瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

『何度も廻り合う』その36

2006年02月18日 10時22分21秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
…昨日の夜、何か妙な投稿文御覧になられた方は居られますかね…?
もしもいらっしゃいましたら――幻覚ですんで、どうか忘れて下さいませ。(汗)
いや…お見苦しいの見せてしまって済みません。(苦笑)

↓そんな訳で何時もの如く、前回の続きです。




ホテルの車で、ホテル・ヨーロッパまで送って貰う。


既に精算は済ませてあるので、フロントでその証明書と、コテージの鍵を渡した。


金色した重たいキータッグの付いた鍵ともお別れ。

もう、あの湖畔のコテージには戻れないのね。


赤煉瓦の壁、ドアを開けて中へ入れば、広々としたリビングルーム。

床はフローリング、暖かい色した絨毯が敷かれてる。


ルフィお気に入りのロッキングチェア。

居る間、あんだけ力いっぱい揺らしてて、よくも壊れなかったもんだわね。


ゾロお気に入りの長ソファ。

ソファとしてより、殆どベッドとして使用されてたっけ。


窓に背を向けた肘掛ソファは、私の指定席。

肘掛部分がなだらかにカーブしてて、肘が楽に掛けられた。


大きく開く窓を出れば、湖を眺めるバルコニー。

身を乗り出してると、すかさず白鳥が側に寄って来て、餌を強請られ困ったのよね。

今度泊る事が有ったら、お麩でも持って来ようかな。


窓から日が射すと、湖の波紋が白い壁に反射して、幻想的に揺らいで見えた。


階段上って2階には、ベッドルームが2部屋も在って。

TVの有る方が良いんだと、ルフィが散々駄々を捏ねた。

…その態度があんま子供染みてて、昔と変らないままだったもんだから、つい譲ってしまったのよね。


3人してお茶飲んで寛いで……楽しかったなー……。


「気持ち良いコテージだったよな♪」


フロント後ろの椅子で、荷物整理しながら思い出に耽ってた私の肩を、ルフィがぽんと叩いて言う。


「素敵だったわよねェ。あんな家に住めたらなァ…。」

「こっそり住んじまうとか!」

「それじゃ犯罪じゃない。」

「表札出して『ここは俺の家ー!』なんてな♪…1けんくれェ見逃してくんねーかな??」

「おめェが言うと冗談に聞こえなくて恐ェよ。」



荷物が半端で無く多かった私とルフィは、ホテルから宅急便で送る事にした。

お土産いっぱい買っても大丈夫なよう、家で1番大きなショルダーバッグ持って来たのに…全部詰めたらギリギリのパンパン、チャックが壊れそうで冷やりとした。

四角形だったバッグがボールみたいに丸くなっちゃって…こんな事なら3日分も着替え持って来んじゃなかったわ。



小っさいディバッグ1ヶしか持って来なかったルフィはもっと深刻だった。(←本人ちっとも深刻そうじゃなかったけど)

詰める前から許容量の2倍は有るって、見ただけで明らかだったし。

なら食っちまえば問題無ェって、その場で店広げようとしたんで慌てて止めた。(←つまり土産の殆どが自分用の食い物って事なのね)

結局、箱買って詰めるよう、ゾロと2人で説得した。


「ちゃんと必要な物は手元に持つのよ!」

「おう!!ちゃんとキャプテンハットと短剣は手に持ったぞ!!」

「いや、むしろそれは送った方が良いだろよ…。」

「ゾロは送んなくて良いのかァ?」

「ああ、送る程荷物無ェし。」


確かに、ゾロの黒いディバッグは、膨らみ具合が来た時と殆ど変ってない。

荷物整理に奮闘する私とルフィを尻目に、涼しい顔して突っ立っている。


「お土産、全然買わなかったの?」

「あれ?でもしょーちゅー1ビン買ってただろ??」

「買って即送っちまったよ。割っちゃ拙いからな。」

「へー、ナミと同じだな。」


――スカーン!!!


