黄昏が近づくとフクロウは飛び立つ準備を始めます。暗闇で木に激突。最近は夜目、遠目が効かなくなって来ました。
黄昏れたフクロウ
カート・ヴォネガットと丹波哲郎
1950年から60年代のまだテレビが普及していない頃、サタデー・イブニング・ポストやコスモポリタンなど当時の雑誌の短編に対する需要は大きかった。これらの雑誌にはヘミングウエイやフォークナー、スタインベックまで寄稿している。上質な短編が数多く書かれていた時代だ。
カート・ボネガットの短編集は「モンキー・ハウスへようこそ」と「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」の2冊が出版されている。ほとんどの短編が60年代以前に書かれているのでSFものにはちょっと古めかしさを感じるが、ユーモアとちょっとした皮肉は相変わらずだ。
この「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」は1999年に発行された短編集で、前書きに力が入っていて面白い。12ページもあるこの前書きは、本文の短編より長かったりする。
その中に創作講座101というのがあって、およそ文章を書く者が心がけるべき8カ条が書かれている。なるほどと感心するのだが、その中でも特に第七条がその通りと思わせる。
7.ただ一人の読者を喜ばせるように書くこと。つまり、窓を開けはなって世界を愛したりすれば、あなたの物語は肺炎に罹ってしまう。
というものである。そういえば俳優の丹波哲郎が演技をするときの心構えとして「とりあえず目の前にいる監督をいかにして喜ばせるかを考えている」と言っていたが、相通じるものがある。
現代日本を代表する男優、丹波哲郎も2006年9月に亡くなった。84歳だった。残念な人たちの訃報が続いている。
Photo: Bagombo Snuff Box, Kurt Vonnegut 早川書房
ブログの人気投票に参加しています。
ぜひ、ここをクリックして投票をお願いします。
人気blogランキングにも参加しています。
こちらのクリックもよろしくお願いします。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )