木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

大阪市長選挙・知事選挙を受けて

2011-11-28 12:09:24 | インポート
 大阪圏に暮らしていると大阪の物事や選挙の報道が
大阪ローカルであるのか全国版として流れているのか
分からない時がある。遠方の方に大阪市長選挙・知事
選挙の事を聞いてみるとニュース等で流れているとの
事なので全国版や広域版で流れているようだった。
 私が体感した限り話題は圧倒的に大阪市長選挙に集
中して大阪知事選挙についてはダブル選挙だからつい
でに話題になる程度で、主体的に知事選挙が話題にな
る事は無かった。

 私が住んでいるのは東大阪市だから大阪市長選挙に
ついては意志表示、投票ができない。当然の事だが大
阪市長選挙については大阪市民のみに投票権がある為
に大阪市外に住んでいる者にとっては気にはなってい
るが意志表示のしようがない。
 私が投票できたのは大阪知事選挙のみである。

 世間の関心がそのまま投票率に表れている。
 今回の大阪市長選挙は60.92%、大阪知事選挙
は52.88%であった。投票率が大幅に上昇したと
いうニュアンスで報道されているが大阪市長選挙の今
回の60.92%は決して高い数値だとは思わない。
むしろこれまでの投票率が低過ぎたという事の裏返し
ではないか。約4割の有権者は大阪市長選挙に投票す
らしていないという事である。4割という存在は大き
い。私は大阪が本当の意味で洗練された都市格のある
世界に発信できる求心力を持ち魅力ある都市に脱皮し
ていく為には有権者の洗練も不可避だと感じている。
大都市だから投票率が低くなるという評論も存在する
が投票率は70%台から80%台は欲しい。
 文句は言うが行動しないという有権者体質の脱皮こ
そ今後の日本に求められる課題だと言える。

 1947年以降の市長・知事同日選挙の投票率を見
ると1951年では73%である。1963年までは
大阪知事選挙の投票率の方が大阪市長選挙よりも高く
推移している。この時まで投票率は70%を示してい
る。大阪が日本の産業都市として栄えていた頃は民度
も高かったと言える。
 その後、投票率の上下はあるものの1975年まで
は大阪知事選挙の投票率は65%台を維持している。
 大阪市長選挙については1971年を境に投票率が
急落し34.85%になった。これ以降、2005年
まで大阪市長選挙は投票率が1987年以外は30%
台に低迷、特に1995年は28.45%に停滞して
いる。1970年を境に何故、大阪市の投票率が急降
下したのだろうか。大阪の衰退と歩調を合わせるかの
ように投票率が低下している。
 大阪が再び活況を取り戻すには先ず、民意から活況
を取り戻し市井から潮が満ちるように洗練されていか
なければならないだろう。
 高い民意があってこそ都市格も洗練されていく。

 何故、長年に渡り大阪が低迷しているのか。
 今後しばらく私なりに分析していきたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブータンのロイヤル夫婦の好印象

2011-11-22 23:22:31 | インポート
 ブータンの国王と王妃が新婚旅行先に日本を選んだ事
は一人の日本国民として嬉しく思った。以前に来日され
たブータンの王女も日本に対して好意的でむしろ日本が
日本に対して卑屈になり過ぎている姿に対して苦言を呈
していた姿が印象的であった。
 ワンチュク国王とペマ王妃の若いロイヤル夫婦の姿は
さわやかで特にペマ王妃の物腰は気品があり優雅で古き
良き時代の日本人を時空を超えて見ているかのような感
覚にさせられた。
 日本のもてなしで日本の着物を着たペマ王妃は着物姿
がとてもよく似合い、言葉を発しなければそのまま日本
人かと見紛う程に似合っていた。

 人口が80万人のヒマラヤ山脈の麓の国のブータンは
今日的な経済指標や物質、物品に溢れた感覚からすれば
まだまだ開発途上で首都にようやくショッピングモール
が出来たという事が事更に伝えられるくらいだが、昔の
日本の風景がきっとそうであったように国民は足るを知
る人生を送り、物品に溢れていない日常の中に生きてい
く上でのささやかな幸せを見出している。それを国を挙
げて幸福度という尺度で表し、幸福度の高い国を目指す
という価値観に共鳴を受ける。
 経済至上人生に浸りきった日本や他の先進国で足るを
知る価値観やささやかな幸せに満足することに価値を置
く生き方はもはや贅沢を知ってしまったが故に困難な事
かもしれない。

