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御坊市内3カ所目「新町地区タワー」21日竣工式  690人収容 津波避難困難地域解消 〈2019年12月15日〉

2019年12月15日 08時30分00秒 | 記事

 完成した新町地区津波避難タワー


 御坊市内3カ所目の新町地区津波避難タワーが完成し、21日午前10時から竣工式を行い、テープカットや餅投げで祝う。小竹八幡神社近くの堀河屋野村前の市有地に鉄骨造りのタワーを建設。避難ステージは2層になっており、地区すべての住民690人を収容できる。薗地区、名屋地区のタワーはすでに完成しており、新町地区の完成で県が指定した市内の南海トラフ巨大地震津波避難困難地域はすべて解消される。
 
 用地(678平方メートル)は市が民間所有者から3733万9000円で購入。タワーは鉄骨造りで、柱材は津波漂流物対策で高強度角形鋼管柱を採用。上部の避難ステージは2層になっており、床面積はそれぞれ189平方メートルの計378平方メートル。最上階のステージの高さは11・42メートル、その下のステージは8・7メートルあり、ともに南海トラフ巨大地震の浸水深想定5・2メートル以上を確保した。
 階段は2カ所、スロープは1カ所あり、幅員はいずれも2メートルと広い。雨天対策で最上部の避難ステージは屋根部分に固定式テント(平時は防災ボックスに収納)を張れるようにし、LEDソーラー照明38灯、非常食や備蓄品などを収納する防災ボックス29台、近隣住民のプライバシーに配慮した目隠し壁(人口木)地震解錠ボックスを設けた。周囲の環境に配慮して白色で統一し、広々とした開放感もあり、地元住民も「良いタワーができた」と喜んでいる。
 竣工式には市、議会、地元の6町内会長や自主防災会長、建設・設計業者関係者が出席。柏木征夫市長があいさつ、向井孝行市議会議長と塩崎弘直至誠会自主防災会長が祝辞を述べ、市長、議長、地元代表の計6人でテープカットする。その後、餅投げを行い、タワーを見学する。
 建設事業は公募型プロポーザル方式で設計・監理と建設工事を一括発注し、(株)谷口組=谷口光代表取締役、御坊市湯川町財部=と(株)寺前則彦設計室=久岡政弘代表取締役社長、印南町西ノ地=の特定建設工事共同企業体が請け負った。請負契約額は3億996万円。
 平成26年10月に県が南海トラフ巨大地震、東海・東南海・南海3連動地震それぞれの避難困難地域を指定。南海トラフ巨大地震では市内で名屋、新町、薗の一部(面積35・5ヘクタール、1209人)を指定したが、3地区とも津波避難タワーが完成したことですべて解消される。3連動地震の津波避難困難地域については日高地方で該当はない。
 
 
 全国初のソーラー照明採用
 緊急避難時は自動で最大照度
 
 ソーラー照明38灯は、全国初の「みちびき(準天頂衛星システム)」対応型を採用した。衛星から電波で位置情報を計算する衛星測位システムで「みちびき」は日本版GPSとも呼ばれ、内閣府が主導し、防災など利用推進を図っている。
 平時は日没から日の出まで最小照度。「みちびき」の災害・危機管理通報サービス「災危通報」を受信し、その情報が御坊市(和歌山県)を対象にした緊急地震速報、大津波警報、津波警報の場合、自動で最大照度に切り替わる。
 緊急時以外でも最上部の避難ステージ、スロープと階段の登り口付近の計2カ所に取り付けた無線スイッチを押せば、最大照度に切り替えられる。全国に先駆けて採用したことで今後視察も増えそうだ。 


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