旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ダニエルの余裕~ルーブル美術館、大人のおもちゃ箱

2012-01-19 22:49:54 | フランス
なんだか日本の仏像のような表現じゃないでしょうか

ルーブル美術館中世彫刻セクションより。この彫刻の主題は、要約すれば下記のようになる。

★ダニエルはイスラエルを陥落させたネブカドネザル王によってイスラエルの他の3人の若者と一緒にペルシャに連れて来られた賢くて麗しくて壮健な男子。
ダリウス王の家臣達にその能力を妬まれ、イスラエルの神へのまったき信仰を咎とされてライオンの穴に落とされた。しかし、ライオンはダニエルを襲わず、翌日の朝無傷で救出された。
※さらに詳しくは下記のページなど参照。
http://d.hatena.ne.jp/littleyohane/20100120/1263946564

ダニエルのこのあっけらかんとした表情、首をかしげる様、ライオンの穴に落とされたにしてはまったく怖がっていない。いったい何を考えているん?と、以前から思っていたのだが、今回、すっきりする解釈をしていただいた。

「ダニエルの表情は『余裕』だとおもいます。強い信仰を持っていたダニエルは『こんなことしても無駄なのになあ』と言っているように私には見えます。」

なるほど、そう思って再び見ると、このダニエルには一片の不安も感じられず、むしろ額にしわを寄せて『ライオンがうるさくて寝られないよぉ』とでも言っているかのようだ。理解している人にだけ話しかけてくれる、そんな力強い彫刻。
※ルーベンスの描いたダニエルは不安そう↓
http://www.artbible.net/1T/-Dan01,01_Events_Portaits_Evenements/slides/17%20RUBENS%20DANIEL%20IN%20THE%20LION%20S%20DEN.html

**
ライオンの描かれ方、日本の狛犬(こまいぬ)にそっくりの雰囲気で、ユーモラスだ。ダニエルの衣の表現も、日本の仏像に似ていると思う。


柱の上部だけ切り離されて、真白くきれいに洗われて残されているが、もともとはいったいどんな修道院に?教会に?あるいは宮殿に、あったものなのだろう。

また、こういった主題の多くは単独では描かれない。きっと近くに別の旧約の話を刻んだ彫刻もあったことだろう。この製作者の作品をもっと見てみたい。それらはどこへ行ってしまったのだろう。
コメント
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