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ママの遺したラヴソング

 銀座のシネスイッチで4月7日から公開している「ママの遺したラヴソング」を観にいった。一時間も前に行ったのに道路にはもう行列が出来ている。マッチポイントにでていたスカーレット・ヨハンソンがなかなか良いと聞いて出かけたのだが、思った以上に人気がある映画のようだ。

 母ロレーンの死去の連絡を受けた18歳になる娘、パーシーは葬儀のためフロリダからニューオリンズに向かう。そこに待っていたのは母の友人という、呑んだくれの元文学部教授ボビー・ロングと作家志望の青年ローソンだった。

 母に捨てられ、祖母に育てられていたパーシーは学校にも行かず、すさんだ生活をしていた。周囲の人たちに心を開くことも無かったのだが、シンガーだったロレーンの周りにいた人たちの母親に対する思いにだんだん心を開いていく。

 この映画のテーマのひとつは、劇中で引用されるロバート・フロストの

Happiness Makes up in Height What It Lacks in Length
Robert Frost

幸福とは長さの不足を高さであがなうもの
ロバート・フロスト

ではないかと思が、上手に表現できていると思う。

 ボビー・ロングを演じているトラボルタがなかなか良い。最近のフェイスオフとかマイケルと比べると、良い役を上手に演じている。アル中という役はトラボルタにぴったりだが、その彼が元大学教授でTSエリオットなどの引用をするから、意外性が楽しい。

 スカーレット・ヨハンソンが利発で感受性豊かな少女パーシーを演じている。人気者だったロレーンの娘であるということを町中の人たちが知っていて、暖かく迎える。母親のドレスを着て出かけたとき、そのドレスを覚えていた男がパーシーにやさしく話しかけたりするエピソードなど、ちょっとじんとくる。

 酒場の女を演じているデボラ・カーラ・アンガーも良い。彼女は「微笑みに出会う街角」で見たのが初めてであったが落ち着いた大人の女を演じている。ローソンのパートナーとしてじゃじゃ馬なんかよりずっとお似合いだと思うのだが、、、、

 この映画のもう一人の主人公は舞台となったニューオリンズである。フランス人によって開かれた町の中心部はフレンチ・クオーターと呼ばれている。フランス風の家が立ち並んでいて、アメリカの他の都市とは異なった雰囲気がある。非常に魅力的な都市で多くの文学や映画の舞台にもなっている。

 また、奴隷貿易の中心地でもあったこのニューオリンズは、黒人が人口の70%であり、ジャズが生まれた街でもある。貧しい居住区もあればプランテーションと呼ばれる一帯には「風と共に去りぬ」に出てきそうな白亜の豪邸が立ち並んでいる。米国の都市にしては平面的でない、複雑な都市である。

 このニューオリンズは2005年のハリケーン、カトリーナによって壊滅的な打撃を受けた。復興に伴って避難していた白人達は戻ってきているが、貧しい黒人達は戻ってきていない。現在では50%以上が白人と、人口構成が大きく変わってしまったようだ。きっと昔のニューオリンズには戻らないにちがいない。

 この映画は2004年の作品で、カトリーナ前のニューオリンズで撮影されている。そういう意味で本当のニューオリンズを舞台にした最後の映画になるのではないかと思う。是非ご覧になることをお勧めする。

 ところでニューオリンズには有名なカフェ・デュモンドがある。最近日本でも店舗を展開しているようだ。チコリコーヒーと四角いドーナツ、ベニエで有名だが、劇中でもヨハンソンがベニエを食べている場面がある。横浜シアルにもあるのでカロリー制限中ではあるが久しぶりに行ってみようかと思っているのだが、、、、、


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