北方の息吹（四十九）

　今度はソビエト側から日本全権委員に送られた返事が
あるので以下、引用する。

　　　　　?ソビエト連邦第一外務次官から
　　　　　　日本国政府全権委員にあてた書簡?
　　　　　　　　　　　　　一九五六年九月二十九日

　書簡をもって啓上いたします。本次官は一九五六年九
　月二十九日付の閣下の次のとおりの書簡を受領したこ
　とを確認する光栄を有します。

　本全権は一九五六年九月十一日付・鳩山総理大臣の書簡
　とこれに対する同年九月十三日付・ブルガーニン議長の
　返簡に言及し、次のとおり申し述べる光栄を有します。
　
　前記鳩山総理大臣の書簡に明らかにせられたとおり、日
　本国政府は現在、平和条約を締結することなく、日ソ関
　係の正常化に関し、モスクワにて交渉に入る用意がある
　次第でありますが、この交渉の結果、外交関係が再開せ
　られた後といえども、日本国政府は日ソ両国の関係が領
　土問題をも含む正式の平和条約の基礎の下により確固た
　るものに発展することが極めて望ましいものであると考
　える次第であります。これに関連して日本国政府は領土
　問題を含む平和条約締結に関する交渉は両国間の正常な
　外交関係の再開に継続せられるものと了解するものであ
　ります。
　鳩山総理大臣の書簡により交渉に入るに当り、この点に
　ついてソ連邦政府においても同様の意図を有せられるこ
　とをあらかじめ確認しうれば幸甚に存ずる次第でありま
　す。
　
　これに関連して本次官はソビエト社会主義共和国連邦政
　府の委任により、次のとおり申し述べる光栄を有します。

　すなわちソビエト政府は前記の日本国政府の見解を了承
　し両国間の正常な外交関係が再開された後、領土問題を
　も含む平和条約締結に関する交渉を継続することに同意
　することを言明します。本次官は以上を申し進めるに際
　し閣下に向かって敬意を表します。

　　　　　　　　　　一九五六年九月二十九日
　　　　　　　　　　　　　モスクワにおいて

　　　　　　　　　　ソビエト社会主義共和国連邦
　　　　　　　　　　　第一外務次官

　　　　　　　　　　日本国政府全権委員
　　　　　　　　　　　松本　俊一　閣下

　　　　　　　　　　　Ａ.グロムイコ

　　　　　　　　　　　　　　（以上、引用を終える）

北方の息吹（四十八）

　歴史は所詮、勝者による記録であり敗者の言い分や正
当性は限りなく抹消されていく。その記録が常識となっ
て固定され後の世の人々の認識として流布されていく事
は何事かを壊していくようで忍びない。
　ここでいう敗者とは日本である。
　幾つもの時代を経て、当時の文書などを紐解く事が固
定された認識の誤りを証明することに至る場合もある。
　当時の人々の息遣いや空気を察しながら事実と史実を
辿っていきたい。以下、文書を引用する。

　?日本国政府全権委員からソビエト連邦第一外務次官
　　にあてた書簡?
　　　　　　　　　　　　　一九五六年九月二十九日

　書簡をもって啓上いたします。本全権は、一九五六年九
　月十一日付・鳩山総理大臣の書簡とこれに対する九月十三
　日付ブルガーニン議長の返簡に言及し、次のとおり申し述
　べる光栄を有します。

　前記鳩山総理大臣の書簡に明らかにせられたとおり、日本
　国政府は、現在は、平和条約を締結することなく、日ソ関
　係の正常化に関し、モスクワにて交渉に入る用意がある次
　第でありますが、この交渉の結果外交関係が再開せられた
　後といえども、日本国政府は日ソ両国の関係が、領土問題
　をも含む正式の平和条約の基礎の下により確固たるものに
　発展することが極めて望ましいものであると考える次第で
　あります。

　これに関連して、日本国政府は領土問題を含む平和条約締
　結に関する交渉は両国間の正常な外交関係の再開後に継続
　せられるものと了解するものであります。

　鳩山総理大臣の書簡により交渉に入るに当り、この点につ
　いてソ連邦政府においても同様の意図を有せられることを
　あらかじめ確認しうれば幸甚に存ずる次第であります。本
　全権は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向って敬
　意を表します。