 ブータンは親日の国である。ロイヤル夫婦が新婚旅行
に日本を選ぶ事にその思いも表れている。かつて日本が
灌漑事業や農業指導等、長年に渡りアジアの人々に貢献
してきた事も影響は大きく、ブータン国民は様々な分野
で貢献した日本人の名前を教えられて育ち、多くの国民
がその日本人の名を口にし、日本に感謝しているとのこ
とである。
 ブータンに限らず、日本に感謝の念を抱いている国は
少なくない。総じてそれを親日の国と言うのだが日本の
メディアはもっとそのような事例も多く報道して肝心の
日本国内に事実と実態を浸透させるべきである。
 アジアを広く見渡した時には親日の国々のほうが多い
のである。これは何事かを物語っている。中国や韓国に
見られる意図的な反日教育、反日報道がアジア全体で見
た時にはいかに不自然で意図的なものかという事が認識
できる。
 多くの日本人は連日、報道されるフィクションの中に
生きているのかもしれない。良識ある日本人により日本
国民からフィクションを解除し、的確な事実を伝える事
がこれから求められるだろう。本当の意味での日本人に
よる日本国や日本人の為の報道が求められる。
 その意味においてはTPP加入によりメディアが自由
化されれば、すなわち外資の影響下に日本のメディアが
置かれ多国籍、無国籍メディアにされてしまった暁には
ますます日本にとって必要な物事が伝えられず意図的な
狙いを以って何かが報じ続けられる世になる事は明白で
ある。

 ブータン国王・王妃による日本の数日の滞在は日本に
ブータンに対する好印象を与え、今後しばらくブータン
を訪問する日本人旅行客が増えるだろう。ブータンにと
ってはロイヤル効果である。
 日本のロイヤルも海外を歴訪した際には各国に好印象
を与え、また各国のロイヤルがこれを迎賓し日本に対す
る認識や認知が深まっている事は想像に難くない。日本
のロイヤルは世界で最も長い歴史を有し、最古の存在で
ある事から世界各国も日本のロイヤルについては一目置
いている事が様々な会見から窺い知る事ができる。
 英国のロイヤルよりも、ローマのロイヤルよりも日本
のロイヤルの方が長い歴史を有している。何と素晴らし
いことだろう。
 日本のロイヤルの価値に気付いていないのは皮肉にも
日本国内の日本人なのだと指摘していた海外のロイヤル
の会見を思い出す。その会見では日本人は何故もっと日
本のロイヤルを大切にしないのだろうかとも述べていた。
 ブータンの若きロイヤル夫婦の爽やかな存在感は日本
のロイヤルの大切さをも改めて伝えていたように見えた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつものように話を聞くと・・・

2011-11-19 16:12:53 | インポート
 過日、近畿地方のある街の駅前にあるカフェである方
と約2時間弱の会話をした。その方から事前に私に電話
があり「色々と話がしたいから来てほしい」とのことだ
った。
 過去8年、この方からは時折連絡が入る。
 大抵はどこそこの街の喫茶店で合流して、ああやこう
やという世間話やその方なりの政治分析を雑談風に話す。
私はひたすら聞き役で、時折相槌を打つ程度なのだが毎
度のことながら結局、何の為に私を呼び出したのかよく
分からない、そういう事を繰り返してきた。
 不思議な方である。
 政治活動家としてそこそこの名は知れている。
 しかし毎回、会う度にこれという要件もなくただ2時
間程一方的にしゃべり続ける、私はただ聞く、そういう
場面を何度も重ねてきた。

 過去8年間、2時間ばかりの会話を終えて席を立った
後に「結局、何の為に私を呼び出したのだろうか」とい
う漠然とした疑問と思いがいつも残る、そういう方であ
る。
 今回も電話連絡が入って「会って話がしたい」との事
で、私は毎度のように2時間の雑談を想定して、これも
この方なりの対人関係の間合いの取り方なのだろうと思
い予想できる場面といつもの感想を想定しながら指定さ
れた近畿地方のある街へ出向いた。