「言うなって約束したじゃないさ!!!」

「…わ…悪ィ…つい…口がすべった…!」

「なんだ、結局てめェも酒買ったのかよ?自称健全女子高生!」
「家への土産よ!!!何か文句有る!!?」
「べぇぇつぅにぃぃ~。」


にやにやァァと意地悪く笑われた……だから言わないで欲しかったっつうのにっっ。


「後買ったのはクリームチーズ1ヶ。それ以外は下着と財布と航空券。身軽なもんだぜ。」

「カッコ良いぞゾロ!!シンプル・イズ・ベストだな!!」
「でも一緒に旅してて、面白味の無いタイプよね。」
「煩ェ、ほっとけ。」


宅急便の受付はフロントの後ろ…館内右奥のカウンターで行っていた。

ルフィと一緒に荷物を預け、言葉通りに肩の荷を降ろす。

はー…これで帰り道、楽にしてられるわァァ。


「そう言えば…ルフィはカメラと財布と帰りの航空券、ちゃんと手元に持ってるんでしょうね?」

「あ!!……いけね!そっちは忘れて預けちまった!!」
「早く取り戻しに行って来いっっ!!!」
「はいィィっっ!!!」

「……何処までもお約束通りな奴だな。」




重厚なホテル・ヨーロッパの玄関を、後ろ髪引かれる思いで潜る。


玄関を出る時、シルクハットを被ったベルマンが、笑顔で送り出してくれた。


嗚呼、この優雅な赤煉瓦造りの、超高級リゾートホテルともお別れなのね。

玄関上に飾られた特大のクリスマスリースが滲んで見えた…なんちて。




外へ出てそのまま真直ぐ、ホテル前に建つ売店に寄る。

真新しい風の小じんまりした店、『ラフレシール』。


「何だ?ケーキ屋か?」

「チーズケーキ専門店よ。此処のキャラメルチーズケーキが美味しいって評判なんだって。ナンジャタウンで開かれた『全国チーズケーキ博覧会』で1位に選ばれたらしいわ。試食が出てれば食べてみて…美味しかったら買ってこうかなと思ってv」
「全国で1位に選ばれたチーズケーキィィ!!?買う!!!俺も買って食う!!!」

「…って荷物送ったのに、未だ買う気かよ!?」

「だって全国で1位のチーズケーキがどんなもんか…ちょっと気になるじゃない?」


タンテ・アニーのイメージカラーが緑色なら、此処ラフレシールのそれは明るい卵色だった。

庇も看板も、内装にまで卵色が溢れてて。

ショーケースの中には3種類のチーズケーキが陳列されていた。(←季節によって変るらしい)


他にもキャラメル風味のパイクッキーやら紅茶やら…でも正直バリエーション少ないかな。


ショーケース前に、細かく賽の目に切られたキャラメルチーズケーキが試食として出されてたんで、1口貰って食べてみた。


――あ……美味しい!すっごく美味しいかも…!!


チーズケーキなんだけど、キャラメルの風味が香ばしく効いてて、これならチーズ苦手な人でも食べられそう。

まったりとクリーミィーだから、きっと紅茶に良く合うわ。

一緒に口に含んだら、クリームみたいに蕩けてくでしょうね。


うんめェェ~~~!!!これメチャ美味ェじゃんかっっ!!!こんな美味ェチーズケーキ、俺初めて食べたぞっっ!!!」

「…あんた、ずっとそれしか言ってないし。」



背後からゾロに皮肉言われたりもしたんだけど、ルフィと2人で結局買ってく事にした。


ただ1つ問題が有って…此処のチーズケーキは冷凍タイプらしく、長時間常温で置いとくとドロドロに溶けちゃうって事だった。


だから送る時はクール宅急便で、召し上がる時は解凍して下さいよと。


少しでも代金浮かせる為に、私とルフィの分を一緒にして、私の家に送る事にした。

勿論掛かる代金は折半で!

