西御坊駅では岩塚さん(左)の説明で作品を鑑賞
伊勢屋旧酒蔵で紀州鉄道創設の話を聞く参加者
御坊駅-新宮駅のJR紀勢線などで展開する鉄道と芸術の融合イベント「紀の国トレイナート2018」は18日に開幕し、19日には芸術家とともに列車でまちをめぐる「ローカルダイブ」が御坊と紀州鉄道を舞台に行われた。県内外から訪れた35人が、昭和にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな紀州鉄道の旅を楽しみ、元酒造業「伊勢屋」の酒蔵や日高別院、中川邸など巡り寺内町を堪能した。
「ローカルダイブ」は、今回で5年目を迎えたトレイナートの目玉企画。「列車を降りて、まちへ」をコンセプトに駅舎に作品を手掛けた芸術家と一緒に深くもぐるように地域の魅力を楽しむ「小旅行」を提供する。
この日、JR御坊駅に集合した参加者らは、ゴトゴトと揺られながら走る紀州鉄道の旅を楽しみ、終点の西御坊駅に到着。駅では現代芸術家・岩塚一恵さん=東京在住=が手掛けた作品を鑑賞した。御坊がかつて紡績業で栄えたことから繊維を用いた作品で岩塚さんは「紀州鉄道はアットホームな鉄道で西御坊の駅舎は地域の人に愛されている。紡績業の拠点となり、戦禍もくぐり抜けたこの駅がいつまでも続いてほしいとの思いを込めた」と作品を紹介。紀州鉄道の大串昌広さんが駅の歴史を説明したあと、御坊のまちに〝ダイブ〟。御坊市文化財保護審議会の大谷春雄さんの案内で岩塚さんとともに寺内町を探索した。国の登録有形文化財の「伊勢屋」の旧酒蔵をはじめ、金山寺味噌やしょう油で有名な堀河屋野村、和泉屋長屋蔵、江戸時代建設の志賀屋川瀬家、日高別院、南紀小竹屋旧跡、昭和13年完成の中川邸など巡り寺内町の魅力にふれた。
伊勢屋9代目の田淵栄次郎さんは、紀州鉄道の前身「御坊臨港鉄道(株)」の設立へ中心となって尽力し、取締役社長を務めた人物。「伊勢屋」の旧酒蔵では、参加者らは酒蔵を見学しながら、12代目の光彦さん=和歌山市在住=と大谷さんから昭和3年に創設、6年に完成した御坊臨港鉄道(株)敷設の秘話を聴いた。田辺市から訪れた岡田治さん(58)は「寺内町に来たことはありますが、知らなかったことをいろいろ知ることができた。酒蔵にも入れてとても有意義な1日になりました」と話していた。
紀の国トレイナートは誘客や交流を目的に2014年から始まったプロジェクト。地元住民らでつくる実行委員会主催、JR西日本の協力で若手芸術家に呼びかけて実施している。御坊駅-新宮駅間の駅舎や構内を絵画や立体作品、オブジェなどで彩り、週末を中心にローカルダイブをはじめとする各種イベントを開催する。9月24日まで。
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