瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

高橋留美子の巧みな世界 ―その3―

2006年10月10日 21時43分19秒 | 漫画&アニメ
続いて『らんま1/2』に…


…と言いたい所ですが、実はこの作品で印象に残ってる台詞は、あんま無い。(汗)

こう言うとファンの方に怒られそうですが…や、自分も好きな作品だったし…女乱馬やシャンプー、かすみさんに右京には嵌ってたし。(苦笑)

台詞よりもキャラ萌えのが大きい作品だったなぁと…。(汗)
氏御自身から、「人間描写よりアクション&ギャグに拘った」みたいな事仰ってましたし。
あくまで小さい子供向けで、氏が幼かった頃同様、少年漫画好きな女の子向けに、特に描いてたみたいです。

だから、あまし人間味とかに拘らない…実際エキセントリックなキャラばっかでしたもんね。
『うる星』のキャラが、宇宙人で在りながら、妙に人間らしいのと反対。

勿論、台詞のテンポは変らずに良く、笑かして貰ったもんですが…忘れられない~って台詞が、自分には今一思い付かんです、御免なさい。(汗)


敢えて言うならヒロイン『あかね』の姉、『なびき』と『かすみ』さんの台詞に面白いのが多かった。


1巻2話『らんまの秘密』より――


中国『呪泉卿』に浸かった事で、水を被ると女の子に変り、お湯を被れば男の子に戻るという特異体質を身に着けてしまった乱馬。

日本に帰った彼を待っていたのは、親達が勝手に決め付けた許婚の『あかね』だった。

そんな『あかね』に、「俺の方がプロポーションが良い」と言ってしまった乱馬は、怒った彼女からテーブルをぶつけられてしまう。


か「大丈夫?
  あかねの事悪く思わないでね。
  
  あの娘、根は素直なんだけど、手の付けられない乱暴者なの。」

「フォローになってないわよ、おねーちゃん。」


これには爆笑した…確かにフォローになってない。(笑)


かすみさんのボケと、なびき女史のツッコミが一々もっともで、笑ったもんです。(笑)

らんまワールド内では、珍しくリアリティを感じさせて貰った。

後、乱馬のライバル『良牙』が、人間味有るキャラだったな~と思う。
その純情さから、心身共に迷子になってる様な奴だった。(笑)


あ、少しづつ思い出して来た…


何巻の話だったか忘れたけど(汗)…


「す、凄い!!棍棒が10本にも20本にも見える!!」

と思ったら――

「実は本当に10本も20本も持ってたのか!!
 卑怯を通り越して凄い!!


――この台詞には大ウケした。(笑)


後もう1つ…乱馬がブルマー履いたまま男に戻ってのシーン。


「乱馬!落ち着け!!逸る気持ちは解るが…

 お前…まだブルマー履いたままだぞ!!」

――ぴしっっ!!とコマに亀裂が走る。

「ふ……どちくしょー!!!」(←と叫んで走り去る乱馬)

「何か…傷付いてたみたいやな。」
「ちょっと涙ぐんでたよな。」
「早く立ち直ってくれると良いんだが…」
「挫けてたまるか!!」(←しゅん!!と走って戻って来る乱馬)
「…早かったな。」


テンポと逞しさにウケました。(笑)


…え~~と……じゃ、次は『犬夜叉』……





……は、もっと思い付かない。(汗)(ファンの方、御免なさい)


この作品だけは、ど~~~しても嵌れなくて、あんま読んでないんですよ。(汗)


いや…相変わらず巧いとは思うんですが…主人公2人に感情移入出来ないのが理由かと……自分も年を取ったんだなと言う事で。(苦笑)

私がルーミックから離れた原因、この作品に嵌れなかったから、なんだよね…。(汗)


…話が続かないんで、短編の方に目を向けましょう。(汗)


ふうふ』と言う名の、短編作品より――


キャラの名前等は忘れてしまいましたが…「三度の飯より喧嘩するのが好きだ」っつう夫婦が主役の話。


旦那も女房も、日々明るく楽しく夫婦喧嘩を繰広げていた。(←この無茶苦茶な設定が面白い)
しかし、周囲からは「近所迷惑極まりない!!」と、引切り無しに苦情が舞い込んでいた。(←そりゃそうだ)
終にゃ「出てけ!!」と言われちまう始末。
仕方なく、夫婦は『喧嘩絶ち』をする。

