木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

年末の時間

2008-12-31 16:30:13 | インポート
 故郷に降り立ち、空を見上げると息を呑んだ。
 星が美しい。周囲は寝静まり家屋から漏れてくる生
活の明かりもほとんど無いために各星座が光を放ちな
がら濃く薄く、遠近感を交えつつ音楽的な響きを奏で
ながらしんしんと降り注いでくるようであった。
 大阪の空では決して見えない星空の音響である。
 子供の頃はこのような星空の響きの下で暮らしてい
たのだなと改めて感じ入る瞬間であった。

 先日、日中青年友好緑化交流事業で湖北省を訪れた
際に晴れてはいるものの空が霞んで青い空が見えなか
った。霞とスモッグと双方が混在していたのであろう。
太陽が霞んで光の輪郭だけ浮き上がらせていた。
 4日間の滞在の中で、青い空を見ることはできなか
った。同行していた湖北省青年連合の役職の方にこち
らでは青い空が見えませんね、と聞くと流暢な日本語
で何ともつかぬ返事が返ってきた。
 つまり中国に行って改めて感じたのは日本の空は青
い、そして綺麗だということである。
 空だけではない。
 海外に出てこそ感じるのは、日本は豊かな水に包ま
れた麗しい国土に身を置いているということである。
それはかけがえのない財産であるということである。
水が貴重で豊かな資源であるという認識に開眼するの
は日本から出て中国なり外を歩くことで、いかに飲料
水に苦労するか、現地の水を飲めば危険だという感覚
の中で持ち歩くペットボトルの中で揺れる水が水宝に
見えていった時である。

 年末年始の時節である。
 この時節も改めて日本の正月という時間と文化から
日本の各地の郷土史や地域の伝統、各地の特色や良さ
を再発見できる。
 首都圏、都市圏、関西圏などで暮らしている多くの
人々にも帰るべき故郷がある。盆と正月には多くの人
々が自らの原風景に戻っていく。そういう時間の往復
の中で、今の自分が見つめ直される。
 都市部での時間と各地域での時間とはまるで違う。
 地域の訛りが混じって聞こえ始めるとつい楽しくな
る。方言も立派な無形文化財の1つであろう。その地域
を感じ入る。
 久しぶりに家族が揃って、あれやこれやと身の上の
積もった話を交換し合う。私も時に忘れかけた方言が
口をついて出る。そういう自分に気づき、また愉快に
なる。弟夫婦が2人の幼子を連れて実家に戻ってきた。
 私も叔父になるひと時である。

 そうして来年を望む。

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年末年始、日本の風景

2008-12-28 17:51:56 | インポート
年末年始の空気が漂い始めてきた。
ある会社員の方は、本日から9連休だと非常にくつろい
だ表情で話していた。
各故郷に向かうために新幹線の乗車率が120%を超え
ている状況を見ると、改めて日本の都市圏の人々の生活
風景がよく分かる。

関西圏と首都圏にそれぞれ各地方から多くの人々が出て
きて学業や仕事につき、暮らしている。
職場人口と居住地人口とは通勤なども含めて微妙に異な
っているが、多くの地方人が年に一度、ふと自分達の原
風景に立ち返っていく時である。
この時期だけは、各田舎も都市圏のファッションセンス
や街の空気を引き連れたままの人々で賑わいを取り戻す。
そういう人々の賑わいと風景を見るのが愉快である。

いつ帰るのですか、と街の人々が私に聞いてくる。そし
て年明けに故郷から帰ってくると、戻ってきたのですね、
と声をかけてくれる。
ここ数年の、私に対する町の人々のこの時節の反応の1
コマである。

そろそろ両親にも私の良き伴侶を紹介してあげたい心境
になる年齢であるが、プライバシーの無い立場にあって、
いかにプライバシーとプライベートとを確立するかとい
う矛盾に向き合っている今、まだその矛盾を越えられな
いでいる。

今年も、もうじき暮れる。色々な人模様があった。懐か
しむように振り返る。

私もまた数日のうちに帰省の途につく。小さな町が故郷
である。レールの響きに耳を傾けながら、このときは、
私は田舎に生まれ良かったと思うのである。
田舎者として、また年が明けてどのような1年にしよう
かと思いを巡らせる。

この季節はいいものである。

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ポスト石油に向けて文明の転換期

2008-12-23 16:14:44 | インポート
 私のストレス解消法の一つとして、長距離ドライブと
いうものが挙げられる。厳密に言えば、超長距離ドライ
ブと言ったほうが適切かもしれない。
 流れる車窓の景色に、いつの間にか自身が同化してい
くようで心地よい。海辺、山間、洗練された街などハン
ドルを切るうちにリラックスできる。

