ヤマハXT系の225ccエンジン。
ヘッド周りから大きな異音が出始めて乗るのをやめていらっしゃいました。
開けてみると音の出どころは明白で、ロッカーアームのスリッパー部分とカムシャフトの著しい摩耗。
そうなった原因はともかく、摩耗したパーツの全交換と
燃焼室堆積物の除去とバルブの摺合せで
異音も消えるしバルブリフト量も回復して本来のコンプレッションとなり
ずっとこんなものだと思っていらっしゃったであろうエンジン出力も
こんなものではなかったことをお知りになるでしょう。
作業受け入れまでの期間でキャブレターが目詰まりしてしまうほどお待たせしてしまいましたので、
キャブレターについては当方にて対応させていただきましたが
もうこの先はお待たせしたことによる不具合については、あらかじめご理解いただいたうえでの
作業のご依頼受理となろうかと思います、すみません。
基本設計の旧いこのエンジンでは、バルブスプリングとは別に
ロッカーアームに戻り方向のトーションスプリングがセットしてあるのですが
デスモドローミック機構でもない限り、今時このようなものはありません。
だからなのかどうかわかりませんが、動弁系の抵抗によるパワーロスを嫌ってこれを撤去すると言う考え方があるようです。
そしてカムシャフトの支持方法では、このホルダーをカラーからボールベアリングに変更するといいらしい
という情報がありました。
最近は作業をご依頼される前にインターネットでその是非に関わらず情報を多く取り込まれてお越しになることも多いので
作業終了後日に「なんで言ってくれなかったの…」となってもいけないので、
僕も一応オーナーさんにはご報告するようにしておりまして、
それでどうされますかと尋ねると「お任せします」と。。。
当然僕はこのエンジンのスペシャリストではないので無難な判断にはなるのですけど、
バルブのリターンにつてはふたつのスプリングの合計の力が前提の設計でしょうから
単にこれを外すだけと言ったことはしません。
そしてカムシャフトの支持については、確かにボールベアリングは手に取って回転させてみると
コロコロとスムーズに回転するから「ん~これこれ」と期待するのですけど、
もともとの構造は油圧のかけられたエンジンオイルがカムシャフトの内部を通り抜けていて
このカラーとの間に油膜を形成していて、カムシャフトはオイルに浮かんで回っているのだから
摺動抵抗も耐久性もこちらの方が有利なんだと言う判断で
コチラも構造を変えることはしません。
メーカーのコストを想像すると規格品のボールベアリングを採用するより
このカラーを開発製造する方が大掛かりではないのかと言うシロウト判断デス。
オイルの通路を全て確認し組立完了。
作業後の試運転では良い結果で一安心でした。
今時のエンジンではこのようなトラブルを見ることはありませんけど、
設計の旧いエンジンですからオイルの管理をさらに手厚くやっていくのが良いんじゃないでしょうか。
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