数日経って…2人とも禁断症状から苛々が募る。(笑)
そこへ密かに旦那を狙っていた、旦那の会社の同僚が近付いて来る。
彼女に一緒に呑まないかと誘われた旦那は、「苛々したまま家帰るより、外で発散した方が良いか」と考え、付き合う。

その現場を、運悪く女房が見ていた。

喫茶店内で、こっそり彼女と旦那の会話を盗み聞きする女房…


同僚「それ(顔の傷)、奥さんに付けられたの?」
旦那「ええ、まあ…」
同僚「酷いわね…」
旦那「そんなに酷い顔?」
同僚「いえ、奥さんの事。」(←「奥さん、酷い事するわね」の意)
女房『なに~!?あたしの顔が酷いだと~!?』


――笑った!!(爆笑)


高橋氏は本当に、この手の誤解ネタが巧い!(笑)


ザ・超女』と言う短編作品より――


スペース・パトロールのスペシャル・ポリス『マリス』は、素手でロケット3台おしゃかにしてしまえる程の怪力の持ち主。
怪力過ぎて、日々弁償に追われ、赤貧に喘いでいる。

そんな中、或る日「大富豪の息子が誘拐される」という事件が起きた。
「大富豪の息子を助ければ、命の恩人として玉の輿結婚出来るかも!!!」

そう考えたマリスは、↓意気揚々と救いに向うのだった。


「あたしをあげる!!
 皆あげる!!
 だからお金を頂戴!!


…未だに記憶に残る名台詞です。(爆笑)


最後は、『人魚シリーズ』と呼ばれるものより――


モダンホラーの傑作と謳われてる作品で、ひょっとしたら『うる星』以上に自分は影響強く受けてるな~と思っとります。

短編なんですが連続してまして…まだ完全に終止符は打たれてない。

人魚の肉を食らい、不老不死になった男女、『湧太』と『真魚(まな)』。

何度殺されようと尽きる事の無い命、果て無き旅の途中で、2人は様々な怪異に出遭う。

描かれてるのは、不老不死を求めて争う、人間達の欲望…そして『孤独』。

人魚の肉を求める人間に、湧太は告げる。

全ての人間が、人魚の肉を食らい、不老不死になれる訳ではない…その多くは急激な体内変化に耐え切れず、化物になって死ぬのだと……


「あなたは生きてるじゃないの。

 この娘(真魚)も。」

「…会うまでに五百年かかったよ。
 
 俺はずっと一人ぼっちだった。」


人魚の森』ラスト、湧太と真魚との会話も、印象深く残ってます。


真「なあ、湧太。
  一人で生きると言うのは、そんなに辛い事なのか?」

湧「たとえばなあ…

  俺が居なくなったら、お前、どうする?」

「捜す。」

湧「それでも居なかったら?」

真「また捜す。」

湧『寂しーとか、悲しいーとか、言えねーのか、このアマ。』

真「ずっと捜す。
  ずっとずっと捜す。
  一生捜す。

湧「解った、解った。
  有難よ。」


人は生涯の連れ合いを求め、孤独に彷徨う旅人なのかもしれない…月並みな意見言って申し訳無いが。

しかし、その生涯の連れ合いは、それこそ五百年かけて捜す覚悟でもないと、見付らないものなのかも知れない…そんな事を読んで感じた。


どうしてこんなにも、心を震わす台詞を考え付けるのか?

或るインタビューで、氏はこんな風に仰ってます。


「良い台詞を思い付かない時…吐き気すらもよおす。
 実際に吐いた事も有る。
 何日も眠れない日が続いたりもした。」


世の中には漫画家さんと呼ばれる方達が沢山居る。
けれども、何十年も描き続け、何十年もヒットを飛ばす方は、その中でどれくらい居るだろう?

正にプロの心意気。

ファンからは離れたけれど、希代の一流漫画家だと、今でも尊敬している。



【私信みたいな何か】


Pさん…そうか、日ハムはそんな秘密の特訓をしていたのですか…。

大観衆を前にしてもあがらない様、録音した歓声をドーム内に響かせ、その中で練習するとは、敵ながら妙案だと感心致しました。

しかし、それだけでは失礼ながら、不完全かと。

どうせなら、観客の写真貼った立て看板を全客席に立て掛け、

見た目からして大観衆を前にして居るという雰囲気を作り出さねば!!

