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日高振興局がメスザルにGPS首輪装着し県下初の行動域調査 〈2018年6月29日〉

2018年06月29日 08時30分00秒 | 記事

GPS首輪を付けたメスザル。白色のアンテナが目印


 日高振興局は、新規事業で被害が深刻なニホンザル対策として県下で初のGPS(全地球無線測位システム)機能を使った行動域把握調査と個体数調査を日高、由良両町をメーンに実施。群れの異なる大人のメスザル6頭にGPS発信器を付けた首輪を装着して群れの行動範囲、群れの個体数を把握し、効率的な捕獲につなげようというもので、27日に由良町内で捕獲したメスザル1頭に最初の首輪を付け、山に放した。振興局農林水産振興部は「データが楽しみ。効率的な捕獲に役立てたい」と期待を込めた。

 管内の農作物被害額は過去7年間5000万円前後の高止まりが続く。鳥獣別はサルが最も多く、26年度から4年連続でトップを占めている。県下はイノシシの被害が多いため、管内のサル被害の多さは際だっている。26年度から県が購入して市町村に貸し出している最新のICT捕獲わな(大型捕獲おり)を導入し、4年間で254頭を捕獲するなど一定の成果を上げているが、大幅な個体数減には至っていない。
 このため、県が国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、他県で実績のあるGPS機能を使った行動域把握調査と個体数調査を県下で初めて実施。モデル地域に捕獲実績が多い日高町と由良町、隣接の広川町を選んだ。日高町か由良町に設置している捕獲わなにかかった群れの異なる大人のメスザルにGPS発信器を付けた首輪を装着し群れに返し、GPS受信機で位置情報データを取り、群れの行動範囲を把握する。
 専用アンテナとタブレットRCで1日8回、位置情報データが取れ、リアルタイムで群れの位置を知ることができ、それを蓄積すれば群れの行動、移動範囲がつぶさに分かる。ある程度群れの行動が予想できるようになる10月ごろから、事前に行動を予測した見通しの良い場所で直接、群れを観察して個体数を調べたあと、予測した場所に捕獲わなを設置して群れごと一網打尽を狙う。
 その1頭目のサルが25日に由良町畑の権蔵地区、水越峠のふもとに町が設置している大型捕獲おりにかかった。9頭のうち、メスザルは2頭あり、27日に振興局や県、町、果樹試験場の職員、地元猟友会メンバーの計11人が現場に直行。大型おりの中に入り、大きなタモで1頭を捕まえ、押さえ込みながら1時間がかりで首輪を付けた。首輪を気にしていたが、オリを開けるとすぐ山に帰った。別の1頭にも町が独自に従来型首輪を付けて放した。
 電波は2キロ圏内に入れば受信できるため、職員が月数回、現場周辺を巡回し、データを収集する。首輪には白色のアンテナ(長さ約20センチ)がついており、遠くからでも確認しやすく、同農林水産振興部は「白いアンテナを付けたメスザルは撃たないで下さい。もし撃った場合は首輪を回収したいので連絡をお願いします。また、見掛けた際は、その場所を知らせていただきたい」とハンターや地域住民に呼びかけている。
 首輪は振興局が3頭に直接取り付けるほか、専門業者に委託して別の3頭にも取り付ける。うまくいけば6つの群れの行動範囲、個体数が分かる。成果が良ければ来年度以降、県下に広げる方針。首輪に付けたGPSの電池は1年持ち、調査が終われば遠隔操作で首輪を取り外すことができる。首輪はひとつ約15万円、アンテナは約13万円、タブレットは約12万円。


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