熱中症

　昔は日射病と言っていた熱中症。

　夏休みの昼下がり、高校の陸上部に所属していた私は、クラブ活動に参加していた。

　当時は３５度以上になることはなかったが、それでも３２-３度はあった。

　当時のスポーツ界の常識は、どんなに暑くてのどが渇いてもクラブ活動が終わるまで水を飲んではいけない

　というものだった。

　野球部は肩を冷やすので、夏でもプールに入ってはならないという決まりもあった。

　それでも身体が求めるものを我慢するとロクなことがない。

　先輩や同輩の目を盗んでは水分補給していた。

　そんな中、熱中症が引き起こす言語障害になってしまった。

　頭の中では、言葉が浮かぶのに、口に出すことができない。

　呂律の回らないことを言い続けるのだ。

　今では、トラックレースでさえ、給水ポイントが設置されることがある。

　よく死人が出なかったものだ。