………と、ヒルマン監督&ハムのナインにお伝え下さいませ。(←どうやって?)


プレーオフ・セカンドステージ…もし鷹が1勝した場合、北から南へ、ほぼ日本縦断する事になるんですね…そういえば。




【更に追記】

中日優勝、おめでとう御座いました!!

阪神&ファンの皆様、すいませんでした!

巨人はやっぱり駄目でした!!

rokiさん、すまさん、ふふさん、かるらさん、残念でした…御免なさい~。(泣)


……つくづく今の巨人はドン底に在るなぁと感じた。

桑田が退団するならファンやめようかと考えてなくもなかったんだけど、あまりにドン底過ぎて捨て切れない…。(汗)

今は小久保も居るしね~…。

誰が悪いとか何とかじゃなく…先ず体制が問題なんだって。



そういやプレーオフ予告先発…鷹はオスギで、ハムはダル。

………試合やる前から負けが見えそうなんすが。(汗)

しょうがないわな~、カズミはルーズショルダー故、間隔空けないと投げさせられないし…そんな明日無き戦いっぷりの鷹事情。(ダルにぶつけて相打ちするより、確実にカズミで勝ちに行きたい思惑も有るんでしょが…けどカズミは此処ぞっつう勝負では勝ち運があんま無いような…)
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高橋留美子の巧みな世界 ―その2―

2006年10月10日 21時43分10秒 | 漫画&アニメ
次は『めぞん一刻』から。


実は作品連載中はあんまし好きって訳じゃなかった。
単行本、1冊も持ってないし。
苦手なラブ・ストーリーだったからですが…ヤキモチ焼きの響子さんは、可愛くて大好きでしたがね~。(ファンの方御免)

けど、今読み直してみると…面白い作品だな~と感心してしまう。
絵も本当に綺麗…本音を言えば、氏の絵はこの作品後半頃が1番好きでした。(汗)

何より台詞の掛け合いが素晴らしい。
氏の連載作品の中では、これが1番人物描写が巧いんじゃないかと考えてます。(あくまで個人的にね)


第1巻第1話、『隣はなにを…!?』より――


おんぼろ木造アパート『一刻館』に、美人の管理人さんがやって来た。

――名前は『音無響子』。

一緒に連れて来たジジムサイ犬には、何故か『惣一郎』と言う、人の名前が付けられていた。

アパート5号室の住人『五代裕作』は、忽ち彼女に一目惚れ。
奇妙な住人達のおちょくりに耐えかね、アパートを出る気で居たのに、あっさり翻意してしまう。

所で5号室の隣の4号室には、『四谷』さんと言う名の変人が居る。
趣味は覗き・たかりで、五代の部屋の壁や押入れにまで、大きな覗き穴を開けてしまう始末。
そのせいで、隣の6号室に居る『朱美』さんから、覗き常習犯の疑いを掛けられてしまった。

幸いにも疑いは直ぐに晴れたが、覗き穴をこのまま放って置く訳にも行かずという事で、穴を塞ぐ管理人さん。
押入れから覗く、管理人さんの形の良い腰を見て…五代は暫し見惚れるのであった。


響「私にお構いなく、お勉強なすって下さい。」
五「しかしですね……」

五「………」(←じっくりと観察中)

響「明日模試が有るのでしょう。」

五「え?」
響「だから模試が……」

「こ…腰がどうかしましたか?」
響「模試が有るんじゃないですか!?」


…もしもーし、大丈夫ですか?五代君。(笑)


尚も続く五代君のアレっぷり。


同じく1巻『暁に鐘は鳴る』より――


共通一次が近付いて、早くも友人達に向け、「お手上げ」宣言。


五「一刻館は受験生の住む所じゃないからなー。」
友「今更何言ってんだ。
  さっさと引越しゃよかったじゃないか。」
五「そーはいかんのだ。
  管理人さんが、えらい美人でな。」

五「何にもしてないんだよなー。」
友「お前、試験は明日だぞ。」
「いや、管理人さんに何もしてないと。」
友「何考えとんじゃ。」
友「ライバルがまた消えた………」


…本当に、良くぞ合格出来たもんだよなと。(笑)


