木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

北方の息吹(七十三)

2007-01-31 10:46:46 | インポート
 (引用続き)
 このことはソ連が東欧諸国に軍事基地を保有している
 こととともに、日本国民の納得し難いところである。
 今日米国の軍事基地はわが国のみならず、英国等多く
 の国にも存在する事実は閣下のつとにご承知のところ
 である。

 わが国は自由民主主義を最高の政治理念として追求す
 るものであり、この方針は今後とも不動のものである。
 しかしながら、仮今わが国と政治理念を異にする国家
 であっても、紛争はつねに平和に解決し、武力による
 威嚇を慎み、他国の内政には絶対に干渉しないという
 原則を厳守するものである限り、わが国はこれと善隣
 友好の関係を樹立するに咎では無いのであって、前述
 した日ソ共同宣言もわが政府としてはこのような精神
 に基づいて署名したのである。しかして、わが国は今
 後ともつねにこのような精神に基づき、相互理解と友
 好的協力を通じて世界の平和に寄与するよう努力する
 ものであることを、この際重ねて強調しておきたいの
 である。
              (以上、引用を終える)

 フルシチョフ首相の親書に対する、時の首相であっ
た池田勇人総理大臣による日本国の回答である。ソビエ
トの言動特質として、文書ではいかにも平和を希求して
自らが世界に働きかけているかのような表現が多いが、
歴史の事実を回顧した時に、自国の実態は秘匿し極秘に
包んで軍備を拡張し、領土を拡大しようと試み、その理
念の障壁となる存在には武力を背景に迫り、外交や文書
では美辞麗句で相手を悪と決めつけて論難する特性が見
られる。
 私の故郷に故・池田勇人元総理大臣の銅像が西を向い
て立っているが当時の時空にあって池田総理は何を感じ
ソビエトの影をどのように見ていたのだろうか。ソビエ
トという世界的な膨張とそれを維持するための壮大な虚
構と嘘、更にそれを支えるための軍事力が米国を中心と
した西欧諸国を緊張させ、対抗して軍備拡張が競われた。
 冷戦時代の時計が刻まれている最中での日本は米国と
西欧諸国、それに対峙するソビエトとソ連に同調する国
々との間に立ち、かつ、敗戦による「くびき」で言動が
限定され、国家戦略として米国との共同歩調を選んでい
く姿が見える。日米の関係に反発するソビエト。
 北方領土問題は日本の置かれた状況の影絵のようなも
のでもある。

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北方の息吹(七十二)

2007-01-30 11:53:48 | インポート
 (引用続き)
 これらの点については、私も閣下と見解を一にするも
 のであるが、私はかような可能性は日ソ両国が相互の
 立場を認め合い、その基礎の上に立って日ソ両国がお
 ごそかに宣言した国際約束たる日ソ共同宣言に忠実で
 ある場合にのみ発見出来ると信ずるものである。

 閣下は日ソ間の国交の完全な正常化に言及されたが、
 それは両国間の平和条約を締結することが必要であ
 る。日本国民はソ連政府こそ日本国固有の領土を返還
 することによって、平和条約への路を拓き得る立場に
 あると考えておる。しかるに閣下はわが国がアメリカ
 合衆国との間に安全保障条約を結び、わが国の領土内
 に外国の軍事基地が維持されていることをとりあげ、
 あたかもそれが日ソ両国間の関係の正常化を妨げてい
 るかのように主張されるのである。しかしながら、日
 ソ両国が両国間の関係を正常化する意図をもって共同
 宣言に署名した当時、既に日米間の安全保障条約が存
 在していた事実は閣下もご承知のとおりであり、日ソ
 共同宣言は国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的ま
 たは集団的自衛の権利を確認しているのである。しか
 のみならず、この日米安全保障条約はその後我が国民
 の意思に基づいてさらに合理的に改定され国連憲章に
 基礎を置く防衛的性格を有するものであることが一段
 と明らかにされておる。したがって、ソ連政府が安保
 条約はソ連その他の平和愛好国を脅威するものである
 からかかる条約の解消を主張することは、日本国民の
 全く理解しえぬところであって、およそ他国の安全を
 脅かす意図を有しないものにとっては、この条約の脅
 威を云々する理由は存在しない筈である。他国の外交
 ・防衛政策について一方的、主観的な解釈を加えてこ
 れを論難し、その政策の改変を呼掛けるときは、閣下
 がソ連政府の方針として述べられている内政不干渉の
 原則とは相容れないものであると申さなければならな
 い。

 ソ連政府が軍事ブロックの完全な解消を主張しながら
 旧安保条約の締結以前、すでに中共との間にわが国を
 対象とした同盟条約を締結していること、およびごく
 最近、北朝鮮との間にいわゆる相互援助を締結したこ
 とはこの貴国政府の主張と全く矛盾するものであって
                   (引用続く)

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北方の息吹(七十一)

2007-01-29 08:45:39 | インポート
 (引用続き)
 貴総理、私がこの関連において日本国がアメリカ合衆
 国と軍事同盟を締結しており、そして日本国領域に外
 国軍事基地の維持されていることは、貴我両国間の信
 頼の増進と関係の完全正常化とを助長しえなかったこ
 とを指摘しないならば、私は誠意を欠くことになるで
 あろう。しかし私は、日本国の国土から外国の軍隊お
 よび軍事基地が一掃されてソ連邦と日本国との間の善
 隣関係を一層増進するための途を開く時が到来するも
 のと信ずる。

 私は、この書簡においてこの問題のすべての面に触れ
 ようとは思わない。ただ貴総理にここで強調しておき
 たいことは、ソ連邦が軍事ブロックと他国領域にある
 軍事基地との完全解消ならびにすべての国家間の友好
 および協力の発展をこれまでも常に断固主張してきた
 が、今後も不屈に主張するであろうということである。

 われわれは、平和の維持と国際の安全とをよりよく保
 障するものは軍事ブロックや軍事同盟ではなくて相互
 理解の現実と友好的協力であると深く信じている。ソ
 連邦と日本国との政治および社会体制が異なっている
 ことは、日本国およびソ連邦の両国民の実り多い協力
 を妨げるものであってはならない。

 ソ連政府が、日本国とソ連邦との間の関係に関する限
 り、日本国政府が提起することがあるべき共通の利害
 関係を有するいかなる問題をも検討する用意があるこ
 とはいうまでもない。

 最後に、私は貴総理とA・E・ミコヤンとの間に可能
 となった今次の意見交換が、ソ日関係を改善する目的
 のため利用されるよう期待するものである。
               (以上、引用を終える)
  
  ?フルシチョフ首相あて池田総理の返書(抜粋)?
   一九六一年八月二十六日
 
 閣下はソ連政府が平等、独立主権の相互尊重および相
 互内政不干渉の諸原則にもとづいて、わが国と平和、
 友好および協力の関係を樹立することを心から希望し
 ていること、および、対日懸案のすべてを話合いによ
 って解決し、両国間の関係を完全に正常化したいと考
 えている旨を述べられた。閣下はまた、日ソ両国民が
 漸くの如くして生活の各分野で双方の利益になるよう
 な交流と協力を発展させるための諸々の可能性がある
 との見解を表明された。(引用続く)

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北方の息吹(七十)

2007-01-27 14:14:52 | インポート
 北方領土はお人好しに、返還を求めるのではなく奪還
するものである。どのように奪還するのか、一日も早く
奪還するにはどのように行動するべきなのかを議論では
なく、事実に基づいて動いていかなければならない。
 事実という大地に鍬を入れることが北方領土問題に必
要だが、大地に鍬を入れるためには氷結している雪や氷
を掻き分けなければならない。雪かきが大きな労力であ
るように「冷戦時代」という雪と「その後の時代」とい
う新雪を掻き分けていくのは持久力が求められる。加え
て雪を掻き分けられる度に嫌な顔をする者も出るだろう
し、雪が解ける事を極度に怯えている者が日本にもロシ
アにも果ては他国にもいる筈である。中には雪かきを妨
害してくる者も国内外を問わず現れるかもしれない。

 しかし、事実は何事をも超越する。私達は無我の境地
で日本という時空を尊重し、大地に鍬を入れるために行
動することだけが求められている。
 北方領土が日本の固有の領土であるという絶対的事実
を何故、ロシアは行動で示さないのか。1+1=2という解
と同じくらい事実過ぎる事実に何故に障壁があるのか。
1+1=2という解を世界中で唱えられる事に怯えているの
は誰で、それは何故なのか。雪かきをする中にその姿が
見えてくるだろうし、大地に鍬を入れる中で掘り起こさ
れる大地の中に多くの答えが眠っている筈である。

 時の首脳のやりとりを回顧してみる。
 冷戦時代や冷戦後の時代でも無い今という時代に二つ
の時代を俯瞰して先に眠る原型に触れなければならない。 

  ?池田総理宛・フルシチョフ首相の親書(抜粋)?

 私は、ソ連大臣会議第一議長代理A・Eミコヤンの訪
 日の好機を利用し貴下に私の挨拶とともに日本国民へ
 の平和、幸福および繁栄の希望を伝えたいと思う。

 ソ連政府は、東方におけるわれわれの隣邦たる日本国
 と、平等、独立および主権の相互尊重、相互の内政不
 干渉にもとづいて平和友好および協力の関係を樹立す
 ることを誠実に希求している。ソ連邦は話合いによっ
 てすべての未決定の問題を日本国と調整し貴我両国の
 関係を完全に正常化したく思っている。
 しかしながら、ソ連邦と日本国との協力を発展させる
 ための可能性は、遺憾ながら十分に活用されていない。
 
                    (引用続く)

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宙船(そらふね)という曲

2007-01-26 11:29:13 | インポート
 数週間前、恐らく市民の方だと思うが手紙が届いた。
色々と書いてあったが、中でも「中島みゆきが提供して
TOKIOが歌っている、宙船(そらふね)という曲を
聞いて下さい」とあったが、なるほどと思った。
 まだ聞いたことはなかったが、最近この歌を聞いた。

 この方はよく知っているな、とも思った。

 手紙には「木村議員の気持ちはこの歌のようなものだ
と思います」とあった。改めて歌を聞いて、否定はしな
い。
 要は、志は不変ということです。
 また危険は身近にあり、ということです。

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