 約束した時刻に私が指定された喫茶店に出向くとその
方は既に着座して時折周囲を見渡している。周囲はお洒
落に着飾った往来客で賑わっている。
「いやあ、この度は落選して残念だったな。」
と私が着座して珈琲を注文すると間合いを見てその方は
切りだして、いつものように世界情勢、その方なりの見
聞録、社会状況の見解を話し続ける。
 落選した私を激励しているのか、いつものように2時
間ひたすら弁を振るうのか、よく分からないような会話
が続き90分が過ぎた。
 今回はいつもと違って私も少し釘を刺した。
「そういう話もいいのですが、貴組織として或いは貴殿
として私が活動している東大阪という地域を見て、かく
がくしかじかだよとか、こういう状況だからもっとこう
したら良いという見解を聞きたいのですが。」
と述べると、その方はしばらく黙ってから
「そうだな・・・、なら1億円出せ。そういう風にする
なら話は別だよ。」
とさらりと言い放った。
 冗談かと思ったが目が真剣であった。

 私もここで皮肉を込めてキャッチボールを投げ返した。
「そうですね、しかし高い金を払っても既に分かっている
ような事ばかりを羅列されて解説されても困りますからね。」
 そう言うとその方は真顔になって
「そういう事はない。きちんと専門家を揃える。」
と言ってきた。やはり冗談ではないのだ。
 私は何かを腹に据えかねながら、
「コンサルタントとか学者とか評論家を自称する人達にあり
がちなパターンですが、高い金だけを要求してああだこうだ
と評論する。しかも、そのような事は既に分かってますよ、
言われなくても分かっているよ、というような事ばかりを開
陳する。よくいますよ、そういう人達。」
と真顔で述べた。
 結局、冗談とも本気ともつかぬこの話はこれで終わりにな
って後は毎度のようにその方の話が続いた。

 結局、いつものように何が言いたいのかよく分からないよ
うな時間を過ごして、私は席を立った。
「じゃ、またな。」
とその方はいつものように笑顔で手を振る。
 結局、この方なりの人付き合いの方法の一つなのだろう。
 ご用件は何ですか、と敢えて私は聞かないでいる。
 聞かない方が良いだろう。
 敢えて言葉にすると場が白けてしまう。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本はもう充分に開国している

2011-11-15 13:53:49 | インポート
 TPPに関して開国という表現がよく用いられる。
 メディアにより思考回路が形成される圧倒的多数の人々
はそうか日本は閉鎖的なのか、なるほどもっと国を開く必
要があるのかと認識する。
 今の日本が開国していない、つまり鎖国の状態だと定義
するのなら世界のほとんど全ての国々は鎖国と言える。
 今の日本が開国していないとされるのなら米国も英国も
欧州諸国も鎖国であり、その他の国々は排他的か閉鎖的と
いうことになる。
 国家として開くべき分野と明け渡してはいけない領域と
が存在する事は当然の事であり、全てを開け放つ事は単に
見識を失いけじめを失うという事に他ならない。
 今の日本は限りなく世界に開かれている。
 それを市場という名の下に物事を全て開け放つ事は国家
と企業の違いが分からない見識と言える。

 経済界は夢を見ているに等しい。
 TPP加入により日本の輸出額が伸びるとかマーケット
が広がるという認識にあるが、そもそも現在のTPPが
米国が総力を挙げて米国の輸出産業の利益を図り、また米
国人の雇用を大幅に増加させる目的にある戦略である事か
ら日本の輸出が米国内でTPPにより増加し日本人の雇用
がTPPにより国内外において増える事は現実として生じ
る可能性は著しく低い。
 もしTPPに加入した後に現在の想定が崩れ日本企業の
輸出は横這いか減少、マーケットも広がりが出ないばかり
か関税以外の要因で縮小したならばどのような認識に立つ
のだろうか。今更のごとくTPPの実態に気付き嘆くのか
自暴自棄になるのだろうか。
 TPPの全容を知らずしてTPP加入を主張しているの
なら良識に基づいて判断して欲しいが、全容を知った上で
TPP加入を主張しているのなら御社のアイデンティティー
はどこにあるのかと尋ねたい。亡国の商人と云われても仕方
のないことになる。必ず後世に禍根を残す。