青年誌連載だった事から、『うる星』には無いアダルトなネタも多かった。


同じく1巻、『勝手に聖夜』より――


町内の皆さんも集め、朱美さんの勤めるスナック『茶々丸』にてクリスマス・パーティー。

一刻館1号室住人、『一の瀬』さんトコの息子の『賢太郎』君は、五代同様、管理人さんが大好き。
衝撃のプロポーズをしちゃいます。


五「お前ね……
  ガキだから解んねーだろうけどね、
  結婚つー事はだな…」
賢「自信有るもんね、俺。
 
  浪人なんかしないで、
  一流大学入って、
  良い会社に就職して、
   
  幸せな家庭を築くもんね。」
五「解っとらんな、ガキが。」

五「女の幸せはなー…」

「でかけりゃいいんだろっ!!」

五「お…お前………」(←絶句)
「きっと管理人さんを満足させてやるっ!!」

賢「男の価値は……」
五「わーっ、言わんでいいっ、それ以上言うな!!」

賢「でかい家を建てるというのは、そんなに恥かしい事なのか?」
響「いえ…」
「家…」


…最後に町内のおいちゃんが呟いた駄洒落に、1番受けました。(笑)


こんなのも有る…3巻『引退宣言』より――


壁に白アリが巣食ってる事が解り、直ぐ様駆除と、ついでにあちこち修繕する事になった一刻館。
直して欲しい所が有れば言ってくれと告げられ、五代は四谷さんに開けられた部屋の壁を塞いで貰えるよう頼もうとする。
しかし、そこに四谷さんの「待った」が掛かった。


四「あの壁の穴は君と私の交流の場ではないですか。」
五「ぼかー交流したくないですよ、はっきり言って。」

四「せっかく掘ったのに。」
五「プライバシーの侵害です。」

四「どうしても埋めると……」
五「ええ。」

四「深夜、五代君の声が聞える。

  おや……何だろう。
  私は耳をそばだてる。

  響子さん………

  確かにそう聞える。
  息が荒いな。
五「四谷さん!!」(焦)

四「深夜、管理人さんの名を呼びながら何をして居るのだろう。
  悩んでしまう。」
五「俺の部屋で何しよーと俺の勝手だろ!!」
「暗いわ…なんて暗い青春なの。」
一「切ないね~~。」


春遠からじ…青春とは、ままならぬものよ。(笑)


さて、そんな彼が懸想する響子さんには、秘密が有りました。(いえ、隠しては居ませんが…)


なんと彼女は、未亡人だったのです。


結婚半年も経たず、亡くなってしまった旦那さん…

飼い犬に付けた名前の『惣一郎』は、その旦那の名前でした。

自分が忘れたら、惣一郎さんは本当に死んでしまう。

そう、頑なに思い続ける彼女。

しかし月日の流れと共に、記憶は薄まって行くばかり…


8巻『春の墓』より――


春、桜咲く中、彼女は墓前で、静かに語り掛ける。


「惣一郎さん、今、あたしね……迷ってるのかもしれない。

 ずっとあなたの事思い続けて居たかった。
 だけど……

 生きてる人達が、段々私の中に入って来てる……

 惣一郎さん…どうして死んじゃったの?

 生きてさえ居てくれたら…

 こんな思い、しなくてすんだわ……

 きっと何時か…私はあなたを深い所に沈めてしまう。
 
 だけど…
 無理にあなたの思い出に、しがみついて居るのは、もっと辛い……

 自然に忘れる時が来ても…許して下さい。」


死なれるって事は……本人のせいではないんだけど…罪作りだよなぁと…。

最終回間際の響子さんの台詞を読むと、心からそう思う。


その話は一旦置いて…


さて、五代君の方ですが、ゴタゴタ有りつつも無事大学卒業、めでたく就職先も決定しました。

明るい未来を描いて、心はウキウキ。

そんな彼に、「楽観するには早いんじゃねーか?」と、友人の坂本君は忠告します。


10巻『バラ色の人生』より――


坂「初任給でプロポーズ……?
  ちょっと早過ぎるんじゃないか?」
五「そお?」
坂「お前、ハナから共働きの積りか?」
五「いや~、管理人辞めて貰って、俺1人の稼ぎで暮す積りだけど………甘いかな……」
坂「貯金なんか……勿論してねーよな。」

