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フィオリーナの置き土産

 現在、ヒューレットパッカード社と言うとデル社と競い合っているパーソナルコンピュータメーカである。しかし、もともとは電子計測器の会社であった。実験室には必ずヒューレットパッカード社の測定器があり、小文字のhpと言うロゴがまぶしかった時代である。

 1980年代、計測器がコンピュータで制御されるようになるとhp社は制御用のコンピュータを発売したが、測定器メーカと言うイメージがあったから大いに違和感を感じたものだ。

 しかしその後、hp社はビジネスフィールドをどんどんコンピュータに移していくことになる。やがてhp社は計測器部門をアジレント社として切り離し、あげくの果てには売却してしまった。そういうわけで現在のhp社にはあまり思い入れは無いが、ひとつだけがんばってもらいたいとすると電卓部門である。

 hp社が電卓を出していたのはあまり知られていない。逆ポーランド方式という特殊な入力方法を採用していたのも一因であろう。この逆ポーランド方式と言うのは複雑に括弧のついた数式でもそのまま入力できる優れた方式で、メモリーキーやイコールキーは不要である。慣れると普通の入力方式はまどろっこしくてやってられない。

 逆ポーランド方式は日本語の数式の読み方と同じと言われている。たとえば「1+2」を日本語では「1と2を足す」と読む。逆ポーランド方式の入力では「1enter2+」と入力する。また「5÷(1+3)」は「5enter1enter3+÷」となるのだが、少しも楽そうでないと思ったとしたら説明が下手なだけで、実際は大変楽である。

 唯一の問題点は逆ポーランド方式の電卓を販売しているのはhp社だけであると言う点であり、実際それは起こった。2002年にhpは電卓から撤退すると発表したのだ。それまで科学技術計算用の15Cと32Sを持っていたがあわててその当時購入できた金融用の12Cを予備として買った。

 その後米国では電卓事業の継続を決めたらしく、20年以上のロングセラー12Cも当分購入することが出来るようになった。ただ新製品は中国のOEM製品のようで従来の重厚な感じはずいぶん薄れている。

 残念ながら日本hp社は電卓を取り扱わないらしく、それまでに販売した電卓の修理も2004年で打ち切ると発表した。おいおいそれは無いだろう。hp社はユニークな製品を出す尊敬に足る会社と刷り込まれて来たが考えかたを変えざる得ない。デルの真似をしていったいどうするつもりだろう、、、

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