土産代だけじゃなく、運送代も馬鹿にならないわねェ~。



タンテ・アニー同様、ケーキはカット売りでも販売してて、店の外のテラス席で食べたり、買ってってホテルの部屋で食べたりも出来るらしかった。




1時回ってお腹も空いて来たんで、昼食にする事にした。

「肉!!」と言うルフィの希望と、「米!」と言うゾロの希望を同時に叶える為、ユトレヒト地区ドムトールン下2階に在る韓国料理屋『ソウル』を選択する。


比較的手狭な店内だったけど、平日で時間がズレてたのが良かったのか、ガラガラに空いていて驚いた。


ウェイトレスさんに案内されて、奥の窓際席に着く。

ゾロと隣り合って、ルフィは1人前に。(←隣り座ると、食い散らかされて大変だから)

窓からはのどかに運河を進むカナルクルーザーを見下ろせた。

楼蘭なんかと同様、水以外にもお茶が無料でサービスされて、嬉しかった。


「かん国料理っつったら焼肉だろ!?俺、焼肉!!焼肉決定な!!」
「韓国料理じゃなくても、てめェは肉しか選ぼうとしねェだろうが。」
「ルフィ、あんた手持ちの金少ないんでしょ?だったらお安い昼定食にしときなさい!」
「えーーー!?……昼定食ってどんなんだよォ~~~?」


メニュー写真を抱えて眺めて熟考に入る。



店入ったら自分が1番にメニューを開く。

どうやらそれがルフィの中では当然になってるらしい。

旅行中、私やゾロがメニューを開いて…なんて殆ど無かった。

ルフィが開いてるメニューを、横から逆から覗く感じ。

今更だけど自己中極まりない奴……けど不思議と憎めない、得な性分よねェ。



「…う~~ん…ビビンバ定食ってのが有るけど…これって美味ェのか?」


メニューに載ってる写真を指して聞いて来る。


「美味しいって評判らしいわよ。何でも韓国人からも本場の味に近いって人気が有るらしいし。…ってな訳で、私はこの1,000円の『石鍋ビビンバ定食』にしよっかな!」

「じゃあ俺は1,500円の『ユッケビビンバ定食』だ!!」

「んじゃ俺は間を取って、1,200円の『特製石鍋定食』な。」

「…何で借金持ちのあんたらのが、高いメニュー選んでんのよ?」


愛想良く注文を聞き、ウェイトレスさんが厨房に戻ってく。



「さてと…料理が来るまでの間、これからの予定について話したいんだけど、聞いてくれる?」

「おー、頼むぜェ、有能秘書。」


メモを広げる私に、ゾロが茶々を入れる。

気にせず、コースを読み上げた。


「食べ終わったら先ず、此処の展望台に昇ろうと思うの。そんで次はアレキサンダー広場に在るスタッドハウスまで徒歩で移動、館内の硝子の美術館『ギヤマン・ミュージアム』を見学。その次はバスに乗ってスパーケンブルグまで移動、『大航海体験館』へ。で、最後は帆船『観光丸』に乗船。」

「船!!やっとあの海賊船乗してくれんのか!?」

「だから海賊船じゃなくて『観光丸』だってば。」

「何だか昨日と較べてゆとり有る予定に感じるが…どうかしちまったのか?」

「……別に。昨日大方廻ったし。もう時間も無い事だしなァと思って。」

「まァ、確かにな。此処出たら後、3時間と少しってトコか。」

「今言った中で行きたくない場所とか有るなら抜かすわ。逆に、行きたい場所が有れば追加する。…何か希望有る?」

「じゃ、『カナリカフェ』とか言うのに乗りてェ!!」
「それは却下!」
「ええ!?言ってる事と違うじゃねェか!?」
「手持ち金が残り少ないってのに、金のかかる遊びしようとすな!!!」