坂「学生じゃないんだから、仕送りストップだろ。
  ちっこい会社だから給料安いし、

  もしかすると、お前1人食うので手一杯じゃない?」
五「よくそれだけ悲観的に考えられるな。」
坂「何処に明るい材料が有ると言うんだ。」
五「響子さんて…貧乏に強いんじゃないだろうか。

――…し~~~~~ん…――

坂「あのな、何処の世界に貧乏が好きな女が居ると言うんだ?」
五「好きだなんて言うとらん。」

五「ただ彼女ってさ~、なんとなく慎ましくて、
  遣り繰りだって上手そーだし、
  最初は六畳一間のアパートでもさ……」

(こっから五代君の妄想劇場開始)

五「悪いなー響子、稼ぎが少なくて。」
響「あら、私ささやかな生活って好きですわ。

  部屋が狭いお陰で、こうして何時もあなたの近くに居られるし…」
五「響子…」

(現実に場面転換)

五「君ってなんて優しいんだ。」(←坂本君ちの飼い猫を抱締めながら)
「お前の脳ミソって、きっとバラ色なんだろーな。」


…坂本君が代弁してくれてるんで、この件ではコメント無。(笑)


も1つ、同巻同話より――


響子さんから就職祝いに『ネクタイ』をプレゼントされた五代君。


五「うわ~ネクタイだーっ。」
響「いよいよ社会人ですもんね。」

五「あははは…な、なんかこれ締めてると出世できそーだなー。
響「ほほほほ…そんな事有りませんよ。

――…一瞬の間…――

響「いえ、今のは出世できないって意味じゃなくて…」
五「いやあ。」


…なんて絶妙な会話だろう。(笑)


しかし、その後…就職予定だった会社が倒産、就職浪人が決定してしまう訳ですが。(もう此処まで受難が続くと、何と言ってやったもんか…)(笑)


……いいかげん字数が多くなって来たんで(汗)、一気にラストへ。


受難続きな2人の恋模様だったけど、五代君が保父試験に合格してからは、割とすんなり行きました。
まぁ、人生って、そんなもんなのかもしれない。(笑)

漸く響子さんにプロポーズ。

そんな五代に、響子さんは、1つだけ約束を守って欲しいと告げました。


15巻、『約束』より――


響「1つだけ、
  約束…
  守って…」

五「浮気なんか絶対しません。
  付き合い酒は控えます。
  貧乏もなるべくしません。」
響「…そんな事じゃ泣きませんよ。
  怒るけど。」(←怒るけどってトコには笑った)

「お願い…
  一日でいいから、

  あたしより長生きして…

  もう、1人じゃ、

  生きて行けそうにないから…」


……この台詞には…泣いたな~~。

今でも泣ける。

世に色んな不幸は有れど、やっぱり『孤独』が1番辛いんじゃないかと…

って言うより…『孤独』だからこそ、『不幸』に思えるんじゃないかとね。


作品に話戻して…心配なのは結婚資金


これがまた泣かせる話なんですが、五代の婆ちゃんが自分の貯金を出してくれたのです。

その辺りの話、同巻の『形見』より――


婆「お前が金貯めるまで待ってたら、百まで生きねばなんね。」
五「だって、こんなに貰っちゃ…」
婆「誰がやると言った!」

婆「それはおれの葬式代ら。
  死ぬまでに返せ。」

五「婆ちゃん…」(←じわー…と感激する)

「…立派な葬式出してやっからな。」
婆「…………他に言い方は無いのか。」


…まったくだ!!!(爆笑)


感動をぶち壊す様な一言だわな~。(笑)


此処らで纏めにかかりましょう。


同巻、『桜の下で』より――


結婚前に、けじめをつけようと遺品を返す事にした響子さん。
それを惣一郎さんに報告しようと、墓参り致します。

しかし墓前には、先に五代君が居りました。

一体何しに来たのか?

