ある男の懺悔 9

　その男は、タマネギ、ミョウガ、タイガースなどの縞模様が嫌いらしい。

　タマネギについては拘りがある。

　カツオのタタキにはオニオンスライスが欠かせない。

　タマネギと小エビのかき揚げは大好き。

　ただ、味噌汁やシチューのタマネギは許せない。

　男は、カレーのタマネギは、みじん切りにしてきつね色になるまでフライパンで焼く。

　そんなこだわりを持った男の女房がカレーを作った時の話だ。

　女房がタマネギをザックザックと切って、鍋に入れようとした。

　「これこれ、タマネギはみじん切りにして焼いてから入れろって言ったじゃろ」

　「ハイハイ」

　５分後、男が確認すると、そのまま入れてある。

　男は、鍋から全部のタマネギをつまみ出して、みじん切りして再投入した。

　それを見た女房は、それから１か月間、男と口を利かなかったという。

　それ以来、男は女房の料理を黙って食べるようになったらしい。