瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2020年、クリスマスには歌を歌おう♪その5

2020年12月28日 19時07分37秒 | クリスマス
皆様、こんばんは。
年の瀬も押し迫って参りました。
今年は初めから終いまで新型コロナ一色に終わりましたねぇ。
未だ約3日残ってますが、これ以上の災難はご勘弁願いたい。
でも災難は空気を読まずに襲って来るからなぁ…不吉な想像は止して、ミス・メリーから届いた手紙を読むと致しましょう。

『はぁい♪ミス・メリーよ♪
 最近は夕方5時過ぎると真っ暗で、寂寥感半端ないわね。
 でも12月21日の冬至を過ぎれば後は明るくなるばかり、そう考えたら心に希望が湧いて来ない?
 今冬はウイルスの脅威に曝されてるせいで、お日様の光が何時もより余計に恋しいわ。
 世界のクリスマス・スイーツ、第5夜目に紹介するのは、太陽をこよなく愛する北欧の国スウェーデンより、ルッセカットよ!

 ルッセカットとはルチアの猫という意味。
 サフランとレーズンを練り込んだ甘いパンで、渦巻きが2つくっ付いた形状をしているの。
 真上からだと丁度∞に見えるわ。
 スウェーデンでは毎年12月13日の聖ルチアの日を祝って、このパンを食べるそうよ。
 
 聖ルチア…別名シラクサのルチアは、キリスト教の殉教者として6世紀頃から信仰を集める守護聖人よ。
 スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドといった北欧国では、12月13日の聖ルチアの日に毎年盛大な祝祭を開くの。
 特にスウェーデンのルチア祭は規模が大きい事で諸外国からも知られてるわ。
 町や学校で聖ルチア役に選ばれた乙女達が、白いドレスに赤い帯を締め蝋燭の冠を被った姿で、サンタ・ルチアを歌いながら街中を行進するの。
 家庭では長女が聖ルチアの扮装をして、早朝、珈琲とルッセカットをお盆に載せ、両親の寝室へ運ぶのが習わし。
 近年はジェンダーレスの観点から聖ルチア祭の行列に少年も参加する様になったけど、光の乙女ルチアに寄せるスウェーデン人の憧憬は今も昔も変わらない。
 
 イタリア、シチリア島南東部の都市シラクサの貴族の家に生まれたルチアは、敬虔なキリスト教徒として一生清らかな身で居る事を誓うも、後ろ盾である夫を亡くした母により異教徒の男との結婚を勧められるの。
 けれどルチアは自分はキリストと結婚すると言って断固拒否。
 異教徒の男はふられた事に激怒し、ルチアを狂信者だと兵に密告、彼女は拷問を受けて両目を抉り出されてしまう。
 しかし神の奇跡により、ルチアは目を喪った後でも、変わらず物を見る事が出来たとか…結局殉教しちゃったらしいんだけど。
 こうした伝説からルチアと不滅の光が結び付き、光の聖女というイメージが生まれたらしいのね。
 Luciaと言う名前はラテン語のlux(光)に繋がる。
 長い暗闇に閉ざされる冬の北欧で、光の聖女ルチアへの信仰が篤くなるのは必然と思えるわ。
 
 ルッセカットだけど、日本では意外な所で手に入るの。
 何処だと思う?――世界最大の家具量販店のIKEAよ!
 日本にすっかり馴染んでるから忘れてたけど、あそこってスウェーデン発のお店だったわね。
 IKEAでは毎年アドヴェントに入ると冷凍食品コーナーでルッセカットを扱うんですって。
 そういう訳で暇人のブログ主さん、例の如くルッセカットを入手しにIKEAに行けや!…なんちゃってv
 
 続いて今夜のクリスマス・ソングを紹介、聖ルチアに因み――サンタ・ルチア(Santa Lucia)♪
 ナポリの民謡曲だったサンタ・ルチアは、1849年にテオドロ・コットラウが編曲・出版した事で、世界に広く知られる様になったの。
 日本でもカンツォーネの代表曲として有名ね。
 船頭が自分の船の上で、ナポリ湾に面した美しい港町ボルゴ・サンタ・ルチアを讃えつつ、夕涼みしようと誘いかけるというのが歌詞の内容。
 港町の名の由来は勿論、シラクサのルチアこと聖ルチアから。
 光の聖女ルチアはナポリの船乗り達の守護聖人でもあるのよ。
 ナポリ民謡として朗々と歌われるサンタ・ルチアにクリスマスのイメージは全く感じられないけど、スウェーデンでは聖ルチア祭に合わせ歌詞が付けられた讃美歌版サンタ・ルチアが存在するの。
 最初その讃美歌版サンタ・ルチアを採り上げようとも考えたけど、スウェーデン語で歌うのは難しいでしょうから止めて、堀内敬三訳詩の日本語バージョンを紹介する事にしたわ。
 ほら…日本では今年NHKの連続テレビ小説枠で、作曲家の古関裕而を主人公のモデルにした、エールってドラマを放送したのでしょう?
 劇中で主人公の奥方が、ベルトーマス羽生って名前の音楽の先生から、歌のレッスンを受けたでしょう。
 その音楽の先生のモデルになったソプラノ歌手、ベルトラメリ能子が歌ったサンタ・ルチアを、良い機会だから紹介するわ!
 北国に住んでて、しかもインターネットやってないって言ったのに、どうして日本の朝ドラを詳しく知ってるのかって?――ふふっv細かい事は気にしないでv