不審に思った響子さんは、墓の陰に隠れて、こっそり様子を伺いました。


五「正直言って、
  あなたが妬ましいです…

  遺品返した所で響子さん…絶対にあなたの事を忘れないと思う。

  …忘れるとか…
  
  そんなんじゃないな…

  あなたはもう、響子さんの心の一部なんだ…

  だけど俺、なんとかやって行きます。

  初めて会った日から響子さんの中に、
  あなたが居て…

  そんな響子さんを俺は好きになった。

  だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。


五代がそう言えるくらい成長するまでの、話だったんだなぁと…


そして…


響「あたし…

  あなたに会えて

  本当に良かった


…そう、響子さんが言えるまでの話だったんだなぁと思った。


今でも桜が咲く度に、この作品のラストが頭に浮かびます。


氏の後日インタビューを読むと、最初からこんな話にしようとは考えてなかったらしい。
当初はアパート人情劇を描こうと考えてたら、段々ラブストーリーのが描くの面白くなってったんだと。(笑)

響子さんが未亡人だという設定も、「下宿館の管理人っつうたら『未亡人』だろう」と、思い付きで決めたらしい。(日活浪漫ポルノ映画、『未亡人下宿』から発想したんだろうな…)(笑)

計算ずくでなく描いてるからこそ、氏の作品には泣かせられ、笑わせられるのだろうと思う。


…所で惣一郎さんの死因、結局解らず終いでしたが…何で死んだんでしょうね…?(←台無しにする一言)


しつこく『その3』に続きます。  
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高橋留美子の巧みな世界 ―その1―

2006年10月10日 21時42分59秒 | 漫画&アニメ
本日10/10は、高橋留美子氏の誕生日だったりする。


おめでとう御座いま~す♪♪


そんな訳で、唐突ながら今回は『ルーミック漫画』についての話――題して『名台詞で綴るルーミックワールド』…なんちゃって。


絵にしろ文章にしろ、自分が1番影響受けた方じゃないかと。

こやって書いてても、「あ、これ、留美子先生から影響受けての表現だ…」とか感じてしまう。(苦笑)

最早自分の血となり肉となり、骨の髄まで染み渡ってる気がしますよ。


特に『うる星やつら』ね。


最初に漫画読んだ時の衝撃、未だに覚えてる。


6巻4話『戦慄の参観日』っつう話より――


牛車で授業参観に訪れた面堂の母ちゃん。
学校のグラウンドに着いた所で、上からUFOに押し潰される。(←さらっと描いてるけど、凄い発想だよな)
面堂の母ちゃんは無事だったけど、牛車は敢無くおしゃか。
UFOに乗って来たのは、ラムの母ちゃんだった。
怒った面堂の母ちゃんは、面堂に文句を言う様申し伝える。(←面堂の母ちゃんは高貴の出なので、下々と直接喋ろうとはしないのです)
しかし宇宙人であるラムの母ちゃんには、地球語が通じない。
困った面堂は、ラムに通訳をお願いする。


面「ラムさん、ちょっと通訳して下さい!!」
ラ「うん!!」

面「よくも牛車を壊してくれたな!!」
「よくぞ牛車を壊してくれました!!」

面「牛車の敵は私の敵も同様です!!」
「牛車は私の敵です!!」

面「この礼は必ずさせてもらうぞ!!」
「是非お礼させて下さい!!」


それ聞いたラムの母ちゃん、大喜び。(笑)


ラ「喜んでくれて嬉しいと言ってるっちゃ!!」

面「本当にちゃんと伝わってるんですか?」
ラ「う~~ん、ちょっと文法が違うから…」


――これ読んで嵌った!!(爆笑)


随分、言葉選びの巧い漫画家さんだな~と…しかも無駄が全く無いから、テンポが抜群に良い訳ですよ。
今日び小説家にだって、こんだけ巧い方は少ないんじゃないかと。


この巧さは、作品後半になればなる程、益々洗練されて行った。


24巻1話『非道なる商売人』より――


ランちゃんは食いしん坊のレイさんと憧れのデートの約束をします。
しかし巨大招き猫型貯金箱をがちょーんと割ってみたら、中には100円玉1枚しか無かったのです。
さあ、どうしましょう。
困ったランちゃんは、幼馴染で親友のラムちゃんに相談しました。


ラム「ど~したっちゃランちゃん!こんなとこに呼び出して…」
ラン「あのね、実はね…とても言い難いんだけど……お金を貸して欲しいの。」(←此処できっぱりと擬音が入ってるのにも笑った)


相談を受けたラムちゃんは、ばたばたばたと団扇扇いでそっぽを向いてしまいました。(笑)


ラン「聞いとんのかい、こらっ!」
ラム「うちは貧乏だっちゃ!」

ラン「あのな、普通ならな…

   幾らくらい?とか…
   何に使うっちゃ?とか…
   何時返してくれるっちゃ?とか…
   
   聞くもんやないのか?
   