 今は時間的制約が多いために、長距離ドライブをする
機会はほとんど減ったが、たまにまとまった時間ができ
るとあの山の向こうへという気持ちが湧いてくる。
 免許証を取って初めての運転でレンタカーを借りて紀
伊半島を縦断して往復した頃のことも懐かしい。返却し
た時に店員が走行距離に驚いていたことも覚えている。
 私は車好きというよりも車を運転してどこまでも走る
ことが好きだというほうが適している。

 前置きが長くなった。
 日本の製造業の代名詞の一つとでもいえる自動車業界
が金融危機、若者の車の購買動向の変化、市場の変化等
で向かい風に直面している。大手自動車会社もまさかの
大幅な下方修正、営業赤字にさいなまれ、生産体制を抜
本的に見直すことを余儀なくされている。設備投資も大
幅に見直しを迫られている。
 しかし、もはや自動車無しでは人々の生活圏が成立し
ない。加えて、ガソリンという一つのエネルギー文明が
転換期に来ている。

 ガソリン車という一つの文明の利器が、もはや収束と
静かで長い期間をかけた終幕へ向けて市場や諸環境が動
き出したと私は感じている。
 悠長な時間は許されていない中での次世代燃料を主と
した自動車を実用化させて普及させなければならないと
いう大きな局面に差し掛かっている。
 有力な候補が電気自動車と水素自動車であろう。
 電気自動車は実用化に向けて大きく進んでいるようだ
が、例えばガソリンを給油する程の身近さで街中に電気
を充電させる設備や基地を整備しなければならない現実
を思えば、膨大な特需が生まれると同時に巨大な設備投
資が必要になってくる。しかも、そもそもの電気をどの
ようにして生み出すかという原点が、従来の発電方法で
あるならば電気自動車が普及して更に発電需要が増加し
て環境を破壊することになりかねない。
 水素自動車にしても水素をいかにして実用エネルギー
として普及させるか、その設備整備に膨大な労力が伴う。
 
 ポスト石油に向けて国の戦略が必要である。

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今日の憲法(五十四)

2008-12-23 15:34:42 | インポート
 Article 60:

The budget must first be submitted to House of Representatives.
Upon consideration of the budget , when the House of
Councillors makes a decision different from that of the House
of Representatives , and when no agreement can be reached
even through a joint committee of both Houses , provided for
by law , or in the case of failure by the House of Councillors
to take final action within thirty(30) days , the period of
recess excluded , after the receipt of the budget passed by
the House of Representatives , the decision of the House of
Representatives shall be the decision of the Diet.

(日本語訳)

 第六十条

 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
 予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした
場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を
開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院
の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除
いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を
国会の議決とする。

Article 61:

The second paragraph of the preceding article applies
also to the Diet approval required for the conclusion
of treaties.

(日本語訳)

 第六十一条

 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項
の規定を準用する。

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来年を望む、望年会

2008-12-21 12:13:25 | インポート
 今年もあと十日ばかりとなった。
 早いものである。例年ならばこの時節は忘年会の連続
で、今年一年を愉快に振り返って来年を望もうという流
れになるのだが、深刻な金融不況を受けてか、なかなか
例年のように愉快に忘年会を、という空気にはならない。

 仕事量が半減したという工場長の方の話を聞いた。
 年末の資金繰りがどうなるか不安だという方の話を聞
いた。
 突如として職を失ったという派遣の方の話を聞いた。
 客足がさっぱり止まってしまったという居酒屋の方の
話を聞いた。
 下請け孫請けの中小企業が集積している東大阪市では
親元の会社からの発注が減れば、そのまま仕事が減って
しまうという構造にある。
 とても愉快に忘年会を、という空気にはなれない。

 不意打ちを食らって閉店をせざるを得なくなった店の
方の悲痛な思いを聞いた。親子間の認識の違いで子が後
を継がなかったために店が閉店という事態になった。
 一所懸命に努力して生きてきて、色々と築いたものは
何だったのかという虚しさに包まれているというその方の
全身から力が抜けていくのが分かった。

 それでも来年を望まなくてはならない。
 愉快に、とはいかないが忘年会ならぬ来年を望むとい
う意味での望年会をという気持ちで私は各所に参加させ
て頂いている。
 それでもせめて、このような場であるがままのご意見
を頂戴できれば、旧年を糧にして更に厳しくなると云わ
れている来年に踏み出すという厳しい思いがひしひしと
伝わってくるのである。

 来年を望もう。
 そういう望年会でもいい。

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