ジジババのたわごと

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一味違ったNHK戦争番組

2010年08月23日 | Weblog
今年の夏はNHKが、太平洋戦争や第2次世界大戦に関する特集番組を組んだ。
「玉砕」や「シベリア抑留」など、これまであまり表に出ていなかった題材で切り込んでいた。
朝鮮併合100年に当たることもあって、春からは「日本と朝鮮半島」のスペシャルもあった。

全体のトーンは過去の類似の番組より、戦争という行為の愚かさ、残酷さを訴えていたように感じた。
そして当時の軍部が自国民に対して取った極道、圧制、愚行が浮き彫りにされていた。
神格化した天皇の名で行った、死ぬことへの強要、批判を許さぬ精神論による統制。
大本営の常軌を逸する命令や、情報を隠蔽し戦死を美談に脚色して国民を戦争に駆り立て扇動したことにも踏み込んでいた。
当時の軍部や政府が、大局を見通す能力が極めて低かったことを思い知らされた。
今回の番組は、70年前の戦争を、これまでで一番正確に伝えたのではないかと思える。

NHKは番組構成をいつ企画したのだろうか、とふと思った。これらの映像はずっと前から入手していたはずである。
もし、自民党政権であったなら、今回のNHK特集に右派議員から横槍が入って、一部が削除されていたことも十分ありうる。その前にNHK自身が自己規制していたかも・・・。
以前、慰安婦問題を扱った番組では、当時の安倍晋三・官房副長官や中川昭一・経済産業相が放送直前にNHK幹部に注文をつけ、一部の映像が削除されたことがあった。
安倍元首相が今回の番組をどう評価したか、感想を聴いてみたいものである。

メディアに対して何かと口実をつけて一部議員が過剰反応する。とりわけ政権党は、権力を笠に隠然とした圧力を行使する。
やはり昨年政権交代したことが、陰に陽に番組編成に影響を及ぼしているのではないだろうか。

それにしても、日本人のものの考え方や意識、気性について改めて考えさせられた。
一番は、欧米の人にはとうてい理解できない、死ぬことを目的にした玉砕という行為。
その背景にあった、自分の意見をはっきり表さない、あうんの呼吸が美徳とされる村社会の風土。周りの目を異常に気にする心理。

現代の若者には不思議に思われるようだが、今も本質はさほど変ってはいないように思う。彼らも案外似たような心理に落ち行っている。
日本人はなあなあで何ごともウヤムヤにする性癖がある。
あまり自己主張しないことが美徳という気風。変だと思っても、しつこいのは嫌われると議論を避ける心理。さらにはマスコミに踊らされる体質。自分にあまり関係ないと無関心を決め込み意見を言わない。
ある面で日本の良さでもあるのだが、肝心なときにそれがあだとなる。

そもそもが、学校で近代歴史を教えていない。戦争の事実に触れないでおきたいという意図がありありだ。こんな点にも国としての無責任ぶりが表れている。
そういういい加減さだから、いつまでも消化できないで生煮えのままで経過する。


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