「行きたくねェ場所とか、行きてェ場所とか聞かれてもな…詳しく知らねェし…良いさ、それで。」

「だいこーかい何とかって、何だ??」

「名前通り、映像や振動なんかで、航海を体感させるシアターみたいだけど。」

「航海を体感かーー…面白そうだな♪俺もそれで良いぞ!」

「じゃあ、このコースで決定ね!」



話してる間にビビンバ定食がやって来た。

器になってる石鍋は、高温で熱してあるので、手を触れない様にと注意される。


…確かに物凄く熱そう…じゅうじゅう音出てるし。


私のは御飯の上に、4種類のナムルと生卵が乗せられていた。

ゾロのはナムル6種類、生卵、加えてミンチ。

ルフィなんか、加えて牛刺……贅沢者め。

3人共に、辛くて真っ赤な大根のキムチ、わかめスープがセットで付いていた。

後は味付け用の辛味噌…全部入れると流石に辛いから、お好みに調節してどうぞと説明を受ける。

辛党のゾロはまんま全部入れてしまった……辛そうっっ。


「あのさ、石鍋ビビンバの美味しい食べ方教えたげよっか?」

「「美味しい食べ方??」」

「御飯を掻き混ぜる時に、底の部分を少し残しておくの。そうすればお焦げが出来るでしょ?」

「ああ、成る程な。」
「よし!底を残すんだな!?」


中央乗ってる生卵を、箸で潰して、底を残し、良く掻き混ぜる。

卵と具と御飯が絡んで、熱々の卵混ぜ御飯が出来上がった。

食べてみると、辛味噌の辛味とナムルの酸味が程好く馴染んでて、美味しいのなんの!


「…ハフハフ…!!……ふへェ!!!ふへェはァ~~~!!!ははごはへほはんはは…!!!」

「…そりゃ卵掛け御飯だろうが。」

「でも本当に美味しいvこの辛味噌、辛いんだけど、それだけじゃなく甘味も感じられるって言うか…入れた事によって、美味しさが増してるわァァvv」

「キムチも美味ェな。うん、イケる!」

「お!おほげ食っははふえェェ!!…はひはひひへへ、へんべーみへーはほ♪♪」


石鍋の熱で、御飯が焦げて張り付き、煎餅の様に香ばしく、パリパリになっていた。


「お焦げは残しといて、最後にわかめスープを注いで食べると良いわよ。そうするとお焦げがふやけて、雑炊みたくなってまた美味しいのv」

「雑炊か…そりゃ良いな!」

「ハフフ…!!…ふひ!はいほはほーふひはは!ふへェほはー、ほーふひほ♪♪」



熱した石鍋は中々冷めない。

20分経っても…30分経っても…スープを注いでも温かく、最後まで熱々のまま、美味しく戴けた。





その37に続】





写真の説明~、ホテルヨーロッパの玄関。

回転扉は大概の場合、安全の為閉じられてる。

所謂、雰囲気出す為の演出??


クリスマスには観ての通り、巨大で煌びやかなクリスマスリースが飾られます。

あ…ビビンバの美味しい食べ方は、何処ぞのガイドブックからの受け売りです。(笑)

でもこうして食べると本当に美味しいですよv

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2 コメント

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幻覚です。 (びょり)
2006-02-18 21:20:53
そうです、それは幻覚です。



幻覚だったのです。



幻覚でなくちゃ嫌だ。



私は冷静にそう主張し…(←美神ネタ)



いやいや、昨夜は失礼致しました。(苦笑)



悦子さん、まぁまぁ、「真夜中は別の顔」って事で許して下さいよ。(笑)
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家政婦は見た! (市原さん)
2006-02-18 21:03:18
そうです、昨夜私は見てしまったんです。

たまたま漫画喫茶でコーヒーを飲んでいる時でした。

確か、アドレスがどうとか。ええ。

でも幻覚と言われればそんな気も・・・

ポリフェノールには幻覚作用もあると言われてますからねえ。

あ、ポリフェノールは“ワイン”でしたね。正確には、カフェインです。
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