 メディア報道によると日米首脳会談でオバマ大統領は
「日本の決断を歓迎する。2国間の関係を深める歴史的な
機会を提供するだろう。」
 と述べたとされているが、オバマ大統領の本音が如実に
表れている。TPPのターゲットはあくまでも日本である
ことは明白でそれが2国間という表現になり、TPPを日
本が呑めばあらゆる分野において米国を利する事は明白で
オバマ大統領の一般教書演説を実現することに道が拓け、
それを以って歴史的な機会という表現になっていると見る。
 米国は日本にとって重要な国家であり人間関係に例える
ならば親友という間柄に近い。であればこそ呑めない条件
は呑めないと言うべきで、親友だからといって相手があま
りに利己的な内容を要求してきたなら断るのが人格という
ものではないのか。

 カナダとメキシコがTPPに新たに加入すると伝えらて
いる。カナダは米国との自由貿易協定を締結する際に米国
の国務長官から
「カナダの国民は自分達が何に加入するのか知らないまま
 加入する。」
という趣旨の見解を示され嘲笑されている。
 ここに物事の本質が見えている。

 庇を貸して母屋を取られる、という諺がある。
 TPPに加入すればまさに諺通りになる。
 多国籍企業群に少し日本の庇にいつでも自由に入れるよ
うにしてくれとせがまれて庇を開放したとする。その見返
りに日本はもっと広い場所で商売ができますよと誘われる。
TPPを知れば知る程、庇を貸すどころか国家の相鍵、ス
ペアキーを渡すに等しい事になる。気が付くと日本は自分
の母屋を他人に好きなように使用されている。自分の家に
帰ろうとしても他人が居座ってまるで我が家のように振る
舞い「自由協定」という名の下に遠慮すらしない。むしろ
逆に日本の方が自分の母屋に入ることすら遠慮がちになり
やがて入りにくくなり、そうかと言って相手の家には自由
に入れず、当初の誘い文句であった「もっと広い場所で商
売ができる」事もなく、帰る場所も居場所も失う状態にな
る。もともとは日本の敷地であり家屋であったところが他
の人々によってあらゆる家具や調度品、水道水や寝室まで
自由気ままに出入り使用され、それでも他の人々とはそう
しても良いという契約を交わして、それが日本という家の
ルールよりも優先されるとして何も言えない状態になる。
 TPPに加入すれば国家としての庇を貸して母屋を取ら
れる事は明白で、その原理にどれだけ多数の国民が早く気
付き本質を理解するかが要である。

 それとも日本はもはや親友である米国に「NO」とは言
えない構造にされているのか。「NO」と言う事で伴う痛
みとTPPを呑む事で体験を以って知る傷みと痛みのどち
らがひどいだろうか。推して知るべきである。
 TPPを拒否する事が反米であるとか閉鎖的であるとさ
れTPPを呑む事が親米であり国際的で開明的とされる定
義には違和感を覚える。
 そのような尺度で測るものではない。
 TPPは知れば知る程に絶対に呑めない条件ばかりであ
る。呑めないものは呑めない、そういう本質のものである。
 国家としての判断を誤らないで欲しいと願うのみである。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大切なものを守るために

2011-11-11 14:49:29 | インポート
 企業経営と国家運営、国家経営とは全く違う。
 経済界に見られる一部上場企業を中心とした経営者の
声の多くはTPPに加入するべきだというものだが企業
利益のみの追求と拡大を狙いとした判断は根本の判断を
誤る。企業活動の拡大と企業利益の追求に猛進した果て
に企業活動が崩壊し企業利益も縮小することになる場合
がある。それは利益拡大の仮想に釣られて現実を失いか
けがえのない収支には即座には反映されない国益や国民
の生活がないがしろにされた結果、企業活動自体も成立
しなくなるという場合である。
 TPPに加入すれば多国籍企業群が利の追求のみで走
り自らに都合のよい例外だけは後から多数設けて例外な
き自由化のみを標語として掲げることになるだろう。ま
さに日本国が市場としてのみ見なされて、そこにある国
民の生活圏や日常の暮らし、日本国民の蓄積や財産は一
切眼中にない多国籍企業群による活動が展開されるのみ
で、最初のうちは労働力として日本人も使われるかも知
れないがやがて日本人の雇用も米国系や多国籍で安価な
労働力で代わられて圧倒的多数の日本人が日常の有形無
形の財産を失うことになる。