 今夜の話はここまで、また明日、楽しくクリスマス・ソングを歌いましょ♪』

――以上、メリーさんからの手紙でした。
それではご紹介頂いた、ベルトラメリ能子(よしこ)が歌う「サンタ・ルチア」を聴いてみましょう。(古いレコードの為か、音がちょっと悪いです)



【サンタ・ルチア(Santa Lucia)】




月は高く♪ 空に照り♪
風も絶え♪ 波も無し♪

月は高く♪ 空に照り♪
風も絶え♪ 波も無し♪

来よや友よ♪ 船は待てり♪
サンタールーチーアー♪
サンタールチーア♪

来よや友よ♪ 船は待てり♪
サンタールーチーアー♪
サンタァ~~~~~~ルチィーーア♪


そよと渡る♪ 海風に♪
流るるは♪ 笛の音か♪

そよと渡る♪ 海風に♪
流るるは♪ 笛の音か♪

晴れし空に♪ 月は冴えぬ♪
サンタールーチーアー♪
サンタールチーア♪

晴れし空に♪ 月は冴えぬ♪
サンタールーチーアー♪
サンタァァァァ~~~~~~~~~ルチィーーアー♪



…ベルトラメリ能子さんは大正11年にオペラ研究の為イタリアに留学、ナポリで3年過ごした後ローマに移り、向うの国立音楽学校で声楽を学んだそうです。
名前に負けぬアグレッシブな歌手だったのですね。
しかしミス・メリー、自分でもツッコんでたけど、一体何処で朝ドラを観たのやら…。
ちなみにイタリア語で歌うオリジナルバージョンはこちら



Sul mare luccica l’astro d’argento.
Placida è l’onda, prospero è il vento.
Sul mare luccica l’astro d’argento.
Placida è l’onda, prospero è il vento.

Venite all’agile, barchetta mia,
Santa Lucia! Santa Lucia!
Venite all’agile, barchetta mia,
Santa Lucia! Santa Lucia!


Con questo zeffiro, così soave,
Oh, com’è bello star sulla nave!
Con questo zeffiro, così soave,
Oh, com’è bello star sulla nave!

Su passegieri, venite via!
Santa Lucia! Santa Lucia!
Su passegieri, venite via!
Santa Lucia! Santa Lucia!

【訳】
輝く海の上に銀の星が在り
波は穏やかで、風は順風に吹く

私の小舟よ、軽快に行こう
聖ルチアへ! 聖ルチアへ!


こんなに柔らかい西風と一緒に
嗚呼なんて美しい、船の上に在るものは

乗り人よ、あちらへ行こう
聖ルチアへ! 聖ルチアへ!



…やはり元のナポリ民謡版だとクリスマスの雰囲気ゼロですね。(汗)
しかしこれがスウェーデン版になると全然印象が違って思えます。
こちらは聖ルチア祭に参加した乙女達が教会で歌ったものを録音したものらしい。
スウェーデンでサンタ・ルチアは、「Sankta Lucia, ljusklara hägring(聖ルチア、光の幻想)」とか、「Natten går tunga fjät(ゆっくりと夜の散歩)」等のタイトルで知られる歌なんだそうな。
歌い方や演奏を変えるだけで別の歌になる、音楽の世界は奥深いものですね。

 
↑ミス・メリーから指令を受けて、モノレールが走る立川駅最寄りのIKEA立川へ、ルッセカットを探しに行って参りました。

 



 
↑隣には国営昭和記念公園が広がります。
立川から昭島、2つの市に跨がるほど敷地が広大な事で有名、何でも飛行場跡地を利用して造られたとか。
秋は銀杏林が黄金色に染まって見事です。
私が訪ねた日は残念ながら見頃前でした。

 
↑星型の照明がスウェーデン流っぽいIKEAのインテリアブース。

 
↑冷凍食品コーナーに陳列されてたルッセカット。
食べる時は自然解凍してとの事。
サフランが練り込まれたパンは黄色く、日本のパンに比べて硬めです。
水分をあまり含んでない為、長期保存に向いてそう。
昔食べた駄菓子のかにぱんに食感が似てるよう感じました。
サフランはスウェーデン人にとってクリスマスに欠かせないスパイスとの事、なんと1800年代から使われてた記録が有るそうです。
黄色は黄金に繋がる特別な色、クリスマスに黄金色のパンを焼く事で魔術的な力を得ようとしたのかもしれません。
イタリアの黄金のパン「パンドーロ」にも繋がる話…つかイタリア発のサンタ・ルチア歌うなら、パンドーロを採り上げた方が合ってた気する。(汗)
ところで「ルッセカット(ルチアの猫)」と言う名前…猫が何処から来てるのか気になるのですが…中世ヨーロッパの或る地方では年末に年老いた猫を畑で殺して埋める風習が有ったとの事、後年その名残でクリスマス・シーズンに猫の体の一部を模したパンが売られたそうです。
ひょっとしたら「ルッセカット」にも、そんな恐ろしい歴史が有るのかな~なんて考えてしまいました。
見た目2匹の猫が尻尾を絡めてる様で可愛いんですけどね。

↑秋の夕方、IKEA前で観た、赤く染まる鱗雲。

 

 


↑JR立川駅周辺は水と緑豊かな公園が整備されてて綺麗でした。


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