ジジババのたわごと

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香港がパレスチナのように変貌

2020年12月27日 | Weblog

中東でパレスチナの影が薄くなっている、という記事を読んだ。

イスラエルに武力で支配され、分離壁も年々拡大している。天井のない牢獄になっている。

 

 

さて、「天安門事件」のときの外交文書が公開された。

30年ほど前、民主化に立ち上がった学生や民衆を中国政府が軍隊を出動させ、戦車で轢き殺した。

 

人権を重視する欧米が中国を非難し経済制裁をちらつかせたが、日本は中国を擁護し孤立するのを回避するよう立ち回った。ということが明らかになった。

背景には「経済成長していく過程で、中国も徐々に民主化に向かっていく」という期待があった。

将来の広大な市場としての経済的魅力も計算にあったかもしれない。

 

その中国は今や、世界第二位の経済大国に成長した。

しかし民主化はむしろ逆戻りして、強権政治が支配している。

香港の自由は完全に息絶えた。

 

習近平政権が「香港国家安全維持法」を成立させてから、問答無用の強引な政治を推し進めている。

香港の独立を支持したり、外国の組織とつながって香港に干渉するような、愛国的でないとみなした者を処罰できる内容である。

 

そのための出先機関を香港に設けて、中央政府が直接取り締まる。

香港以外の外国人にも適用するという型破りなものである。

香港の法律を北京の政府が制定することは本来は出来ない、「一国二制度」から外れることである。

 

    

 

立法会(議会)の民主派議員4人の資格が剥奪された。それに抗議して民主派議員15人が一斉に辞職を表明した。

民主活動家には実刑判決を言い渡した。

中国と香港指導部を批判した新聞の社主も逮捕された。

ソーシャルメディアへの投稿を理由に、著名な弁護士が公安当局に連行され行方不明になっている。

 

香港を眺めていると、民主派は孤立無援である。

いまや香港は「司法」も北京の意のままにされている。

行政長官が「香港に三権分立はない」と発言している。

 

中国を非難する国はあるが言葉だけで、実効ある制裁はゼロといってよい。

日本政府はほとんど何も発言していないのに等しい。

トランプ大統領が中国の嫌がる処置を発動したが、人権問題を改善するためのものとは思えない。

 

中国はいま世界で一番羽振りの良い国である。

経済界や金融界は儲かるところに群がっていく。

政治の混乱に巻き込まれ自社の利益に害が及ぶ恐れさえなければ、政治体制は問題にしない。

中国側も政治的な行動に出なければ、海外からの経済的進出は大歓迎だ。

 

香港が世界の金融センターから滑り落ちるような事態になる恐れがあると、中国もごり押しはできなくなる。

香港には国内外の銀行、証券会社、保険会社、外国為替市場などが活発に活動する金融市場が形成されている。

しかしアメリカも、香港のドルペッグ制を遮断するようなところには手を出せない。

香港の金融センターとしての地位は急激に低下することはないだろうと推測する。

 

 

 

さて中東では、トランプ大統領のイスラエル寄り姿勢が明確になったので、アラブの中に経済的な利益を求めて、イスラエルに近づく国が増えてきた。

以前はイスラエルを共通の敵として仲間になっていたアラブ諸国の中に、イスラエルと国交を結ぶ国が出始めている。

その反動でアラブの国がパレスチナに距離を置き始めている。

パレスチナはどこからも支援が受けられず、イスラエルに完全に掌握されている。

 

パレスチナの記事を見ながら、香港とパレスチナが重なってきた。早晩、香港がパレスチナのようになっていく予感がする。

香港では中国の巨大な圧力に対して、無力感を味わうことになるだろう。

少なくとも民主派の人たちにとっては、八方ふさがりで行き詰まりである。

自由を求める人には、弾圧と監視の社会になっていく。



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