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金﨑竹材店(日高町)が「黒竹の伝統文化や魅力を知って」とCFで協力求める 〈2022年12月1日〉

2022年12月01日 08時30分00秒 | 記事


黒竹の現状を知って!と金崎さん
(左下は黒竹のCFに直接リンクできるQRコード)


 日高町原谷地区が全国一生産地で、独特の艶を帯び、希少な天然素材として扱われる黒竹。明治後期からの老舗である金崎竹材店は、黒竹の伝統文化を知ってもらい、再び盛り上げさせ、販路を拡大したいと、クラウドファンディング(CF)に取り組んでいる。協力資金に応じて、黒竹の箸などのギフト型と黒竹の伐採などの体験型の2タイプでリターンを設け、12月15日まで募っている。

 黒竹とは、淡竹(はちく)の一種で、竹の中でも比較的細く、表皮が黒いのが特徴。国内では和歌山県と高知県に群生している。太さや長さは、伐採する地域によって違いがある。現在の用途としては、庭園資材や内装装飾などの建材をはじめ、箒、茶筅、熊手など各地の工芸品にも使われており、細くしなやかに曲がることから、釣り竿の材料としても数多く出荷されていたという。近年はSDGsの観点からも天然素材が再び注目を浴びており、中でも銀座の「GUCCI並木」店内に、黒竹を使った四代田辺竹雲斎のインスタレーション作品が現在も展示している。
 原谷地区で最盛期は7企業(事業所)があり、約100軒が何らかの形で黒竹産業に関わっていたが、代表者の高齢化やシカなどの獣害、竹特有の病気の被害による収穫量の減少問題などから廃業が相次ぎ、結果的に同社だけが黒竹産業を守っている状況。獣害対策に竹藪の周りを囲うなど講じているが、シカも年々増える一方で、収穫量は最盛期に比べて2分の1程度にまで減っており、竹は傾斜面に生えていることが多く、これらの解決策として耕作放棄地に竹を植え、土地の再利用や作業の効率化を図っている。
 日高経営支援センターのページ作成などサポートを受けながら、国内最大CFのプラットフォームである「CAMPFIRE(「キャンプファイヤー)」を活用しプロジェクトページを作成。協力資金に応じ、黒竹のボールペンや箸、シャープペンシル、お礼のメッセージを贈るギフト型と、黒竹伐採から火あぶりまでの工程作業、ボールペンや民芸品の作成など体験型のリターンを用意している。
 協力資金の使い道は、チェンソーなどの生産性向上への費用、イベント参加など黒竹の認知度向上における活動費用、耕作放棄地への植栽費用、網設置の獣害対策費用などに充てる。すでに目標金額は達成できたが、黒竹の現状を周知する意味でも呼びかけており、取締役の金崎弘昭さん(35)は「多くの方々に関わっていただき、伝統をつなげていきたい。実際に商品を手に取ってもらったり、仕事をお手伝い頂くことで、黒竹の良さ、魅力をわかってもらいたい」と話している。
 協力したい人は、CAMPFIREのサイトから、「黒竹」と検索すれば良い。


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