先輩から様々な話を伺い、また地
酒に酔いながら箱根の夜を楽しんだ。窓から外をのぞく
と黒いシルエットになった箱根の峰の上空にオリオン座
がしんしんと瞬いていた。
 各地に赴き、各地の地酒を嗜む事もまた魅力である。
 
 明日は東大阪市議会の各委員会、本会議が招集されて
いるために始発の新幹線で小田原駅から帰らなければな
らず、そのためにはホテル前を朝5時過ぎにタクシーで
出なければ間に合わない。箱根まで来てとんぼ帰りをす
るのはやや残念だが各地から集った大先輩の話に触れた
ことが最良の肴だった。
 明朝は夜明けよりも随分と早く箱根の山を駆け降りる。 

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十津川の湯宿にて(2)

2010-11-27 00:26:34 | インポート
 これは事件か、という寒さとも戦慄するような何かが
私の背中を走った。このような秘境の一軒宿で何が起こ
ったのか。廊下に立っている数人も緊張の色が走った。
 目撃して恐怖のあまり泣き崩れている女性に私は何歳
くらいの女性だったかと聞くと、泣きじゃくりながら年
のいった女性だったようだと言った。
 私はもしや、と思った。もしかして大女将ではないか
と脳裏によぎった。時計の針は25時近くになっていた。

 ようやく村の警察と連絡がついたようでこちらに向か
うということになった。宿の女将と主人が駆けつけてき
たので私は何故、誰もいないのか、非常事態の時に一体
どうするのかと宿の宿直体制を問うた。浴場で女性が死
んでいると告げると女将は一瞬、恐怖で顔が引きつった
ように見えた。そこですかざず私は目撃情報からすると
大女将かもしれないと告げると、女将と主人が急いで階
下を駆け下りて大浴場に入っていった。しばしの沈黙の
後、沈痛な表情で地下からの階段を上がってきた女将は
「間違いありません・・母です・・。」
と絞り出すように言った。

 宿の大女将はこの夕刻前そこのソファで私と談笑して
いたのに、である。司馬遼太郎をも接客したであろう大
女将はくしくも最後の接客は私であったという事になる
のか。私は何か別の申し訳ない意識が湧いてきた。もっ
ともっと色々な事を聞けば良かったのではと。もっと談
笑してあげればよかったのではと。
 
 私は警察が来るまではと思い、玄関口で女将と待った。
しかし通報してから30分が経過してもまだ誰も来ない。
聞けば十津川村は面積が広大で日本一の面積を誇る村で
もある。加えて村役場にしか救急車もなく、市町村合併
で派出所も減らされ、警察官も派出所にはほとんどいな
いようだ。村役場近くの村の警察署からこの宿まで最低
でも出動してから到着まで30分以上は要するという。
 更にこの宿から30分以上もかかる地区もあるという。
 村のほとんどは山林と谷間、その合間を縫うような集
落であるこのような過疎地の医療体制、警察の在り方に
ついて痛切に考えさせられる過ぎゆく時間だった。
 この一軒宿でもしも何か事故や事件が生じたら、これ
ではひとたまりもない。村の多くの地区で助かる命まで
助からない。救急車と警察、そして診療所の医師が来た
のは通報から1時間後であった。

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十津川郷の湯宿にて

2010-11-27 00:02:04 | インポート
 しばしの森林浴と休息を求めて時間をうまく使って十
津川村の上湯温泉に宿泊した。今の時代のように道路事
情が向上し多くの人が自動車を所有している時代には日
本から秘境が消えてしまったかのような感がするが、ま
だ自動車がここまで普及していない時代、かつ道路事情
も不便で狭路がほとんどで離合するだけでも苦労するよ
うな山間の道路がほとんどだった頃、唯一の交通手段は
路線バスしかないような時代には、間違いなく当地は秘
境であった。
 
 紀伊半島の南部近く、十津川村の上湯温泉の一軒宿で
ある神湯荘に一泊し大地の恵みである湧出する源泉と木
々の香りと静寂の中、英気を養い、物事の思考を行う、
そういう時間には最適である。その昔、司馬遼太郎もこ
の神湯荘に長逗留して執筆を重ねたという。
 週休2日の時代に私は月休2日もないような日々を過
ごしており、半ば強制的に自らを休みへと誘導した。こ
うでもしないと身体が休まらない。政治家のはしくれと
して司馬遼太郎が執筆を重ねたというこの宿で、世相や
政治の何事か、時事問題や物事の構想等、少しでも思索
できれば尚幸いであった。

 源泉かけ流しの十津川温泉郷はこんこんと大地の恵み
ともいえる豊かな湯が絶え間なく豊富に湧き出しており
浸かったその瞬間にいい質の湯だと分かる。久しぶりに
本格的な本物の良質な湯に浸かった。
 宿のロビーで神湯荘の大女将としばし歓談した。残念
ながら大女将は高齢で耳が遠く、しばし会話に苦労した
が十津川郷の幾つかの話を聞かせてもらった。
 そうして深夜に眠りについた。

 秘境の一軒宿がしんしんとした静寂に包まれてそれぞ
れの客室も静まりきった頃、階下で女性の悲鳴が響いた。
しばらくして私の客室をノックする音がした。下で人が
死んでいるというのだ。秘境のため携帯電話には電波が
入らない。私は驚きつつも自部屋の内線からフロントに
連絡しようとするが何度鳴らしても誰も出ない。目撃し
た若い女性が廊下で恐怖のあまり泣き崩れている。女湯
で女性が死体となって浮いていたというのだ。私は幾つ
かの部屋の皆様をノックしてたたき起し、どなたか携帯
の電波がつながる機種を持っていないか確認し、かろう
じて若い女性が電波の入る携帯を持っていたので警察と
救急車を呼んでもらった。
 下のフロアに宿の関係者をいくら探しても誰もいない。

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第三次世界大戦へと誘爆しないよう努力すべし

2010-11-24 23:04:17 | インポート
 現実は一瞬にして長年の空理空論や観念論を一掃する。
ついに危惧されていた事態が勃発した事を各紙の朝刊は
大々的に報じている。北朝鮮が国境線付近の韓国領を空
爆した。その爆撃数は190発超とも伝えられている。
 一説によれば緊張する朝鮮半島を引き金として何とか
して第三次世界大戦へと誘発したいと狙う勢力が世界の
どこかにあるようで、朝鮮半島付近の様々な勢力と接触
してきたことがあるが、今回の北朝鮮による韓国空爆が
更に大きな戦争状態へと誘爆しないようにあらゆる知恵
と努力が求められる。

 尖閣諸島への中国の侵攻といい、今回の北朝鮮の韓国
空爆といい、日本の中の「左」と云われた人々の夢想的
な観念論を粉砕する現実が展開されている。中国に限っ
て侵略をする筈がないと思い込んで疑わなかった「左」
の人々、北朝鮮がミサイルを数年前から発射していても
そういう事はあり得ないと現実から目を逸らし北朝鮮批
判をする日本人を逆に批判してきた「左」の人々はそれ
でもこの現実を自らの立ち位置を確保するために歪曲し
て見ようとするかもしれない。
 
 日本の中にもいわゆる「右」と云われる人々や「左」
と云われる人々、更にはタカ派もいればハト派もいる。
強硬派もいれば穏健派もいるように、中国や北朝鮮にも
同様に様々な考えの集団があり、様々な立ち位置の人々
がいて自然である。そういう北朝鮮内の様々な集団同士
の抗争や軋轢もあって当然で、今回の韓国空爆が北朝鮮
のどの集団やどういう位置づけにある人々の行為なのか、
また何を狙いとした空爆だったのかをもっと詳細に分析
して認識する必要がある。
 正しい情報が無ければ正しい判断ができない。

 日本が「右」に偏り過ぎると世の中が窒息する。逆に
「左」に偏り過ぎると国が傾く。尖閣諸島への中国によ
る侵攻や北朝鮮による韓国空爆という現実を受けて、私
達は保守なのか革新なのか、右なのか左なのかという小
さな思考様式から脱却して、また無地の人々を既存の色
や規定概念の枠内に当てはめようとする思考癖から卒業
して、現実に生じている物事を踏まえて認識し日本がど
うあるべきかを判断する、そのような皮膚感覚へ脱皮し
なければならない。

 米国の力が衰えると中国が太平洋へ進出を試み、また
中国の力に変化が生じれば北朝鮮が動き出す。パワーバ
ランスは微妙である。

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民主党大阪の躍進の集いにて

2010-11-23 22:26:57 | インポート
民主党大阪府連の躍進の集いが大阪市内のホテルで開か
れ、参加した。昨年の政権交代直後の集いの時の人垣に
は及ばないものの多数の参加者で会場は賑わった。

集いに先立つ時間帯に岡田克也・民主党幹事長による時
局講演会が行われ民主党政権のこれまでの歩みと成果、
国会の実状などを話された。多めに時間を割いた質疑応
答においても各参加者や自治体議員から様々な質問や意
見が出され、岡田幹事長は逐一丁寧に答えていた。

民主党は今、逆風にあると皆が感じている。それは様々
な要素が加味されての現象だが、逆風の中にこそ学ぶべ
きことがたくさんある。順風や追い風の時には威勢がい
いが逆風になるとたちまち意気消沈するようでは何事を
も成し得ない。乱高下する支持率に一喜一憂することな
く徹底的に世の中の現実を踏まえて成すべきことを成す
試みが大切だと思った。

国会における予算委員会などの論議について複数の方々
から野次が下品だというもっともな意見がある。最近の
国会では確かに野次が激しくかつ品性のない下劣な内容
の捨て台詞が目につく。舞台は違うが、まだ自治体議会
のほうが議会の議場での振る舞いは上品だと言える。私
が経験した範囲では、もし自治体議会において国会で飛
び交うような内容の野次を議席から議員が飛ばそうもの
なら厳重注意を受けるか野次の内容によっては懲罰にか
けられる。最近の国会はまず野次ありきで何でもいいか
ら相手を下品にののしる姿がひどい。国会中継を見てい
た国民が「おいおい・・・。」と野次内容に呆れている
場面を私は何度か見た。
国民生活がここまで逼迫している現状の中、誰しも野次
ありきの泥試合のようなやりとりなど望んではいない。
国民が真に望んでいるのは長年の腐敗に光を当てた建設
的な、国民生活に直結したやりとりである。

明治新政府も安定するには10年の年月を擁している。
あの時代のように人材が絢爛としていて、強力なリーダ
ーシップが発揮できた時代環境にあっても尚、新政権が
軌道に乗るには10年を要している。
今の世の民主党政権は移ろいやすい世の中にあって尚、
貫く一筋の姿勢であるべきではなかろうか。
私達は今、産みの苦しみの中にある。

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