kotoba日記                     小久保圭介

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潮の人

2020年10月05日 | 生活詩
  


その人は煙たがられている
威張るのだし
見栄を張るのだし
悪口を言うのだし
自尊心も高いのだし

けれど
その人の脇は甘く
正面から移動して
横からのぞくだけで
水色の寂しさが透けて見える

この色な何だろう
と話を聞いていると
島国に生まれ
ご両親を若くして失っていた

水色は
潮の香りがあって
海を体に宿していた
そんな人が
都会で生きる時
どうするか
どうしたら
うまく生きていけるのか

表には必ず裏があり
裏は水色の海だった

武勇伝を聞かされても
その脇からこぼれる
水色が
そのまま海に繋がっている
海の人の武勇伝は当たり前のこと
潮で生きる困難は
都会では想像できない
命がけ

船を出し
沖に出て
魚が捕れたらやっと
生活できる

山も登ったに違いない
そんな人の滑稽すぎる
都会暮らしは
寂しさだらけで

盆に長く
島に帰るという
ふるさとの人と海が
その人の体をさすってくれる

潮の人
今日もつまらない冗談を言って
鬼の顔から
仏の顔になる急な変容

人は言葉ひとつ
心ひとつで
硬くもなるし
柔らかくもなる

潮の人
静かに語る
そのきれい




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