笑えない話 ②

　１０年位前、何気にヤフーオークションの「ギター」のサイトを見ていた。

　そこには、エレキギター、アコースティックギターなどいろいろな種類のギターが

　常時１０万本くらい掲載されている。

　その中から

　「エレアコ」

　「オベーション」

　「２０万円程度」

　とか条件を入れて、ターゲットを絞るのだ。

　一本、気になるギターを見つけた。タカミネの限定生産で、新品なら７０万円以上のものだ。

　期限３日前に、試しに２０万円で入札した。

　期限日になった。入札額が上昇して２８万円になっている。
　
　１時間前に、３０万円で入れた。

　３０分前に３２万円になっている。

　３２万５千円で入れる。

　３３万円になった。

　こうなったら何が何でも落とさなければという衝動に駆られる。

　残り、１分。

　３３７５００円で入れる。

　落札してしまった。

　相手から、メールが来る。

　　「私は、広島県福山市出身です」

　　「え。私もそうです」

　　「私は昭和３２年生まれで、〇〇高校を卒業しました」

　　「はあ?　わしもそうなんじゃけど」

　　「名前は、〇✖▲🔲といいます」

　　「ふざけるな、同級生じゃん」

　　「でもちゃんと落札額で支払ってね」

　これは全くの実話だが、常時１０万本出ているサイトを訪ね、実際に同級生が落札する。

　これは、サハラ砂漠で一粒の砂を探し当てるくらいのすごい確率だと思う。
　
　そういえば、１ドル３６０円の時代に、１００万円もするマーチンD-28を学校に持ってきて見せびらかしていたなあ。

　「別れた女房との思い出のギターを、出品しちゃいます」だと?

　今からでも遅くない、値引きしてくれ!!