ジジババのたわごと

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ギリシャ危機ってどういうこと?

2010年05月14日 | Weblog
ギリシャが満期を迎えた国債を払えなくなるという事態になって、その余波でEUの通貨ユーロが下落し、ユーロ経済圏全体に影響を及ぼしている。
さらに連鎖が世界的な金融危機に発展して、“第2のリーマン・ショック”になりかねないと不安視されている。なぜだ?

ギリシャで国債が返済の満期を迎えるのに、金がなくて払えない事態になった。
新規の国債を発行して集めた資金で古い国債の返済をする、という自転車操業でやりくりしていたのだが、金利を高くしてもギリシャの国債には買い手がつかなくなって、完全に行き詰ってしまった。

ギリシャに貸していた金(国債)が焦げ付けば、国債を大量に買っていたドイツやフランスの銀行が不良債権を抱えることになる。銀行経営が圧迫される。
金融機関同士の取引が急速にしぼむ。相手がどれだけ損失を受けるか疑心暗鬼になって取引を控えるからだ。
そのため資金の流通が細くなり貸出資金が不足するので、企業への貸し出しなどが抑えられる。

一般に銀行の不良債権は、貸出先企業が立ち直りの見込みがない場合は、そのまま倒産させ、銀行は借金を棒引きして損失処理をする。
立ち直りの見込みがあれば、資金援助を含め支援を行い、再建のための指導も行う。

ところが今回は貸し出し先が国であるところが異質だ。国家財政の破綻で国債(国)が不良債権となるわけだ。
企業で言うならば倒産の状態である。
国家ともなると、倒産させて一件落着というわけにいかない。
国家救済となれば、つまりは資金を貸し出すわけだが、経済大国でなければ手に負える話でない。

ポルトガルやスペインも国家が巨額の借金を抱えているので、ギリシャの信用不安が飛び火すれば、ユーロ体制全体が崩壊する危険さえささやかれていた。

そんな事情のため、EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)が共同で、総額1,100億ユーロ(13兆円)に上る金融支援をギリシャに行うことを決定した。
さらに、資金繰り難の国に緊急融資を行うことができるように基金を作ることも決めた。
この支援策によって、ひとまず小康状態に戻った。

ただし、ギリシャの再建が出来なければ、これらは捨て金になってしまう。
ギリシャは本当に独立して国の運営ができるのか、というところが分岐点となってくる。
そこで支援と引き換えに、①公務員の賃金凍結、ボーナスや手当てを廃止。 ②年金の支給額を減らし、支給年齢を引き上げる。 ③付加価値税の引き上げ。 などの緊縮策をギリシャに課した。

ギリシャでは公務員天国と言われるほど既得権が異常に膨れあがっている。その公務員が働く人の4分の1を占める。
さらに、脱税や汚職が横行して、ギリシャ経済の非効率さが指摘されている。
政権交代を機に、国家の赤字を小さく見せるような粉飾をしていたことも表に出てきた。
ギリシャ政府の累積の借金は、GDP(国内総生産)の113%まで膨れ上がっている。毎年の国のやりくりも赤字で、財政赤字はGDPの13%以上で深刻だといわれる。

ところでGDPで比較すると、日本はギリシャよりもっとひどい。政府債務残高(借金合計)はGDPの220%に達する。
低い金利でも国債を買う人がいるということは、日本の国債に信用力があるからといえそうだ。
日本の国債は国内でほとんどが消化されている。
日本には1400兆円に上る個人金融資産があり、銀行や郵貯などの金融機関を介して国債を買っている。

貸しているのは金融資産を持つ個人で、借りているのは国という構図になっていて、身内同士で貸し借りしている。
国が借金である国債を払えなくなるような事態になれば、消費税などで増税をして国民から徴収して払えばよいというわけだ。
国内で国債を買っている人と税金を払う人はイコールではないのだが、マクロで見た場合、増税などで個人金融資産を吸い上げることができれば、国の借金は棒引きになるという理屈である。
ここがギリシャとの違いで、日本の国債が個人金融資産によってゆるぎない信用を保たれているというのだが・・・。


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