   それをおんどりゃ、いきなり自分の立場主張しくさって!」

ラム「幾らくらいだっちゃ!」
ラン「いっぱい、いっぱい欲しいの!」

ラム「何に使うっちゃ!」
ラン「そんな事恥かしくて言えないわ~!」

ラム「何時返してくれるっちゃ!」
ラン「解んな~い!」

ラム「うちは貧乏だっちゃ!」
ラン「からかっとんのかい、おんどりゃ!」


…ランちゃんの、依頼心の強い甘ったれな性分が、台詞を通してまざまざと伝わって来るんじゃないかと。(笑)

実際言われたら、腹立つより呆れてしまうだろう…けどランちゃんみたいな人、現実に居る。(苦笑)
自分は動こうとしないクセして、「人に優しくされて当り前」って、無意識に考えてる甘ったれさんね…悪気が無いだけに困ってしまうんですが。(笑)

そういった人の本質を、彼女の漫画は滑稽に描き出す。

…この人物描写力が凄い。


ランちゃんの名台詞をもいっちょ、27巻9話『はんぎゃ摘み』と言う話から――


大好きなレイさんが食べたいと願う(←実は誤解だったんすが)『はんぎゃの実』を摘みに、ランちゃんは、ラムちゃんやダーリンのあたると一緒に、人食いおばばの畑を訪ねました。

人食いおばばから「ラムちゃんとあたるを食わせてくれたら、はんぎゃの実をやる」と囁かれたランちゃんは、悩んで自問します。


ラン「そ…そんな…

   ラムちゃんもダーリンも大切なお友達よ!
   『お婆ちゃんに食べられて頂戴』なんて言えない!!
  
   言えないわ!

   言わなきゃええやんけ!


ナイスアイディアだ!!ランちゃん!!!(爆笑)


…フォローしときますが、私、ランちゃん好きです。(笑)
最も人間味が有る様感じられたんで。

ってゆーかランちゃんに限らず、氏が描く作品のキャラは、揃って欠点だらけだった…考えてみると。(笑)
それ故、人物(キャラ)としての厚み・リアリティが感じられたな~と。

氏の漫画を通して、自分は『人間』を教わった気がします。(大袈裟?)


纏めとして、最終回シリーズ34巻『ボーイ・ミーツ・ガール』から――


拗れに拗れたラムとあたるの痴話喧嘩。
終には何故か地球が危機に追い込まれる
地球を救いたくば、自分と鬼ごっこの勝負をしろと、ラムに持ち掛けられる、あたる。
しかし宇宙人のラムは空飛んで逃げる。
「捕まえられるのか!?」…不安に怯える周囲を尻目に、ラムはあたるに向って叫んだ。


ラ「うちは本気で逃げるっちゃ。
  もしも、うちを捕まえたかったら…

  『好きだ』って言うっちゃーっ!!

あ「だっ…誰が言うかアホーっ!!


――負けずに言い返すあたるに、町内会の皆様が怒って詰め掛ける。(笑)


町「鬼ごっこに勝てるのか?」
町「勝てるんだろうな!」

あ「正義は勝つ!!」

「どっちが正義なんだ!?」


――良い事言った、町内会の皆様。(笑)


痴話喧嘩が拗れた末の地球危機、それが『うる星』の真骨頂。

まったくもって大迷惑


ラム 「一生かけて言わせてみせるっちゃ。」
あたる「いまわの際に言ってやる。」

周囲 「一生痴話喧嘩続ける積りか、おのれらっ!!」

ラム 「だっちゃ!!」


『うる星』をギャグ漫画として観ていた自分は、ラブコメで終わった事について、ちょっと残念に思わなくもなかったんすが……

まぁでも…こやって〆るしか手は無かったろうな~とも思う。(笑)


何より、あたるの最後の台詞には、唸らされた。


「つまりは言ってんじゃん」、と…

「死に際に言う」って言ってんだから…好きだと認めてる訳で、言ってるのと同じなんすよね~。(笑)


これには心底巧いと感心しました。(その2に続く…)
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