 経済さへうまく展開すれば世の中が良くなるという時
代は終焉した。今は時代が進んだ結果、経済利益・企業
利益さへうまく行く事を追求すれば国が廃れ国土が荒廃
し逆に経済すらうまく展開しなくなる。
 求められるのは政治リーダーと世の中を機能させる政
治の力である。経済さへうまく回れば良かった時代なら
そこにある政治も利益団体に裏打ちされたもので事足り
たのだが、経済さへうまく回れば良いという発想が国民
を疲弊させ国民生活を破壊する事になり経済さへ展開で
きなくなる時代になると政治には利益団体に裏打ちされ
た姿ではなく、マネジメントとしての、ガバナンスとし
ての、国家を健全に機能させる為の政治でなければなら
ない。その本質が肌身感覚で理解でき決断できる人物こ
そがこれからの政治リーダー、ひいては国家のリーダー
たりうるのである。
 
 オリンパスを見よ。企業利益に走る余り巨額損失を隠
蔽してきた果てに上場廃止の瀬戸際に瀕している。
 大王製紙を見よ。利に浮かれ公私の見境を失った創業
一族の世襲社長が巨額の資金をカジノに使い不祥事とし
て企業の信用失墜に至り株式市場で監理銘柄に指定され
株価が大幅に下落し会社存亡の瀬戸際に立たされている。
 利に走る余り倫を失うと利すら失う教訓である。
 ましてや多国籍企業群の利に飢えた要求であるTPP
を日本国が国家として受け入れて日本国を市場として明
け渡しても良いのか。

 TPPにより廃れていく日本の農業を復活させるとい
う意見もあるが日本の農業の解決すべき課題とTPPに
加入するという事は別次元のもので、全く別の問題であ
る。ウルグアイラウンドの例を引用する見解もあるがウ
ルグアイラウンドで良かった、日本の農業がこのように
蘇生したという良い実例を聞いた事がない。むしろウル
グアイラウンドで箱モノや農道を無理やりに作ったとい
う予算ありきの事業展開しか聞いた事がない。
 ウルグアイラウンドで日本の農業がこのように恩恵を
受けたという実例が存在するのなら紹介して欲しい。
 TPPとは別次元で日本の農業自体は政治の力で蘇生
させなければならない。廃業していく農家が続出し耕作
放棄地が増え集落が消滅していく事態は就農している人
々の年齢が高齢である事を思えば猶予は5年程しかない
だろう。
 農地法の問題もある。そもそもはGHQによる占領政
策の一環として地主の土地を二束三文で小作人に強制的
に提供し、しかも細切れに細々とした田畑を法改正によ
る法改正を重ね身動きが取れなくし、借地権の問題も重
ねて複雑多岐になった日本の農地の問題は根深く複雑で
日本の農業を展望のない姿に陥らせている。
 遮二無二突っ走った減反政策も米が飽和状態になった
という理由で日本の農地を大幅に減少させた。近年の研
究で減反政策も日本の占領政策の一環として日本を食糧
不足に誘導するという狙いが込められていた事が明らか
になっている。
 今のままでは衰退する一方の日本の農業の課題は日本
の内政の問題として、日本国の課題として日本国が解決
していかなければならない問題でありTPPと結び付け
る論理は間違っている。

 知れば知る程にTPPは日本国民の日常を破壊する。
 貿易と農業の問題に矮小化された報道で見事な世論誘
導を受けて決められた方向に誘導されている日本国民で
あるが今、判断を間違えれば塗炭の苦しみが待ち受けて
いるだけである。
 TPPは鉱業採掘権の自由化、メディアの自由化、外
国人居住権の自由化、金融投機の自由化、医薬品価格の
自由化、食品表示の自由化、水源の民営化、刑務所の民
営化、学校の民営化、病院の民営化、公的施設の民営化
等が盛り込まれている。
 自由化とは何を意味するのか、良識に基づいた判断力
のある人々なら分かるだろう。自由と言う名の下の資金
力と力により相手を屈服させ支配下に置くことである。
 自由化してはいけないものがある。
 民営化してはいけない領域がある。
 公が国家がマネジメントしなければいけない分野がある。
 利益追求に走ってはいけない領域と分野がある。
 それらを判断する事を総称して良識だと私は思う。

 大切なものは利益のみの追求では守れないのである。
 日本国民のかけがえのない、大切なものを守る為に国
家の良識と品格が問われている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする