はぁい♪ミス・メリーよ♪
いよいよ今夜はクリスマス・イブ!
御馳走食べて、後はプレゼントを貰うだけ?
貴方は今夜、誰から贈り物を貰うのかしら?
今夜紹介するのはクリスマス文学の中で1、2を争う名作と言われる、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」!
読んだ事が無くても、その筋はご存知の人も多いでしょうね。
明日のクリスマスに、愛する夫へプレゼントを贈りたいデラには、1ドル87セントの持ち合せのみ。
日々の買い物で値切って値切って、たったのこれっぽっち。
彼女と、彼女の夫の家庭、ジェームズ・ディリンガム・ヤング家は、哀しいかな貧乏だったの。
「支出はデラが計算した以上に有りました。
支出というものはいつだってそういうものでした。
ジムへの贈り物を買うのに1ドル87セントしかないなんて。
大切なジムなのに。
デラは、ジムの為に何か素晴しいものをあげようと、長い間計画していたのです。
何か、素敵で、滅多に無いもの――ジムの所有物となる栄誉を受けるに少しでも値する何かを。」
「さて、ジェームズ・ディリンガム・ヤング家には、誇るべき2つのものが有りました。
1つはジムの金時計です。
かつてはジムの父、そしてその前にはジムの祖父が持っていたという金時計。
もう1つはデラの髪でした。
シバの女王が通風縦孔の向こう側のアパートに住んでいたとしましょう。
或る日、デラが窓の外に濡れた髪を垂らして乾かそうとしたら、それだけで、女王様の宝石や宝物は色褪せてしまったことでしょう。
また、ソロモン王がビルの管理人をやっていて、宝物は地下室に山積みしていたとしましょう。
ジムが通りがかりに時計を出す度、王様は羨ましさのあまり、髭を掻き毟ったことでしょう。」
デラは貧乏だったけど、夫への愛は溢れるほど持ってたの。
だから彼女は自分の宝物だった長い髪を売る事にも躊躇しなかった。
彼女にとって自分の髪よりも、夫のジムの方がずっとずっと、大事な宝物だったからよ。
彼女の褐色の波打つ美しい髪は、20ドルにもなった。
そして彼女はと或る店で、ジムの為だけに有るような、素敵なプレゼントを見つけたの。
「それはプラチナの時計鎖で、デザインはシンプルで上品でした。
ごてごてした飾りではなく、素材のみがその価値を主張していたのです――全ての良きものがそうあるべきなのですが。
その鎖は彼の時計につけるのに相応しいとまで言えるものでした。
その鎖を見たとたん、これはジムのものだ、とデラには解りました。
この鎖はジムに似ていました。
寡黙だが、価値が有る――この表現は鎖とジムの両者に当てはまりました。
その鎖には21ドルかかり、デラは87セントを持って家に急いで帰りました。
この鎖を時計につければ、どんな人の前でもちゃんと時間を気にする事ができるようになるでしょう。
時計は素晴しかったのですが、鎖の代わりに古い皮紐をつけていた為、ジムはこそこそと見る時も有ったのです。」
家に帰ってデラは興奮がやや醒めると、愛する人ジムが、短く切った自分の髪を見て、大層落胆するだろうなと思ったの。
だからヘアアイロンでカールさせ、無残になった髪を修繕する作業に努めた。
きっと嫌いにはならない、でも心から彼は残念がるだろう、馬鹿な事をしたと怒るかしら?――でもこうするより仕方なかった、だって1ドル87セントしか無かったのよ。
不安を押し隠して珈琲と夕飯の仕度を整え終えた頃、ジムは遅刻する事無く帰って来た。
「デラは一瞬顔が蒼褪めました。
デラは毎日のちょっとした事でも小さな祈りを静かに唱える習慣が有りましたが、この時は『神様。どうかジムが私のことを今でも可愛いと思ってくれますように』と囁きました。」
ドアを開けて入って来たジムは、彼女を見詰めたきり、暫く突っ立ったままで居た。
デラは堪らず、彼の傍へ歩み寄ったの。
こっからの会話は良いところだから、そのままの文で紹介するわね。
「『ジム、ねえ、あなた』デラは声をあげました。
『そんな顔して見ないで。髪の毛は切って、売っちゃったの。だって、あなたにプレゼント1つあげずにクリスマスを過ごすなんて絶対できないんだもの。髪はまた伸びるわ――気にしない、でしょ? こうしなきゃ駄目だったの。ほら、私の髪ってすごく早く伸びるし。『メリー・クリスマス』って言ってよ、ジム。そして楽しく過ごしましょ。どんなに素敵な――綺麗で素敵なプレゼントをあなたに用意したか、当てられないわよ』
『髪を切ったって?』とジムは苦労しつつ尋ねました。
まるで、懸命に頭を働かせても明白な事実に辿り着けないような有様でした。
『切って、売っちゃったの』とデラは言いました。
『それでも、私のこと、変わらずに好きでいてくれるわよね。髪がなくても、私は私、よね?』
ジムは部屋を捜し物でもするかのように見回しました。
『髪がなくなっちゃったって?』ジムは何だか馬鹿になったように言いました。
『探さなくてもいいのよ』とデラは言いました。
『売っちゃったの。だから、――売っちゃったからなくなったのよ。ねえ、クリスマスイブでしょ。優しくして。髪がなくなったのは、あなたの為なのよ。多分、私の髪の毛の1本1本まで神様には数えられているでしょうね』
デラは急に真面目になり、優しく続けました。
『でも、私があなたをどれだけ愛しているかは、誰にも量る事はできないわ。――ジム?』
デラから声をかけられ、ジムははっと我に返ったの、そしてデラを抱き締めた。
ジムはオーバーのポケットから包みを取り出して見せた。
『ねえデラ、僕のことを勘違いしないで。髪型とか肌剃とかシャンプーとか、そんな物で僕の可愛い女の子を嫌いになったりするもんか。でも、その包みを開けたら、始めの内暫く、どうして僕があんな風だったか解ると思うよ』
白い指が素早く紐を千切り紙を破りました。
そして歓喜の叫びが上がり、それから、ああ、ヒステリックな涙と嘆きへと女性らしくすぐさま変わっていったのです。
急いで、そのアパートの主人が必死になって慰めなければなりませんでした。
包みの中には櫛が入っていたのです――セットになった櫛で、横と後ろに刺すようになっているものでした。
その櫛のセットは、デラがブロードウェイのお店の窓で、長い間崇めんばかりに思っていたものでした。
美しい櫛、ピュアな亀甲でできていて、宝石で縁取りがしてあって――売ってなくなった美しい髪にぴったりでした。
その櫛が高価だという事をデラは知っていました。
ですから、心の内では、その櫛がただもう欲しくて欲しくて堪らなかったのですけれど、実際に手に入るなんていう望みはちっとも抱いていなかったのです。
そして、今、この櫛が自分のものになったのです。
けれども、この髪飾りによって飾られるべき髪の方が既になくなっていたのでした。
しかし、デラは櫛を胸に抱きました。
そしてやっとの思いで涙で濡れた目を上げ、微笑んでこう言うことができました。
『私の髪はね、とっても早く伸びるのよ、ジム!』」
今度はデラが手の平に贈り物を乗せてジムに見せたの。
それはプラチナの時計鎖、彼女自身の宝物を失って手に入れたもの。
『ねえ素敵じゃない?町中を探して見つけたのよ。あなたの時計にこの鎖をつけたら、1日に百回でも時間を調べたくなるわよ。時計、貸してよ。この鎖をつけたらどんな風になるか見たいの』
デラのこの言葉には従わず、ジムは椅子にどさりと腰を下ろし、両手を首の後ろに組んでにっこりと微笑みました。
『ねえデラ。僕達のクリスマスプレゼントは、暫くの間、どこかに仕舞っておくことにしようよ。
今すぐ使うには上等すぎるよ。櫛を買うお金を作る為に、僕は時計を売っちゃったのさ。』
この2人の若夫婦の物語をオー・ヘンリーはこう締め括ってるわ。
「東方の賢者は、ご存知のように、賢い人達でした――素晴しく賢い人達だったんです――飼葉桶の中に居る御子に贈り物を運んできたのです。
東方の賢者がクリスマスプレゼントを贈る、という習慣を考え出したのですね。
彼らは賢明な人達でしたから、勿論贈り物も賢明なものでした。
多分贈り物がだぶったりした時には、別の品と交換をすることができる特典も有ったでしょうね。
さて、私はこれまで、拙いながらも、アパートに住む2人の愚かな子供達に起こった、平凡な物語をお話してまいりました。
2人は愚かなことに、家の最も素晴しい宝物を互いの為に台無しにしてしまったのです。
しかしながら、今日の賢者達への最後の言葉として、こう言わせて頂きましょう。
贈り物をする全ての人の中で、この2人が最も賢明だったのです。
贈り物をやりとりする全ての人の中で、この2人のような人達こそ、最も賢い人達なのです。
世界中の何処であっても、このような人達が最高の賢者なのです。
彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです。」
人によってはこの2人ほど気の合わない夫婦は居ないって解釈になるかもしれないわね。
けれどオー・ヘンリーは2人ほど賢い者は居ないと言うわ。
何故って2人は何が本当の宝か理解してるからじゃないかしら?
そして本当の宝を手に入れる為に、何が必要かを理解してるからじゃないかしら?
メリー、2人がとっても羨ましいわ。
お互い、相手の事をいつでも自分より大切に想って居るんだもの。
きっと2人はこの年のクリスマス・イブ以降も、ずっとずっと相手の為に1番の宝物を贈ろうとするでしょう。
ずっとずっと、死が2人を別つまで、いえ例え死んだとしても。
その「絆」こそが、人が持てるこの世で最も尊い財産なんだわ。
それじゃあ今夜も最後にクリスマスソングを紹介――4曲目のクリスマスソングは、クリスマス・イブにプレゼントを贈るもの達、「赤鼻のトナカイ」!
コピーライターのR・L・メイが創作した赤鼻のトナカイの物語を、ジョニー・マークスが詞と曲を付けて歌にしたの。
歌いながら今夜はお別れするけど、明日もまた一緒に楽しく歌いましょう♪
【赤鼻のトナカイ― Rudolph The Red-nosed Reindeer ―】
(日本語バージョン)
真っ赤なお鼻の♪
トナカイさんは♪
何時も皆の♪
笑いもの♪
でもその年の♪
クリスマスの日♪
サンタのお爺さん♪
言いました♪
暗い夜道は♪
ピッカピッカの♪
お前の鼻が♪
役に立つのさ♪
何時も泣いてた♪
トナカイさんは♪
今宵こそはと♪
喜びました♪
(英語バージョン)
Rudolph the red-nosed reindeer♪
Had a very shiny nose♪
And if you ever saw it♪
You would even say it glows♪
All of the other reindeer♪
Used to laugh and call him names♪
They would never let poor Rudolph♪
Join in any reindeer games♪
Then one foggy Christmas Eve♪
Santa came to say♪
Rudolph with your nose so bright♪
Won't you guide my sleigh tonight♪
Then how the reindeers loved him♪
And they shouted out with glee♪
"Rudolph the red-nosed reindeer♪
You'll go down in history♪
(↓から、びょり記)
…読んでて奥さんのデラに萌えてしまった。
オー・ヘンリーは(名前で解るだろうが)アメリカの作家、短編小説の名手で381編もの多作でいらっしゃる。
日本で言えば星新一氏みたいな?
写真は池袋西武デパート前のディスプレイ、良く出来てて目を引かれた。
トナカイ等、発泡スチロールで出来てるんだそうな。(凄い~)
↑プレゼントを積んだソリまで、ちゃんと有る。
参考「賢者の贈り物(オー・ヘンリー、作 結城浩、訳 電子図書館:青空文庫)」
そうそう、忘れちゃいけない大事なこと!
チョッパー誕生日おめでとー♪♪
麦わらの一味の間では、クリスマスケーキじゃなく、誕生日ケーキを、毎年クリスマス・イブの度に用意してるんだろうな、考えてみれば。
いよいよ今夜はクリスマス・イブ!
御馳走食べて、後はプレゼントを貰うだけ?
貴方は今夜、誰から贈り物を貰うのかしら?
今夜紹介するのはクリスマス文学の中で1、2を争う名作と言われる、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」!
読んだ事が無くても、その筋はご存知の人も多いでしょうね。
明日のクリスマスに、愛する夫へプレゼントを贈りたいデラには、1ドル87セントの持ち合せのみ。
日々の買い物で値切って値切って、たったのこれっぽっち。
彼女と、彼女の夫の家庭、ジェームズ・ディリンガム・ヤング家は、哀しいかな貧乏だったの。
「支出はデラが計算した以上に有りました。
支出というものはいつだってそういうものでした。
ジムへの贈り物を買うのに1ドル87セントしかないなんて。
大切なジムなのに。
デラは、ジムの為に何か素晴しいものをあげようと、長い間計画していたのです。
何か、素敵で、滅多に無いもの――ジムの所有物となる栄誉を受けるに少しでも値する何かを。」
「さて、ジェームズ・ディリンガム・ヤング家には、誇るべき2つのものが有りました。
1つはジムの金時計です。
かつてはジムの父、そしてその前にはジムの祖父が持っていたという金時計。
もう1つはデラの髪でした。
シバの女王が通風縦孔の向こう側のアパートに住んでいたとしましょう。
或る日、デラが窓の外に濡れた髪を垂らして乾かそうとしたら、それだけで、女王様の宝石や宝物は色褪せてしまったことでしょう。
また、ソロモン王がビルの管理人をやっていて、宝物は地下室に山積みしていたとしましょう。
ジムが通りがかりに時計を出す度、王様は羨ましさのあまり、髭を掻き毟ったことでしょう。」
デラは貧乏だったけど、夫への愛は溢れるほど持ってたの。
だから彼女は自分の宝物だった長い髪を売る事にも躊躇しなかった。
彼女にとって自分の髪よりも、夫のジムの方がずっとずっと、大事な宝物だったからよ。
彼女の褐色の波打つ美しい髪は、20ドルにもなった。
そして彼女はと或る店で、ジムの為だけに有るような、素敵なプレゼントを見つけたの。
「それはプラチナの時計鎖で、デザインはシンプルで上品でした。
ごてごてした飾りではなく、素材のみがその価値を主張していたのです――全ての良きものがそうあるべきなのですが。
その鎖は彼の時計につけるのに相応しいとまで言えるものでした。
その鎖を見たとたん、これはジムのものだ、とデラには解りました。
この鎖はジムに似ていました。
寡黙だが、価値が有る――この表現は鎖とジムの両者に当てはまりました。
その鎖には21ドルかかり、デラは87セントを持って家に急いで帰りました。
この鎖を時計につければ、どんな人の前でもちゃんと時間を気にする事ができるようになるでしょう。
時計は素晴しかったのですが、鎖の代わりに古い皮紐をつけていた為、ジムはこそこそと見る時も有ったのです。」
家に帰ってデラは興奮がやや醒めると、愛する人ジムが、短く切った自分の髪を見て、大層落胆するだろうなと思ったの。
だからヘアアイロンでカールさせ、無残になった髪を修繕する作業に努めた。
きっと嫌いにはならない、でも心から彼は残念がるだろう、馬鹿な事をしたと怒るかしら?――でもこうするより仕方なかった、だって1ドル87セントしか無かったのよ。
不安を押し隠して珈琲と夕飯の仕度を整え終えた頃、ジムは遅刻する事無く帰って来た。
「デラは一瞬顔が蒼褪めました。
デラは毎日のちょっとした事でも小さな祈りを静かに唱える習慣が有りましたが、この時は『神様。どうかジムが私のことを今でも可愛いと思ってくれますように』と囁きました。」
ドアを開けて入って来たジムは、彼女を見詰めたきり、暫く突っ立ったままで居た。
デラは堪らず、彼の傍へ歩み寄ったの。
こっからの会話は良いところだから、そのままの文で紹介するわね。
「『ジム、ねえ、あなた』デラは声をあげました。
『そんな顔して見ないで。髪の毛は切って、売っちゃったの。だって、あなたにプレゼント1つあげずにクリスマスを過ごすなんて絶対できないんだもの。髪はまた伸びるわ――気にしない、でしょ? こうしなきゃ駄目だったの。ほら、私の髪ってすごく早く伸びるし。『メリー・クリスマス』って言ってよ、ジム。そして楽しく過ごしましょ。どんなに素敵な――綺麗で素敵なプレゼントをあなたに用意したか、当てられないわよ』
『髪を切ったって?』とジムは苦労しつつ尋ねました。
まるで、懸命に頭を働かせても明白な事実に辿り着けないような有様でした。
『切って、売っちゃったの』とデラは言いました。
『それでも、私のこと、変わらずに好きでいてくれるわよね。髪がなくても、私は私、よね?』
ジムは部屋を捜し物でもするかのように見回しました。
『髪がなくなっちゃったって?』ジムは何だか馬鹿になったように言いました。
『探さなくてもいいのよ』とデラは言いました。
『売っちゃったの。だから、――売っちゃったからなくなったのよ。ねえ、クリスマスイブでしょ。優しくして。髪がなくなったのは、あなたの為なのよ。多分、私の髪の毛の1本1本まで神様には数えられているでしょうね』
デラは急に真面目になり、優しく続けました。
『でも、私があなたをどれだけ愛しているかは、誰にも量る事はできないわ。――ジム?』
デラから声をかけられ、ジムははっと我に返ったの、そしてデラを抱き締めた。
ジムはオーバーのポケットから包みを取り出して見せた。
『ねえデラ、僕のことを勘違いしないで。髪型とか肌剃とかシャンプーとか、そんな物で僕の可愛い女の子を嫌いになったりするもんか。でも、その包みを開けたら、始めの内暫く、どうして僕があんな風だったか解ると思うよ』
白い指が素早く紐を千切り紙を破りました。
そして歓喜の叫びが上がり、それから、ああ、ヒステリックな涙と嘆きへと女性らしくすぐさま変わっていったのです。
急いで、そのアパートの主人が必死になって慰めなければなりませんでした。
包みの中には櫛が入っていたのです――セットになった櫛で、横と後ろに刺すようになっているものでした。
その櫛のセットは、デラがブロードウェイのお店の窓で、長い間崇めんばかりに思っていたものでした。
美しい櫛、ピュアな亀甲でできていて、宝石で縁取りがしてあって――売ってなくなった美しい髪にぴったりでした。
その櫛が高価だという事をデラは知っていました。
ですから、心の内では、その櫛がただもう欲しくて欲しくて堪らなかったのですけれど、実際に手に入るなんていう望みはちっとも抱いていなかったのです。
そして、今、この櫛が自分のものになったのです。
けれども、この髪飾りによって飾られるべき髪の方が既になくなっていたのでした。
しかし、デラは櫛を胸に抱きました。
そしてやっとの思いで涙で濡れた目を上げ、微笑んでこう言うことができました。
『私の髪はね、とっても早く伸びるのよ、ジム!』」
今度はデラが手の平に贈り物を乗せてジムに見せたの。
それはプラチナの時計鎖、彼女自身の宝物を失って手に入れたもの。
『ねえ素敵じゃない?町中を探して見つけたのよ。あなたの時計にこの鎖をつけたら、1日に百回でも時間を調べたくなるわよ。時計、貸してよ。この鎖をつけたらどんな風になるか見たいの』
デラのこの言葉には従わず、ジムは椅子にどさりと腰を下ろし、両手を首の後ろに組んでにっこりと微笑みました。
『ねえデラ。僕達のクリスマスプレゼントは、暫くの間、どこかに仕舞っておくことにしようよ。
今すぐ使うには上等すぎるよ。櫛を買うお金を作る為に、僕は時計を売っちゃったのさ。』
この2人の若夫婦の物語をオー・ヘンリーはこう締め括ってるわ。
「東方の賢者は、ご存知のように、賢い人達でした――素晴しく賢い人達だったんです――飼葉桶の中に居る御子に贈り物を運んできたのです。
東方の賢者がクリスマスプレゼントを贈る、という習慣を考え出したのですね。
彼らは賢明な人達でしたから、勿論贈り物も賢明なものでした。
多分贈り物がだぶったりした時には、別の品と交換をすることができる特典も有ったでしょうね。
さて、私はこれまで、拙いながらも、アパートに住む2人の愚かな子供達に起こった、平凡な物語をお話してまいりました。
2人は愚かなことに、家の最も素晴しい宝物を互いの為に台無しにしてしまったのです。
しかしながら、今日の賢者達への最後の言葉として、こう言わせて頂きましょう。
贈り物をする全ての人の中で、この2人が最も賢明だったのです。
贈り物をやりとりする全ての人の中で、この2人のような人達こそ、最も賢い人達なのです。
世界中の何処であっても、このような人達が最高の賢者なのです。
彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです。」
人によってはこの2人ほど気の合わない夫婦は居ないって解釈になるかもしれないわね。
けれどオー・ヘンリーは2人ほど賢い者は居ないと言うわ。
何故って2人は何が本当の宝か理解してるからじゃないかしら?
そして本当の宝を手に入れる為に、何が必要かを理解してるからじゃないかしら?
メリー、2人がとっても羨ましいわ。
お互い、相手の事をいつでも自分より大切に想って居るんだもの。
きっと2人はこの年のクリスマス・イブ以降も、ずっとずっと相手の為に1番の宝物を贈ろうとするでしょう。
ずっとずっと、死が2人を別つまで、いえ例え死んだとしても。
その「絆」こそが、人が持てるこの世で最も尊い財産なんだわ。
それじゃあ今夜も最後にクリスマスソングを紹介――4曲目のクリスマスソングは、クリスマス・イブにプレゼントを贈るもの達、「赤鼻のトナカイ」!
コピーライターのR・L・メイが創作した赤鼻のトナカイの物語を、ジョニー・マークスが詞と曲を付けて歌にしたの。
歌いながら今夜はお別れするけど、明日もまた一緒に楽しく歌いましょう♪
【赤鼻のトナカイ― Rudolph The Red-nosed Reindeer ―】
(日本語バージョン)
真っ赤なお鼻の♪
トナカイさんは♪
何時も皆の♪
笑いもの♪
でもその年の♪
クリスマスの日♪
サンタのお爺さん♪
言いました♪
暗い夜道は♪
ピッカピッカの♪
お前の鼻が♪
役に立つのさ♪
何時も泣いてた♪
トナカイさんは♪
今宵こそはと♪
喜びました♪
(英語バージョン)
Rudolph the red-nosed reindeer♪
Had a very shiny nose♪
And if you ever saw it♪
You would even say it glows♪
All of the other reindeer♪
Used to laugh and call him names♪
They would never let poor Rudolph♪
Join in any reindeer games♪
Then one foggy Christmas Eve♪
Santa came to say♪
Rudolph with your nose so bright♪
Won't you guide my sleigh tonight♪
Then how the reindeers loved him♪
And they shouted out with glee♪
"Rudolph the red-nosed reindeer♪
You'll go down in history♪
(↓から、びょり記)
…読んでて奥さんのデラに萌えてしまった。
オー・ヘンリーは(名前で解るだろうが)アメリカの作家、短編小説の名手で381編もの多作でいらっしゃる。
日本で言えば星新一氏みたいな?
写真は池袋西武デパート前のディスプレイ、良く出来てて目を引かれた。
トナカイ等、発泡スチロールで出来てるんだそうな。(凄い~)
↑プレゼントを積んだソリまで、ちゃんと有る。
参考「賢者の贈り物(オー・ヘンリー、作 結城浩、訳 電子図書館:青空文庫)」
そうそう、忘れちゃいけない大事なこと!
チョッパー誕生日おめでとー♪♪
麦わらの一味の間では、クリスマスケーキじゃなく、誕生日ケーキを、毎年クリスマス・イブの度に用意してるんだろうな、考えてみれば。