　　　　　　　　　　　　一九五六年九月二十九日
　　　　　　　　　　　　日本国政府全権委員
　　　　　　　　　　　　　　　松本　俊一

　　　　　　　　　　　　ソビエト社会主義共和国連邦
　　　　　　　　　　　　第一外務次官
　　　　　　　　　　　　Ａ.Ａ.グロムイコ閣下

　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　（以上、引用を終える）

旅路の先に見える憲法

　玄奘三蔵が教典を求めて天竺を目指して旅したように
今、日本人は憲法をそして自分達の姿やかたちを求めて
旅しなければならない時局にある。
　旅することとは何に相当するのか。
　
　過去からの旅、未来への思索、脈々たる歴史時空の解読、
伝統文化の蓄積の自覚、国際社会における位置の認識など
を一体とした視界を持つことだと私は思う。

　空海が高野山を拓いたように、
　最澄が比叡山を拓いたように、
　信長が茶の湯を振興したように、
　今の日本人は憲法を拓かなければならない。

　何を基軸に据えるのか。
　守るべきは何の形で、改めるべきは何の形か。
　創り出すのはどういう影や柱なのか。
　日本人が本当に時空の旅を始めると、憲法に向かい合える
ように思えてならないのである。

　市議会議員は市民や住民に近い立場にある。
　憲法を身近な日常の時間の中に、市民社会の中で体感する
には大切な位置にいると思う。

行政視察そして古戦場で見た事実

　昨日と本日と市議会会派（民主党市議、無所属市議）
で丸亀市、高松市の行政視察を行った。
　丸亀市では昨年から行政と市民団体との協働による、
人材育成や新たな公共サービスの担い手の創出を目標と
した事業を展開している。行政担当者から説明を受けた。
　子育て中の母親を支援する事業、介護予防実務者のた
めの講座事業、軽度発達障害児を取り巻くネットワーク
構築の事業、島の活性化のための定住者のいない家屋を
民家民宿として活用する事業など七事業が認められ丸亀
市から委託料が支払われている。
　岡山との連絡口にあり、瀬戸内の風土の中にある人口
約十一万人の自治体としての取り組みである。

　さて、高松では屋島の源平合戦跡地に足を伸ばした。
　屋島寺など由緒ある遍路の八十四番目の四国霊場もあ
るが全体的に廃業になった施設が多く、街興しの大変さ
を感じた。
　
　ここで源平合戦図屏風を見た。
　合戦絵図の中に日の丸の扇がしばしば描かれている事
に気が付いた。そう言えば平家物語を描いている真田本
巻十一の「那須与一」では屋島の合戦の途中で浜から平
家側の軍船にかけられた扇を那須与一が射落とす有名な
史実が描かれているが、ここでも射落とされた平家の扇
は日の丸の扇である。
　又、真田宝物館蔵「平家物語」に描かれている仏御前
の舞姿では平清盛の西八条邸に推参した仏御前が舞う場
面が描かれているが、この舞いに使われている扇も日の丸
である。
　源平合戦の頃より日本列島には「日の丸」が存在し用い
られていたことが見て取れる。時代は平安時代末期である。

　日本人はそろそろ戦後常識の呪縛から卒業しなければな
らないと思うのである。日の丸は歴史上遙かな昔から漠然
と世の中を表す徴として扇や旗に記されて用いられたのだ。
侵略戦争の象徴では断じてないことに早く多くの人々が気
付くべきだ。
　第一次世界大戦、第二次世界大戦、太平洋戦争も全ての
国が自国の旗を掲げて出向いていった。ならば参戦国全て
の国旗が戦争の象徴と論じられてきただろうか。論じられ
ていない。日本の旗だけが侵略の象徴だと主に日本人から
指摘されているという滑稽な空論から早く目を覚まそうで
はないか。
　ソビエトはソビエトの旗を掲げて北海道沿岸部に侵攻し
てきた。こちらの旗のほうが侵略の象徴ではないか。
　旗は国の自我を象徴するのだ。

国民健康保険を利用した詐欺師

　詐欺師はあらゆる姿になって現れる。
　怪人二十面相も顔負けの厚かましさである。

　例えば国民健康保険を悪用した詐欺師がいる。
「国民健康保険庁」を名乗って督促状を届ける事例がある
市で出ている。そもそも「国民健康保険庁」という公的な
組織は存在しない。まぎらわしい名称を使うことで市民を
騙して督促だと迫れば何人かは本当だと信じて入金してし
まう被害が出ている。
　
　国民健康保険は市町村が運営している。
　従って国民健康保険に関する通知はそれぞれの市役所から
発送されるので、それ以外の組織名で届いたならば先ず怪しい
と疑うべきである。

「あなたの年金に未納期間があります。」
「あなたの住民税に滞納があります。」
という理由で国民健康保険庁という組織が国民健康保険の
効力停止を行うように見せかけて不安にさせ、お金を騙し取る
手口にひっかからないようにしよう。
　
　国民健康保険庁を名乗る者よ、自分自身の健康保険は
大丈夫なのか。無駄な詐欺はやめなさい。