ジジババのたわごと

孫たちさらにその孫たち世代の将来が、明るく希望が持てる時代になってほしい。

金融対策、経済対策の効果は?

2010年08月30日 | Weblog
円高で株価が今年の最安値を記録した。円高が輸出関連にマイナスになるからである。
とはいうものの株価が上がらない原因はほかにもいろいろあるに違いない。

円高になるということは、日本の通貨である円の評価が上がって買われているということである。
先進国の中で際立った借金を抱え、将来的にも見通しの暗い日本の通貨が買われているのは不思議なことである。
アメリカの景気回復が遅れていることや、EUもギリシャをはじめ幾つか財政不安の国があるので経済が上向くことが当面期待できない。
そんなことから消去法で日本の円が買われている、というのが大方の観測だ。

15年ぶりという円高が押し寄せてきて、日本経済がより深刻になると予想してうろたえているのか。ごちゃごちゃにして議論しているふしがある。
円高は政府の無策の結果だと非難する意見やら、円高阻止のために「為替介入」すべきという意見があるかと思えば、景気浮揚のために政府は「経済対策」を行うべきとか、日銀の「金融政策」を期待する声が上がる。

そのような声に押されて菅首相が、「必要なときには断固たる措置を取る」と述べ、為替市場への介入も辞さない考えを示すとともに、日銀の白川総裁と会談し、追加の金融緩和策を期待する意向を伝えることを明らかにした、と報じられた。
日銀も追加の金融緩和策を出す模様だ。

ところで、今の円高の現象は異常だから、正常な円安水準になるように対策を講じるべきだ、と主張しているのか。
それとも円高は妥当な水準にあるが、急激な円高だったので、打撃が大きいので緩和する施策が必要だということなのか。

金融政策や経済対策をやれば「円高」が収まるということではないだろう。
経済対策はむしろ円高を助長する方向に働く性格のものだろう。
「円安へ誘導する対策」と、「金融政策」や「経済対策」は少し離して考えるべきではないか。
渡りに船とばかりにこの際、今まで言い出せなかったことをあれもこれも持ち出している印象である。

各国が協調して為替介入するのならばともかく、日本単独で為替介入したとしてもあまり効果は期待できない。
ましてや、経済構造などの理由によってなるべくしてなった円高であれば、小手先のことでは到底変えることはできない。
日米の物価水準からいうと、円はいまの相場でもまだ安い、円の適正水準はもっと上だ、という見方も少なくない。
これが投機による高騰であるならば、いずれ円安に落ち着く。

さて、金融政策のほうは、日銀が金融機関へ超低金利で資金貸し出すのをさらに拡大させ市場の資金量を増やすというものだ。いわゆる金融緩和であるが、主として景気刺激効果を期待して行うのが普通だ。
ただし、波及効果によって長期金利が下がる働きもあるので円安が誘導されるというのだが、金利の下げ幅がきわめて小さいことを考えると、円安への効果は微々たるものではないか。

金融緩和によるもう一方の経済効果であるが、市場に資金が供給されても需要が大幅に広がると見られていない。
借りるところが増えてカネが循環しなければ経済効果が限定される。

もちろん、円高が急激でショックが大きいから、時間軸を伸ばして緩やかに円高に持っていきたいというのであれば介入の意味はある。
ただし、国として行うことができる残された選択肢はごく限られているというのが多くの見方である。

円高・株安に対する不安。その背景には景気の停滞感が漂っている。その最たるものが失業、雇用不安だ。
だからそれらに対する対策は当然考えなくてはならない。
菅首相は「新成長戦略」を前倒しして、即効性があり、需要・雇用創出効果の高い施策を実施すると述べている。

短期的な対策も必要ではあるが、長期的な観点からの政策も織り交ぜて、規則や制度改訂も含めて進めなければならない。
さらに、一般会計の半分を国債に頼っている財政を、健全な方向へ軌道修正しなければならないという相反する課題がある。
何を優先し、どのあたりで折り合いをつけるかということである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